令和4年定例会(11月市会)
最終更新日:令和4年12月12日
意見書・決議
女子差別撤廃条約選択議定書の批准に関する環境整備を求める意見書
(令和4年12月12日提出)
昭和54年、国連は、あらゆる分野で女性が性に基づく差別を受けない権利と平等の権利を保障する女子差別撤廃条約を採択し、日本は、昭和60年、この条約を批准した。令和4年現在、189か国が批准している。
平成11年には、条約の実効性を強化し女性が抱える問題を解決するために、個人通報制度と調査制度を認めた「女子差別撤廃条約選択議定書」が国連総会で決議・採択され、平成12年12月末に発効している。令和4年現在、条約批准189か国中115か国が選択議定書を批准しているが、日本はまだこれを批准していない。
選択議定書の個人通報制度とは、条約で保障された人権を侵害された被害者が、国内の救済手続を尽くした後、条約機関に申立てを行うことができ、条約機関がこれを審査して見解を出すという制度である。条約機関が通報者の人権侵害を認める見解を出したとしても、この見解は当該締約国に対し法的な拘束力を持つものではないが、国際的にも国内的にもその影響は小さくない。
このような選択議定書を批准することにより、締約国は、国際的な人権基準に基づき、女性の人権侵害の救済と人権の保障をより強化できる。
女子差別撤廃条約の実効性の確保を図ろうとする国際的動向の下で、日本政府は、選択議定書の審議に参加し、決議に加わったものであるが、日本は、男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数2022」では146か国中116位となっている。
政府は、第5次男女共同参画基本計画で「女子差別撤廃条約の選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」としている。
よって国におかれては、我が国の司法制度や立法政策との関連課題等が早急に解決されるよう、女子差別撤廃条約選択議定書の批准に関する環境整備を進めるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、外務大臣、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
帯状疱疹ワクチンへの助成及び定期接種化を求める意見書
(令和4年12月12日提出)
帯状疱疹は、過去に水痘にり患した者が、加齢や過労、ストレスなどによる免疫力の低下により、体内に潜伏する水痘・帯状疱疹ウイルスが再び活性化して、発症するものである。
日本人では、50歳台から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症するといわれており、治療が長引くケースや後遺症として痛みなどの症状が残るケースもある。
この帯状疱疹の発症予防のためにワクチンが有効とされているが、費用が高額になることから接種を諦める高齢者も少なくない。
帯状疱疹による神経の損傷によって、その後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症に加え、角膜炎、顔面神経麻痺、難聴などを引き起こし、目や耳に障害が残ることもあるともいわれている。
よって国におかれては、地方自治体単位でワクチンの有効性等を検証することは困難であることから、一定の年齢以上の国民に対するワクチンの有効性等を早急に確認し、国の財源による帯状疱疹ワクチンの助成制度の創設や予防接種法に基づく定期接種化の検討を強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣
保育士配置基準の抜本的な見直しを求める意見書
(令和4年12月12日提出)
保育士の処遇については、近年、公定価格への加算により、一定の充実が図られているものの、保育士配置基準全体は53年前、特に4・5歳児クラスは74年前から変わっていない。
その中で、本市では、約54億円の予算を確保し、国基準を上回る手厚い保育士配置や保育士処遇の改善等を実施しているが、こうした子育て施策の充実については、本来、地域によって差異があるべきでない。 こうした本市の事情も踏まえ、京都市会議員出身の議員から、4・5歳児の配置基準の見直し及び財源確保について、国会での質疑もあったところである。
広く子育てとして見た場合、この間、学校教育においては小学校における35人学級や教科担任制の導入に向け、見直しが進められているが、来年4月には、「こども家庭庁」が創設され、岸田総理からは「こども政策予算倍増への道筋を示していきたい」との発言もあったところである。
よって国におかれては、こども家庭庁の創設を契機とした、こども政策の強化に向け、保育士確保と共に、保育士配置基準の抜本的な見直しに取り組むよう求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣(少子化対策)
知的障がい者への行政の対応拡充を求める意見書
(令和4年12月12日提出)
身体障がい者は「身体障害者福祉法」で定義され、精神障がい者は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」で定義されている。ところが、知的障がい者に関しては、「知的障害者福祉法」で知的障がい者に対する福祉サービスは規定されているものの、知的障がい、あるいは知的障がい者の定義は規定されていない。
また、身体障がい者、精神障がい者、知的障がい者の手帳制度について、身体障がい者と精神障がい者の手帳は、法律に基づき交付・運営されているが、知的障がい者の療育手帳の制度は、厚生事務次官通知に基づき各都道府県知事等の判断により実施要綱を定め、交付・運営されている。
知的障がいについては、国において統一的な判定方法や判定基準が示されていないことから、自治体により障がいの程度区分やボーダーラインに差が生じている。自閉症の方への手帳交付は、京都市においては、療育及び精神の判定基準に基づき、両方の要件を満たす方には両方の手帳を交付しているが、自治体によって、「精神障害者保健福祉手帳」を交付するところ、「療育手帳」を交付するところ、両方を交付するところ等、対応が異なっている。
よって国におかれては、国際的な知的障がいの定義や自治体の負担等も考慮した判定方法及び基準の在り方の検討を踏まえ、知的障がい者への行政・手帳制度を国の法律による全国共通の施策として展開することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣
前子ども若者はぐくみ局長収賄事件に関し市民の信頼回復と市民に開かれた組織風土の構築を求める決議
(令和4年12月12日提出)
今般、前子ども若者はぐくみ局長収賄容疑事件調査委員会から、調査報告書が市会に報告された。
この事件は前局長の個人の倫理観の欠如はもちろんのこと、慣例に従い、面倒なことはできるだけ避けようとする組織風土の根深さが前局長案件、特定の職員に偏った対応となり傷を更に深めたものである。調査報告書では、「業務の公正さが歪められた事実は確認されなかった」とされ、前理事長の判決でも同様の結論とされているが、本件の最大の教訓は、組織風土の問題の根深さであり、いまだ認識の甘さがあると言わざるを得ない。再発防止策も一定示されたものの、京都市職員の倫理の保持に関する条例の見直しや、内部通報制度による未然防止策等について、今後の公判の結果等も踏まえながら、弾力的に対応することも重要である。また、報告書で示された再発防止策は、速やかに具体化し、実行すべきである。
前局長が逮捕されるという前代未聞の不祥事であるということの重大さを考えれば、市民の信頼を失墜した責任は極めて重大であり、信頼回復には相当の覚悟がなければならず、その達成への道のりは容易ではない。
今後、不祥事から決別し市民の信頼を回復するためには、子ども若者はぐくみ局だけでなく全組織がその危険をはらんでいることを深く自覚すべきである。市長を先頭に全職員が覚悟を持って改革に挑戦し、全庁挙げて、高い倫理観に基づいた、市民に開かれた組織風土を構築されることを強く求めるものである。
以上、決議する。