摘録


最終更新日:令和5年3月31日

令和5年3月22日

 

報告案件

<1.令和5年2月市会の議案審議結果>
議長
 本日終了しました令和5年2月市会の議案審議結果について報告いたします。
 2月市会につきましては、2月16日から3月22日までの35日間の審議期間で開催いたしました。
 今回の市会は、記者の皆様にもすでに取り上げていただいておりますが、特別の財源対策を行わない、22年ぶりの収支均衡となった令和5年度一般会計当初予算を中心に審議するものでありました。
 私個人としては、保育料の軽減、子ども医療費の拡充、全員制中学校給食実施に向けた調査といった、子育て支援や教育に関する議論が活発であったという印象を持っております。なかでも、全員制中学校給食については、早期に実施するよう求めた請願を全会一致で採択するとともに、議第1号に付した付帯決議においても、国の支援も含めたあらゆる検討を行うよう、全会一致で求めたところであります。全員制学校給食の実施は、岸田首相の掲げる次元の異なる少子化対策という時流に沿うものであり、教育委員会等においては、請願や付帯決議の趣旨が議会の総意であることを十分に踏まえ、早期実施に向けた効率的・効果的な調査を行っていただきたいと思います。

 それでは、お手元の「令和5年2月市会審議結果総括表」をご覧ください。
 市長から提出されました議案は、「令和5年度京都市一般会計予算」など、計75件ございました。
 市会では、本会議で市長、副市長から提案説明を聞いた後、予算特別委員会や常任委員会において十分な議論を行ったうえで、75件全てを原案のとおり可決しました。そのうえで、1件の議案に対し1個の付帯決議を付すことといたしました。
 また、意見書については、8件を可決し、「新型コロナウイルス感染症の後遺症の方々の日常を守る取組の強化を求める意見書」、「エネルギー・食料品をはじめとした価格高騰等への追加対策を求める意見書」及び「こども政策の強化に向けた意見書」などを国に提出することといたしました。
 その他、請願については、2件を採択といたしました。
 なお、2月27日、28日には計17名の議員が代表質疑を行ったほか、3月13日及び14日には予算特別委員会総括質疑において、38名の議員が市長らと活発に議論を交わすなど、今市会では、令和5年度当初予算の審査を中心に、議論を行ってまいりました。
 「令和5年2月市会の議案審議結果」については、以上でございます。

<2.今任期(平成31/令和元年度~令和4年度)を振り返って>
議長
 続きまして、せっかくの機会ですので、前任の山本恵一議長とともに務めさせていただいた、今任期4年間を振り返らせていただきたいと思います。
 今任期は、令和という新たな時代の幕開けとともに、京都市会誕生から130年を迎えるといった中、市民の皆様の負託を受けた、10人の新人議員を含む、67人の議員により、晴れ晴れしく活動をスタートさせました。
 しかしながら、その年の12月には、中国湖北省武漢市において、原因不明の肺炎の発生というニュースが届き、その後、瞬く間に、新型コロナウイルス感染症が全世界で猛威を振るいました。我が国においても、新型コロナウイルス感染症対策に奔走することとなり、現在においても、それらの対策は続いております。
 本市会においても、幾度となく、市長に対策強化の申入れを行うとともに、市民を代表し、国に意見書を提出してきました。新たに創設された、新型コロナウイルス感染症対策支援「支え合い基金」に対しても、議員報酬削減分を積み立て、市民・事業者へ寄り添った事業に活用するなど、新型コロナウイルス感染症から市民の皆様を守るべく、議会としての役割を果たしてきたと考えております。
 さらに、現在においては、新型コロナウイルス感染症に加え、ロシアによるウクライナ侵攻による原油価格の上昇などによる物価高騰の影響で、市民・事業者の皆様には、様々な対策が必要となっており、それらの対策に必要な補正予算についても、その都度、迅速かつ的確に対応し、必要に応じて特別市会を開催するなど、議会の機能を十分に発揮してきたと思っております。
 令和2年度には、本市の中期財政見通しにおいて、今後、公債償還基金が枯渇し、財政再生団体に転落する可能性が示され、市民の皆様に、大きくご不安が広がり、テレビや新聞報道などにおいても、これまでの市の施策に対するご意見やご指摘などを目にする機会が増えました。我々議会に対しても、「予算を通し、決算を認めてきた責任がある」とのご指摘を賜り、真摯に受け止めさせていただいたところでございます。
 その後、令和3年8月に、計画期間を令和7年度までとする、行財政改革計画が策定され、今回の市会で、改革の継続を担保する条例を可決させていただきました。
 行財政改革の推進には、市民の皆様のご理解とご協力が不可欠であります。二元代表制の一翼を担う議会としては、市に対して、市民の皆様に対する丁寧な説明、正しく伝わる情報発信を求めるとともに、先のご指摘も踏まえ、引き続き、行財政改革計画の進捗について、徹底して監視機能を果たしてまいりたいと思います。
 また、議会の運営等につきましては、令和3年11月市会に、時間外勤務縮減と審議充実の観点から、予算・決算特別委員会における質疑時間の見直しや、常任委員会における一般質問の事前通告制などの「職員の働き方改革の視点を踏まえた議会審議の見直し」を行ったほか、令和4年2月には、「政務活動費」のより一層の透明性確保に向け、生計同一の者に対する人件費には政務活動費を充てることを認めないとする「政務活動費の見直し」を行うなど、議会としての改革も進めてまいりました。
 一方で、私が議長に就任した際は、まさにコロナ禍の真っただ中であり、ほとんどの公務において、実施を見送る、または、オンラインによる実施などといった状況でありました。今年度に入り、ようやく徐々に対面での公務や全国市議会議長会等の会議の開催が増え、人と直接お会いすることや、お互いの顔を見て、意見を交換することの重要性を、再認識いたしました。
 昨年11月に参加させていただいた、第18回世界歴史都市会議及び安東市議会との意見交換においても、国境を越えて、他国の方々と直接交流することで、お互いに理解と尊敬が生まれるといった経験をすることができ、大変有意義であったと考えております。
 次の任期においても、二元代表制の下、しっかりとチェック機能を果たしていくとともに、京都の持続可能な発展に資するような、活発な議論が尽くされることを期待するとともに、私としては、コロナ禍や国際交流の中で得た経験を活かすべく、ここに帰ってまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 引き続きまして、副議長からもお話しさせていただきます。

副議長
 副議長に就任して、約2年が経ちました。この間、田中議長にけん引いただきながら、無事に公務をこなせてきたと感じております。
 今任期は、市会及び市会議員にとって、環境の変化が大変激しい4年でありました。
 中でも、議会棟について、任期の始めは、本庁舎にありましたが、改修工事に合わせて、令和元年8月に、議場は分庁舎に、会議室と議員控室は北庁舎に、一時的に移転しました。その後、令和3年8月に改修工事が終わり、議場と議員控室は本庁舎に戻りましたが、会議室については、再び、西庁舎に一時移転し、現在、北庁舎の完成を待っている状況にあります。我々今任期の議員は、旧議場、仮議場、新議場と3つの議場で審議を行うという、貴重な経験をしております。次の任期中の令和7年度には、会議室が北庁舎に移り、本庁舎と北庁舎で、議会棟が一体となります。今まで以上に議会活動が活性化し、市民にとってより身近な議会とできるよう願っております。
 また、3年を超えて続いてきたコロナ禍は、女性の貧困などのジェンダー格差を浮き彫りにしました。性別に関わらず平等に責任や権利を分かち合い、物事を一緒に決めるジェンダー平等を進めるためにも、女性や若者の意見を取り入れることが大事だと思っております。女性も含め、多くの若者が京都市政に興味を持ち、議員になってみようと思うきっかけになれば、いいなと思っております。
 コロナ禍は、我々議会にも影響を与え、設備面ではアクリル板の設置、マイクの消毒、定期的な換気など、様々な感染症対策が講じられました。さらに、委員会において、従来は、自席で質問などを行っていましたが、質問者席に移る方式をとらざるを得ませんでした。ただ、市民の方からも、「いままでよりも、誰が質問しているのかが分かりやすい」と好評をいただき、怪我の功名であったのではと感じております。
 新型コロナウイルス感染症の流行が始まって以降、観光需要が落ち込み、それに伴い、経済が打撃を受けました。同時に、ロシアによるウクライナ軍事侵攻により、ガソリン価格の上昇、電気やガスといった光熱費を含めた物価の高騰と、今もこの時も、市民の皆様は大変耐えておられると思っております。
 50年後、100年後も京都が京都であり続けるため、二元代表制の一翼を担う京都市会として、引き続き、これからの京都市の在り方や市民生活に寄り添った議論をしっかり積み重ねて行くことが重要であると思っております。

質疑応答

記者
 今期、22年ぶりの収支均衡の予算編成となったことへの受け止めについて、お願いします。

議長
 久々の収支均衡ということで、良い方向に進んでいますが、これは行財政改革の中で、施策・事業の見直しを進めてきており、これは市民の皆様のご理解とご協力があってこそですので、まずそれが一点、非常に大きかったと思いますし、市税収入が想定よりも落ち込まなかったということも、大きな点であったと思います。そして、私ども自民党と公明党で、非常に粘り強くお願いをしてきた地方交付税の増加も何とか進んだという、この3点が非常に大きかったのではないかと思います。
 また、市役所においては、人員の削減等も進み、いろんな要素が重なり、収支均衡になってきたという感想です。
 
記者
 行財政改革に関連して、集中改革期間が令和5年度までで、計画自体が令和7年度までですが、そんな中議員が海外に行って調査研究をされる海外行政調査の予算が、今期このタイミングで復活という形になりました。このタイミングでの復活について、議長としての受け止めや考えがありましたら、教えてください。

議長
 昨年度はコロナ禍の真っただ中ということで、予算が計上されなかったという経緯がありますし、そのコロナ禍も収束に向かいつつあるということで、改めて海外行政調査の予算が計上され、この予算は、来期の改選後の議員で、行くか行かないかを決めることですので、まだ実際にこの予算を執行するということではないという理解です。
 私も過去に2回、再生可能エネルギーについて、海外行政調査に行かせていただきました。以前の市会改革委員会での議論において、専門家による審査があり、議会の議決を経て調査に行き、そして帰国後、報告書の提出というところまで、しっかりやっていこうと進められてきたので、私も非常に有意義な視察であったと自負しています。
 その中で、来年度についてはどうかということですが、まだするかしないかも決まっていませんし、来期の新しい議員の中で、それは当然話されるものだと思います。前回の調査でも報道の方にも一緒に行っていただいて、リアルタイムで日本の方とやりとりをしていただくなど、そういう面においても、しっかりとした調査が進んでいると思っていますので、その点、来期はまだどうなるかわかりませんが、審査を経て、行くこととなりましたら、行かれた議員が、また京都市の今後の市政の推進に役立つ報告をしていただけるものと確信しております。

記者
 4月に統一地方選挙があり、4年前とは勢力図等も変わっていると思いますが、その結果次第で会派構成も大きく変わるのではないかと思います。その点、どのように盛り上がって欲しいのか、統一地方選挙に向けて、お聞きします。

議長
 選挙は市民の皆様からの投票で変わってきますので、我々は副議長共々、挑戦させていただく立場ですので、これまでやってきた実績も含めて、今後の京都市政に対する提言もしながら、選挙戦を乗り切っていきたいと思っています。特に4月の選挙結果が来年の市長選挙に大きく影響すると思いますので、引き続き、私たちがイニシアチブを取っていくためにも、この選挙が非常に大事な選挙だと思っております。

副議長
 京都市は世界の人から憧れられ、注目されているというプライドもあったのですが、そういうものにしがみつくのではなく、新しいものをどんどん取り入れ、そういった旧弊やこだわりを捨てるぐらいの思い切った刷新が大事だと思います。
 現在、市政に責任を持っている一人一人の議員自らに、そのくらいの決意が必要だと思いますので、今まで通りの勢力図とは違い、お互いがそれぞれ主張しながら、切磋琢磨していくような議会運営が大事なので、対決型というよりお互いが成長し合っていき、様々な議論を市民のために行い、未来を見つめていく。未来性のある議論が進んでいくよう、そういった方が当選し、その思いをみんなで話し合えるようになければならないと思います。現時点で、対決の姿勢というのはあまり考えていないところです。そのように、自分はベテランの1人として、1期生ぐらいの思いで頑張っていきたいと思っています。
 議長が今おっしゃったように、市長選挙に非常に大きな影響があるわけですが、そのときに市民の皆様が、対立構造の中で、旧態依然としたことを考えている議員が多いと思われるのは望ましくないと思います。京都市の未来にとっても、また、これから京都市で活動される若い世代や学生、若者のために、良い意味で若々しい、そういった選挙を戦っていく決意をしているところです。

記者
 今回コロナを経験した期間だったということが大きいと思うのですが、一般企業や学校もコロナ前の状況に戻ってきて、リモート勤務等もなくなってきており、コロナで良い変化があった一方で、そのまま元に戻るという雰囲気も少しあるのですが、市議会ではリモート等はなかったとは思いますが、コロナ禍を経験したことで、今後も残した方が良いと思われることがあれば教えてください。

議長
 この3年間で一番変わったのが、コロナ禍での我々の生活だったと思います。その中で、私は本会議は対面でするのが良いと思っていますが、委員会等で様々な状況になったときに、オンラインでも審議ができるような体制を検討してきました。そういうところを残していくことによって、女性や若い方の議会への進出なども図られていくのではと思います。新しい議員で話し合い、より皆様に目を向けていただける議会にしていくのには有効だと思っています。

副議長
 社会的孤立ということが今回のコロナ禍で浮き彫りになり、コロナ禍で、それまで潜在化してきた高齢者の孤立問題や、若い母親をはじめとするシングルマザーの方など子育て世代の孤立問題、閉塞感の問題が重要な問題だと、多くの人々が認識し、何とかしなければならないと思いつつあると思います。コロナが収束した後も、孤立される方々がないように、地域コミュニティや世代を超えた人と人とのつながりの大切さをみんなで共有し、新たなものを作り上げていこうという機運ができてきている気がします。ただ、そういう機運を議員として大事にしていくような政策の推進や提言が必要になります。それぞれの議員が切磋琢磨し、踏み込んでより深めた議論ができる議会にしていき、環境整備とプラスアルファでより市民に寄り添い、広い視野で議論し、一人一人が成長しようと思うような議会になれば、市民の皆様にとってもプラスになりますし、京都の未来にとっても重要なことだと思います。そういうきっかけとなる今回のコロナ禍を経て、何とかみんなで力を合わせて知恵を出し、経験を生かしていくことが大事ではないかと思っています。

記者
 2月市会での予算は、今後の京都市にとって重要な議案だと思います。一定数反対の声もあり、賛否分かれた部分もあったと思いますが、そのあたりはどうお考えですか。

議長
 概ね今議会で一番議論が活発だったのは、子ども医療費の拡充や学校給食の問題など、日本全体の問題として一番の喫緊の課題である少子化対策、子育て支援の政策であったと思いますので、その部分においては、同じ方向を向いて、賛否をされていたと思います。
 また、一番の課題である京都市からの人口流出について、私は西京区ですが、西京区から向日市や長岡京市、亀岡市などに、特に30代40代の働き盛りの方が移っている現状についても、柔軟な都市計画の見直しで、若い人たちにも京都市内で住宅が購入ができ、そして教育環境と雇用の創出により働く場を確保することによって、京都市内に住んでいただこうという取組を進めることに賛否はありましたが、私は非常に重要なことだと思いますので、それぞれの多数の会派が、この部分に賛成したのではないかと思っております。

記者
 議長も副議長も、今の職を務められて2年ぐらいになると思いますが、この2年で、議会としての課題や今後必要な議会改革など、思うところがあれば教えてください。

議長
 なかなか市民の皆様にとって、議員は何をしているのか、取っつきにくいところがあると思いますので、「見える市会」、「伝わる市会」ということで、津田議長、寺田議長、そして山本恵一議長からも、ずっとつないできたことだと思いますので、その部分において、これから先も、まず議会がどのような形で活動しているのかをしっかり皆様にお伝えしていかなければならないと思いますし、そういう活動が見えたその先に、議員のなり手不足なども解消されていくのではないかと思います。そして、女性も含め、誰でも議員のなり手として手を挙げやすいような状況を、今いる議員がしっかり作っていかなければいけないという思いでこの2年間務めてまいりました。
 副議長と一緒に2年間務めさせていただいたのですが、全力でやってきたという思いもありますが、皆様に対して、言葉足らずの点もあったかとの反省も含めて、まだ4月29日の任期いっぱいまで全力で務めますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

副議長
 コロナ禍というのは、重大な問題で世界的なパンデミックですので、局地的ではなく、時代が変わるぐらいの大きな転換期ですし、また経済が打撃を受けているということで、世代を超えて多くの市民の皆様が、政治はとても大事で、自分たちの生活にとっても、暮らす社会の未来にとっても、大きな意味があるということを実感されてる方が増えていると感じています。しかし同時に、政治は汚いなど、議員に対する先入観のような、こびりついているものがまだまだ多いのではないかというのがあります。
 投票率は、国政選挙よりも地方選挙の方が残念ながら低い実態があります。また、今議長も触れられたように、議員になりたいと思う意欲を持つ方がなかなかおらず、都市も地方も共通課題としてなり手不足があり、それは若い世代の方の議員に対する悪いイメージが非常に強いという部分もあるので、それを懸念し、問題意識を持っています。
 議員に対してこびりついてる部分を、我々の日々の活動によって、払拭していきたいですし、そういうこびりついている部分を少しずつ削ぎ落して、見ていただいて、こういうのがあるんだなと発見をしていただけるような活動につなげていきたいと思います。こういうことを、2年間活動させていただいて、議会を代表する立場で、日々の中で実感しているところです。