令和2年定例会(9月市会)

最終更新日:令和2年10月27日

意見書・決議

新型コロナウイルス感染症の影響下における公営企業の損失補填を求める意見書

(令和2年10月27日提出) 

新型コロナウイルス感染症の影響下においては,緊急事態宣言が発出されるなど,社会においてこれまでにない大きな影響が出てきている。そういった中でも,各地域における公営企業においては,非常に厳しい状況下においても,感染拡大への対策を講じながら運営を維持してきた。
 京都市交通局の市バス・地下鉄事業においては,大幅に乗客数が減少し,現在も昨年に比べて大きく下回っている。このような状況の中で,今年度の赤字を試算したところ,市バス事業では最大85億円,地下鉄事業では最大89億円,本年3月の水準に乗客数が戻ったと仮定しても,市バス事業で75億円,地下鉄事業で73億円の赤字が見込まれている。地下鉄事業では,令和2年度の決算の段階で「経営健全化団体」へと転落する可能性が高くなっている。京都市交通局としても,費用の削減への取組を進めているが,乗客数が回復しない中で非常に厳しい経営環境となっており,今後は,運賃の値上げも検討せざるを得ない状況である。特に,独立採算で運営される公営交通事業は,市民の日常的な交通手段として重要な役割を果たしてきており,市民が利用しやすい運賃での運行が今後も求められる。
 また,上下水道事業においても,飲食・観光業への影響により有収水量,有収汚水量が減少し,4月から8月にかけて両事業合計で前年同期比で13億円の減収となっている。このような状況下で,今後予定している管路の更新をはじめとした施設の維持管理について,中期経営プランどおりの実施を行ううえで,懸念が生じてきている。上下水道事業は生活において最も重要なライフラインであり,その維持管理については安定した経営状況で行われる必要がある。
 よって国におかれては,公営企業がこれまで果たしてきた役割を踏まえ,新型コロナウイルス感染症により大幅に減少した収入を補填することを求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

医療機関への財政支援及び公衆衛生の充実・強化を求める意見書

(令和2年10月27日提出) 

新型コロナウイルス感染症対策の最前線に立つ医療機関をはじめ,その他の医療機関においても,コロナ禍により経営上大きな支障が生じている。
 このため,国・府だけでなく,基礎自治体である本市としても,帰国者・接触者外来設置医療機関や入院患者の受入医療機関に対して支援金を交付したほか,感染リスクを抱えながらも,市民生活を維持するための医療を提供いただいたことへ感謝の意をお伝えし,今後の感染拡大に備え,引き続きお力を尽くしていただけるよう,市民や企業等の皆様から頂いた御寄付や,我々,市会議員の報酬削減分に独自財源も加え,「支え合い支援金」による支援を行っているところである。また,国においても,新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の抜本的な拡充や診療報酬の増額など,充実を図っていく方向にあるが,更なる対応が必要である。
 よって国におかれては,医療機関の状況を的確に把握するとともに,引き続き,財政支援をはじめとした支援策を積極的に講じていくことを求める。また,医療体制とともに,クラスター対策をはじめ,感染症対策を最前線で担う市町村の公衆衛生の更なる充実・強化も欠かせない。とりわけ,都道府県のみならず,保健所設置自治体に対して,保健所の人員体制や機能強化に向けた支援の強化や一層の負担軽減などに,速やかに取り組むことを求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣
,財務大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

義務教育における30人学級の推進を求める意見書

(令和2年10月27日提出) 

京都市においては,新型コロナウイルス感染症の拡大により長期にわたる休校措置の後,6月からの学校再開に際しては,国の施策や補正予算を最大限活用しながら,学習指導員やスクールサポートスタッフ等の配置や,消毒液や体温計等の保健衛生用品の配備など,学校現場への支援を行っている。また,子どもたちが楽しみにしている運動会や文化祭,修学旅行は実施しつつ,授業時間の確保の観点から学校行事の精査や教育課程の工夫を行い,教育活動を進めている。
 また,国のGIGAスクール構想を踏まえた一人一台のPC端末の整備を進め,子どもたち一人一人の状況や学習定着度等に応じたきめ細かな指導の充実にも取り組んでいる。
 こうした中でも,次代を見据え,またコロナ禍の中での新しい生活様式の下で,一人一人の子どもたちが可能性を最大限に発揮するための教育活動の充実を図る必要がある。また,今後更なる感染症拡大等の非常事態下にあっても,身体的距離の確保など,全ての子どもたちに最適な学びを保障する指導体制の整備を行うことが喫緊の課題である。
 国において,30人学級の実現のための議論が進められていることは,教育の機会均等,また最適な学びの保障という観点からも大変心強いと感じている。
 よって国におかれては,30人学級の実現は,義務教育という日本の教育政策の根幹に関わる部分であることも十分に踏まえ,「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」を改正し,法改正の後は,全国一律に教育条件の向上に向けて,適切な定数措置と財政措置が行われることを要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣
,財務大臣,文部科学大臣

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方財政の急激な悪化に対し地方税財源の確保を求める意見書

(令和2年10月27日提出) 

新型コロナウイルス感染症が世界的にまん延し,我が国は,戦後最大の経済危機に直面している。地域経済にも大きな影響が及び,本年度はもとより来年度においても,地方税などの一般財源の激減が避け難くなっている。
 地方自治体では,医療介護,子育て支援,防災・減災,雇用の確保などの喫緊の財政需要への対応をはじめ,長期化する感染症対策にも迫られ,地方財政は巨額の財政不足が生じ,これまでにない厳しい状況に陥ることが予想される。
 よって国におかれては,令和3年度地方財政対策及び地方税制改正に向け,下記事項を確実に実現されるよう,強く要望する。

                    記

1 地方の安定的な財政運営に必要な地方税,地方交付税などの一般財源総額を確保するこ
 と。また,臨時財政対策債を速やかに廃止し,地方財源不足の解消は地方交付税の法定率
 の引上げな どにより対応すること。
2 地方交付税については,引き続き財源保障機能と財源調整機能の両機能が適切に発揮で
 きるよう総額を確保すること。
3 令和2年度の地方税収が大幅に減収となることが予想されることから,思い切った減収
 補填措置を講じるとともに,減収補填債の対象となる税目についても,地方消費税を含
 め弾力的に対応すること。
4 税源の偏在性が小さく,税収が安定的な地方税体系の構築に努めるとともに,国税・地
 方税の政策税制については,積極的な整理・合理化を図り,新設・拡充・継続に当たって
 は,有効性・緊急性を厳格に判断すること。
5 とりわけ,固定資産税は,市町村の極めて重要な基幹税であり,制度の根幹に影響する
 見直しは,土地・家屋・償却資産を問わず,断じて行わないこと。先の緊急経済対策とし
 て講じた特例措置は,臨時・異例の措置として,やむを得ないものであったが,本来国庫
 補助金などにより対応すべきものである。よって,今回限りの措置とし,期限の到来をも
 って確実に終了すること。
6 事業所税は,都市の重要性が高まる中,都市環境の整備・改善に関する事業の費用に充
 てる目的税として,都市運営に欠かせない貴重な財源となっており,制度の根幹に影響す
 る見直しは断じて行わないこと。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,特命担当大臣(経済財政政策),まち・ひと・しごと創生担当大臣

防災・減災,国土強靭化対策の継続・拡充を求める意見書

(令和2年10月27日提出)

現在,異常な気候変動の影響を受け,世界各地でその甚大な被害が発生しており,我が国でも,豪雨,河川の氾濫,土砂崩落,地震,高潮,暴風・波浪,豪雪など,自然災害の頻発化・激甚化にさらされている。京都市においても,本年7月の豪雨では,土砂崩れや路肩の崩落などが発生し,緊急輸送道路を含む10の路線で通行止めとなり,市民生活や社会経済活動への影響が生じた。このような甚大な自然災害に事前から備え,国民の生命・財産を守る防災・減災,国土強靱化は,一層その重要性を増しており,喫緊の課題となっている。
 こうした状況を受け,国においては,重要インフラの緊急点検や過去の災害から得られた知見を踏まえ,国土強靱化を加速化・進化させていくことを目的に,「国土強靱化基本計画」を改訂するとともに,重点化すべきプログラム等を推進するための「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策」を策定し,集中的に取り組み,京都市においても,橋りょうの耐震化や道路のり面対策を鋭意進めているが,この3か年緊急対策の期限が令和3年3月末までとなっている。
 現状では,これまでに経験のない豪雨による河川の氾濫・堤防の決壊,山間部の土砂災害等により多くの尊い命が奪われるなど,犠牲者は後を絶たない。今後起こり得る大規模自然災害の被害を最小限に抑え,迅速な復旧・復興へとつながる「防災・減災,国土強靱化」をより一層進めるためには,十分な予算の安定的かつ継続的な確保が必須である。
 よって国におかれては,下記の措置を講じられるよう強く要望する。

                   記

1 令和2年度末が期限の「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策」の更なる延
 長と拡充を行うこと。
2 地方自治体が国土強靱化地域計画に基づき実施する対策に必要な予算の総額の確保を図
 ること。
3 災害復旧・災害関連予算の確保や補助対象の拡大を図るとともに,国土強靱化のための
 財源を安定的に確保するための措置を講じること。また,その配分に当たっては,社会資
 本整備が遅れている地方に十分配慮すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣
,財務大臣,国土交通大臣,国土強靭化担当大臣,内閣府特命担当大臣(防災)

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた適切な介護報酬への改定を求める意見書

(令和2年10月27日提出)

介護サービス事業所に対しては,厚生労働省から,本年6月1日付けで「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」が示され,通所系サービスと短期入所系サービスについては,本年6月から,利用者の事前同意があれば,一定回数に限り,実際のサービス提供内容よりも高い区分の介護報酬を算定できる臨時的取扱いが設けられた。
 この臨時的取扱いについては,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う利用控え等により,通所系サービス等で,介護報酬による収入が減少している中,感染対策に係る介護サービス事業所のコストを適正に評価するために,あくまで臨時的に実施されているものと理解しているが,利用者に対する負担が増加するものとなっている。
 よって国におかれては,介護保険制度が全国一律の制度であり,介護報酬は国が定めていることから,令和3年度からの次期介護報酬改定において,適切な感染予防対策を徹底した形で事業継続が可能であり,利用者にも理解が得られる内容の介護報酬を設定するように強く求める。
 
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣
,財務大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

地方自治体のデジタル化の着実な推進を求める意見書

(令和2年10月27日提出)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,これまで取り組んできたデジタル化の推進について様々な課題が浮き彫りになった。こうした事態を受け,7月17日に閣議決定された「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」において,我が国をデジタル技術により強靱化させ,我が国経済を再起動するとの考えの下,「国民の利便性を向上させる,デジタル化」,「効率化の追求を目指した,デジタル化」,「データの資源化と最大活用に繋がる,デジタル化」,「安心・安全の追求を前提とした,デジタル化」,「人にやさしい,デジタル化」の実現のため,本格的・抜本的な社会全体の取組を進めるとの姿勢を示した。
 また,政府の第32次地方制度調査会において,地方行政のデジタル化の推進などを盛り込んだ「地方行政体制のあり方等に関する答申」が提出され,社会全体で徹底した取組が進むことで,東京一極集中による人口の過度の偏在の緩和や,これによる大規模な自然災害や感染症等のリスクの低減も期待できるとして,国の果たすべき役割について大きな期待を寄せている。
 よって国におかれては,地方自治体のデジタル化の着実な推進を図るため,下記の事項を実施するよう強く要望する。

                   記
 
1 法令やガイドライン等により書面や対面・押印が義務付けられているものについて,可
 能な限り,簡易にオンラインで実現できる仕組みを構築すること。特に,マイナンバーカ
 ードの更新手続のオン ライン化を実現すること。
2 情報システムの標準化・共通化,クラウド活用を促進すること。また,法定受託事務に
 ついても, 業務プロセスの標準化を図り,自治体がクラウドサービスを利用できる仕組
 みを検討すること。
3 令和3年度から令和4年度にかけて全国の自治体で更新が予定されている自治体情報セ
 キュリティクラウドについて,導入時と同様の財政措置を講じること。
4 今後の制度改正に伴うシステム改修を行う際には,地方の事務処理の実態を正確に把握
 するとともに,地方公共団体の負担とならないよう,十分な人的支援及び財政措置を講じ
 ること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣
,行政改革担当大臣,デジタル改革担当大臣,情報通信技術(IT)政策担当大臣,内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度)

コンビニ交付サービスを活用したり災証明書の交付を求める意見書

(令和2年10月27日提出) 

気候変動に伴う台風や豪雨等による大規模な水害などが近年頻発し,更に激甚化する自然災害に効果的・効率的に対応するため,情報通信技術(ICT)を活用した新たなサービスを活用することが,社会基盤の構築のために重要である。さらに,新型コロナウイルス感染症の影響により,災害と感染症に複合的に見舞われる事態が現実に起こり始め,今後,その深刻度が増すことが懸念されるようになったことで,その重要性が一層高まっている。
 各地方公共団体は,災害対策基本法第90条の2に基づき,自然災害(風水害,地震,津波等)などにより家屋などが破損した場合,その程度を判定し証明するり災証明書を発行しなければならないが,その証明書の申請も交付も,現状は被災者が市町村の窓口に赴かなければならない。災害時の移動は困難を極めるうえ,地域によっては役所まで車で数十分以上掛かる場合もある。さらに,災害時には役所窓口の人手不足も想定されることに加え,新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点からも,クラスターを発生させないため,来庁者を減らすことが重要である。
 よって国におかれては,下記の措置を講じられるよう強く要望する。

                   記

1 り災証明書からマイナンバーを活用した被災者情報を管理する台帳の作成までを一貫し
 て担うことができるシステムを構築・整備し,システム未整備の自治体を含む全国の自治
 体が共同利用できるようにすること。
2 また,全国5万箇所以上の,キオスク端末(マルチコピー機)が設置されたコンビニエ
 ンスストアの,マイナンバーによるコンビニ交付サービスを活用して,避難先等でもり災
 証明書を交付できるようにすること。

 以上,地方自治法第99条により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,内閣府特命担当大臣(防災),内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度)

GIGAスクール構想への継続的な財政支援を求める意見書

(令和2年10月27日提出) 

Society5.0を生きる子どもたちに相応しい,誰一人取り残すことのない公正に個別化された,創造性を育む学びを実現するため,「1人1台端末」と学校における高速通信ネットワークを整備するGIGAスクール構想の実現に向けた取組が進められる中,新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ,令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において,令和5年度までの児童生徒の1人1台端末の整備スケジュールの加速,学校現場へのICT技術者の配置の支援,在宅・オンライン学習に必要な通信環境の整備を図ること等が示された。
 これを踏まえ,令和2年度国補正予算において,GIGAスクール構想の早期実現のための予算措置が実現するとともに,新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用事例として,GIGAスクール構想への活用が示された。
 本市においても,こうした国の財政措置を最大限活用し,令和2年度補正予算において,教職員も含めた約10万2千台の1人1台のPC端末や大型提示装置,高性能カメラの整備,また,GIGAスクールサポーターの配置等を行うこととし,特に,2学期以降の臨時休業措置に備えた最終学年の小学校6年生・中学校3年生分と自宅にICT環境が整わない家庭向けの計3万5千台については9月中に先行配備し,今年度中の完了に向け,全10万2千台の整備に取り組むなど,子どもたち一人一人の状況や学習定着度等に応じたきめ細かな指導の充実に向け,取組を進めているところである。
 もとより,これからの子どもたちの学びにとって1人1台のPC端末が必要不可欠となる中,早ければ4年後にも更新期を迎えると言われる状況の下,各自治体の財政状況に左右されず,教育の機会均等という国の教育施策の骨幹として,GIGAスクール構想を持続可能な取組とするためには,今後とも,国における財政措置が不可欠となる。
 よって国におかれては,各自治体のPC端末整備完了後における機器の保守管理や端末更新に係る費用及び自宅に通信環境のない家庭における在宅での端末活用に伴う通信回線使用料等について,継続的かつ十分な財政措置を講じることを強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,文部科学大臣