平成30年定例会(9月市会)

最終更新日:平成30年10月25日

意見書・決議

地震や台風等の災害対策に関する意見書

(平成30年10月25日提出) 


京都市においては,今夏,大阪北部地震,7月豪雨,そして,戦後最大の風速を観測した台風21号に相次いで襲われ,住宅の損壊,社会福祉施設,教育施設,スポーツ施設,世界遺産である二条城をはじめとした文化財の損壊等,市内各所で甚大な被害を受けた。
 とりわけ,台風21号による被害では,暴風の影響による倒木等により,数万件に及ぶ大規模な停電が発生し,完全復旧まで最大17日間を要するなど,市民生活に大きな支障を来したところである。
 本市では,地域団体や関係機関との連携と協働により,電気や上下水道といったライフラインの確保,倒木等により不通となっている道路の復旧,被災施設の修繕等に全力で取り組んでいるが,いまだ全ての市民が日常生活を取り戻すまでには至っておらず,国を挙げた支援を求めるものである。
 よって国におかれては,下記のとおり,早期復旧・復興に向けて,緊急かつ特に重点的な支援に対する特段の配慮をするとともに,今後も想定される自然災害に備え,この度の災害を教訓とした災害対策の充実・強化を図るよう求める。



1  被災者生活再建支援法の適用について,同一自然災害においては,全ての被災区域を制度の適用対象とし,半壊及び一部損壊まで支援金の支給対象を拡大すること。
2  停電に関して,今後,同様の事態を生じさせないため,関西電力をはじめとした電力事業者に対し,この度の対応を踏まえた改善策を早急に取りまとめ,実行するよう指導すること。
3  本市の農林業の迅速な復旧に向けて,被災された農林家の負担の軽減のため,農業用パイプハウス等の補助対象基準の緩和や補助率のかさ上げ等,支援制度の拡充を図ること。
 現在,国庫補助制度の対象外となっている倒木の撤去等に係る経費について,災害復旧事業の要件緩和や交付金の対象拡大等,支援制度の拡充を図るとともに,国有林に係る倒木処理及び植林等の早期実施に努めること。
 文化財等の被害に対する復旧工事について,補助率のかさ上げ等,支援制度の拡充を図る こと。
 国庫補助制度の対象外となる,道路,河川,公園等の災害復旧事業や応急対応について,補助対象の採択基準の柔軟な適用・緩和等を図ること。
 公共施設のブロック塀等の安全対策への財政支援制度を整備するとともに,民間所有のブロック塀等の安全対策について,各自治体が実施する助成制度に対する十分な支援制度を整備すること。
 のり面対策,橋りょうの耐震補強,幅員狭小箇所の解消等の災害に強い道路づくり,河道拡幅,排水ポンプの整備等の災害に強い河川の整備を強力に進めるため,道路・河川関係予算の増額を図ること。


 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,農林水産大臣,経済産業大臣,国土交通大臣,内閣府特命担当大臣(防災)


学校施設や通学路におけるブロック塀等の安全性確保を求める意見書
(平成30年10月25日提出)


本年6月18日午前7時58分に大阪北部で震度6弱を観測した地震では,児童を含む5名が亡くなり,400名以上が負傷した。特に,学校関係では,214名に及ぶ児童生徒が重軽傷を負い,1,200を超える学校で校舎等の天井・ガラス等の破損,壁のひび割れ,断水等の物的被害を受けた。
 その中でも,学校施設のブロック塀が倒壊して下敷きになり児童が死亡したことは大変痛ましく,二度とこのようなことがあってはならない。京都市においては,学校施設の耐震化は完了しているが,今般の事故を受けて行った学校施設及び通学路のブロック塀等の点検結果を基に,計画的な対策を始めたところである。今後のより一層の安全性確保に向けては,国が引き続き通学路のブロック塀等の総点検と安全対策への支援を行うことが重要である。
 よって国におかれては,下記の事項について積極的に対応することを強く求める。




1  全国の通学路の点検結果を把握し,工事が必要な場合は,民間事業者とも連携しつつ,速やかにこれを実施することができるよう,地方自治体に対する技術的・財政的支援を行うこと。その際,一般家庭のブロック塀等であっても,倒壊の可能性があるなどの場合に支援を行うことができる制度を検討すること。また,国土交通省の社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金の効果促進事業(C事業)の地方自治体での積極的な活用を図ること。
2  学校施設の安全対策に要する費用については,ブロック塀等の修繕など小規模工事に対する補助制度,法定点検やそれに伴う修繕への補助制度の創設等を検討すること。その際,400万円と定められている文部科学省の公立学校施設の防災機能強化事業の補助対象事業の下限額について,広域での申請を認めるなど弾力的に運用すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,国土交通大臣


地方消費者行政に対する財政支援(交付金等)の継続・拡充を求める意見書
(平成30年10月25日提出)


消費生活相談体制の整備や消費者教育の推進等,地方消費者行政の充実・強化は,国による地方消費者行政推進交付金等の措置によって前進が図られてきたところである。一方で,この交付金等の措置は平成29年度で一区切りを迎えているものの,インターネット・SNSの普及や,高齢者の消費者被害が増加してきている中,自主財源の確保や人員(行政職員・消費生活相談員)措置,消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)の設置が進まない等の課題が残されている。
 京都市においても,消費生活総合センターを中心に相談体制の充実を図るものの,不当・架空請求の増加やSNSでのトラブルなど,被害が増加する厳しい状況が続いている。加えて,成年年齢の引下げに伴い,若年層の消費者被害の増加が懸念されており,未然防止に向けた消費者教育の取組の強化が喫緊の課題となっている。
 こうした中,平成30年度予算では,地方から国に対して60億円を超える地方消費者行政推進交付金の要求があったものの,24億円の計上にとどまっている。国による交付金措置が後退すれば,消費生活相談体制の維持などの消費者行政が後退していく懸念がある。また,消費者庁には地方支分部局がないことも相まって,地方消費者行政の機能強化が進まない場合,消費者被害情報の収集・分析,法執行,消費者被害防止の広報・啓発等,国の消費者行政が進まないことも懸念される。
 よって国におかれては,地方消費者行政の充実・強化を図るため,下記の事項について取り組むことを強く求める。




1  平成30年度の地方消費者行政に係る交付金減額が地方公共団体に及ぼす影響を具体的に把握するとともに,本予算で確保することができなかった交付金額について,補正予算で手当をすること。
2  平成31年度の地方消費者行政に係る交付金を,少なくとも平成29年度までの水準で確保すること。
3  消費生活相談情報の登録事務,重大事故情報の通知事務,違反業者への行政処分事務といった,国全体の消費者行政に資する取組については,地方公共団体に対する恒久的な財政措置を図ること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)


児童虐待防止対策の更なる強化を求める意見書
(平成30年10月25日提出)


今般,東京都目黒区で,両親から虐待を受け女児が死亡するという痛ましい事件が発生した。このような虐待事案は,近年,急増しており,平成29年度に全国の児童相談所に寄せられた児童虐待に関する相談件数は13万件を超え,5年前と比べると倍増している。
 こうした事態を重く受け止め,政府は平成28,29年と連続して児童福祉法等を改正し,児童虐待防止対策を強化してきた。しかし,今回の事案は,児童相談所が関与していたにもかかわらず,虐待から救うことができなかった。
 京都市においては,現行の児童福祉法における配置基準である「各児童相談所の管轄地域の人口4万人に1人」を大きく上回る2.5万人に1人の児童福祉司を配置するなど,児童相談所を中心とした児童虐待防止に努めてきたが,相談件数の急増を受け,児童福祉司の更なる増員はもとより,スーパーバイザー,児童心理司,保健師,弁護士,保健・医療などの専門職の配置など,児童相談所の一層の体制及び専門性の強化と他機関との連携が大きな課題となってきている。
 虐待から子どもの命を守るためには,子どもの異変に早期に気付き,虐待の芽を摘むことが何よりも重要である。そのためには児童相談所のみならず,身近な地域における虐待の未然防止はもちろん,子育てに何らかの不安や困難を抱える世帯を広く支援するために,市町村を中心として,関係機関や民間団体等が協働し,虐待の防止に取り組むことが必要である。
 よって国におかれては,こうした痛ましい事件が二度と繰り返されないためにも,児童虐待防止対策の更なる強化に向け,下記の事項に取り組むことを強く求める。




1  平成28年度に政府が策定した「児童相談所強化プラン」を拡充し,市町村における児童虐待防止体制の強化や,中核市・特別区への児童相談所の設置も加えた児童虐待防止体制を強化するプランを新たに策定するとともに,普通地方交付税措置ではなく,実質的な補助を行うために必要な財源措置を速やかに講じること。
2  児童相談所と市町村の役割分担を更に明確にするとともに,施設やNPO等の民間機関・団体や他の行政機関等との連携を強化して役割分担・協働を加速する「児童相談体制改革」を行うこと。
3  児童相談所間及び児童相談所と市町村との情報共有については,仮に転居があったとしても,危機感や支援状況が確実かつ迅速に引き継げるよう,引継ぎの全国共通ルールを定めるとともに,全国からアクセスできるシステムを整備すること。また,児童相談所と警察との情報共有については,必要な情報がタイムリーかつ確実に共有できるようにするとともに,適切かつ効果的に情報共有をすることができるシステムを新たに構築すること。
 全国共通ダイヤル「189」について,児童相談所の相談窓口につながるまでの間に,いまだ半数以上の電話が切れている実態を速やかに検証・分析し,その結果を踏まえ,「189」の通話料の無料化の検討も含め,運用の改善に努めること。
 保育所や幼稚園・学校と情報共有の強化を図ること。学校における児童虐待の未然防止,早期発見・早期対応や関係機関との連携強化を進めるため,学校の校務分掌に虐待対応を位置付け,教員定数の改善も含め,組織的な対応が可能となる体制の整備を図るとともに,スクール・ソーシャル・ワーカー等の配置を推進すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣


幼児教育・保育の無償化に係る国への意見書
(平成30年10月25日提出)


幼児教育・保育の無償化は,子育て世代の経済的負担を軽減し,子どもを産み・育てる環境を整えるのみならず,未来を担う子どもたちの人格形成の基礎が培われる幼児期に,質の高い教育・保育を保障する重要な取組である。
 しかし,全国的に都市部を中心に依然として待機児童が多く発生している中,幼児教育・保育の無償化により,保育を利用していない世帯の不公平感が高まるうえ,急激な保育需要の高まりに伴う待機児童の増加や保育利用時間の長時間化,さらには保育士不足等,子どもの育ちを支えるべき保育現場が疲弊することが強く懸念される。
 また,多くの自治体においては,年々増加する保育ニーズに対応し,質の高い教育・保育を提供するため,施設型給付費や就園奨励費等の国制度に加え,保育士配置基準や幼稚園における預かり保育の拡充等において,多額の一般財源を投入しており,財政的に極めて厳しい状況になっている。
 さらに,本市においては,質の高い保育を確保するため,独自の保育士配置基準による手厚い配置や職員の処遇改善を行っているが,国においては,認可外保育施設について,5年間は指導監督基準を満たさなくても無償化の対象とすることを検討しており,実施されれば,施設によって保育の質が大きく異なる状況を招きかねない。
 よって国におかれては,下記の事項を実施するよう求める。




1  施設型給付費や就園奨励費等の国制度はもとより,幼稚園の預かり保育の拡充等の自治体が独自に行っている事業も含め,幼児教育・保育の無償化に必要な財源については,国が責任を持って確保すること。
2  幼児教育・保育の無償化に当たっては,保育現場への影響や働き方改革等を勘案し,保育標準時間を全て無償とするのではなく,保育短時間のみを無償とするなど,保育利用時間の長時間化を招かないよう,適切に制度設計を行うこと。
3  上記2により生じる財源を1歳児に係る職員配置の改善に充てるなど,保育の質の向上にも留意した仕組みとすること。
 これまで確保してきた質の高い教育・保育を確保するため,認可外保育施設についても,教育・保育の質を確保するための方策を検討すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣


キャッシュレス社会の実現を求める意見書
(平成30年10月25日提出)


世界各国のキャッシュレス決済比率を比較すると,キャッシュレス化が進展している国は40パーセントから60パーセント台であるのに対し,我が国は20パーセントにとどまっているのが現状である。
 日本でキャッシュレス決済が普及しにくい背景として,治安の良さや偽札の少なさ等の社会情勢に加え,消費者が現金に不満を持たず,キャッシュレスに漠然と不安を持っていること,さらには,店舗における端末の負担コストやネットワーク接続料,加盟店手数料等のコスト構造の問題等が挙げられる。しかし,近年は実店舗における人手不足やインバウンド対応,スマートフォンを活用した支払サービスの登場等,キャッシュレス化を推進する追い風となる動きも見受けられる。
 政府も平成26年に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」において,2020年東京オリンピック・パラリンピック等を踏まえ,キャッシュレス化に向けた対応策を検討するなど,これまで4回にわたり,キャッシュレス化を推進する方針を打ち出してきた。平成30年に閣議決定された「未来投資戦略2018」では,「今後10年間(2027年6月まで)に,キャッシュレス決済比率を倍増し,4割程度とすることを目指す」としている。
 日本を代表する観光都市である京都市におけるキャッシュレス化の推進は,市内事業者の生産性向上やインバウンド需要の取込み,市民である消費者の支払の利便性向上に加え,本市の産官学連携の強みをいかし,データの蓄積を通じたイノベーションの実現にもつながるなど,キャッシュレス社会のモデルとなることで,日本経済全体に大きなメリットを生み出すことができる。
よって国におかれては,下記の項目を実現するよう強く求める。




1  実店舗等がコスト負担している支払手数料の在り方を見直すなど,ビジネスモデルを変革するための環境整備を行うこと。
2  地域商店街等と連携したポイント制度などのインセンティブ措置を検討し,消費者に対する利便性向上を図ること。
3  QRコード等のキャッシュレス決済に関する技術的仕様の標準化を行うなど,サービスの統一規格や標準化等の整備を行うこと。
 産官学が連携して必要な環境整備を進めていくとともに,キャッシュレス決済を通じて新たに生み出されるデータの利活用によるビジネスモデルを促進すること。
 万全な安全対策を構築し,消費者を守るとともに事業者を支援していくこと。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣

水道施設の戦略的な老朽化対策を求める意見書
(平成30年10月25日提出)


日本の水道は,97.9パーセントの普及率を達成し,これまでの水道の拡張整備を前提とした時代から,既存の水道基盤を確固たるものにしていくことが求められる時代へと変化してきた。
 しかし,現在の水道を取り巻く状況は,高度経済成長期に整備された施設の老朽化や,耐震化の遅れなど,大きな課題に直面している。現に,6月に発生した大阪北部地震や西日本を中心とした7月豪雨をはじめとする昨今の自然災害による水道被害は,全国で頻発している状況にある。
 京都市では,老朽化した管路や施設の更新及び耐震化を進めており,国の「水道管路緊急改善事業」によって配水管の更新に補助が受けられることとなったものの,更新対象の大部分を占める支線配水管が含まれていないことから,依然として十分な財政支援を受けることができない状況にある。
 また,京都市では,将来にわたり山間地域に水道水を安定供給するため,平成29年度に簡易水道事業を市全体の水道事業に統合したが,旧簡易水道の施設についても,国からの更なる老朽化対策への支援が必要である。
 よって国におかれては,地方公共団体等とこれまで以上に連携を深めながら,国民の命を守るインフラである水道の戦略的な基盤強化を図るため,下記の事項に取り組むことを強く求める。




1  老朽化対策や耐震化対策をはじめ,国民の命を守るインフラ設備である水道施設の更新・維持・管理に全力を挙げるとともに,国庫補助対象の拡大と所要額の確保に努めること。
2  将来にわたり,安全な水の安定供給を維持していくため,水道施設の管理者である地方公共団体等とこれまで以上に連携を深めながら,広域連携の推進や適切な資産管理の推進,さ
 らには官民連携の推進等の具体的な措置を講じることにより,水道の戦略的な基盤強化に取り組むこと。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


今年度の一連の災害を踏まえた災害対策を求める決議
(平成30年10月25日提出)


平成30年7月特別市会において全会一致で可決した「大阪府北部を震源とする地震及び平成30年7月豪雨の災害対応の検証と災害体制の再構築を求める決議」を踏まえ,去る9月3日の総務消防委員会において,「「大阪府北部を震源とする地震」及び「平成30年7月豪雨」における本市の災害対応に係る総括について」が報告され,避難場所の運営等,当該災害への対応に係る検証と改善策が示されたところである。
 一方,その後上陸した台風21号では,本市においても,最大瞬間風速が戦後最大の39.4メートルを記録し,昭和9年の室戸台風に次ぐ観測史上2番目の暴風を発生させ,住家はもとより,社寺等の文化財をはじめ,公共施設,商業施設,農林業施設などに甚大な被害をもたらし,いまだ完全復旧には至っていない状況である。
 この数箇月の間で,地震,豪雨,台風による自然災害が立て続けに猛威を振るったことは,我々一人一人に自然災害の脅威を再認識させ,その対策に早急に取り組まなければならないことを痛感させるものである。
 よって京都市においては,「大阪府北部を震源とする地震」及び「平成30年7月豪雨」に加え,倒木や停電等,「台風21号」における災害対応についての検証と改善策を取りまとめ,併せて早急に実行することを求める。

 以上,決議する。

山本ひろふみ議員に対する問責決議
(平成30年10月25日提出)


本年5月に発生した,小規模保育事業A型・認可外保育施設を運営するNPO法人エンゼルネットにおける在園児童及び卒園児童の個人情報を保存した私物USBメモリの紛失事案において,同NPO法人の理事長(当時)を務めていた山本ひろふみ議員は,発見された同メモリのデータ保全を京都市から直接指示されていたにもかかわらず,自らデータを消去し,他の者により消去済みであったと虚偽報告を行ったことが判明した。
 また,制度上,小規模保育事業所の職員ではない法人役員に配分することができない地域型保育給付費に係る処遇改善等加算Ⅰの賃金改善要件分を利用して,当時理事長であった山本ひろふみ議員等に対して賞与が支給されていた。
 加えて,本件事案の調査により,「個人情報の不適切な管理」,「地域型保育給付費(処遇改善等加算Ⅰ)の不適切使用」,「役員報酬の虚偽報告」,「業務執行状況を監査すべき監事による会計事務処理」など,同NPO法人の不適切な運営が明らかとなった。
 我々京都市会議員は,147万市民の代表であり市会を構成する一員として,議会活動を通じて市民の負託にこたえる使命を全うする重責を担っており,市民全体の奉仕者として,法令を遵守し,議会及び議員の品位及び名誉を損なう行為を慎み,議員活動の内外を問わず市民の範となるよう努めなければならないことは言うまでもない。
 今回,山本ひろふみ議員が行った虚偽報告,地域型保育給付費の不適切使用などは,京都市会基本条例はもとより,京都市会議員政治倫理条例第3条にも反すると言わざるを得ず,議員に対する市民の信頼を大きく失墜させるものであり,断じて許されるものではない。
 よって京都市会は,山本ひろふみ議員を問責するものである。

 以上,決議する。