令和5年定例会(11月市会)
最終更新日:令和5年12月12日
意見書・決議
AYA世代がん患者への支援を求める意見書
(令和5年12月12日提出)
AYA世代(思春期・若年成人世代)のがん治療は長期にわたることも多く、治療が進学や就職、妊娠・出産など、人生の節目と重なるため、きめ細かい支援が必要である。
AYA世代がん患者に対するがん治療を開始した場合、妊孕性が失われる可能性があると指摘されており、がん治療の前に、将来の妊娠に備えて卵子や精子等の生殖機能を温存する医療が注目され、京都府においても、AYA世代のがん患者を中心に治療前の生殖機能の温存に関する情報提供を行い、希望する患者には、卵巣等の採取・保存に係る費用を助成する取組を行っている。しかし、治療に伴う生殖機能等への影響など、世代に応じた問題について、医療従事者が患者に対して行う治療前の正確な情報提供は十分とはいえない。
また、情報不足やがん治療に加えて生殖機能を温存するための費用が掛かるなど、経済的負担が大きいため、将来の妊娠に備えて卵子や精子等の生殖機能を温存する医療を受けられない患者があることから、国のがん対策推進基本計画では、希少がん、難治性がん、小児がん、緩和ケア、生殖機能温存、就学、就労についての対策など、AYA世代の治療・ケアに関する個別分野での取組が進められているが、包括的・継続的な情報・相談体制の提供が十分ではない。
さらに、AYA世代は、治療に伴うウィッグなどのアピアランスケアや福祉用具等利用への支援、訪問介護などの介護保険制度で受けられるような在宅療養を支援する公的な助成制度がない状況であり、患者やその家族等の身体的・精神心理的・経済的負担の大きさが指摘されている。
よって国におかれては、AYA世代がん患者に寄り添った支援を充実・強化するため、下記の事項に取り組まれるよう強く要望する。
記
1 AYA世代への包括的ケア・情報・相談体制を強化すること。
2 生殖機能を温存する医療に要する費用の助成制度の経済的支援を充実すること。
3 ライフステージに応じた切れ目のない公的支援を拡充し、福祉用具等への助成や在宅療養における費用助成など、在宅療養支援を充実すること。
4 アピアランスケアへの財政措置を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣
認知症との共生社会の実現を求める意見書
(令和5年12月12日提出)
認知症の高齢者が2025年には約700万人になると想定されている現実に対して、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進する「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が先の国会で成立した。現在、政府において、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議において、認知症の本人及びその家族をはじめ、認知症に関わる様々な方々から幅広い意見を聴きながら、認知症基本法の施行に先立っての方針を取りまとめている。
今こそ、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(=共生社会)の実現をという目的に向かって、認知症施策を国と地方が一体となって進めていくときである。
京都市においても、これまで「京都市民長寿すこやかプラン」を策定し、認知症を含めた高齢者施策の推進に取り組んできたが、来年度に向けて認知症施策推進計画の策定を進めており、認知症施策に対して一層の充実を図る予定である。
私たちが目指す共生社会とは、誰もが認知症になる可能性がある中で、生活上の困難が生じた場合でも、重症化を予防しつつ持てる力をいかしながら、周囲や地域の理解と協力の下、本人が希望を持って地域の中で尊厳が守られ、自分らしく暮らし続けることができる社会である。
よって国におかれては、認知症との共生社会の実現に必要な予算措置も含め、行政の体制を一層強化させ、一刻も早い認知症との共生社会を、各地域で実現することを強く求める。
記
1 認知症の本人が、自身が認知症であることを隠すことなく、朗らかに日常を続けられるように、認知症に対する偏見や差別を解消するため、省庁横断的かつ総合的な取組の推進に総力を挙げること。
2 計画の策定において専門人材の派遣など適切な支援を行うとともに、実効性の高い施策を自在に展開するための予算措置の在り方を検討すること。また、認知症の本人が企画から評価まで意見を反映できる環境の整備を検討すること。
3 若年性認知症の人を含む認知症の方々の就労や社会参画を支える体制整備を進めるとともに、働きたい認知症の人の相談体制を充実し、事業者も含めた社会環境を整備すること。
4 独居や高齢者のみ世帯が急増する中、小規模多機能型居宅介護サービス事業について、家族の負担軽減も踏まえ、認知症対応力の強化や見守り体制の整備も含めた拡充をすること。
5 成年後見制度や身元保証等の在り方について、現状の課題を整理し検討を進めること。また、住まいに課題を抱える方々に対する総合的な相談対応、一貫した支援を行う実施体制を整備すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、共生社会担当大臣
政治資金規正法の厳格化に向けた議論を求める意見書
(令和5年12月12日提出)
国・府・市をはじめとするあらゆる議員や全ての政治団体等の政治資金の透明性を担保し遵守すべく定められた政治資金規正法上の規定履行や運用規範意識において、現在、諸所の党派の複数議員や団体が、それらに義務付けられている政治資金収支報告書における不記載の事案、または、毎年提出すべき報告書そのものの不提出や昨今の政治資金パーティー券販売に係る収受の報告義務不履行や記載漏れなどの報道によって、国民に多大な不信感を抱かせるといった問題が発生しており、公正な政治活動の根幹をも揺るがす事態となっている。
よって国におかれては、民主政治の健全な発展に寄与することを目的とするこの政治資金規正法の厳格化と一層の透明化に向けて、国民の目に見える形での徹底した議論を行い、更なる改正と明確な運用の改善化を強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣
企業・団体献金の全面禁止に向けて政治資金規正法の改正を求める意見書
(令和5年12月12日提出)
政治資金規正法では、献金の見返りとして補助金交付が行われることで税金が政治家に還流することになり、政治をゆがめることを防ぐため、国から補助金などをもらっている企業は交付の決定から1年以内は献金してはならないことを定めている。
昨今の国会議員の政治資金に対する様々な内容が大きく報道されている現状を鑑みて、国民の政治不信の回復に向けて、抜け道を塞ぐ根本的なより一層の対策が必要である。
よって国におかれては、政治資金規正法の改正により、政党及び政党支部への企業・団体献金をはじめ、政党及び政党支部からの資金管理団体への献金も含めて全面的に企業・団体からの献金を禁止することを求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣
日本トータルテレマーケティング株式会社による新型コロナウイルスワクチン接種業務の不正請求に関する全容解明と厳正な対応を求める決議
(令和5年12月12日提出)
新型コロナウイルスワクチン接種業務のコールセンター業務に関し、委託先である日本トータルテレマーケティング株式会社(以下「NTM」という。)に対して、令和5年1月に令和4年9月分の委託料における過大請求(約4,061万円)が発覚して以降、京都市において、請求の根拠資料等を提出させるなど、徹底した調査を行った結果、令和3年2月分から令和4年8月分までの請求で約1,785万円の不正請求が発覚した。
その後、京都市が更なる過大請求その他の不正の有無について追及し、それを受け、NTMが設置した第三者調査委員会が調査を行った結果、令和5年11月には新たに7億円以上の不正請求が確認されたことが報告された。しかし、NTMは、11月末までに提出するとしていたその根拠資料についていまだに提出しておらず、不誠実な対応を続けている。
本件は、国民の命と健康を守るため、全国民にワクチンを接種するという過去に例を見ない事業において、NTMが公金を過大に請求し、さらに、その事実を隠ぺいするという極めて悪質で許されない事案であり、京都市会としてNTMに対し強く抗議する。
また、京都市の徹底した調査により、令和4年9月以降分の請求の根拠資料において、他の自治体の業務のタイムシートが混入していたことも発覚しており、更なる不正請求の疑いもある。
京都市においては、不正は絶対に許さないというき然とした姿勢で、全容解明に向けて厳正に対応し、不正請求額を早期に全額返還させるとともに、警察と連携し告訴も視野に、厳罰化されるよう取り組むこと。
以上、決議する。
子ども医療費支給制度の更なる拡充を求める決議
(令和5年12月12日提出)
子ども医療費支給制度は、子育て世帯の負担を軽減し、子どもが健やかに生まれ育つ環境づくりを進める制度として、平成30年5月に、真に持続可能な制度として拡充に努めるとともに、国の責任における全国一律の制度の創設を求めることと決議したところである。
一方で、国による補助制度がない中、本市では、府市協調により、これまでに9回の拡充を図ったところであり、今年9月診療分からは、通院に係る自己負担額が、小学生まで1医療機関当たり月200円となった。
国においてこども家庭庁が創設され、次元の異なる子育て支援が推進される中で、子ども医療費支給制度については、引き続き、国の責任における全国一律の制度の創設を求めるとともに、府市協調の下、持続可能な制度として段階的に拡充することを求める。
以上、決議する。