摘録
最終更新日:平成28年11月4日
平成28年10月27日
報告案件
議長まず初めに,集中審議期間の最終日に毎回開催させていただいております記者会見を,本日開催させていただくこととなりました。お集まりいただきまして本当にありがとうございます。また,本日も曽我副議長にも御同席をいただいております。
<9月市会の審議結果>
私からのご報告は,大きく分けまして四つございます。その一点目は,昨日終了しました平成28年定例会9月市会の審議結果についてであります。
9月市会につきましては,9月21日から10月26日までの36日間の会期で開催いたしました。
お手元の9月市会審議結果総括表を御覧ください。
市長から提出されました議案は,「平成27年度京都市一般会計歳入歳出決算」など計84件ございました。
市会では,本会議で市長,副市長から提案説明を聞いた後,予算,決算特別委員会や各常任委員会において,十分な議論を行ったうえで,計84件を認定及び可決いたしました。
また,議員提案である市会議案といたしましては,意見書については8件を可決,5件を否決,決議については,1件を可決,1件を否決いたしました。
また,その他に,請願1件について審査し,不採択といたしました。併せて,議員の派遣1件を可決いたしました。
なお,9月29日,30日には16名の議員が市政一般にわたり代表質問を行いました。
今市会では,平成27年度決算の審査を中心に,京都市美術館のネーミングライツ,民泊対策,子ども若者はぐみ局の創設などをはじめ,市政全般にわたり,代表質問や決算特別委員会等をとおして,市長らと活発に議論を交わしました。今後も引き続き,委員会等をとおして,議論を深めてまいりたいと考えております。
9月市会における議案審議結果は以上でございます。
<議員研修の実施>
次に二点目でございますが,9月市会中の9月21日に行いました議員研修についてであります。
京都市会では,議会の活性化を図ること等を目的として,平成13年度から毎年,学識経験者等を講師に招き,「議員研修」を実施しております。
今年度は,小西美術工藝社代表取締役社長として,国宝や重要文化財の補修に精力的に取り組むとともに,京都国際観光大使,そして二条城特別顧問としても御活躍されているデービッド・アトキンソン氏を講師にお招きいたしました。アトキンソン氏からは,「文化首都・京都」をテーマに観光戦略の重要性をはじめ,文化財,まちなみ,職人などの「本物」を守り,維持することが大切であるとの指摘があり,京都が文化首都として発展していくために,京都市会にはそれら「本物」をしっかりと守るための役割を果たしていただきたい,とのお話がありました。
文化庁の京都移転を前に,大変示唆に富んだ御指摘をいただき,私としても,今後,京都が世界の文化首都としての誇りと自覚を持ち,本物をしっかりと見極め,守っていくための取組の必要性を改めて認識したところであります。今回の貴重なお話を踏まえ,市会において,より一層議論を深めてまいりたいと考えております。
<市会としての手話言語条例制定後の取組>
三点目でございますが,市会議員全員で共同提案のうえ全会一致で可決し,本年4月に施行した「京都市手話言語がつなぐ心豊かな共生社会を目指す条例」制定後の,京都市会としての取組についてであります。
まず,去る6月18日に,市民の皆様への手話に対する理解促進と手話の普及に取り組むため,条例制定を記念したキックオフイベントを京都市会,京都市,そして京都市聴覚障害者協会の共催により,ハートピア京都において開催いたしました。
当日は,満席の会場から時に笑い声も聞こえるなど和やかな雰囲気の中,多くの市民の皆様に楽しみながら手話に触れていただくことができ,条例制定後最初の取組として,市民の皆様に手話への理解を深めていただく良いきっかけになったと感じております。
続く8月には,聴覚障害のある少女と周囲から孤立した少年との交流などが描かれた,アニメ映画「聲の形」とタイアップして,手話言語条例のPR動画を作成しました。
動画の撮影は,門川市長と共に市会議場で行い,私と市長が手話により条例制定の趣旨などをお伝えする様子に,映画のワンシーンを上手く組み合わせることにより,「手話は言語」であることをわかりやすく,親しみやすくお伝えすることができたのではないかと考えております。
PR動画は,9月17日の映画公開以降,10月21日までMOVIX京都で放映されていたほか,今後,本市の主催する各種イベントなどでも放映される予定ですので,ぜひ御注目いただきたいと思っております。
さらに,9月28日には,市会議員全員を対象とした手話研修を市会議場で実施しました。
市会議員自らが手話に対する理解を深めるとともに,市民の皆様への手話の普及に率先して取り組むきっかけとするため,私から実施を提案し,実現したものでございます。
研修では,京都市聴覚言語障害センターから講師の方々をお招きし,「おはようございます」や「ありがとうございます」などの挨拶をはじめ,よく使う表現について,動作のポイントや意味の説明を交えて分かりやすく教えていただき,手話に対する議員自身の理解が深まったものと考えております。
また,研修後に復習できるよう,研修で学んだ手話表現や議員全員の氏名の手話表現を収録したDVDを作製し,議員全員に配布いたしました。
なお,市会事務局の職員についても同様の研修を受け,市会全体で,手話への理解促進の意識を一層高めたところでございます。
今後とも,「手話は言語」を合言葉に,京都市会としても市民の皆様の手話に対する理解促進,手話の普及に向けた取組をはじめ,障害者施策全般にわたり,ノーマライゼーションの推進が一層図られるよう,市長と連携し取り組んでまいりたいと考えております。
<海外行政調査の実施>
最後に四つ目でございますが,来週10月31日から11月8日までの9日間,「省エネルギーや再生可能エネルギーによる持続可能な地域社会の実現」を調査テーマとする海外行政調査を実施いたします。
お手元に配布しております資料を御覧ください。
今回は,2050年までに100%再生可能エネルギーによりエネルギー需要を賄うという,非常に先進的な目標を掲げておられます,デンマークで調査を行うこととしております。また,視察先につきましては,環境・エネルギー部門の専門職員を有するデンマーク大使館を通して調整を行っており,コペンハーゲン市,オーフス市,サムソ島などの関係行政機関をはじめ,エネルギー関係の団体,企業や施設を訪問いたします。
本調査につきましては,議員の発案による調査計画を,各会派の代表者と外部有識者で構成する海外行政調査審査会で十分に検討を行った結果,調査の必要性が認められ,お手元の資料のとおり,9月28日の本会議で,11名の調査団員の派遣が可決されました。
本調査の実施に当たっては,充実した内容とするため,調査団会議を複数回開催するなど,準備を進めてきたと聞いております。
調査団員におかれては,より多くの成果を持ち帰ることができるよう,京都市会の代表団として,しっかりと調査してきていただきたいと考えております。
また,帰国後には,報告会をはじめ,調査で得た知見について,議員はもとより市民の皆様とも共有させていただくとともに,京都市会として,その成果を市の政策に十分反映できるよう,取組を進めてまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
質疑応答
<発表案件に関する質疑>
記者
今後,市会としての手話の取組で具体的に決まっていることはあるか。
議長
現在,具体的なことは残念ながら決まっていませんが,京都市の方で施策の推進方針が今後策定され,それについて色々な施策が動いていくと思っております。
この施策の推進方針等については,我々も議会としてしっかりと関与しながら,また障害者の団体の皆様からも意見を聴取しながら,少しでも皆様の思いに沿った条例として動いていけるように努力をしていきたいと思っております。
また議員研修等は本来これからも続けていくべきだと思いますので,各会派の先生方ともどういう形であるかはご相談しながら,可能であればしていきたいと思っております。
記者
美術館再整備に関する決議について,市にどのように対処してもらいたいか。
議長
決議に書かれていることは様々な議論の中で,ああいう形になったと私も認識をしております。このネーミングライツについては,当初から議会の中でも様々な意見がございました。京都市の厳しい財政状況も鑑みながらどうしていくのかは,大きな課題であると思っております。その中で今回こういった決議を挙げまして,少なくとも,まず今後については,ネーミングライツについてどういう形でいくのかをしっかりと作っていかなければいけないと思っておりますし,またこの京都市美術館は本当に市民に愛されている大切な美術館であると思っております。改修後に,市民の皆様が本当に良かったとしっかり思っていただけるように,色々なことを提言していきたいと思っております。
美術館自体は大変古くなっておりまして,例えば昨年も空調設備の関係で問題があったり,本当に整備をしていかないといけないことは十分に理解しておりますが,市民の皆様から本当に良い物ができたと後々に言われるように,我々も市民の代表としてしっかりと取り組んでいこうと思っております。
記者
海外行政調査に参加しない会派があるがなぜか。
議長
調査団の決定につきましては,それぞれ希望を聴取して行っておりますので,各会派が全て行くとなっているわけではないと聞いています。
それぞれの会派の中で考え方はあるかと思いますが,我々議会としてこの調査が必要であるという判断をしたうえで,さらに昨今の状況の中,議会だけではやはり十分ではないということで,外部の学識経験者等の知見も得た中で,今本当にそういうことが必要かを審査していただき,結果を出しております。各会派のそれぞれの考え方はあるかと思いますが,議会としては調査団を派遣することで決定いたしました。
記者
参加しない会派は,その理由を議長に伝えているか。
議長
このテーマは,各会派や議員によって興味の違いはあると思います。また会派の中には,今,緊急に高水準な形で行くのがいいのかと考えておられる会派もあるようには聞いております。しかし,一方で専門の知見のある方からしっかりとこの調査が必要であるか判断をいただいておりますので,私は今京都の抱える問題として,これからのエネルギーは本当に大きな課題になると思います。実際にやはりその現場に行って,特に現場の中でお住まいの市民の皆様がどう感じておられるか,今後の市民の皆様にどう影響していくかをしっかりと調査の中で確認してきていただきたいと思っておりますし,知見を活かしながらエネルギーについて本当にしっかりと深く考えていけるように,我々議会も取り組んでいきたいと思っております。
<発表案件以外に関する質疑>
記者
全国の地方議会で政務活動費の問題が明らかになっているが,議長の所感は。
議長
各議会の中で様々なことが出ておりますけれども,それぞれ一つひとつについて私がコメントする立場ではないですが,政務活動費の原資が公金,税金ですので,大きく考えたときに,まず不適切な支出は絶対にあってはならないと思っております。各議員,各会派は政務活動費の使途について,しっかりと透明性を確保していかなければならないと思いますし,今少し話題になっているような,実際にないものを使ったりということは,本当にあってはならないことだと思っており,私も議長という立場をいただいていますので,自分自身も含め各議員各会派しっかりと精査するよう取り組んでいかなければならないと改めて感じております。
記者
先日,市会でも政務活動費の自主返還の動きがあったが,議長から議員に対し,所感や意見を伝えたのか。
議長
私から直接各議員等にお話ししたことはございません。基本的には自主返還ということですので,それぞれの先生方がそれぞれに今一度自分のものについて御確認をされて対応されていると思っております。
今回の政務活動費の返還につきましては,我々はしっかりと指針に基づいて使ってきたつもりですが,過去の分について各議員がもう一度細かく精査する中で,この部分が不十分であったのではないかとお感じになられて,より正確にするために自主的に返還されたものだと思っております。私としては,政務活動費について京都市会ではより透明度を増し,また,より正確に使うということに各議員がしっかりと取り組み,指針についても各議員がしっかりとしていただいていると思っております。
また,今年度からはインターネット公開を含め,透明性もしっかりと確保して,市民の皆様から我々がどういう活動をしているかをしっかりと説明できていると思っております。今後,様々な観点で,他の問題が出ればその分について,また議論していく必要があるかと思いますが,現在はそのように感じています。
記者
透明性の確保やチェック機能を充実させるために,市会として更に取り組むことはあるか。
議長
現時点で,私の方でそこまで考えていませんが,一方で,今各地でそういったことが言われている現状もございます。そういったことを鑑みまして,今後,さらに透明性を確保できる,あるいは市民の皆様から誤解を招かないためにどうしていくかというのは,適時考えていかなければならないことだと思っておりますので,色々な指摘の中で我々ができることをしていきたいと思いますし,過去にも例えば,市会改革推進委員会等でそういった議論をしたこともございますので,それも含めながら,今後また必要なことをしっかりと取り組んで市民の皆様に誤解を招かないように,また大切な公金である税金をしっかりと使えるように取り組んでいきたいと思っております。
記者
9月の市会だよりの中で,議員の一日の活動を紹介していたが,周囲から反響や感想などは寄せられているか。
議長
9月の市会だよりでございますが,漫画を使った形で議員の一日を紹介させていただき,色々な反響があったと思っております。
議会での審議だけではなく,市民の皆様か色々な御意見や御要望をお聞きすること,その対応,また地域での様々な会合やイベントに出席をさせていただいて,こういうことをやってきた,こういうことを今取り組んでいる,あるいは課題がある,という議員活動の情報発信,広報広聴をしていくことが大変重要なものであります。
また,それぞれの地域において,非常に多岐にわたって活動していますが,市長と違いまして議会は合議制,色々な議員の集合体であるということもありまして,議員一人ひとりがどういう活動をしているかは,非常に見えにくいものだと思っております。
そのために,市会の広報の中で,議員活動を市民にどうお伝えしていくのがいいかを考えてきておりまして,例えば昨年度からは市会だよりの発行回数を増やして,我々の活動を少しでも皆様に見ていただけるようなこともしております。
京都市でも同じようなことをおっしゃっていますが,京都市会でも,見える市会,伝わる市会をテーマに取り組んでいるところです。昨年から特集記事号をつくっていますが,昨年は京都動物愛護センターができるまでの取組を特集テーマにして,センターの完成までの議会の関わりや議論について詳しく御紹介し,今回は市会議員の日常の活動をテーマにさせていただきました。
全員が同じではありませんが,こういう活動をしているという一つの例として,市民の皆様にこれまで以上に親しみやすいように,分かりやすいように漫画を使って作りました。
結果として,これまで知らなかった議員の活動が分かったとか,漫画やイラストが多くて分かりやすかったという感想を頂いており,こういう形で市会の活動をしっかり伝えることの必要性,あるいは伝えるための手法の重要性について実感したところです。
先日,議場見学に小学生が来たときも,こういった物をお渡しさせていただいて,やはり文字だけではなくて,そういったものがあればより分かりやすくなるのではないかと思いました。
なかなか読んでもらえないこの市会だよりを,読みたくなる,またよく分かる紙面にするように,今後も事務局と共に頑張っていきたいと思っております。
記者
政務活動費のインターネット公開を始めたことで,議会事務局の仕事が過重になるのではという指摘があるが,議長として対策は考えているか。
議長
そういった懸念があったことは事実でありますし,公開までに議論がありました。
以前からも公開はしていたので,それで十分ではないかという意見もありました。結果,様々な議論の中でインターネット公開をすることとなりましたが,事務局に確認している中では,大きく作業が増えたということは聞いておりません。
現状では,公開したことによって我々の活動が少しでも見えるようになったのであれば,それはよかったことではないかと思っております。
また,今後そういったことで,事務局が機能しないほど業務が増えてしまうということであれば,当然にその対応を考えていかなければならないと思いますが,現在のところそういった状況になっていないので,調査課ともしっかりと議論していきながら進めたいと思っております。
記者
海外行政調査について,他都市で様々な議論があったが,随行人員の削減など,予算を絞る取組はされたか。
議長
基本的には,以前からルールを決めており,そのルールの中でしっかりとやるということにしており,そのルールに基づいて,派遣するということになったと考えております。随行は基本的にはそれほど多くないと思いますが,多くの議員が行くことによって,それぞれの議員が違った視点で見ることができることもあると思いますので,私としてはルールに基づく中で,いかに結果が出せるかだと思っています。
調査に行った者がどう見たか,それが最終的には市民のためになると思いますので,そういった結果になるようにしっかり取り組んでもらいたいと思っております。
海外行政調査については様々な意見があることも認識はしておりますが,先ほども申し上げましたように,必要なことにしっかりと取り組むということも,議会として重要なことだと私は思っております。そのために,議員だけではなく,様々な方の意見を聴取したうえで,今回こういう形になったと理解をしておりますので,派遣される議員には,調査に行った成果をしっかりと出していただけるように十分な検証をしていただきたいと願っております。
記者
政務活動費について,先ほど議長がおっしゃったのは,市会改革推進委員会等で議論するよう何か伝えるということか。
議長
現状ではそこまで考えているわけではないが,過去に市会改革推進委員会の中で,政務活動費のあり方については議論したこともございます。
今,大きな課題を抱えているとは考えていないのですが,しかしながら今,様々な事が全国で言われていることも鑑みた中で,また必要と感じることがあれば,そういったことも提案しなければならないと思っておりますが,現状,市会改革推進委員会にこれを投げようと考えているということではないです。