摘録
最終更新日:令和2年11月2日
令和2年10月27日
報告案件
<9月市会の議案審議結果>冒頭に,新型コロナウイルス感染症に罹患され,誠に残念ながらお亡くなりになられた方に対して,謹んで哀悼の意を表するとともに,現在も闘病を余儀なくされておられる皆様の一日も早い御快復を心よりお祈り申し上げます。
また,昼夜を分かたず,医療や福祉の最前線で奮闘されている皆様に心より感謝申し上げます。
そして,議会交流協定を締結した台湾の台南市をはじめ多くの方々から,マスク,防護服,医療用ゴーグル等の様々な物資の御寄付を京都市に頂いております。加えまして,この間に創設された「京都市新型コロナウイルス感染症対策支援 支え合い基金」にも多くの支援をいただいていると聞き及んでおります。京都市をお支えいただたいている皆様に,この場をお借りし,深く感謝申し上げます。
続いて,本日終了しました令和2年9月市会の議案審議結果について御報告いたします。
9月市会につきましては,9月23日から10月27日までの35日間の審議期間で開催しました。
お手元の9月市会審議結果総括表を御覧ください。
市長から提出されました議案は,「令和元年度京都市一般会計歳入歳出決算」など,計73件ございました。 市会では,本会議で市長,副市長から提案説明を聞いた後,予算,決算特別委員会や常任委員会において十分な議論を行ったうえで,2件の議案については撤回を承認し,70件を原案のとおり可決,認定し,1件については審査を継続することといたしました。
そのうえで,14件の議案に対し付帯決議を付すとともに,1件の議案に対し意見を付すことといたしました。
審査を継続することとした,「京都市市税条例の一部を改正する条例の制定について」は,各会派から議案の重要性に鑑み,引き続き委員会において審査を行うこととする旨が示されたものでございます。
また,議員提出議案である市会議案といたしましては,意見書について,9件を可決,1件を否決いたしました。
その他,請願165件について審査し,165件を不採択といたしました。
9月30日,10月1日には計16名の議員が市政一般について代表質問を行ったほか,10月16日及び19日には決算特別委員会総括質疑において,41名の議員が市長らと活発に議論を交わすなど,今市会では,令和元年度決算の審査を中心に,市政全般にわたり,議論を行ってまいりました。
これらの議論は,インターネットで視聴いただけますので,是非,多くの市民の皆様に御覧いただきたいと思います。
<令和2年度京都市会議員研修>
次に,令和2年度京都市会議員研修についてであります。
京都市会では,議会の活性化を図ること等を目的として,平成13年度から毎年,学識経験者等を講師にお招きし,「議員研修」を実施しております。
これまでは,議員が議場に一堂に会し,実施してきましたが,今年度については,ウイズコロナ社会に即した新たな取組として,Youtubeによる動画配信を視聴するかたちとし,テーマについても「ウイズコロナ社会における新型ウイルスとの向き合い方」といたしました。
講師につきましては,東京大学 医科学研究所 公共政策研究分野 教授であり,新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員でもある武藤 香織(むとう かおり)氏にお話いただきます。
感染拡大防止に向けての対策が進む中,感染者や医療従事者等に対する差別やバッシングが発生するなどの倫理的な問題が起こっており,武藤氏からは,今後のウイズコロナと呼ばれる社会において,新型ウイルスとどのように向き合っていくべきかを学ばせていただきます。
この研修動画については,京都市会ホームページにリンクを貼り,11月25日から12月10日まで公開いたしますので,インターネットを活用できる環境にあれば,期間内に,どなたでも,いつでもご視聴になることができます。市民の皆様にも是非ご覧いただき,新型ウイルスとの向き合い方について知っていただきたいと思います。
<市内全域への新聞折込みチラシによる広告>
続いて,新聞折込みチラシによる広告についてであります。
市長等と一問一答方式で侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を行っている総括質疑について,市民の皆様に,より広く知っていただけるよう,京都市域に配布している新聞の朝刊各紙において,質疑の概要をお伝えするチラシを折り込みます。
11月8日の日曜日に配布するこのチラシには,二次元コードを掲載しており,お手持ちのスマートフォンで読み込むことで,議員が質疑を行う様子の動画を簡単に視聴することができます。
市民の皆様のお住まいの区の議員をはじめ,各議員がどのような質疑をしているのか,実際の議論の様子をぜひ一度見ていただきたいと思います。
発表案件については,以上でございます。
質疑応答
<発表案件に関する質疑>
記者
9月市会を振り返ると,近年にはない注目度の高い議案や議論が多かったと思うが,議長としてはどのように総括されますか。
議長
今回の9月市会は,様々な課題が明らかとなった市会でありました。
令和3年度予算の収支見通しにおける財源500億円の不足,大型汎用コンピュータオープン化事業の中断,市バス・地下鉄事業の赤字経営,個人市民税の減免廃止など,市民の皆様としても,我々としても慎重な議論を必要とするものばかりでありました。
さらに,これらの課題は,コロナ禍における京都経済の回復と市民生活の下支えとなる施策とともに進めていかなければなりません。
いずれの課題にせよ,今市会で直ちに結論が出るものではなく,継続して議論が必要なものであり,京都市会としましても,今市会の議論を十分に踏まえ,徹底的に取り組んでまいります。
記者
今の発言にあったように,500億円の財源不足,大型汎用コンピュータのオープン化事業,個人市民税減免措置の廃止の3点が特に大きな議題であり,議長から今後についての発言もありました。具体的に市会として今後どのように対応されるのか,現時点で何かお考えがあればお聞かせください。
議長
本市の極めて厳しい財政状況について,今市会において様々な議論がなされました。
私としては,このままでは財政再生団体になりかねないのではないかという危機感を持っており,これまでと同じ行財政改革では立ちいかないことは明らかだと感じております。
市長におかれては,この極めて厳しい財政状況について,市民の皆様に丁寧に伝え,共有していただき,国や京都府と一層の連携に取り組む中で,今後の本市の持続可能な財政の実現,市民生活の豊かさの実現に向けて取り組んでいただきたいと思っております。
京都市会としましても,この度の決算に係る議論を十分に踏まえ,今後の議論,特に令和3年度予算編成に係る議論に徹底的に取り組み,議会としての責任を果たしてまいります。
記者
先ほどの質問に対する議長の回答の中で,市長から市民に対して丁寧に説明を求めたいとの発言があったが,9月議会における大型汎用コンピュータオープン化事業の中断や市民税の減免措置の廃止に係る条例の提案など,議会への説明が不足していたのではないかと思う点が見られる。市長側から議会への説明の程度について,現状どのようにお考えなのか聞かせてほしい。
議長
我々も委員会や総括質疑で様々な議論をしており,市長においても,市民の理解や協力を得ながら説明責任を果たしていただきたい。議会としても,市民の皆さんの協力や理解を得られるよう進めていかなければならないと考えている。議会に対しても前もって説明をいただき,京都市民のためにこの難局を乗り越えていきたいと考えている。
記者
議長,副議長にお伺いしたい。
市税条例の一部改正案について,4定例会の時代以来33年ぶりの継続審査となった。理事者側の説明がどうであったかという点もあるが,二元代表制の中で議会がチェック機能を有効に果たせた,他都市でもあまり例のないことだと思う。この事例について,議長,副議長としてはどのようにお考えか。
議長
総務消防委員会における審査では,個人市民税の減免措置の廃止について,福祉施策への影響や経過措置の在り方,市民への周知などに関する課題について質疑がありました。
現状,コロナ禍における市民の皆様への影響を踏まえ,各会派においては,さらなる審査が必要であるとして,今後,継続して議論を行うこととなりました。
9月市会の審議期間は今日で終えますが,私としましては,市民の皆様に影響の大きい議案であることに鑑み,さらなる議論を重ねたいと思っております。
副議長
議長からも発言があったが,この案件は市民への影響が極めて大きい。そのことを考えた時に,もう少ししっかりと議論を深め,市民の皆様にも理解いただけるような環境を作っていく必要がある。全会一致で継続審査の結論となり,二元代表制の一翼を担う議会としての役割を果たせたのではないかと考えている。
記者
今回の500億円の財源不足に係る収支見通しについて,市の財政悪化は,新型コロナウイルス感染症流行の影響だけでなく,これまでの財政運営にも問題があったと考える。第一義的には市当局側で課題を検証する必要があると思うが,今まで予算・決算を通してきた議会側としても,これまでの財政運営を振り返る必要があると考えますが,その点はいかがでしょうか。
議長
これまでから,議員報酬の削減によって生じた財源を,市政の発展のために活用してきました。
平成14年度から,議員報酬の削減によって生じた財源を,市政の発展のために活用してきており,この間の本市の厳しい財政状況等を勘案し,平成23年度からは,報酬の10%削減を継続してきております。
令和2年度の議員報酬についても,10%の削減に加えて,今5月市会において夏期手当15%の削減を決定し,これにより捻出した1億円は,新型コロナウイルス感染症対策として,市民や中小企業等の皆様の支援に活用されております。
今後についても,京都市の財政状況等を考慮しながら,議員間で十分に議論して,この難局を乗り越えていきたいと考えております。
記者
市民しんぶんの配布の在り方にも注目が集まったと思うが,負担感の軽減など,議会として今後取り組んで行きたいという考えはありますか。
議長
市民しんぶんについては,所管の常任委員会で様々な議論があった。町内会への加入促進の面でも,市民しんぶんの配布が苦痛で町内会を辞めていくというような課題があるのですが,我々議会と行政がその点を考慮しながら,これから取り組んでいきたいと考えています。
<発表案件以外に関する質疑>
なし
<京都市会議場VR映像等の寄付受納>
議長
この機会に,私から2点お話をさせていただきます。
1点目は,御寄付の申出を頂戴いたしましたので,御紹介させていただきます。
京都土地家屋調査士会様から,土地家屋調査士制度制定70周年事業の一環として,京都市会議場内のVR映像データ及び再生機材一式の御寄付の申出をいただき,京都市会としても大変有難く,謹んでお受けすることといたしました。
このVR映像データは,京都市役所本庁舎改修前の議場内を3Dレーザースキャナーで計測し,VR映像を制作したもので,再生機器により,デジタル空間で旧議場を再現することができます。
10月30日に,寄付受納式を執り行い,まずは11月8日開催予定の「親子ふれあい議場見学会」において,参加者の皆様に体験していただきたいと考えております。
記者の皆様も10月30日の受納式を是非,取材いただいて,その際に体験いただけたらと思います。
<新型コロナウイルス感染症対策を振り返って>
2点目は,この間の京都市会の新型コロナウイルス感染症対策について述べさせていただきます。
市会運営における感染拡大防止対策として,2月市会以降,本会議や委員会においては,座席の間隔を開けて実施しております。
また,発言者ごとのマイクの消毒,換気時間の確保,アクリル板の設置等,いわゆる3密を避ける様々な対策を講じてまいりました。
さらに,9月市会直前の9月4日には,私から全議員に対して,感染防止対策の徹底について「市会議員への注意喚起」を発出しております。
国内では,旅行やイベントの緩和など,人の動きが増えてきましたが,新型コロナウイルス感染症の脅威が払しょくされたわけではありません。
コロナ禍であっても,市会がしっかり役割を果たすため,引き続き,感染防止対策を徹底してまいります。
私からは以上です。