平成28年定例会(2月市会)

最終更新日:平成29年3月24日

意見書・決議

再生可能エネルギー熱等の利用の推進を求める意見書

(平成29年3月24日提出) 


環境負荷の少ない持続可能な社会を目指すためには,再生可能エネルギーや未利用エネルギーの有効利用が不可欠である。
 ところが,我が国では再生可能エネルギーの利用は発電というイメージが強く,熱の有効利用が進んでいないのが現状である。例えば,冷暖房については,電気のような高品位なエネルギーから熱を作るのではなく,「熱は熱で」の原則の下,バイオマス,太陽熱,河川熱,地中熱,雪氷熱,温泉熱などの再生可能エネルギー熱の利用を飛躍的に拡大することにより,大幅な省エネルギー・温室効果ガス削減が可能となる。
 本市においても,地球温暖化対策計画を見直し,更なる省エネルギー・温室効果ガス削減に向け,太陽光中心からバイオマス,小風力,小水力利用への幅広い政策展開を打ち出し,来期からは地中熱の有効利用を進めることになっている。
 よって国におかれては,再生可能エネルギー熱や未利用エネルギーに関して普及目標を定め,自治体も活用しやすい助成制度を創設・拡充するなどの措置を講じるとともに,国や自治体の施設における再生可能エネルギー熱等の導入を推進するよう強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣,環境大臣,資源エネルギー庁長官


地域が現状に即し運用することができる民泊運営ルールの法制化を求める意見書
(平成29年3月24日提出)


平成29年3月10日に,「住宅宿泊事業法案」,いわゆる民泊新法案が閣議決定された。これは,平成28年6月の京都市会の意見書における要求事項が一定程度反映されたものである。現在開会中の通常国会で議論が始まる。
 2020年の東京五輪等,国家的な行事が続く中,それらを目的に訪日する外国人観光客数の増大は必至である。
 我が国に興味を持って訪れた方に,帰国後に我が国の良さを広めてもらうことは非常に貴重なことである。したがって,今後も多くの観光客を受け入れ,そのための宿泊施設を充実させることが,一層必要であると考える。
 京都市では,平成27年に約5,684万人の観光客が訪れ,また,宿泊客も増加し,平成27年の平均客室稼働率は,市内の主要なホテルが88.9パーセント,旅館が70.1パーセントであり,宿泊施設不足が深刻な問題となっている。
 それに伴い,多様な宿泊ニーズに対応するために民泊が増加し,地域と良好な関係で営業するものやホームステイ型により国際交流が深まっている事例がある一方,地域とトラブルを起こす業者が後を絶たず,市民から騒音やゴミの苦情,火災に対する不安の声等が多く寄せられるようになった。訪日観光客を快く受け入れるためには,地域で生活する者の普段の生活環境が守られていることが大前提である。
 よって国におかれては,法制化に当たり,下記のとおり取り組まれるよう,強く要望する。



1
 民泊を旅館・ホテルに準じた宿泊施設として位置付け,民泊新法案に盛り込まれている,経営者を特定することができる状況や防火・防災・防犯などの明確なルール,違反した経営者への厳罰化,これらのルールの厳守など,不誠実な経営を抑止する策を徹底させること。
2  住民の生活環境を守るため,地域の実情の詳細を把握している自治体が,地域の実情に即した形で運用することができるよう,慎重かつ丁寧な議論を重ねて策定すること。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,国土交通大臣,内閣府特命担当大臣(規制改革)



無料公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備促進を求める意見書
(平成29年3月24日提出)


2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて,通信環境の整備,とりわけ無料公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備が,喫緊の課題となっている。
 観光庁が行った「平成26年度訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関する現状調査結果」によると,旅行中最も困ったこととして,Wi-Fi環境が30.2パーセントと最も高く,特に公共施設や観光施設におけるWi-Fi環境の普及や利用手続の簡便性の面での課題が指摘されている。
 政府は,防災の観点から,2020年までに約3万箇所のWi-Fi環境の整備を目指し,また,空港や駅・鉄道,宿泊施設など,人が多く出入りする場所には,民間での設置を働き掛けている。
 京都市においては,安全性と利便性を兼ね備えたWi-Fiの仕組みによって,市バス停,地下鉄駅,公共施設,商業施設など,約2,000箇所において利用することができる環境を,独自に整備してきている。
 Wi-Fi環境の整備促進は,インバウンドの更なる増加だけでなく,防災拠点となる公共施設等の災害時における通信手段の確保にも大きく貢献する。
 よって国におかれては,下記の事項について取り組むことを強く要望する。




1  鉄道・バス等の公共交通機関やホテル・旅館等の宿泊施設などの民間施設に対して,安全性と利便性を備えたWi-Fi整備支援事業を拡充すること。
2  防災の観点から,避難所・避難場所となる学校等の防災拠点や,博物館・自然公園等の公共的な観光・防災拠点へのWi-Fi環境の整備に対して,財政支援措置を拡充すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣

水素ステーションの整備促進を求める意見書
(平成29年3月24日提出)


 政府は,平成28年3月に「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を改訂し,水素社会の実現に向けて新たな目標や取組の具体案を示した。その中で,燃料電池自動車(FCV)の普及台数目標は2030年までに約80万台,水素ステーションの整備目標は2025年度までに約320箇所とされている。
 しかしながら,2030年時点のFCV普及台数目標を達成するためには,900基程度の水素ステーションが必要であると見込まれており,その実現には,水素ステーションの整備の一層の加速化が求められる。
 京都市では,現在2箇所の水素ステーションが設置され,注目を集めている中,今後のFCV普及に向けた誘致活動を推進しているところである。
 現在,国では燃料電池自動車・水素ステーション等に関する規制の見直しを進めているが,全国的な水素ステーションの整備拡大を推進するためには,事業者による一層の技術開発等の努力に加えて,国においても更なる規制の見直しが求められる。
 とりわけ,海外では一般的となっている水素ステーション用蓄圧器に複合圧力容器を使用することが,我が国でもようやく認められたとはいえ,高価な炭素繊維の使用はコストアップの要因になっている。
 よって国におかれては,水素ステーションの運営コストの低減や,蓄圧器材料に安価なクロムモリブデン鋼等を使用することができるようにするなどの一層の規制緩和を進めるとともに,下記の事項を講じるよう強く求める。

 



1  水素ステーションのセルフ充てんに係るハード・ソフト両面の基準整備を行うこと。
2  海外での使用実績を考慮して,水素ステーション用蓄圧器の使用可能鋼材の範囲を拡大すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣,国土交通大臣,環境大臣,内閣府特命担当大臣(規制改革),資源エネルギー庁長官