令和8年定例会(9月市会)

最終更新日:令和8年10月30日

意見書・決議

「防災庁」発足を見据えた地方自治体との連携強化及び防災体制の抜本的強化を求める意見書
(令和8年10月30日提出)

 本年7月に「防災庁設置法」が成立し、平時の備えから発災時の対応、復旧・復興までを一貫して担う司令塔組織として「防災庁」の発足が目前に迫っている。
 一方で、本年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」では、猛暑期における大震災であったことから、停電や断水が続く中での避難生活や車中泊・在宅避難に伴う熱中症、脱水症状、エコノミークラス症候群などの健康リスクの急増、衛生的なトイレの不足、ガソリン等燃油の供給制限、さらには自治体職員自らの被災によるマンパワー不足など、激甚化・複雑化する災害現場の課題が顕著となった。
 また、本年8月には、国の地震調査委員会が活断層の評価を見直し、今後30年以内に近畿地方においてМ6.8以上の地震が発生する確率を50%~60%と公表した。
 今後想定される巨大地震や気象災害のリスクに対し、新たに発足する「防災庁」が現場のニーズに即した司令塔機能を最大限に発揮し、災害関連死や二次災害を防ぎ、国民の命と暮らしを守り抜くためには、国と地方自治体との連携強化及び支援体制の抜本的刷新が不可欠である。
 よって国におかれては、防災庁の発足を機に、最新の災害教訓を踏まえた実効性のある下記の措置を速やかに講じるよう強く求める。

記

  1. 猛暑期や厳寒期の避難生活にも対応できる避難所環境向上への取組を進めるとともに、関連物資の確保・広域調達・迅速な搬送体制を構築すること。
  2. 医療・福祉チームの早期・広域派遣を避難所のみならず、車中泊や在宅避難者へも早期かつ広域に派遣・巡回させる体制を整備すること。
  3. GADM(災害マネジメント総括支援員)をはじめとする被災自治体への総合調整人材の派遣・配置の仕組み及び受援体制を強化すること。
  4. ガソリン等緊急用燃油の安定・優先供給体制を確立すること。
  5. 複合災害・二次災害防止に向けた監視・警戒体制を強化するとともに、住民への迅速かつ分かりやすい情報提供と避難体制の充実を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣(防災)、防災庁設置準備担当大臣

夏休み中の子どもの貧困対策及び緊急セーフティネットの強化を求める意見書
(令和8年10月30日提出)

 長引く物価高騰の影響等により、低所得の子育て世帯やひとり親世帯においては、生活苦がより深刻化している。特に夏休み期間中は学校給食がなくなるため、子どもの欠食や栄養不足が懸念されるとともに、猛暑の中で冷房設備のない自宅で過ごさざるを得ないなど、子どもの健康リスクや家庭の孤立化が極めて深刻な課題となっている。
 こうした子どもの健康リスクや孤立、栄養不足の問題を解消するためには、安心・安全な「涼しい居場所」に行けば「食」が提供され、そこへのアクセスが確実に保障される緊急セーフティネットの構築が急務である。
 京都市においても、こども食堂をはじめとする民間団体への支援や児童館運営等を実施しているが、夏休み中の抜本的な対策としては不十分な状況である。
 よって国におかれては、こども家庭庁を中心とする関係省庁の補助事業や制度を複合的に活用し、地方自治体が地域の実情に応じた柔軟かつ切れ目のない「夏休みこども緊急セーフティネット」を早期に確立できるよう、下記の事項について速やかに必要な措置を講じることを強く求める。

記


  1. 身近な涼しい居場所と食の確保に向けて、学校施設(図書室・多目的室等)を「こどもクーリングシェルター」として開放・活用できるよう支援するとともに、児童館や放課後児童クラブ等を拠点としながらも、現場に支障を来すことがないよう、柔軟な受入れと食事提供体制を構築すること。また、放課後児童クラブの夏休み期間中における受入枠拡大に関する財政支援を強化すること。
  2. 地域における食料供給ラインの強化として、こども食堂やフードバンク、こども宅食等の活動に対する継続的・実効性のある財政支援(「地域こどもの生活支援強化事業」等の拡充)を行うこと。あわせて、フードバンク認証制度の普及や、食育の一環としてこども食堂・宅食等への政府備蓄米の無償交付の拡充及び円滑な供給体制を推進すること。
  3. アウトリーチ型支援と情報発信の強化に向けて、自ら支援を求めることができない困窮世帯や要保護児童等に対し、こども宅食や定期的な訪問見守り(「支援対象児童等見守り強化事業」等の拡充)を推進するとともに、必要な支援情報が対象世帯に届くよう、SNS等を活用したプッシュ型支援情報の発信体制を拡充すること。
  4. 生活困窮者自立支援法に基づく「子どもの学習・生活支援事業」について、物価高や賃金上昇を踏まえた補助率の拡充や、体験格差・進学格差を解消するための体験活動・軽食提供等の支援を一層推進すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、内閣府特命担当大臣(こども政策)、消費者庁長官、こども家庭庁長官

国家公務員の地域手当に準拠した介護報酬等の地域区分の見直しに関する意見書
(令和8年10月30日提出)

 国家公務員の地域手当については、令和7年4月から支給地域の単位の広域化や級地区分の再編成が段階的に実施されており、京都市域の場合、10%から8%に引き下げられている。
 介護・障害福祉サービスの報酬等については、国家公務員の地域手当に準拠した地域区分に応じて算定されているが、社会福祉施設等に従事する職員は年間の給与額が全職種平均と比較して低い傾向にあり、今回の地域手当の見直しに伴う算定によって介護報酬等が引き下げられることとなれば、これまでの処遇改善の推進に逆行するものとなる。
 こうした中、京都市会では、令和7年10月に、地域手当が引き下げられた地域における介護報酬等について適切な水準とすることを求める意見書を提出した。
 国においては、介護報酬等の地域区分の取扱いについては、市町村の意見を確認するとともに、現在、社会保障審議会介護給付費分科会等において鋭意検討が進められているところであるが、社会福祉施設等の関係者からは、次期報酬改定が迫りつつある中、不安の声が高まっている状況にある。
 よって国におかれては、地域区分の見直しにより、介護報酬等が引き下げられる自治体については、今後の賃金水準や国における処遇改善の取組を踏まえ、令和7年度の見直し前の地域区分の水準を維持し、必要な財政措置を講じることを求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、賃上げ環境整備担当大臣

働く者の声を尊重した労働時間法制の実現を求める意見書
(令和8年10月30日提出)

 「働き方改革」関連法は、「働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすること」を目指しているが、施行後5年の総点検の結果を踏まえ、今後、公労使による対等な議論の場において、労働基準関係法制の見直しを進めることとしている。
 持続可能でウェルビーイングな地域社会を確立していくために今求められているのは、働く者の健康確保を前提に、伝統産業をはじめ、小規模事業者が多い京都市の産業実態を踏まえながら、労使双方の意見を十分にくみ上げ、誰もが安心・安全に働き、生活時間を確保できる労働時間法制の確立と生産性向上を両立させることである。
 「働き方改革」の定着・推進に向けては、時間外・休日労働の上限規制の適切な運用を図るとともに、連続勤務規制、勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方などについて、働く者が休息と生活時間を十分に確保し、個人の選択を尊重した多様な働き方の推進を図ることができるよう、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえた検討を進める必要がある。
 また、裁量労働制や変形労働時間制などの労働時間制度については、働く者の健康確保、長時間労働防止、適切な処遇の確保などを前提に、小規模事業者の実態も考慮した労働時間短縮と生産性向上を両輪で進めるための法整備を推進するとともに、企業・労働者への支援を行う必要がある。
 あわせて、労働基準監督行政においては、労働者の健康確保と「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい生活)」を営むためのセーフティネットとして、重大・悪質な違反に対しては厳正に対処しつつも、労使の合意にのっとった指導を行い、事業者に対する制度の周知や適正な労働管理の支援を充実させることが必要である。
 よって国におかれては、労働者の命と健康、そして権利を守る観点から、公労使による対等な議論と現場の実態を反映した慎重な合意形成を図ることを強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣

働く者の声を尊重した労働時間法制の実現とILO三者構成原則の堅持を求める意見書
(令和8年10月30日提出)

 「働き方改革」関連法の施行から約7年が経過した。その目的である「働く者一人ひとりの命と健康を守り、真の安全・安心につなげる」という理念の実現は重要であるが、現状、過労死はなくなっておらず、脳・心臓疾患及び精神障害の労災請求件数は過去最多を記録している。
 現在、国において労働時間法制の見直し議論が進められているが、持続可能な地域社会 を維持するために今求められているのは、長時間労働につながりかねない規制緩和ではなく、誰もが安心・安全に働き、生活時間を確保できる労働時間規制の確立と生産性向上の両立である。
 よって国におかれては、労働者の命と健康、そして権利を守る観点から、下記の事項を速やかに履行するよう強く求める。

記

  1. 「働き方改革」の定着・推進に向けた実効性のある法規制を実現すること。
     時間外・休日労働の上限規制の強化や、連続勤務規制の導入、勤務間インターバル制度の義務化、「つながらない権利」の立法化など、働く者が休息と生活時間を十分に確保できるための法整備を行うこと。
  2. 長時間労働につながりかねない規制緩和は行うべきではないこと。
     長時間労働につながりかねない裁量労働制の対象業務の拡大や変形労働時間制の要件緩和などではなく、労働時間短縮と生産性向上を両輪で進めるための法整備や企業・労働者への支援を行うこと。
  3. 労働基準監督署における厳格な指導・監督は維持すべきこと。
     労働者の健康確保と「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい生活)」を営むためのセーフティネットを形骸化させないよう、適正な運用の徹底と監督指導を強化すること。
  4. 労働政策決定におけるILO三者構成原則を堅持すること。
     「働き方改革」の見直しや労働法制の改正議論に当たっては、労働政策審議会をはじめとする場において、労使当事者の声を十分に反映させ、三者構成原則に基づく民主的かつ慎重な合意形成を徹底すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣

米国産生鮮ばれいしょの輸入解禁協議に関し、植物防疫上の安全確保と国内生産基盤の維持を求める意見書
(令和8年10月30日提出)

 農林水産省は、現在、ポテトチップ加工用に限って輸入が認められている米国産生鮮ばれいしょ(ジャガイモ)の一般流通用(生食用を含む。)の輸入解禁について、植物防疫法とWTO(世界貿易機関)の衛生植物検疫措置の適用に関する協定に基づき検討を進め、病害虫ごとのリスク管理措置を検討する最終段階にある。
 懸念されている病害虫には、土壌中で長期間生存し、一旦侵入すれば根絶が困難なセンチュウ類が含まれている。ポテトチップ加工用が、用途を限定し、閉鎖系による管理の下で輸入されているのに対し、一般流通用は、広く店頭や外食等に流通するため、同様の管理を担保することは容易ではない。京都市においても、都市近郊農業スタイルとしてばれいしょの栽培は広く行われており、病害虫が畑に侵入すれば、産地に長期にわたる被害が及ぶおそれがあり、種芋の生産体制にも影響しかねない。
 一方で、我が国は先述の協定上、輸入に係る検疫措置を科学的な根拠に基づいて講じる国際的な義務を負っており、輸入禁止措置の維持又は解除は、科学的なリスク評価と、実効性のある管理措置の検証に基づいて判断されなければならない。その判断が、関税等の通商交渉における要請や時間的な圧力によって左右されることがあってはならない。
 また、我が国の令和7年度のカロリーベース食料自給率は37%にとどまり、食料安全保障の確保は喫緊の課題である。ばれいしょは、国民の食生活と食品産業を支える重要な農産物であり、その国内生産基盤の維持は食料・農業・農村基本法の基本理念である食料安全保障の確保の観点からも重要である。加えて、輸入食品の安全性に対する消費者の関心も高く、本市の農業者及び市民の食の安全・安心にも関わる課題である。
 よって国におかれては、下記の事項について、適切な措置を講じられるよう強く要望する。

記


  1. 米国産生鮮ばれいしょの一般流通用の輸入解禁については、病害虫ごとに、実効性のあるリスク管理措置が確認され、かつ、我が国の植物防疫上の安全が確保されることが科学的に認められない限り行わないこと。
  2. 植物防疫に係る判断については、科学的根拠及び国際的なルールに基づいて行い、関税等の通商交渉上の事情によって、我が国の植物防疫上必要な措置が損なわれることのないようにすること。
  3. 協議の進捗状況、リスク管理措置案及びその科学的根拠について、生産者、産地関係団体及び消費者に対し早い段階から丁寧に情報提供を行い、その意見を十分に踏まえること。
  4. 水際における検疫体制及び国内における病害虫の発生状況の監視体制を強化するとともに、万が一、病害虫の侵入が確認された場合の早期封じ込めと生産者への支援の仕組みを整えること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、農林水産大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官