叱っているうちに自分で分からなくなった、しつけのつもりなんだけど…そんな悩みは誰もが持っています。「境界線はどのあたり?」「叱り方ってむつかしい!」「どこまでが大丈夫なの?」など、少しずつ一緒に考えてみましょう。
「子どもを叱るということ」
おそらくだれでも、幼いころに叱られた思い出があるのではないかと思います。叱ったのは親だったり、近所のお婆さんや知らないおじさんだったり、学校の先生だったりしたでしょう。
叱られた時は、驚き、飛び上がり、涙が出た時もあったかもしれません。その時すぐに理解できたものもあれば「なぜ自分が?」と子ども心になっとくできなかった事もあるでしょう。しかし、「何で?」と思ったことも「ああ、こういう事だったのか」と後で分かったこともあるでしょう。
育って行くうちに、多くの人に出会い、正直に自分をさらけ出し、叱られ、しつけられ、泣いたり笑ったり…。それが自分の至らなさや、わがまま、ずるさに気づくのを助けてくれるでしょう。
いわゆる「自己中心的な人」は、叱られた経験がほとんどないまま大人になった結果かもしれません。
育児書をたくさん読むことも大切かもしれません。しかし、ヒステリックになるのではなく、感情的にどなりつけるのでもなく、子どもの目をしっかりと見て、腹を据えて真剣勝負で「叱る」ことも大切なのです。
叱り方のポイント |
1.
叱るべき時に、その場ですぐに、短時間で叱る。 |
2.
なぜ、叱っているのかを言葉で明確に示す。 |
3.
問題になっていることだけを叱る…かつてのことを、ついでに叱らない。 |
4.
子どもには考える力があると理解し、一緒に話をし、考える。 |
5.人と比較しない…兄弟姉妹との比較、他の子どもとの比較などはしない。 |
6.全人格を否定するようなことは、決して言わない。 |
7.
叱った後、ひきずらない。 |
<実践編> |
1. 叱る前に一呼吸、落ち着きましょう。 |
2. 子どもも一人の人格をもった人間です。
→ 子どもは親のいいなりになるものでもなく、アクセサリーとしての存在でもありません。 |
3. 子どもにわかるように、話をしようと思ってください。 |
4. まず、子どもの目の高さに自分の目を合わせて話をします。 |
5. ときには両肩にしっかり手を置いたりするのもいいでしょう。 |
6. 感情的になってどなったり、おどしたりするのではなく、事実を確認します。 |
7. それは結果的にはいけないことだと伝えます。 |
8. そのときに、親の気持ちを伝えます。
→「お父さん、悲しいなぁ」「お母さん辛くてね、涙がでてきたよ」 |
9. 次に、これからはどうすればいいか、一緒に考えます。 |
10. 子どもがなかなか考えられず、どうしたらいいかわからない場合は「お母さん(お父さん)だったら、こうしようと思うかなぁ」「こう考えたらどうかなぁ」と、決して命令ではなく、話し合いながら、提案し、理解を促します。
→ 子どもだからといって考える力がないと決めつけないで、子どもにも考える力があることを理解してください。 |
11. 子どもが自分なりの考えを示したとき、その考えがよければほめてあげてください。
→「よく考えることができたね」とことばをかけながら、しっかり抱きしめてあげてください。 |
12. 子どもが自分なりの考えを示したとき、その考えが間違っていたとしても、最初から否定せず、その考えを受け止めてください。
→ 「そうか、そんなふうに考えたんだね、それはどうして?」「そういう考え方もできるね、もっと他にはない?」というように、じっくり聴いてあげてください。 |
13. 子どもが考えをまとめ、理解をしたときは、それを確認して、親の感想を述べておきます。
→ 「そうしてくれると、お母さんもうれしいなぁ」「よくわかったね、これからもがんばろうね、お母さんもお父さんも応援してるからね」など、明るく伝えましょう。 |
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