平成27年定例会(9月市会)

最終更新日:平成27年10月29日

意見書・決議

「京都府豊かな森を育てる府民税(仮称)」の導入に関する決議

(平成27年9月30日提出)

 

市域面積の4分の3を占める京都市の森林は,木材の供給のみならず,地球環境の保全,水源の涵養のほか,近年頻発している集中豪雨による災害発生の緩和など,多面的な機能を持続的に発揮することにより,市民が安心安全に,そして快適に生活していくための重要な役割を果たしている。とりわけ,市街地周辺の三山は,古都の美しい景観を生み出すとともに,寺社や京町家などに代表される木の文化を育むなど,歴史文化観光都市である京都にとって欠かすことのできない貴重な財産となっている。
  しかしながら,近年の木材の需要や価格の低迷などにより,林業家の経営意欲が減退し,放置された森林の荒廃が進んでいる現状にある。
  このような中,京都府において議論されている「京都府豊かな森を育てる府民税(仮称)」の導入が,京都市にとって十分にいかされ,最大の効果を上げるよう努める必要がある。
  そのためには,森林の状況を最も熟知する基礎自治体が,しっかりとその現状を見極め,健全な森林環境を保全するとともに,地域の実情に応じた施策を継続的に行うことが重要である。併せて,税の導入を契機として,市民が森林の重要性を再認識するとともに,木材利用の意義を理解することが望まれる。
  よって京都市においては,この府民税が真に有益なものとなるよう,下記の事項について京都府に働きかけることを求める。



1 「京都府豊かな森を育てる府民税(仮称)」の導入に際して,京都市民をはじめ納税者の理解を得ること。
2 税収の使途について,地域の森林及び住民と密接に関わる京都市をはじめとする基礎自治体の裁量が十分に発揮できる制度を構築すること。
3 府民の約6割を占め,木材の最大消費者である京都市民にとって,「京都府豊かな森を育てる府民税(仮称)」の導入効果の実感が得られるものとすること。

 

 以上,決議する。




難病対策の充実に関する意見書
(平成27年10月29日提出)

平成26年5月に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立,平成27年1月から施行となり,医療費助成の対象は,これまでの56疾患から,第1次実施分で110疾患へ,7月からの第2次実施分を加えると306疾患へと指定が広がり,対象人口も従来の78万人から約150万人へと倍増した。今秋からは第3次実施分の検討に入るとのことであり,難病対策要綱の策定から42年の時を経て法制化された意義は非常に大きいものであり,新制度に基づく更なる対策の充実が求められているところである。

しかしながら,今回の難病法においても,線維筋痛症,筋痛性脳脊髄炎,脳脊髄液減少症,軽度外傷性脳損傷,化学物質過敏症,1型糖尿病など,人口の0.1パーセント程度以上の疾病や診断基準が明確でない疾病等は,医療費助成の対象とされておらず,障がい者施策の対象にもなりにくいなど,「制度の谷間」に置かれた難病・疾病への支援措置は,いまだ不十分であるのが現状である。

よって国におかれては,難病対策の充実を図るため,下記の事項について適切な措置を講じられるよう強く要望する。



1 指定難病の第3次実施分選定においては,より多くの難病が指定されるよう努めるとともに,人口や診断基準等による要件の緩和も検討すること。併せて,国の研究対象となる疾病についても,これを大幅に拡大すること。
2 指定難病となっていない難病及び疾病を持つ患者に対する支援措置を拡充すること。特に重症化し,生活を営むうえで様々な制約のある患者に対する支援については,自立支援医療の自己負担減額措置や身体障がい者に対する手帳交付のような,目に見える形での措置を講じること。
3 難病・疾病患者が,いわゆるドクターショッピングをすることを防ぎ,スムーズに適切な医療を受けることができるよう,医療現場への周知徹底を図ること。併せて,救急・夜間病院の迅速な受入体制の構築,女性の妊娠から出産,産後ケアの充実にも取り組むこと。
4 難病・疾病に対する国民の社会的認知を高め,理解の向上を図る施策を推進すること。
5 難病・疾病患者への就労支援については,難病患者就職サポーターの配置の拡充,症状の特性を踏まえたきめ細やかな対応など,その充実及び強化を図ること。 
6 地方自治体が取り組む難病対策に対しては,充分な財政措置を講じること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣



ICT環境の整備・充実と利活用による地域活性化とふるさとテレワークの推進を求める意見書
(平成27年10月29日提出)

都市住民の農山漁村への定住願望が大きく上昇しており,政府機関の調査では,東京在住者の40.7パーセントが,地方への移住を「検討している」又は「今後検討したい」と回答している一方で,「仕事がない」,「子育て環境が不十分」,「生活施設が少ない」,「交通手段が不便」,「医療機関が少ない」など,多くの問題点も存在している。

 京都市も北部中山間地域において,同様の課題を抱えているが,その問題点を解決し,「中山間地域への人の流れをつくる」には,中山間地域にあっても同様に働き,学び,安心して暮らせる環境を確保する大きな可能性を持つICT(情報通信技術)の利活用が不可欠である。また,ICT環境の充実によって,地域産業の生産性向上やイノベーションの創出による地域の活性化を図ることも可能となる。

 そこで,企業や雇用の中山間地域への流れを促進し,地域創生を実現するため,どこにいてもいつもと同じ仕事ができる「ふるさとテレワーク」の一層の促進につながる,超高速インターネット環境の整備が必要である。

 よって国におかれては,下記の事項について実現するよう強く要望する。



1 中山間地域のICT環境の充実には,超高速インターネット環境の整備が不可欠であることから,活用可能な補助金や交付金を拡充し,インターネット環境の整備促進を図ること。
2 平成27年度からスタートしたテレワーク関連の税制優遇措置の周知徹底を図るとともに,制度を一層充実させ,拠点整備や雇用促進につながる施策を行うこと。
3 テレワークを活用して新たなワークスタイルを実現した企業を顕彰するとともに,セミナーの開催など,テレワークの普及啓発策を推進すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣



地方創生に係る新型交付金等の財源確保を求める意見書
(平成27年10月29日提出)


将来にわたっての「人口減少問題の克服」と「成長力の確保」の実現のためには,総合戦略の政策パッケージを拡充強化し,「地方創生の深化」に取り組むことが必要である。

 政府は,6月30日,平成28年度予算に盛り込む地方創生関連施策の指針となる「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」を閣議決定した。

 本市においては,日本のこころのふるさととして,「こころの創生」を重視し,「まち・ひと・しごと・こころ京都創生」総合戦略を9月に策定したところである。

 今後,全国の自治体においても平成27年度中に「地方版総合戦略」が策定されるが,国は,その戦略に基づく事業など,「地域発」の取組を支援するため,地方財政措置における「まち・ひと・しごと創生事業費」や平成28年度に創設される新型交付金など,今後5年間にわたる継続的な支援とその財源の確保を行うことが重要となる。

よって国におかれては,地方創生の深化に向けた支援として,下記の事項について実現するよう強く要望する。



1 地方財政措置における「まち・ひと・しごと創生事業費」と各府省の地方創生関連事業・補助金,更には新型交付金の役割分担を明確にするとともに,必要な財源を確保すること。
2 平成27年度に創設された「まち・ひと・しごと創生事業費」(1兆円)については,地方創生に係る各自治体の取組のベースとなるものであるから,恒久財源を確保のうえ,5年間は継続すること。
3 平成28年度に創設される新型交付金については,平成26年度補正予算に盛り込まれた「地方創生先行型交付金」以上の額を確保するとともに,その活用については,例えば,人件費やハード事業等にも活用することができるなど,地方にとって使い勝手のよいものにすること。
4 新型交付金事業については,地元負担が検討されているが,各自治体の財政力によって国の支援が異なるのは適切ではないことから,地元負担の仕組みを見直し,意欲のある自治体の取組を積極的に支援する制度とすること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,地方創生担当大臣