令和3年定例会(令和4年2月市会)

最終更新日:令和4年3月25日

意見書・決議

豊田恵美議員に対する問責決議

(令和4年2月17日提出) 

京都市会では,京都市会基本条例において,議員は,市民の範となるよう努めるものとするとされている。また,京都市会議員政治倫理条例において,法令を遵守し,議会及び議員の品位及び名誉を損なう行為を慎み,不正の疑惑を持たれるおそれのある金品の授受その他の行為をしないこととされている。
 豊田恵美議員は,人件費に係る政務活動費を夫である職員に対して支出している一方で,当該政務活動費の支出の対象期間と重複する一定の期間,夫が働いていなかったとする休業損害証明書に署名していた。このことから,当該政務活動費の支出について疑義が生じた。また,休業損害証明書に,職員が全休している旨を記載することは,事実と異なるものであることを認識していながらも同証明書に署名していたことが判明した。
 休業損害証明書は,保険金の請求に関わる書類であり,その作成は,金員の授受に関わる責任を伴う行為である。豊田恵美議員が事実と異なると認識しながら休業損害証明書に署名したことは,雇用主の管理監督責任が問われるものであり,市民の範となる議員としての自覚を欠く行為である。また,労働関係法令上求められている労働条件の明示が行われていないことが,労働実態や責任の所在を不明瞭にし,疑惑に拍車をかける結果となった。
 この豊田恵美議員の行為は,議会及び議員の品位及び名誉を損なわせるとともに,人件費に係る政務活動費の支出の適切性に対して疑問を生じさせ,結果,市民の貴重な税金を原資とする政務活動費について,制度の透明性の向上に向け,不断に取り組んできた京都市会に対する信頼を著しく損なうことにつながったものである。
 よって京都市会は,豊田恵美議員を問責するものである。

 以上,決議する。

姉妹都市キエフ市をはじめとする各都市へのロシアによる軍事侵攻に抗議する決議

(令和4年3月1日提出) 

今般,ロシアがウクライナの首都キエフ市をはじめ各都市への軍事的侵攻を行い,ウクライナ情勢は予断を許さない状況となっている。
 力による一方的な現状変更は国際法に違反する行為であり,平和都市宣言をしている本市として到底容認できるものではない。
 キエフ市と本市とは,1971年の姉妹都市提携以降,市民や民間団体を中心に様々な交流を積み重ね,相互理解と友情を育み続けてきた。また,今年度は提携50周年という節目を迎えたところである。
 京都市会として,姉妹都市キエフ市を含むウクライナへの侵攻に対し強く抗議するとともに,ロシア軍が即時撤退し,早期に平和的解決が図られることを求める。

 以上,決議する。

ウクライナからの避難民受入れに対する地方自治体への支援を求める意見書

(令和4年3月25日提出) 

本市の姉妹都市であるキエフ市をはじめ,ウクライナの各都市に対するロシアの軍事侵攻により,現在,多くの方が国外への避難を余儀なくされている。3月2日には,政府が,困難に直面するウクライナから避難された方の受入れを進めることを表明された。これを受けて本市においても,避難された方々を温かく受け入れ,支援を行っていくため,幅広い企業,団体等が力を合わせ,市民の御理解と御協力の下,連携した取組を進めるためのネットワーク組織「ウクライナ・キエフ京都市民ぐるみ受入支援ネットワーク」を設置した。
 今後,ウクライナから避難された方の円滑な受入れに当たっては,国において適切かつ柔軟な在留許可の付与を実施するとともに,国と地方が連携して,住居,就労,教育,医療など多方面の支援を行っていく必要がある。
 よって国におかれては,下記の事項について対応されるよう強く要望する。

                     記

1 支援を実施していくために,地方自治体との連携を緊密にすること。
2 避難された方の受入れに関する事業について,地方自治体の取組の実情に応じて柔軟に対応できるよう,財政面をはじめとする支援を行うこと。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣,外務大臣,出入国在留管理庁長官

加齢性難聴者に対する補聴器購入に係る公的補助制度の創設を求める意見書

(令和4年3月25日提出) 

加齢に伴う難聴については,年齢の進行と共に誰にでも起こり得る可能性があり,その症状が進行することで,適切な「聞こえ」が得られず,人とのコミュニケーションが難しくなり,高齢者が社会的孤立や鬱,認知症,フレイルに陥る危険性を高めるという研究結果も報告されている。
 また,平成27年1月に策定された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)においては,難聴は,加齢や遺伝性のもの,高血圧,糖尿病,喫煙,頭部外傷等と併せて認知症の危険因子とされている。
 しかしながら,補聴器の価格は片耳で安価なもので数万円,高価なものでは数十万円と非常に高額なことから,低所得者にとっては補聴器の購入が困難な状況であり,補聴器の利用が普及しない要因ともなっている。
 現在,国において制度化されている補聴器購入に対する助成制度としては,障がい者施策における補装具として,身体障害者福祉法第4条に規定する身体障がい者で,障がい者手帳を所持する両耳の平均聴力レベルが70デシベル以上の高度・重度難聴者が対象となっており,41デシベル以上の中等度以下の難聴者に関しては,購入後の医療費控除は受けることができるものの,補聴器購入そのものの助成制度はない状況にある。
 加齢性難聴の方への京都市独自の補助制度の創設には多額の経費が必要である。
 よって国におかれては,平成30年度から3箇年計画で実施してきた「聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究」の結果を早期に取りまとめ,加齢性難聴者の補聴器購入に対する全国一律の公的補助制度の創設を求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


介護職員の処遇改善に関する手続の簡素化と対象職種の拡大を求める意見書

(令和4年3月25日提出) 

近年の少子高齢化の進展により,介護が必要な高齢者が増加する一方で,各介護の現場では,介護人材の確保に大変に苦慮している状況である。また,コロナ禍での介護サービスの継続も含め,介護人材のエッセンシャルワーカーとしての役割がますます重要となっており,その処遇の改善が求められている。
 京都市においても,これまで介護職員の人材確保や処遇について制度の充実を求めてきたところである。
 今般,「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)において,「賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提」として,収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置を実施することが決定し,令和4年10月以降については,臨時の報酬改定を行い所要の措置が講じられることになっている。
 よって国におかれては,この介護職員の処遇改善においては,今回の臨時の報酬改定と共に,原則3年ごとに行う公的価格の改定も含め,制度の簡素化や介護報酬の運用について事業所ごとの柔軟な対応を進め,地域の介護サービスを持続可能なものとするために,下記の事項に対して特段の配慮を求める。

                     記

1 臨時の報酬改定(令和4年10月以降)において新設される「新たな加算」については,現行の二つの加算(「介護職員処遇改善加算」及び「介護職員等特定処遇改善加算」)の統合を含めた一本化を検討するなど,事務手続の簡素化に最大限努めること。
2 「介護職員等特定処遇改善加算」の配分方法について,その対象者については,事務職員等も含めて,法人や事業所が実情に応じて柔軟な判断を行いながら,加算金の弾力的な運用が可能となるよう所要の措置を講じること。
3 原則3年ごとに行う公的価格の見直しにおいては,現行の加算(「介護職員処遇改善加算」及び「介護職員等特定処遇改善加算」)との整合性を踏まえたうえで,各介護職員の勤続年数と施設内でのキャリア検定制度などを組み合わせた人件費をベースにしての事業所ごとの介護報酬総額を算定する方式に変更するなど,介護報酬申請の手続の簡素化と,人材確保への事業者の裁量権を拡大するための制度の刷新を検討すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


地方創生と感染症対策に資するデジタル化の推進を求める意見書

(令和4年3月25日提出) 

少子高齢化や人口減少の進展により,あらゆる現場で人手不足や後継者不足が叫ばれる中で,新しい地域社会の構築は,地方自治体にとって喫緊の課題となっている。また,今後は,新型コロナウイルス感染症などの感染症のまん延を防ぐうえで,人と人との直接的な接触を低減させることが必要となり,働き方や教育,医療や福祉といった,日常生活の現場の変容が求められている。
 京都市においては,令和3年度にデジタル化戦略室を設置し,京都市DX推進のための基本方針を策定し,市民・事業者の皆さんが,利便性,安心,安全,豊かさ,快適さを実感できる「誰一人取り残さない,人に優しい」デジタル社会の形成を目指している。
 現在,政府では「デジタル田園都市国家構想」への取組をはじめ,「誰一人取り残されないデジタル社会」の実現を目指して,地域の課題解決に資するデジタル化を,適切かつ迅速に推進し,全ての住民がその恩恵を享受できる社会を構築する時代が到来している。
 よって国におかれては,特に地方自治体にとって重要な観点となる,地方創生と感染症対策に資するデジタル化の推進のため,下記の点について特段の取組を推進することを求める。

                     記

1 全ての子どもたちの学びの継続を保証するため,感染症拡大防止や不登校児童生徒への柔軟な対応や,また,誰でもどこでも安心して学びが継続できるよう,リモート授業を可能にするための高速で安定した通信環境等の整備及びその運用維持,デジタル教材や通信料の無償化など,各家庭の状況に配慮した対応ができるよう,所要の措置を講じること。
2 地域のデジタル人材の確保に向け,「転職なき移住」を実現するためのテレワークの拡大や,サテライトオフィスの整備等に対する補助金等の拡充や税制の優遇,さらに,移住者への住宅取得支援や通信料金の軽減など,分散型社会の構築への総合的な取組を強化すること。
3 住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように,介護及び看護分野における人材不足の解消に資するICT技術を用いた支援機器の開発と実証実験への支援を拡充し,かつ,その機能と安全性を適切に評価したうえでの人員の配置基準の見直しが迅速に図られる体制を整備すること。
4 地域住民の安全で安心な移動を確保するため,自動運転サービスの実証実験の結果等を踏まえ,各地域への実装配備が進められるように,導入要件の検討や補助事業の創設などに早急に取り組むこと。また,MaaSの推進に向けて,交通事業者のデジタル化の支援に一層取り組むこと。
5 地域住民が安心して医療にアクセスできる「オンライン診療」について,その前提となる「かかりつけの医師」の存在と役割を周知する広報活動の充実など,取組を強化すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣,国土交通大臣,内閣府特命担当大臣(地方創生)