令和4年定例会(5月市会)

最終更新日:令和4年6月1日

意見書・決議

金融所得課税の検討を求める意見書

(令和4年6月1日提出) 

金融所得の課税については税率が低く,税負担の公平性の観点から,その改善が課題になっている。岸田総理も,昨秋の総裁選挙時に「金融課税の強化」と発言され,また,令和4年度与党税制改正大綱でも,「高所得者層において,所得に占める金融所得等の割合が高いことにより,所得税負担率が低下する状況がみられるため,これを是正し,税負担の公平性を確保する観点から,金融所得に対する課税のあり方について検討する必要がある。」と指摘されている。さらに,本市を含む指定都市市長会も,昨年10月の「税制改正要望事項」で,「利子,配当,株式・土地等の譲渡益等の資産性所得に係る個人住民税の税率を少なくとも給与所得等に係る税率と同水準とするよう見直し,その配分割合を拡充すること」と要望している。
 以上のような動向から,一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮しつつも,給与所得等に係る税率との公平性確保の観点から是正が求められるところである。  
 よって国におかれては,税負担の公平性を踏まえ,金融所得課税について総合的に検討することを求める。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(金融)

地方公共団体情報システムの標準化に向けての意見書
(令和4年6月1日提出)

政府は,「地方公共団体における情報システムについて,クラウド活用を原則とした標準化・共通化を今後5年で確実に実現していくための取組を全力で推進する。その際,複数年の取組として地方公共団体が予見可能性をもって計画的・安定的にデジタル改革を進めることが可能な形での財政的な支援を行うこと」を閣議決定し,令和3年に「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」を制定した。
 近年,社会ではDXが進み,地方公共団体においてもDXの推進が図られている。そこで,「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」において,「地方公共団体情報システムの標準化」が明記され,令和2年度,3年度に地方公共団体が円滑にシステムを導入するための経費として,約1,825億円を基金として計上した。
 国では,令和4年夏までに,住民基本台帳や固定資産税など20業務について,システムの各仕様の策定を行い,地方公共団体は令和5年度から令和7年度にかけて,Gov-Cloud(ガバメントクラウド)の利用に向け標準準拠システムに移行していく予定となっている。
 地方公共団体は,新型コロナウイルスの影響で,財政状況も厳しく,また,デジタルの人材不足も深刻な状態となっている。特に,京都市をはじめ指定都市においては,規模や権限,行政区の存在などにより,移行に当たって特有の経費が必要となる。本市においても,これまでシステム移行に関して苦慮してきたところである。確実なシステム移行を実現し,標準化の目的を達成するために,十分な財政措置が不可欠である。さらに,全国の地方公共団体が同時にシステム移行を進めることから,事業者の人材不足も大いに懸念される。また,高齢者はデジタル化に慣れていない方も多く,インターネットの環境が整っていない地域もある。
 よって国におかれては,システム導入に向けて,地方公共団体の状況を踏まえ,下記の事項を実施するよう要望する。

                    記
1 令和7年度までとした移行の目標時期について,必要に応じて柔軟な対応を検討する とともに,移行に伴う十分な財政措置と丁寧な情報提供を行うこと。

2 情報システムの保守・運用コストなど総合的な支援を検討すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,デジタル大臣

環境教育の推進及びカーボンニュートラル達成に向けた学校施設のZEB化の更なる推進を求める意見書
(令和4年6月1日提出)

地球温暖化や激甚化・頻発化している災害等に対し,地球規模での環境問題への取組であるSDGsや2050年のカーボンニュートラル達成に向けた更なる取組が急務である。
 これまで,教育環境の向上と共に,学校施設を教材として活用し児童生徒の環境教育を行う「環境を考慮した学校(エコスクール)事業」が行われ,既に全国で249校が認定を受けている。さらに,令和4年度からは,「地域脱炭素ロードマップ(国・地方脱炭素実現会議)」に基づく脱炭素先行地域などの学校のうち,ZEB Readyを達成する事業に対し,支援を行うとされているところである。
 京都市の学校施設では,「京都市公共建築物脱炭素仕様」に基づき,屋根の断熱化や複層ガラスの導入による省エネ性能の向上や全熱交換器などの省エネ設備の導入,また,太陽光発電の設置促進,環境保全にも寄与する市内産木材の利用などの環境負荷低減の取組を進め,さらに,既に全校で実施済みの体育館照明のLED化に加えて,校舎照明のLED化にも着手されている。
 全国の学校施設においても同様に,ZEB化(高断熱化,LED照明,高効率空調,太陽光発電等)の推進や,整備した学校施設を通じて,環境問題や環境対策を学ぶ教育機会を創出しているが,カーボンニュートラルの達成及び環境教育の推進を行うためには,更に加速することが必要である。
 よって国におかれては,下記の事項に留意して更なる推進を行うことを強く求める。
                    記
1 学校施設に関するZEB化の新たな技術の開発や周知を行うとともに,新築や増築といった大規模事業だけではなく,LED照明や二重サッシといった部分的な省エネ改修事業も,しっかりと周知を行い,「できるところから取り組む」自治体・学校を増やしていくことが,カーボンニュートラルの達成及び環境教育の充実につながることに留意して取り組むこと。

2 カーボンニュートラルの達成及び環境教育の充実に向けて,多くの学校が取り組むことができるよう,学校施設整備に対する事業予算額を増額すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,農林水産大臣,国土交通大臣,環境大臣