令和3年定例会(5月市会)

最終更新日:令和3年6月1日

意見書・決議

入国における万全な水際対策を求める意見書

(令和3年6月1日提出) 

3度目の緊急事態宣言も発出され,京都においても,ピーク時には,100名以上の感染者が連日報告される等,我が国の新型コロナウイルス感染症の感染者数は増加の一途をたどっている。ワクチン接種も進捗しているとはいえ,特に懸念されるのは,海外からの変異株の流入であり,全国で多くの変異株が確認され,京都にもその影響が及んでいる。
 変異株は数種類報告されており,従来株と異なり,若年層への感染や重症化もしやすい傾向がある。現在,入国者は,検査が陰性であれば14日間の自主的な待機が求められている。しかし,変異株の拡大状況を鑑みると,待機が徹底されていない可能性がある。そして,変異株の拡大により,緊急事態宣言につながり,更に行動制限が課され,その結果,市民生活に多大な支障を来すとともに,経済的な損失も大きくなっている。水際対策ができていれば,このような事態とならなかったという声も少なくない。万全の水際対策を講じることにより,変異株の発生を抑えることが重要である。
 よって国におかれては,変異株の拡大を防ぐため,下記の事項を講じられるよう強く求める。

                   記

1 入国時にPCR検査を実施のうえで,14日間は宿泊施設で待機をさせること。
2 入国者を待機させるため,空港等に近い宿泊施設の確保に全力を尽くすこと。
3 空港等に近い宿泊施設の確保が困難な場合でも,他の宿泊施設に移動し,14日間の待機が必ず実施されるよう,しっかりと確認を行うこと。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣,外務大臣,厚生労働大臣

事業者支援の一層の充実を求める意見書
(令和3年6月1日提出)

3度目の緊急事態宣言が6月20日まで再延長され,これに伴う外出自粛等によって,経済への更なる悪影響が想定される。日本経済への影響を調べた研究によると,人との接触の多い業種やテレワークの実施が困難な業態では,影響を受けやすいと示されている。特に京都市においては,99%以上が家族経営をはじめとする中小企業・小規模事業者であるため,一層の影響を受けるものであると認識している。中小企業・小規模事業者は,7割の雇用を支えているなど,果たされている役割は非常に大きいことから,その影響を最小限に抑えることが重要である。
 一方で,飲食店等には,営業時間短縮に伴う協力金等の支援はあるが,それ以外の業種には,支援策が限られているというのが現状である。国においては,幅広い事業者が活用いただける「一時支援金」などを講じ,この度,申請期限の延長も実施されたが,前年に実施された「持続化給付金」と比較すると,「事前確認」などの複雑な手続もあり,簡素化を引き続き要望するとともに,要件緩和や更なる支援が求められる。
 また,感染拡大対策等に真面目に取り組んでおられる事業者には,営業時間の延長などのインセンティブを講じるなど,実効性のある施策を構築しなければ,政府の要請に対し,国民の理解は到底得られないと思われる。
 よって国におかれては,以下の取組を強く求める。

                   記

1 「持続化給付金」の2度目の実施など,手続が簡素な給付金制度を講じること。
2 地域の実情に応じた事業者支援を講じるため,「地方創生臨時交付金」を増額し,交付すること。
3 感染拡大対策等を徹底している事業者に対しては,営業時間の延長も可能とするとともに,各種補助金や給付金などは,売上高や納税額等に応じた制度とするなど,インセンティブが感じられるめりはりのある施策を構築すること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,
内閣府特命担当大臣(地方創生),内閣府特命担当大臣(経済財政政策)

学校教育におけるデジタルトランスフォーメーションを適切に進めるための意見書
(令和3年6月1日提出)

現在,教育の現場では,「誰一人取り残すことのない公正に個別最適化され,創造性を育む学び」の実現を目指す「GIGAスクール構想」の一環で,校内の高速ネットワーク整備が行われるとともに,児童生徒に1人1台の情報端末の貸与が進められているところである。
また,これらのハード面の取組に加えて,児童生徒の「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実や,「特別な配慮を必要とする児童生徒の学習上の困難の低減に資するもの」として,「デジタル教科書」の導入も進められようとしている。
 一方で,全ての教員が,情報端末を活用した一定レベルの授業を行うことができるように,個人情報の取扱い及び管理も含めた教職員の資質の向上が求められる。また,デジタル教科書・教材は,学校から貸与された端末を使い,各企業のシステムに接続する必要があり,例えば,転校先でも復習や学びが継続できる環境を整備しておくことも重要である。
京都市においても,1人1台の情報端末の本格活用と個別最適な学びの実現に向け,教職員のスキルの向上と学習支援ソフトの導入や,学校・教員への支援体制の構築などに取り組んでいるところである。
 さらに,デジタル教科書により,様々な学習方法が可能となるが,学習の目的を明確にしたうえで,これまでの紙の教科書,さらに,大型提示装置などの多様なICT機器を組み合わせることで,各自治体が,Society5.0時代を生きる子どもたちにふさわしい教育を推進することができるよう,学校教育にICTを浸透させ,更なる教育の充実を図るためのデジタルトランスフォーメーション(以下「教育DX」という。)の実現に向けて取り組んでいくべきである。
 よって国におかれては,以下の事項について迅速に対応することを強く求める。

                   記

1 情報端末の利活用,個人情報の取扱いなど,教育DXに対応する教職員研修の在り方について検討を進めること。
2 ICTを活用した教育が一層充実するよう,教育DXに関する学校教育予算の充実・確保とその在り方について検討を進めること。
3 デジタル教科書の持続的で安定的な活用について,自治体間での差が出ないように,義務教育教科書の無償給与と同様の財政措置を求めるとともに,授業目的公衆送信補償費についても,十分な財政措置を検討すること。
4 デジタル教科書と各自治体が利用する個人認証システムの互換性を確保するための統一規格について検討を進めること。
5 よく聞き,よく読み,よく書くなどの生涯学び続けるための基本的な「学ぶスキル」を身に着けるうえで,オンラインによる授業やデジタル教科書などのICTの活用の推進のみならず,対面学習や紙面の活用との併用の有効性を明確に示したうえで,効果的な活用事例等を積極的に発信すること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,文部科学大臣

新型コロナウイルスワクチン接種の確実な推進を求める決議

(令和3年6月1日提出) 

京都市は,身近な地域の医療機関における安心安全な個別接種を基本とした体制を構築し,医療機関から積極的な協力をしていただくことで,ワクチン接種に取り組んでおり,高齢者の接種は着実に進んでいる。
一方,京都市では,多くの市民の皆様がワクチンの早期接種を希望され,また,かかりつけ医を持たない方や,かかりつけ医が接種を行われていない方から,「予約を取ることができない」といった予約方法の混乱などが生じたことにより,不安の声が寄せられた。
こうした状況を踏まえ,集団接種の予約においては,5月31日から,希望する全ての方の予約受付(登録)や,平日への集団接種の拡充など,柔軟かつ臨機応変に取り組んでいることは評価したい。
加えて,門川市長は,新型コロナウイルス感染症の流行を収束させる有効な策として,7月末までに,65歳以上の希望者全員の接種を完了させると明言した。
よって京都市においては,医師会,私立病院協会,看護協会,歯科医師会,薬剤師会をはじめとする医療関係団体とより一層連携し,身近な地域の個別接種に協力する医療機関の更なる拡大とともに,集団接種の安定的な実施への協力を求め,これらの取組を確実に実行すること。

以上,決議する。