摘録
最終更新日:平成29年12月15日
平成29年12月8日
報告案件
<11月市会の議案審議結果>
私からの報告の一点目は,本日終了しました平成29年定例会11月市会の審議結果についてであります。
11月市会につきましては,11月24日から12月8日までの15日間の会期で開催いたしました。お手元の11月市会審議結果総括表を御覧ください。
市長から提出されました議案は,「平成29年度京都市一般会計補正予算」など計34件ございました。
市会では,本会議で市長,副市長から提案説明を聞いた後,予算特別委員会や各常任委員会において,十分な議論を行ったうえで,全34件を可決いたしました。
その上で,2件の付帯決議を付すことといたしました。
また,議員提案である市会議案といたしましては,意見書2件を可決し,1件を否決いたしました。
なお,11月29日には8名の議員が市政一般にわたり代表質問を行いました。
今市会では,平成29年度一般会計補正予算の審議のほか,焼却灰溶融施設の建設工事に係る訴訟上の和解や,大型汎用コンピュータのオープン化に係る一括処理のためのシステムの設計,開発等の業務を行う契約に係る訴えの提起などについて,予算特別委員会等において,これまでの経過や今後の対応などに関して十分な審査や議論を重ねるとともに,市政全般にわたり,代表質問や委員会をとおして,市長らと活発に議論を交わしました。今後も引き続き,常任委員会等をとおして,議論を深めてまいりたいと考えております。
11月市会における議案審議結果は以上でございます。
<第3回国際政治フォーラム「Unity in Diversity(多様性の結束)」の参加報告>
次に,第3回国際政治フォーラム「Unity in Diversity(多様性の結束)」の参加報告についてであります。
去る11月7日,8日にイタリア共和国・フィレンツェ市,及びバチカン市国で開催されました,第3回国際政治フォーラム「Unity in Diversity(多様性の結束)」に,久保勝信京都市会副議長が京都市を代表して出席しました。
本フォーラムは,世界の各都市が有する課題について,都市間で対話を進めることが,ゆくゆくは国レベルでの対話につながるという考えのもと,本市の姉妹都市であるフィレンツェ市長の呼び掛けにより,各国の都市が集まり議論が行われたものです。
2015年に第1回が開催されてから,今年で3回目を迎えた今回は,「経済発展,気候変動,環境政策」を主要テーマとして,都市間・異文化間の対話が果たす役割等が議論されました。
久保副議長からは,経済や環境問題を含め,都市特有の課題や危機を克服するために,現在京都市が進めている「レジリエント・シティ」の取組や,先進的な地球温暖化対策に関する取組,また,異文化間対話を進める例として,世界文化自由都市を都市理念とした多文化交流の取組等について発表を行いました。
また,ナルデラ・フィレンツェ市長をはじめ,参加都市と交流を深めてまいりました。
住民にとって身近な存在である都市間でしっかりと対話を行い,交流を深めることは,相互理解を促進させ,それがひいては,国レベルでの安定した関係の構築につながるものと考えております。
京都市も,姉妹都市,パートナーシティとの交流をはじめ,この1年では,東アジア文化都市2017の開催都市として,中国・長沙(ちょうさ)市,韓国・大邱(てぐ)広域市と幅広い分野で交流を進めてまいりました。
京都市会でも,この10月に私が台南市議会を訪問させていただいたところですが,引き続き,更なる国際交流に努めてまいりたいと考えております。
私からは以上であります。
質疑応答
<発表案件に関する質疑>記者
今回の議案にある訴えの提起に関して,市の情報システムの根幹に関わる問題であり,業者の選定の仕方,事業経過のトラブルを見ても,ゴミ溶融炉の問題と同じような経過をたどっているが,この問題の受け止めについて議長の見解は。もう一点,国際政治フォーラムの件で,副議長は現地に行かれたということで,具体的な成果をどう考えるか。
議長
受託業者とのトラブルによって訴訟に発展したという点では共通しているものはあるのではないかと思っています。ただ,中身については,大きく違うところは,焼却灰溶融施設というものを,当然工事ですから,作っていただくという形でやっておる中で,一定この期間までは延長するけれどもという議論の中で,先方と話し合いが行われ,そしてまた議会でも説明がなされましたし,京都市としては,業者の能力的なことは最終的にはあったが,最後まで完成させたいということの中で進めてきた中で,我々議会側から聞いても,これは業者の方に大きな大きな問題があると,100%受けた側が大きな問題があると。ただ,その能力を見極められたかどうかという部分については難しい問題だろうと思いますし,そういった部分が今回の和解に繋がったのかなと思っています。
もう一つ,大型汎用コンピュータのことについては,私ももちろん委員として質疑に立ったりしていた訳ですが,中身は非常に専門的な部分もあり,難しい部分もございます。京都市も第三者の専門委員会を立ち上げたり,何とかして原因を究明したりとか,市民の皆様に分かりやすく伝えようと議会の方もしてきた訳ですけれど,中々その辺が難しかったなというのが正直な感想でございます。当然,受託業者の言い分なりもあろうかと思いますけれども,そういった分析も含めて,焼却灰溶融炉の時とは違うのかなという思いもありますし,ただ,受注をされた方が本来の目的を達成できない,そして訴訟に繋がったというのは共通してますから,市民の皆様にマイナスが,実はコンピュータにつきましては工程が間に合わなかったことでマイナスが生じている訳なんですけれども,そういった被害を最小限に食い止める努力を行政にきつく求めてきたというところでございます。
記者
この訴えは一定納得できるが,しかし改善点と言うか,今後の課題として残した部分も,行政的対応としても,仕組みの部分として残されているという考えか。
議長
どちらかと言うと,納得できるというよりやむを得ないということでしょうね。こういう状況になれば当然訴えざるを得ないだろうと思いますし,先方も同じ立場だろうと思いますけれども,そういう形になってしまったのかなと思います。ただ,今回の付帯決議でもありましたように,どれくらいのマイナスが生じるのかということが中々見えてこないというところがまた,焼却灰溶融施設と違って我々としても市民の皆様に中々説明できないところでもありますので,そこを行政には早く示していただいて,議会としてもしっかりとチェック機能を果たしていかなければいけないと思っています。
副議長
第3回の国際政治フォーラムの成果ですが,ナルデラ市長のリーダーシップのもと,人類的,世界的な課題に対して,先駆的に取り組んでおられる会議に行かせていただきまして,各都市の大変厳しい現状,課題,具体的には,EUの国が多くでございましたので,難民とか移民,人権,暴力といったことに対して,非常に厳しい課題が話し合われまして,共有をどうできるんだということがあった訳でございます。
元々はフィレンツェ市の第2代市長が「国家間で難しいことは,都市間で連帯を結んでいく」ということ提唱されたことを受けて,現市長が開催された会議でございます。成果としては,宣言文でもありますが,今,例えば,京都市ということであれば,東アジア,北朝鮮問題も含めて,政治的には厳しい日中韓の状況のなかで,都市間が連携し,民間交流も含めてしっかりと連帯をしていくことが,来年が平和文化都市宣言から40年を迎える訳でございますので,この夏に,東アジア文化都市のサミットもしまして,先月終わった訳でございますが,そういった交流をしながら連携をしていくことが非常に大切であることを実感いたしました。
これから,そういうことを作っていく,また,ヨーロッパではそういうことをされている訳でありますので,そういったことが世界平和,世界の市民として必要であるということを実感させていただきました。
<発表案件以外に関する質疑>
記者
京都府の山田知事が5選不出馬という選択をされた。自民党では首長の多選について以前から批判をしてきた中で,その見解は。また,何選からが多選となると議員として考えているか,議長,副議長の見解は。
議長
多選については,色々な議論があろうかと思います。有権者がお選びいただくという形になりますから,最終的には,有権者の判断だと思いますが,当然,推薦する立場,色々な立場から考えますと,長い期間一定の職に就くと,なかなかそれを批判する声が出にくいという声があるのも事実だと思います。ただ,難しいのは,3選だったら周りの人の言うことを聞いて,4選,5選なら,周りの人の言うことを聞かなくなるのかというとそういう問題ではないと私は思います。
その職におられる方が,期を重ねられても,周りからそういった声があがったときに色々とお聞きになっているとか,あるいは,周りからもそういう風な状況ができているという声があれば,私は問題ないのではないかと思います。極論を言えば,5,6選の場合でも,周りの声が,そういったことには当たらないという声が多数を占めている状況であれば,何期だからとかいう線引きは一つの目安にはなるのかなと思います。
例えば,自民党であれば,今回の知事や政令市の首長であれば,党本部は3期というのを一つの基準に決めておられます。総合的なことでそういった一つの線引きをされていると思いますが,それは都市のケースバイケースだと思いますし,引き続き,例えば4期,5期やった方がその都市にとって良いということであれば,そういうことだと思いますし,そうでなければ,むしろ3期になるまでに代わられる場合もあるんじゃないかなと思いますので,その辺がケースバイケースになるんだろうなと思います。
副議長
私も3期を超えれば多選ということでなく,有権者の皆様が御判断されることだと思います。また推薦される団体が御判断されることですし,最終的には,御本人が4期,5期しても,自分は本当に初心を忘れず,そういうことを払しょくできるということであればやられるでしょうし,有権者,御本人双方が決めていかれることだと思います。
記者
一つの目安として,3期というのが各党出されているのがあるが,3期までなら一定妥当なラインであるということか。
議長
私は,情勢,状況によると思いますし,例えば,都市,地域によっては,2期されて,他の声を全然聞かないような状況等があるとすればどうかというのもあるし,多選イコールではなくて,多選の時の弊害がどういうことがあるのかということを考えたときに,一つの物差しだと思います。
例えば今回の山田知事の決断でも,山田知事の御判断と周りの者の判断は違うと思いますし,そういった中で慎重に考えて決められたのかなと思います。ですから知事御本人も多選で辞めたということではないと私は受け止めていますし,当初から長くやることはないとおっしゃっていたそうですけれども,今回の決断としては,達成感というものを理由にされているのかなと思います。
記者
先日,熊本市議会で子育て中の女性議員が子どもさんを連れて議場に入るということがあり賛否両論あったかと思うが,議長はどう受け止めているか。
議長
私は常々,他都市の議会のことは,情報がしっかりと入っている状況であれば色々とお話しできますが,そうではない状況で話すと誤解される恐れがあるので慎重な立場をとってきましたが,御質問いただきましたので,今私が得ている情報の範囲内でお答えしたいと思います。
まず,賛否の話の中で感じていたのは,そもそも論として,子育ての方に対する議会の在り方という話と,それから,一定ルールがあるにも関わらず突然そういう形で行われた行動に対する部分と,議論としては分けた方がいいのかなと感じていました。その中で見ていると,両方が入り混じって出ているなと思いますので,私としましては分けてお話しさせていただきたいと思います。
京都市会でも女性議員に対する配慮の話の中で,今でも更衣室がございまして,更衣室という形でありますが多目的でお使いいただける部屋があるのかなと思っています。それから,これから京都市会だけではなく,市役所の改修工事が行われます。その中で,議会としましても,例えば授乳室や,そういった部屋を確保すべきだという中で,当初から案の中にそういったものを入れていただきやっているところですし,それが万全かとか言われれば,色々な議論があるかと思いますが,京都市会としましても色々な形でお声を聞かせていただきながらやってきたところでございます。
今のところ,京都市会ではそれ以上のお声は出ていませんけれども,無所属議員を含めて,いつでも開かれた議会の中で,何か問題提起があれば,市会改革推進委員会にお声を挙げていただいたら,それは議論をするかどうかを正副委員長で話し合いをして,議論の対象という形であれば,話し合っていこうという形になっていますので,今のところ,京都市会がやってきたことに対して,それ以上のお声はありせんが,そういった声があれば検討してしていくということについては必要があるのかなと思っています。
行動について私自身が感じますのは,市会改革の話もさせていただきましたが,これは議会に限らずですが,色々な物事を変えようとするときにはルールがありますし,そういった手続きは,多くの方がそういったものを守って非常に苦労されて改革をしてこられたと思いますし,私もその経験をしてきました。その中で,色々な方にお話をして,御理解を得てやってきたという流れの中から考えますと,今回の事案という意味ではなく,行動という意味では少し残念かなと思います。
京都市会もそうですが,熊本も市会事務局長は女性の方ですし,今申し上げた更衣室の話もそうですが,そういったことについても御理解があるんだろうなと,これは私の推測ですけれども,そのようにも思いますし,同じ議長であります澤田さんも色々と私もお話させていただきましたが,改革についても前向きな方ですから,もう少しコミュニケーションといいますか,そういったことがあっても良かったのかなと思います。
今回のようにああいう形で注目されて色々な物事が動き出すということになれば,色々な手続きを省略して,バーンとやれば,世間が注目して,物事が成しえるみたいな形になると,丁寧に丁寧に今まで苦労されている皆様のことを考えますと,ちょっといかがなものかと思います。
議論を二つに分けましたが,そういった子育て環境につきましては,京都市会としても色々とやってきておりますということと,行動につきましては,各議会色々なルールがあると思いますし,丁寧におやりいただく方が良いのかなと思っています。
記者
議長,副議長それぞれ一年を振り返り,所感や印象に残っていることは。
議長
5月から7箇月になりますが,私が議長に就任した時にもお話しさせていただきましたが,市会改革の委員長の経験も長かったということもありますので,議会が市民の皆様に伝えること,議会の権能強化を意識してまいりました。
その中で,就任した時とほとんど同じ時期でしたが,ネーミングライツについて,大きな議論もありましたので,議会として,基本条例に位置付けて,しっかりとしたチェック機能を果たしていこうという,いわゆる権能強化の部分として一つは挙げられるのではないかなと思います。
もう一つが,議会見学をできるだけ増やしたいという形で,子ども達を中心になのですが,京都の子ども達は大人になったときに,一度は議場見学に行ったことあるねということができれば良いなと,そこは夢の部分でもありますが,そういったことを目指して,多くの方に体感していただく,議場の中に入っていただくあの空気を感じていただくことが非常に良いのかなと思います。今年が議場90年でありましたが来年で議場が改修されます。今の本会議場はあと1年とちょっとになりますので,そういった意味では,特に見ていただく機会を増やしていきたいと思っております。
もう一つが,副議長からの話でもありましたが,国際交流の関係で就任直後にキエフ市に伺いました。お付き合いの期間は長いんですけれども,なかなか市民の皆様に浸透していかないという難しさも同時に感じました。もちろん行き来することは距離や時間のこともあるし大変なのですが,今はインターネット等様々なツールもありますから,姉妹都市であるということをもっともっと市民の皆様と共有したいなと思っています。また,キエフ市民の皆様にも京都市と姉妹都市であるということの認知度上げてほしいし,京都市民の皆様にも,キエフ市という素晴らしい都市が京都市と姉妹都市であるということを広げていきたいと思っています。
台南市についても訪問させていただきまして,都市間交流の大切さは感じるところですし,今隣の大阪市では色々な話題もありますけれども,京都市としましては,姉妹都市やパートナーシティの市民への周知度,認知度を高めることが議会としてもより一層大切なのではないかと思っています。
副議長
私も議長と共に就任させていただきまして,7箇月近くになる訳でございますが,議長と共に市の行事やイベントに出させていただく中で,市民の皆様お一人お一人が,地域力,市民力といいますか,地域の課題なども含めて頑張っていただいている場面を見させていただいておりますので,本当に,深く感謝申し上げるとともに,しっかりと寄り添いながら,課題解決に向けて,議員としても議会としても取り組んでいかなければならないと思っております。
第3回の国際政治フォーラム,また,先だって海外行政視察にも行かせていただきまして,来年の2月3月の議会の中でも報告させていただきますけれども,貴重な体験もさせていただきました。議会として,議長が言われている「見える議会」「伝わる議会」を各議員又議会としても,しっかりと取り組んでいきたいと思います。
記者
議場への乳児同伴の件で,先ほど更衣室の話,インフラの話と手続きの話があったが,議場にお子さんが入られる事象自体は,これから仮に提案があれば排除されるものではない,検討次第でそういう可能性があっても良いという立場という理解で良いか。
議長
議員並びに市民の皆様の声を聞きながら議論して決める方向性が出ようかと思いますし,私は議長の立場ですから,ここで私がああだこうだと言ってしまいますと,中立公正であるものだと見られない可能性がありますので,今,京都市会で具体的にそういう行為が良いかどうかということは,私自身がここでは言うのは好ましくないと思います。むしろ中立な立場でしっかりと御議論いただくのが良いのではないかと思っています。