平成26年第2回定例会(2月市会)

最終更新日:平成27年3月20日

意見書

「核兵器のない世界に向けた法的枠組み」構築への取組を求める意見書
(平成27年3月20日提出)

本年は,第2次世界大戦の終戦から70年の節目を迎える。京都市は,昭和32年に「平和都市宣言」を,昭和53年に「世界文化自由都市宣言」を行った。また,平成21年3月には,広島市長の呼掛けに応じ,世界の都市が国境を越え,核兵器の廃絶に向けて取り組む組織である「平和市長会議」(平成25年8月に「平和首長会議」に名称変更)に加盟し,人類共通の願いである世界恒久平和の実現に向け,市民と共に取組を進めている。
 我が国は,大戦中,自国民やアジアの人々に多大な苦痛をもたらしたことへの反省に立って,日本国憲法に不戦の決意と「世界平和」という理想実現への努力をうたい,70年間,国連を中心とした平和の拡大に真摯に努力してきた。特に,我が国は唯一の被爆国として,核兵器廃絶への取組において,積極的貢献を果たさなければならない。
 昨年4月,核兵器の非人道性を巡る議論の高まりの中で開催された「軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)広島外相会合」では,世界の政治指導者の被爆地訪問などを呼び掛ける「広島宣言」を,我が国から世界に発信することができた。
 よって国におかれては,一日も早い「核兵器のない世界に向けた法的枠組み」の構築に向けて,我が国が積極的貢献を果たすよう,下記の事項を求める。

1  核兵器保有国も参加するNPT(核兵器不拡散条約)において,核兵器のない世界に向けた法的枠組みの検討に着手することを合意できるよう,本年開催されるNPT再検討会議の議論を積極的にリードすること。
2  原爆投下70年の本年,我が国で開催される広島での国連軍縮会議,長崎でのパグウォッシュ会議世界大会から,核兵器のない世界に向けた法的枠組み実現への力強いメッセージを世界に発信することができるよう,政府関係者,専門家,科学者と共に,市民社会の代表や世界の青年による参加の促進を図るなど,両会議を政府としても積極的に支援すること。
3  NPDI外相会合広島宣言を受け,主要国の首脳が被爆の実相に触れる第一歩として,日本で開催される2016年主要国首脳会議(サミット)の首脳会合その他の行事を広島,長崎で行うことを検討すること。
4  核兵器禁止条約をはじめとする法的枠組みの基本的理念となる,核兵器の非人道性や人間の安全保障並びに地球規模の安全保障について,唯一の戦争被爆国として積極的に発信し,核兵器のない世界に向けた法的枠組みに関する国際的な合意形成を促進すること。 
5  日米間のあらゆる場での議論を通じ,核兵器のない世界に向けての法的枠組みを見通した日米安全保障のあり方を検討し,核兵器のない世界に向けた新たな安全保障のあり方を世界に発信することにより,国際的な議論を促進すること。


 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
  衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,外務大臣

世界遺産等を次世代に伝えていくための措置に関する意見書
(平成27年3月20日提出)

3月2日,世界文化遺産の下鴨神社が,社殿を一新する「式年遷宮」の費用を確保するため,世界遺産の指定地域外の境内でのマンション建設を発表した。
 今回は,その敷地の経過やバッファーゾーン等の計画により,日本イコモス国内委員会拡大理事会においてもご理解いただいたとのことであるが,そこでは,世界遺産に対して国の支援を厚くすべきではないかとの意見も出されている。
 一方,京都市においては,これまでも出世稲荷神社の移転や梨木神社境内におけるマンション建設など,文化首都として深く憂慮すべき事態が相次いでいる。
 こうした事態の背景には,神社や寺院等の維持管理が困難な状況にあることがあり,それゆえ,国の財政支援なくして,これらをしっかりと次世代に受け継ぐことはできない。
 よって国におかれては,世界遺産はもちろんのこと,京都が世界に誇る文化を次世代に伝えていくため,文化財保護予算を拡充するとともに,修理や維持管理に要する費用の軽減を図るための補助率の引上げや新たな補助制度の創設等,必要な措置を講じることを強く求める。
 

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 (提出先)
  衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,文部科学大臣,文化庁長官

免震材料の大臣認定不適合問題に関する意見書
(平成27年3月20日提出)

建築物の基礎部分として使われ,地震の揺れを吸収するために使用される免震ゴムのうち3製品は,国土交通省の認定する性能評価基準を満たしていない「不適合な製品」であり,技術的根拠がないのに認定を取得するため,データを改ざんするという問題が発覚した。
 この間,耐震強度偽装事件を含め,建築物全般に対する対応として,建築確認検査制度の総点検などが行われ,居住者の安全の最優先,居住の安定確保はもちろんのこと,国民の信頼を取り戻すために再発防止に向けた取組が行われてきた。
 それにもかかわらず,このような問題が発覚した。
 国土交通省は,「不適合な製品」が使用された55棟のうち,「公共性が高い」と判断した15棟については名称と所在地を公表したが,それ以外は風評被害を防ぐために公表しないとしており,問題の免震ゴムにより建物の倒壊など,大きな被害は考えにくいとのことであるが,国民の不安は広がっている。
 よって国におかれては,事業者による安全性の確保,安全性に懸念が生じている場合の交換などの対応が速やかに進むよう指導を行うとともに,被害者救済のための支援制度等についての検討など,迅速な対応を講じられるよう強く求める。


 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
  衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣


都市農業の振興策強化等を求める意見書
(平成27年3月20日提出)

都市農業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するとの観点から,関連法制や税制の見直しが国政における重要課題になっている。
 都市農業は,新鮮で安全な農産物の供給に加え,安らぎ空間の創出,防災空間の確保など重要な多面的役割を担っている。しかし,農業従事者の高齢化や都市部での重い税負担などを背景に,全国の市街化区域内の農地は,この20年間で半分近くに減少している。都市部で貴重な都市農地を守り,都市農業の持続的な発展を目指す取組が急がれている。
 よって国におかれては,下記の項目による,生産緑地制度の見直しを実施するとともに,都市農業の振興や農地の保全を図る法整備を強く求める。



1  相続税納税猶予制度の適用を受けた生産緑地について,一般農地と同様に,貸借を可能にし,「貸しやすく借りやすい生産緑地」にすること。
2  生産緑地の指定を受ける際の「一団の農地で500平方メートル以上」という一律の規模要件については,市町村が主体的に運用することができるようにすること。
3  相続税納税猶予制度の適用を受けた人が営農困難になった場合の貸付制度について,「加齢に伴い,常時又は随時介護が必要な状態」とされる現行の要件に,疾病や高齢などにより運動能力が著しく低下した場合を追加すること。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 (提出先)
   衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,農林水産大臣

農業の発展に必要な生産基盤整備の拡充を求める意見書
(平成27年3月20日提出)

農業農村整備事業は,「食料・農業・農村基本法」に位置付けられた事業であり,国民が必要とする食料を安定的に供給するための農業生産基盤の整備のみならず,豊かな自然環境や景観の保全,治水等の多面的機能を維持する観点からも欠くことのできない事業である。
 しかしながら,平成22年度以降,農業農村整備事業については大幅に縮減され,計画していた事業が進められないなど,現場のニーズに十分に応えられていない実態がある。
 平成24年度から現政権下で,予算規模は回復してきているものの,いまだ平成21年度以前の水準には戻っていない状況である。
 よって国におかれては,下記の項目による,生産緑地制度の見直しを実施するとともに,都市農業の振興や農地の保全を図る法整備を強く求める。



1  これまでに計画的に進められてきた実施中の事業や実施に向け準備を進めている事業が円滑に進められるよう措置を講じること。
2  今後,これまでに建設された農業水利施設の老朽化に対応した計画的な改修や更新による施設の長寿命化が円滑に進められるよう,事業予算を確保すること。
3  土地改良事業や農地中間管理機構をフル活用した農地の大区画化の推進,及び農村集落が持っている共同体機能をいかした農地,用水,森林,景観,環境などの地域資源の管理を強化するために必要な事業予算を確保すること。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 (提出先)
   衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,農林水産大臣

地方交付税の必要額の確保による臨時財政対策債に頼らない財政確立を求める意見書
(平成27年3月20日提出)

臨時財政対策債の問題は,地方六団体からも臨時財政対策債など,特例措置に依存しない持続可能な制度の確立を目指すべきとの要望を行っており,政府与党でも早期に臨時財政対策債に依存しない地方財政の確立を目指すべきとの認識を示している。
 よって国におかれては,地方交付税の必要額の確保を行い,臨時財政対策債の廃止に向けた努力を行うことを求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 (提出先)
   衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣