平成27年定例会(11月市会)

最終更新日:平成27年12月11日

意見書・決議

ブラッドパッチ療法の保険適用及び脳脊髄液減少症の治療推進を求める意見書

(平成27年12月11日提出)

 

脳脊髄液減少症は,交通事故,スポーツ外傷等,身体への強い衝撃により,脳脊髄液が漏れ,頭痛,めまい,吐き気,けん怠感等の様々な症状が発症する病気である。その症状は,外見的には見えないため,医療現場や交通事故時の保険関係者の無理解に,患者及び家族の肉体的,精神的な苦痛は,計り知れないものがある。

国は,平成19年に厚生労働省研究班を立ち上げ,平成23年には脳脊髄液減少症の一部である「脳脊髄液漏出症」の診断基準が定められた。また,平成24年にはブラッドパッチ療法が「先進医療」として承認され,平成26年1月に行われた先進医療会議においては,ブラッドパッチ治療の有効率は82パーセント(527件中432例が有効)と報告されたところである。さらに,「外傷を機に発生する,脳脊髄液の漏れ」の診断基準の研究がなされており,ブラッドパッチ療法の保険適用が切に望まれる。

よって国におかれては,下記の事項について,早期に実現されるよう強く要望する。



1 脳脊髄液減少症の治療法であるブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)を保険適用とすること。
2 厚生労働省の研究事業において,18歳未満の症例を加えること。
3 脳脊髄液減少症の早期発見・早期治療のため,医療関係機関への情報提供を徹底すること。

以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣

文化庁の京都移転をはじめとする政府関係機関の地方移転の実現による地方創生の一層の推進を求める意見書
(平成27年12月11日提出)


戦後の日本では,政治・経済の中心である東京に,人口や本社機能などが一極集中してきたが,社会全体が成熟化する中,我が国は,地方における人口急減・超高齢化という大きな課題に直面している。

これを受けて国では,地方がそれぞれの特徴をいかして魅力ある社会を築き,それを国の発展につなげていく「地方創生」を推進している。

この取組の目玉として,平成27年3月に,政府関係機関の地方移転に取り組むことを掲げ,「文化首都」を目指す京都の文化庁移転の提案を含め,地方からは,42の道府県が合計69機関の提案を出しており,国の有識者会議などにおいて議論されている。

 政府関係機関の地方移転には,地方創生の取組の起爆剤として大いに期待が寄せられているが,一部報道等からは移転するメリットよりも東京圏を離れるデメリットが強調されるなどの消極的な姿勢が,多くの提案自治体から疑問視されている。

現状の東京圏への集積を前提とした議論の中では,一定のデメリットはあったとしても,政府関係機関の地方移転の目的である東京一極集中の是正,地方創生の観点を踏まえれば,日本の将来のために是非とも実現すべき施策である。

 よって国におかれては,地方創生の意義を踏まえ,文化庁の京都移転をはじめ,政府関係機関の地方移転の実現による地方創生を一層強力に推進するよう求める。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,地方創生担当大臣,文化庁長官



マイナンバー制度の円滑な運営に係る財源確保等,自治体の負担軽減を求める意見書
(平成27年12月11日提出)

マイナンバー(社会保障・税番号)制度の導入に伴い,市町村には,通知カード・個人番号カードの交付について対応するよう求められている。直接のカード交付経費である地方公共団体情報システム機構への交付金については,平成27年度は国庫補助(個人番号カード交付事業費補助金・補助率10/10)が措置される一方,市町村のカード交付事務に係る経費については,個人番号カード事務費補助金が措置される。

しかし,これは,国が平成27年度に予算化した40億円を,市町村の人口比で按分した額によって交付申請を行うこととされ,本来全額が国庫負担であるべきところ,非常に低い補助上限額となっており,おのずと市町村は財源負担を強いられることとなっている。

また,平成28年度以降についても,個人番号カードは相当数の交付が見込まれるが,現時点では,これらに対して十分な補助金額が確保されるのか明確ではない。

よって国におかれては,自治体負担の軽減のため,下記の事項について適切な措置を講じられるよう要望する。



1 平成28年度以降についても,地方公共団体情報システム機構に支払う交付金全額を国の負担とし,充分な予算措置をすること。
2 同様に,円滑な個人番号カード交付事務を行うため,事務処理に必要な人員の確保やシステム整備経費など,全額を国の負担とし,充分な予算措置を行うこと。
3 地方自治体の予算編成等に支障が出ないよう,補助金交付やシステム改修フローなど,円滑な制度導入の準備のために必須の情報を適時適切に提供すること。
4 マイナンバー制度のスムーズな導入に向けて,地方自治体職員や地域の事業者に対する研修用ガイドブックの作成,研修会の開催など,十分な支援を実施すること。 
5 配達することができなかった簡易書留郵便(マイナンバー通知)の受取人の所在調査に要する経費の負担軽減を図ること。
6 マイナンバー制度導入時の混乱に乗じた詐欺の防止や,個人番号カードの円滑な交付の推進のための周知広報に対する支援を実施すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣

大学の機能強化を求める意見書
(平成27年12月11日提出)


地方創生に向けた政府の総合戦略において,地方大学の果たす役割は重視されており,特に,「地域ニーズに対応した人材育成」や「地方課題の解決への貢献」,「地元企業への就職率の向上・地元への若者の定着」など,これまで以上の取組が期待されている。

しかし,国立大学法人運営費交付金は年々削減され,教育の質の低下や将来的な学生定員数の削減につながりかねない状況にあり,私立大学においても,少子化の進行による定員充足率の低下や私学助成の減額によって,大学経営そのものに大きな影響を与えている。

18歳人口の減少や首都圏への学生集中が続く中,38の大学が集積する京都市においても,4割以上の大学で定員割れになるなど,大学を取り巻く環境は厳しいものとなっている。

地方創生に向け,地域と大学がこれまで以上に積極的に取り組もうとする中,若者の地元定着や,地域のニーズに対応した人材育成などに大きな影響が出てくることが懸念される。

よって国におかれては,下記の事項について推進するよう強く求める。



1 知の拠点である大学を「地方創生の拠点」として位置付け,地域の産業振興・雇用創出に資する研究開発,若者の地元定着や地域人材の育成につながる教育など,地方創生に貢献する取組に対して支援を図ること。
2 地域ニーズに即した人材育成や技術開発をはじめ,地域課題の解決に向けた地元自治体や産業界等と連携した取組に対して支援の充実を図ること。
3 各地域の若者が一定水準の専門知識を習得することができるよう,教育の質の確保を図るとともに,大学で学ぶ学生の定員確保のため,その基盤となる国立大学法人運営費交付金の充実及び私立大学に対する私学助成の拡充を図ること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,文部科学大臣,地方創生担当大臣


保育士等の確保対策を求める決議
(平成27年12月11日提出)

  

就業形態の多様化による社会の変化に伴い,保育園(所)入園希望者の増加や,育児相談をはじめとする地域子育て支援など,多様なニーズに応える保育園(所)の役割は年々大きくなっている。本市においては,国基準の2年連続待機児童ゼロを達成しているものの,希望者全てが入園することができるために,地域によっては保育施設の増設や定員増が求められている。。

一方,「新規採用の募集をしても応募がない」,「資格は持っていても保育園(所)に就職しない」,「新規採用された職員が早期退職する」など,保育現場での保育者不足は深刻な問題となっている。

職員を確保することができないために,障がいのある子どもや年度途中の入園ができない保育園(所)があるなどの実態は,保育者の確保なしには多くの入園希望に応えることができないことを示している。

平成25年に厚生労働省が行った「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」では,保育士への就業を希望しない理由は「賃金が希望と合わない」が第1位で,この問題等が「解消された場合,就職を希望する」は63パーセントを超えている。給与引上げなど,業務責任の重さに見合った処遇の改善なしには保育者不足が解決しないことは明らかである。

 また,保育現場では,発達の著しい1歳児への支援,増えている発達に課題のある子どもやアレルギー児への対応,さらには保護者と地域の子育て支援等に応えるための研修の充実をはじめとする質の向上が求められており,職員の安定した継続確保は急務である。

よって京都市においては,保育に関わる職員の専門職にふさわしい処遇の改善も含め,多様な保育人材の確保策を早急に講じるよう求める。

以上,決議する。