平成28年定例会(11月市会)

最終更新日:平成28年12月9日

意見書・決議

駅ホームにおける転落事故防止対策の強化を求める意見書


(平成28年12月9日提出)

  

本年8月,東京メトロ銀座線青山一丁目駅で,盲導犬を連れていた視覚障がい者の男性がホームから転落し死亡するという大変痛ましい事故があった。また,その対策に動き出していた矢先,10月には,近鉄大阪線河内国分駅で,全盲の男性がホームから転落し特急電車にはねられ亡くなるという事故も発生している。
 平成28年3月末現在,1日に10万人以上の乗降客がある全国260駅のうちホームドアが設置されている駅は82駅に止まっており,全国約9,500駅のうちホームドアの整備が完了しているのは665駅である。京都市営地下鉄では,東西線は,全駅にホームドアが設置されているものの,烏丸線は,15駅中3駅を除き,未整備の状況にある。駅の安全対策の観点からも,列車との接触や転落防止に効果が高いホームドアや転落防止柵の設置は急務である。
 また,ホームドア等が設置されるまでの対策として,視覚障がい者がホームの内側を判別することができる「内方線付き点状ブロック」の整備も重要である。京都市内では地下鉄全駅で整備されているものの,全国では1日の利用者が1万人以上の駅での整備率は77パーセントであり,全駅において整備を進めるべきである。
 よって国におかれては,視覚障がい者をはじめとする駅利用者が安心して駅ホームを利用することができるよう,ハード,ソフト両面における総合的な転落事故防止対策の検討を急ぐとともに,駅ホームの更なる安全性向上に向け財政措置を図り,下記の事項について取り組むことを強く求める。


1
ホームドアや転落防止柵の設置に当たっては,全ての駅ホームの危険箇所の実態調査を速やかに行うこと。とりわけ,転落の危険性が高い駅については,現在計画中の駅と併せて,速やかな設置を実現すること。
2 「内方線付き点状ブロック」の整備については,全駅での整備を促進すること。
 3  ソフト面の対応として,希望者への駅係員のアテンドや,一般旅客に対する誘導案内,さらには,視覚障がい者への積極的な声掛け等,事故を未然に防ぐための対策を強化すること。


 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 (提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣



安心な社会保障と強い地域経済を構築するための地方財政措置を求める意見書
(平成28年12月9日提出)


政府は,我が国が世界に誇る社会保障の充実・安定化と,そのための安定財源の確保及び財政健全化の同時達成を目指し,社会保障と税の一体改革を進めてきた。しかしながら,今般,世界経済が直面するリスクを関係諸国が一体となって回避するために,医療や介護などを支える消費税率の10パーセントへの引上げが,平成31年10月まで再延期されることになった。
 他方で,平成24年には約1,500万人だった75歳以上の高齢者数は,平成27年には約1,700万人,そして平成37年には約2,200万人と推計されており,このように急激に進行する高齢化への対策を確実に進めることが必要である。また,我が国は,本格的な人口減少の時代に突入し,平成27年の人口減少幅が約27万人と過去最大となった。既に京都市においては,保育士の加配や中高一貫教育においても先進的に取り組んでいるところであるが,高齢化対策も少子化対策も待ったなしである。
 さらに,これらの施策を支える安定財源を確保するための日本経済の底上げも正念場であり,GDPと雇用の約7割を占める「地域経済圏」の活性化が求められている。今こそ,地域資源や地域の特色に着目した,農林水産業の6次産業化や,魅力ある観光産業の開発など,産・学・金・官の連携による地域産業の創造と,地方への移住促進や小さな拠点,生涯活躍のまちづくりなど,将来にわたって活気ある地域づくりを本格的に推進すべき時である。
 よって国におかれては,全ての国民が等しく住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう,下記のとおり,安心な社会保障と強い地域経済を構築するための地方財政措置を適切に講じられることを強く求める。


1
消費税率の引上げ延期によって,地方における社会保障の充実施策の実施に支障が生じることのないよう,所要の財源を確保すること。特に,要望の強い保育の受け皿整備に係る財源については,地方負担分も含めて,国の責任において適切に財源措置を講じること。
2 人材確保が喫緊の課題になっている保育職員・介護職員などの処遇改善など「一億総活躍プラン」関連施策の実施についても,地方負担分も含めて国の責任において適切に財源措置を講じること。
 3  人口減少社会への対応という中長期的な課題に取り組む地方自治体をサポートし,地域の実情に応じて自主性・主体性を発揮し,地方創生を推進することができるよう,1兆円の「まち・ひと・しごと創生事業費」を中期的に継続すること。また,地方創生推進交付金についても,安定的かつ継続的に所要の財源を確保すること。
 4  地方自治体が提供する社会保障の充実策をはじめ,福祉,学校教育,消防,道路や河川等の社会基盤の整備など,国民生活に密接に関連する多くの行政サービスを確実に実施するためには,地方一般財源の確保が不可欠であり,特に地方交付税総額については確実に確保すること。


 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,内閣府特命担当大臣(経済財政政策)