摘録


最終更新日:令和3年4月2日

令和3年3月26日

 

報告案件

 <令和3年2月市会の議案審議結果>
 冒頭に,新型コロナウイルス感染症に罹患され,誠に残念ながらお亡くなりになられた方に対して,謹んで哀悼の意を表するとともに,現在も闘病を余儀なくされておられる皆様の一日も早い御快復を心よりお祈り申し上げます。
 また,昼夜を分かたず,医療や福祉の最前線で奮闘されている皆様に心より感謝申し上げます。

 続いて,本日終了しました令和3年2月市会の議案審議結果について御報告いたします。
2月市会につきましては,2月17日から3月26日までの38日間の審議期間で開催し,2月24日,25日には計16名の議員が代表質疑を行いました。
 お手元の2月市会議案審議結果総括表を御覧ください。
 市長から提出されました議案は,「令和3年度京都市一般会計予算」など,計95件ございました。
 今市会では,本会議で市長,副市長から提案説明を聞いた後,常任委員会や予算特別委員会,基本計画審査特別委員会において十分な議論を行ったうえで,全95件を可決又は同意いたしました。
 このうち,京都市基本計画の策定に係る議案については,一部修正のうえ可決としています。
また,「新型コロナウイルスワクチン接種」及び「子育て世帯生活支援特別給付金」の感染症対策関連議案については,迅速な対応が必要であることから即決といたしました。 予算特別委員会においては,令和3年度京都市一般会計予算に関する内容を中心に,3月17日,18日に市長等と一問一答方式で議論する総括質疑を行っております。
 また,10年ぶりに設置した基本計画審査特別委員会では,21世紀の京都のまちづくりの方針を理念的に示す長期構想である「京都市基本構想」を具現化する「京都市基本計画の策定」についての議案を審議し,3月3日に総括質疑を行っております。
 全95件を可決したうえで,新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算等5件の議案に対し,5個の付帯決議を付すことといたしました。
 議員提出議案といたしましては,「京都市会議員の議員報酬及び期末手当の額の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定」について,全会一致で可決しました。令和3年6月及び12月に支給する期末手当について,それぞれ7.5%削減することとしたものです。これにより,議員報酬の10%削減と合わせて,総額1億円を捻出するものです。
 その他,意見書・決議について,4件を可決,1件を否決いたしました。
 請願におきましては,2件を不採択といたしました。

 「令和3年2月市会の議案審議結果」については,以上でございます。

質疑応答


<発表案件に関する質疑>


記者
 2月市会,基本的には来年度予算が主な内容であったと思いますが,議論の振り返り等をお願いします。

議長
 今回の予算案は,「コロナ禍」と「財政危機」の2つの危機に対応するためのものでありました。
 事業の見直しや人件費削減等により215億円を捻出したものの,公債償還基金から181億円を取り崩す危機的な財政状況です。
 しかしながら,感染症対策予算の増加や生活保護受給世帯の増加,社会福祉・保健衛生に関する経費の増加等,大きく膨らんだ予算もまた,真に必要なものでありました。
 そこで,今回の予算案に対しては,付帯決議を付し,全職員が本市の厳しい財政状況を把握すること,市民の皆様に真摯に分かりやすく説明すること,国に対して要望する内容を十分に考えること,215億円の財源については,行財政改革になじまないものがあることが分かったため,その内容を今一度きちんと精査することといったことについて強く求めました。
 市長としても,付帯決議の内容をしっかり受け止めて,事業実施に当たっていただきたいと思います。
 また,市長は,「今回の予算案は,危機感を持って取り組む大きな行財政改革の第1弾である。」としています。
 このたび,持続可能な行財政審議会から答申が示され,今後,市民の皆様からの意見を集め,各事業や令和4年度予算に反映されるとのことです。
 市会としても引き続き,委員会等において議論を行い,行財政改革を監視していくとともに,二元代表制の一翼として,市長と共に,安心・安全で魅力あふれる京都を将来にわたって継承・発展させたいと思っています。

記者
 改革案が新年度の早期に示されるとのことですが,具体的な時期は示されていません。議会としてはどのよう受け止められ,提出された場合はどのように向き合っていくのでしょうか。

議長
 今回策定された基本計画は,基本構想の総仕上げと位置付けられ,向こう5年間を計画期間とするものですが,その成否を握るのは,やはり財政の再建であります。
 先日3月23日,「行財政審議会」から答申が提出されており,今後,歳入・歳出の両面から行財政改革を加速させ,持続可能な行財政の確立を実現していくほかありません。
 10年前にも財政問題を抱えていたが,今回は,人口減少等の社会的課題や,コロナ禍が大きな影響を及ぼしています。
 市長はもちろん議会としても覚悟を持って取り組んでいかなければならないと考えております。

記者
 新年度の予算では,昨年度に続いて議員提案条例で議員報酬の削減に係る議案が可決された。市長側も行財政改革の第一弾に着手されるとのことだが,議会としても議員報酬の削減以外にも歳出の抑制に取り組む必要性があるか,議長の見解を伺えますか。

議長
 平成23年度から,議員報酬10%の削減を継続してきており,削減によって生じた財源を,市政の発展のために活用してきました。
 今年度は,新型コロナウイルス感染症の拡大により,緊急事態宣言が発出されるなど,深刻な状況となっており,市会としても,今できうる最大限の取組として,議員報酬の10%削減に加えて,期末手当の削減を決定しました。
 今後についても,様々な社会情勢の変化を考慮しながら,議員間で十分に議論してまいります。

記者
 選択的夫婦別氏(別姓)制度に関し,2つの意見書が可決されました。国会でも議論が活発化している中,地方議会で意見書を可決し,国に提出する意義をどのようにお考えですか。

議長
 選択的夫婦別氏(別姓)について,地方議会において制度の法制化や国会での議論を求める意見書が可決・提出されている状況があります。
 女性の社会進出など,社会の変化とともに国民意識の変化がその背景にあると思われるが,家族に対する考え方については,伝統的な家族観を重んじる考え方,多様な価値観を認めて選択肢をつくることが重要とする考え方など,様々であると思います。
 本市会においても,各会派において様々な意見がある中で,2つの意見書を提出することとしました。
 一つは,国において広く国民の意見を聞くとともに,国会における国民的議論を行うことを,
 一つは,法制化に向けた議論の促進を図るとともに,関連法令の審査を積極的に進めることを求めるものです。

<発表案件以外に関する質疑>

記者
 議員の介護や出産等の課題への対応が進む中で,京都市の現状と今後の方向性をお聞かせください。

議長
 会議規則を整備することによって,女性議員が安心して出産にのぞめる環境を整え,政治の場に女性を増やすことにつなげていくとの議論があります。
 本市会の会議規則については,標準会議規則の改正に先立ち,平成16年2月市会の改正で,「出産」を欠席理由として明記しており,現在,欠席理由としては「病気,出産その他の事由」となっています。
 産前6週産後8週の期間や,その他の欠席理由を明記しなくても,状況に応じた柔軟な対応が可能であると認識しています。
 また,実際に欠席する理由や期間については,個々の議員が判断し,議長に届け出る運用としています。
 会議規則の改正については,その必要性も含めて,会派間で協議してまいります。

記者
 市立芸術大学の移転に係る議案に,日本維新の会と京都党から取り下げを求める申入れが市長に出されました。異例の申し入れかと思いますが,議長としてはどのようにお考えですか。

議長
 コロナ禍や財政危機のなか,京都市は厳しい行財政改革を進めており,芸大移転は一旦立ち止まった方がよいのではないか,という意見があったことは承知しています。
 そのため,付帯決議を付したように,京都市は,予定どおり工事計画を進めると決めた理由などについて市民に理解・納得の得られる説明を,分かりやすく丁寧に行うよう求めたところです。
 市会としては,委員会等において,芸大移転に係る一連の支出が,これから推進する行財政改革と両立を図ったうえで行われているかどうかを,今後も厳しく審議していきます。
 私としては,移転のメリットを分かりやすく発信するなどにより,多くの方々に「移転してよかった」と感じてもらえることが大事であると考えています。

記者
 収入に見合わない支出をしてきたことが,今回の財政危機の一因であるとの議論がありました。これまでの支出が本当に良かったのか振り返る中で,議員の皆さんも特に与党会派の方は歳出を認めてきた立場でもあり,悩まれることも多かったのではないかと思います。この間の議論を振り返って議長としてはどのように感じておられますか。
 
議長
 今回の予算案は,危機的な財政状況を踏まえ,これまで独自施策として継続してきた事業を含めて広く見直し,一定の歳出の削減が行われたものとなっています。
 安心安全で魅力あふれる京都を将来にわたって継承・発展させるために,今,改革の断行が必要であるということです。
 これにより,市民生活に広く影響を及ぼすこととなるため,市民と議会の理解をなくしては実現できません。
 そのため,市会としては,本会議や委員会で議論があったとおり,市民と議会に対して財政状況や事業を休廃止する理由を丁寧に説明して理解を求めることや,各事業コストの見える化の取組の徹底を求めていきます。
 今後常任委員会等で議論を深めてまいります。

記者
 市に対して見える化やこれまでの検証を求めることも議会の重要な役割ですが,これまでの議会の取組を議会として振り返る必要があるのではないでしょうか。

議長
 今後会派間で協議していくことになると思います。

記者
 
 市会の働き方改革について,市会でも深夜まで長時間の議論がなされています。予算について徹底的に議論されるのは非常に良いことだと思う反面,職員の長時間勤務も問題となります。今後,例えば内容を分割して翌日に延ばすなど,何か対策をとっていく考えはありますか。
 
議長
 本市においては,これまでから,質問取りの手法については,対面形式に限らず,電話等の状況に応じた手法が行われてきました。
 また,平成29年9月市会からは,予算・決算特別委員会における審議について,働き方改革の観点から見直しを行っています。
 職員の時間外勤務を前提としていた局別質疑の審議終了時刻を午後5時半までと改め,加えて,局別質疑から総括質疑までの日程を延長し余裕のあるものとしています。
 京都市会においても,活発な議論や審議の充実を担保しつつ,議会による職員の働き方改革に寄与する取組を進めていきます。

記者
 議員報酬の削減以外にも財源の捻出抑制に取り組む必要性があると思いますが,副議長の見解を伺えますか。

副議長
 先ほど議長からもお話がありましたが,現時点では会派間の合意が取組の前提となります。様々な考えがあると思うので,今後課題として挙がってくれば,議論を進めることになるかと思います。現時点の考えは,先ほど議長からお伝えしたとおりです。

<1年の振返り>
 
 議長

 本日は2月市会の最終日であるとともに,今年度の会期末でもあります。この1年を振り返り,最後に,私と青野副議長から,それぞれ一言申し添えさせていただきます。
 この1年は,まさに「コロナに始まりコロナで終わる」1年でありました。
 中国における新型コロナウイルス感染の拡大が初めて報道された際には,ここまでの世界的な非常事態に発展するとは,誰も想像できませんでしたが,その後,国内外の人の移動は制約を受け,地域経済は極めて深刻な危機に直面しております。
 現在も続くコロナ禍において,私から市長に対しては,市民の命と健康,安心・安全を守るため,迅速かつ適切に対応するよう,緊急の申入れを3度行っております。
 また,京都市会としましては,大きな影響を受けている市民・事業者の支援につなげるため,通年議会を採用していることを生かし,4月開会市会や7月特別市会をはじめ,都度,会議日程を追加しながら,感染症対策や京都経済の下支えに係る補正予算等の審議に迅速・的確に対応してきました。
 今年度9月市会の決算認定では,令和3年度収支において巨額の財源不足が見込まれることが明らかになり,財政再建に向けた事業見直しを,市会と市民の理解を得ながら進めていくこととなったほか,大型汎用コンピュータのオープン化事業が一部中断されるなど,市の運営面で大きな課題が明らかとなりました。
 そして,まさにこの2月市会においては,新型コロナウイルス感染症の影響を受ける市民生活と京都経済の下支えについて,また,長年にわたる収支の不均衡による財政の危機について,厳しい議論を重ね,まずは,直面している公債償還基金の枯渇による財政再生団体への転落を回避するため,令和3年度当初予算を審議してまいりました。
 その中で,市長をはじめ職員等の給与の減額が決定され,我々議員としても,今年度に引き続き,令和3年度も,議員報酬及び期末手当の削減により総額1億円を捻出して,新型コロナウイルス感染症対策支援として活用することといたしました。
 このほか,市税条例の一部改正による個人市民税の減免措置の廃止について,33年ぶりの継続審議としたうえで,付帯決議を付して可決するなど,市民生活への影響が想定される重要な議案の審議を行ってきました。
 この1年は,昨年度に続き,青野副議長に支えていただきながら,議長として精一杯取り組んできたと思っておりますが,巨額の財源不足と新型コロナウイルス感染症拡大という大きな危機に直面し,市民の皆様の不安とともにあった1年でありました。
 京都市会としましては,市民の代表,二元代表制の一翼として,市長とともに今後更に厳しくなるであろう市政運営に全力で取り組み,乗り越えていかなければならない。決意を新たにしている所存であります。

 私からは以上です。
 続きまして,青野副議長からも一言申し添えます。

副議長
 私といたしましても,昨年度同様,山本議長に先導していただきながら,多くの方のご協力を頂きながら公務を果たせてきた1年であると感じております。
 この1年を振り返ると,新型コロナウイルス感染症一色でして,市民のいのちと暮らしを守るために,市長以下職員の皆さんが一丸となって取り組まれたと認識しています。市会としても様々な感染対策を講じながら,10度に及ぶ補正予算や緊急事案等に柔軟に対応し,しっかりと議論を重ねたうえで後押しするなど,今までにない形で議会運営ができたと思います。
 また,市民の皆様に市会の活動を知っていただく「見える市会,伝わる市会」の取組については,KBS京都による本会議中継の際に,市長等と一問一答方式で丁々発止,真剣勝負で議論を行っている予算・決算特別委員会総括質疑について,その録画映像をダイジェストで放送していることに加え,令和2年度からは,各議員の質疑概要をまとめた折込チラシを作成し,各新聞への折込みを年2回にわたり実施しているところです。
 引き続き,開かれた市会の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。
 この1年は,昨年度に比べると,コロナ禍により副議長として式典等へ出席する機会が減りましたが,そのような中でも開かれた会合等で,市民の皆様の地域での取組,先人の様々なご苦労を実感し,コロナ禍においても地域力,市民力に感銘を受けております。
 今後も,市民生活に寄り添いながら,京都市の発展に向けて,二元代表制の一翼を担う京都市会の役割をしっかり果たしてまいりたいと思っております。
 今年の夏頃には,本庁舎議場の改修が終わり,歴史と伝統ある議場が,改めて議論の場となります。
 市民の皆様の声を,市政にしっかり届ける議論を行ってまいりたいと思います。

 私からは以上です。