平成26年第2回定例会(11月市会)

最終更新日:平成26年12月22日

意見書

ヘイトスピーチ(憎悪表現)被害に対する意見書
(平成26年12月22日提出)

近年,日本ではヘイトスピーチが大きな社会問題となっている。国連人種差別撤廃委員会では,日本政府に対し毅然と対処するよう勧告するなど,国際社会からも厳しい指摘がなされている。
 2009年の京都朝鮮第一初級学校に対する襲撃事件では,本年12月9日の最高裁決定により,高額の損害賠償を認めた大阪高裁判決が確定したところである。
 そのような事例のヘイトスピーチは,単なる侮蔑にとどまらず,在日韓国・朝鮮の人々に対する社会的排除と暴力であり,決して許されるものではない。
 規制については,表現の自由など複雑な要素が入った難しい課題を抱えていることは承知しているが,現在,国会においても,ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチームや超党派の議員連盟で鋭意検討されている。
 もとより,京都市は,世界があこがれる観光都市であり,文化,芸術をはじめとした文化首都として,多文化共生によるまちづくりを市民が主体となって進めてきた。今後,更に人権,文化を尊重し,人々が対等で平等に安心して生活することができる環境を充実させ,及び発展させることが望まれる。
 よって国におかれては,ヘイトスピーチ被害に対し,有効な調査及び対策を検討するよう求める。


 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
  衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣,国家公安委員会委員長


医療制度に関する意見書
(平成26年12月22日提出)

我が国の国民皆保険制度は,所得の多寡に関わりなく,誰もが等しく平等な医療を受けられる優れた制度である。国民皆保険を基盤として,ここ京都においても,取組を進めている地域の医療機関等との連携による京都市版地域包括ケアシステムの構築等,持続可能な社会保障制度の確立は,全ての国民の願いであり,その実現に向けて国民に必要かつ充分な医療・介護を提供するための適切な財源の確保が求められる。  
 また,医療機関の控除対象外消費税問題の抜本的解決がされないまま,10パーセントへの消費税の増税が行われた場合,国民,医療機関に更なる負担が生じることとなる。医療提供体制を維持していくためにも,可及的速やかな消費税問題の抜本的な改革が必要である。
 よって国におかれては,全ての国民が安心して良質な医療を平等に受け,医療機関も質の高い医療を提供し続けられるよう,下記の事項について強く要望する。
 


1  国民皆保険制度を堅持すること。
2  必要かつ十分な医療・介護を提供するための適切な財源を確保すること。
3  医療機関の控除対象外消費税問題の抜本的解決を図ること。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


 (提出先)
  衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣

「女性が輝く社会」の実現に関する意見書
(平成26年12月22日提出)

政府は,女性の活躍を成長戦略の柱の一つと定め,「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」との目標を掲げ,「女性活躍担当相」を新設した。
 また,12月15日の自民・公明連立政権合意では,速やかに「女性の活躍推進法案」を成立させることとした。法案では,その取組の推進を「国や地方自治体の責務」と位置付け,仕事と家庭の両立を図る環境整備などに向けた基本方針を国が策定することとしている。そのうえで,国や地方自治体に加え,従業員が300人を超える企業・団体に対し,女性管理職の割合や女性の採用比率,女性の勤続年数といった項目について状況把握・分析し,改善すべき事項等に関しての数値目標を盛り込んだ行動計画を定めて,これを公表することを義務付けることとし,加えて,国は,公共工事の実施や物品の調達などに当たって,女性の登用に積極的に取り組んでいる企業・団体への発注の機会を増やすこととしている。
 今後,我が国が世界で最も「女性が輝く社会」を実現していくためには,こうした取組を確実に進めつつ,一層加速化していかなければならない。
 よって国におかれては,下記の事項について,適切な措置を講じられるよう強く要望する。


                               記

1  「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」との目標について,民間に先駆けて,政府,国会,地方自治体がより早急に率先して取り組み,毎年その進捗状況について公表すること。
2  女性が幅広い分野で活躍することができるよう,職場復帰等の支援や,起業支援,在宅テレワークの推進など,女性が働きやすい環境整備のための支援措置を創設すること。
3  家庭生活と仕事を両立できるよう,育児・介護休業制度の抜本的見直しや,子ども・子育て支援新制度,放課後子ども総合プランを着実に実施し,同一労働であるにもかかわらず,男女間に生じる賃金格差の実質的な解消のために必要な措置を早急に講じること。 
 働く女性が妊娠・出産を理由にした不利益な対応や嫌がらせを受ける「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」の撲滅に向け,企業などに対し,マタハラを防ぐ行動計画の策定を義務付けること。
5  子どもの医療や教育に係る財政的支援や,子育て世帯に対する住宅支援など,子ども・子育て環境の充実に向けて,予算・税制を抜本的に見直すこと。
6  「女性の健康の包括的支援法」の制定,女性特有の疾病予防対策,不妊治療・不育症に対する助成の拡充など,幅広い支援を一層拡充すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
  衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(男女共同参画)


地域の中小企業振興策を求める意見書
(平成26年12月22日提出)

本年の円相場は,1ドル=100円前後で推移してきたが,8月以降,急速に円安が進行し,10月1日には一時110円台と,約6年1箇月ぶりの水準を記録し,現在もなお110円台で推移している。
  このところの過度な円安によって,多くを輸入に頼るエネルギー,資源,食料品など,幅広い分野で価格が押し上げられ,中小企業の経営が悪化するなど,深刻な影響が懸念されている。京都市においては,伝統産業やベンチャー企業など,中小企業が多く,全体の99パーセントを占めている。
  生産拠点の海外移転などで為替変動の影響を吸収することができる大企業と違い,中小企業の多くの経営現場は国内が中心である。そのような中小企業の強固な経営基盤があるからこそ,多くの国内雇用が守られているといえる。また,中小企業は,コスト増を販売価格に転嫁することが難しいことから,利益を削らざるを得ず,企業努力の範ちゅうを超えた厳しい事業環境に陥っていると考えられる。
 このような過度な円安状況に対しては,政府・日銀が協調して為替の安定に努めることが重要であるとともに,政府・与党が目指す地方創生を進めるためには,地域経済と雇用を支えている中小企業の活性化策や振興策が欠かせない。
 よって国におかれては,地域の中小企業を守る振興策を強力に推進するよう求める。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 (提出先)
   衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策), 中小企業庁長官