摘録
最終更新日:平成29年11月10日
平成29年11月2日
報告案件
<9月市会について ⑴議案審議結果>
私からの報告の一点目は,本日終了しました平成29年定例会9月市会の審議結果についてであります。
9月市会につきましては,9月21日から11月2日までの43日間の会期で開催いたしました。
お手元の9月市会審議結果総括表を御覧ください。
市長から提出されました議案は,「平成28年度京都市一般会計歳入歳出決算」など計58件ございました。
その上で,付帯決議6件,付す意見2件を付すことといたしました。
修正可決した平成29年度一般会計補正予算は,今年度も引き続き10%削減した議員報酬を「新入学児童生徒学用品費の入学前支給」の財源に充当することで,財政調整基金の取崩し額を減額するよう,全議員共同提案のうえ,全会一致で可決したものでございます。
また,議員提案である市会議案といたしましては,意見書については5件を可決,4件を否決し,決議については,2件を可決,1件を否決いたしました。
その他に,請願5件について審査し,1件を採択,4件を不採択といたしました。
なお,9月28日,29日には17名の議員が市政一般にわたり代表質問を行いました。
今市会では,平成28年度決算の審査を中心に,「京都市宿泊税条例」及び「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」の制定などをはじめ,市政全般にわたり,代表質問や決算特別委員会等をとおして,市長らと活発に議論を交わしました。今後も引き続き,常任委員会等をとおして,議論を深めてまいりたいと考えております。
また,現在,いわゆる過労死が大きな社会問題になる中,京都市会としてもこの9月市会から,予算・決算特別委員会における審議について,働き方改革の観点から見直しを行いました。
具体的には,局別質疑の審議時間が午後6時までという職員の時間外勤務を前提としていましたが,これまでと同程度の質疑時間を確保しつつ,午後5時半までという時間設定に見直すとともに,局別質疑から市長総括質疑までの日程については,中二日としていましたが,これを中三日とし,市職員が行っている市長総括質疑に向けた作業が平準化され,時間外勤務の縮減を図るものであります。
なお,今回の働き方改革の取組による効果につきましては,一定の前提条件を仮定した試算ではありますが,年間で約5,800時間の勤務時間の縮減を見込んでおります。同時に経済効果も一定あるだろうと思っております。
今回の取組につきましては,市会として働き方改革の取組を推進するよう,理事者に対し求めている中で,市会としてもその本気度を示すため,各会派とも精力的に議論し合意に至ったものであり,今後も,これまで同様,議会における活発な議論は担保しつつ,京都市会における働き方改革を更に前進させていきたいと考えております。
9月市会における議案審議結果は以上でございます。
<9月市会について ⑵平成29年度京都市会議員研修について>
次に,9月市会中の9月27日に行いました議員研修についてであります。
京都市会では,議会の活性化を図ること等を目的として,平成13年度から毎年,学識経験者等を講師に招き,「議員研修」を実施しております。
今年度は,人口減少社会を「希望」としてとらえ,「定常型社会」を提唱し,具体的なプロジェクトとして「鎮守の森・自然エネルギー構想」にも取り組まれている,京都大学こころの未来研究センター教授の広井良典氏を講師にお招きしました。広井氏からは,「人口減少社会」をテーマに,京都は世界に誇りうる「創造的定常型社会」モデルといえるとされ,更に豊かにしていくためには,若者支援と出生率改善,高齢化対応,歩行者中心のまちづくり等,新たな状況に向けた政策展開が重要となる,とのお話がありました。
大変示唆に富んだ御指摘を頂き,私としても,来るべき人口減少社会において,市民が豊かさを感じ,地域コミュニティが持続可能なものとなるための取組の必要性を改めて認識した次第であります。今回の貴重なお話を踏まえ,市会におきましても,より一層議論を深めてまいりたいと考えております。
<海外行政調査の実施について>
次に,海外行政調査の実施報告についてであります。京都市会では,去る9月3日から10日までの8日間,隠塚功議員を団長とする議員11名による海外行政調査団をフィンランド及びエストニアに派遣し,「子ども若者はぐくみ局創設を契機とする福祉と教育の融合策と平成32年度実施の新学習指導要領を見据えた,生きる力を育成する教育制度・教育実践の具体化」をテーマとして,同国の先進事例を調査いたしました。
「教育の平等」を国家的課題とするフィンランドの4都市及び
これらの調査で得た成果につきましては,議員はもとより,市民の皆様とも共有させていただくため,今後,調査団による報告会の実施,市長への提言を行うとともに,調査の詳細な内容を取りまとめた報告書を年度内に作成し,市会ホームページ及び市会図書・情報室で公開する予定です。
調査の成果を全議員が共有し,議会でも議論を深めることで,今後,本市における福祉と教育の融合及び新学習指導要領に対応した教育等,本市が抱える課題の解決に十分いかすことができるよう,取組を進めてまいりたいと考えております。
<台南市議会への訪問について>
最後に,去る10月29日から10月31日までの3日間で行いました,台南市議会への訪問についてであります。
台南市は,平成24年4月に,京都市長が会長を務める世界歴史都市連盟に加盟しました。また,これまでから,台南市長,台南市議会議長や市議会議員の皆様方などが,何度も本市を訪問され,友好関係を築いてまいりました。さらに,台南市議会として,議会間での交流促進を強く希望されており,この間,台南市議会議長から複数回にわたり台南市への訪問の依頼がありました。
京都市会としても,台南市議会との議会間交流を進めることで,パートナーシティ締結に向けての機運の醸成や,市民による経済交流や文化交流の促進につながり,日台交流の更なる深化に寄与すると考えることから,今回の訪問に至ったものです。
頼美恵(ライ・ミエ)台南市議会議長の表敬訪問においては,議会間交流の更なる促進により,市民同士の交流を進めることの必要性をはじめ,同じ古都として政策上の課題を共有し,お互いに学びあうことの重要性などについて,意見交換を行いました。
また,李孟諺(リ・モンエン)代理市長を表敬訪問し,門川市長から預かった親書を手渡すとともに,パートナーシティ締結により両市の絆をより一層強くすることの方向性を確認しました。また,2020年の世界歴史都市会議の誘致に向けた熱い思いをお聴きしました。
このほか,台南市議会の議場見学・議会傍聴や,台南市の文化財保護・活用政策に関する説明の聴取,古い町並みや官舎等の保護・活用状況について視察を行い,現地でしか得ることのできない,生の知識や情報などを豊富に得ることができました。
今回の訪問の成果につきましては,議員の皆様方と共有させていただくとともに,市民の皆様のお役に立てるよう,議会間交流をはじめ,都市間交流,民間交流を一層深める方策について,市長ともしっかりと議論してまいりたいと考えております。
明日,親子ふれあい議場見学会がありますので,是非,御取材をお願いしたいと思います。
私からは以上であります。
質疑応答
<発表案件に関する質疑>
記者
働き方改革について,具体的にどのようにして5,800時間を縮減したか。
議長
予算・決算特別委員会(局別質疑)の時間についてですが,今まで午後6時までであったのを30分間繰り上げることで,その分の時間が変わったという形になります。もう一つが,局別質疑から市長総括質疑までの期間を空けることで,準備時間として,かなり遅くまでかかっていた部分が削減されました。
当然,管理職の方を含めて全ての職員さんに影響が出ることから,年2回,予算と決算の時期がありますので,そういった時間を計算しまして一定の状況や前提のもとで調査したところ,これくらいの時間になるのではないかということでございます。
記者
9月市会でどれだけ減らしたか。
議長
年2回ありますから,今言った時間のおよそ半分くらいという形になろうかと思います。
記者
いわゆる残業代等を減らせるというのもあると思うが,この効果を数字として示すとどうか。
議長
当然,管理職の方は残業代の対象ではありませんが,効果については一定出てくるとは思います。
記者
宿泊税の条例について,京都市として特別な財源対策という厳しい状況に置かれている現実は変わらないと思うが,宿泊税の意義の部分と課題の部分と,今後,新たな財源調達に向けての考えは。
議長
結果として,賛成会派,反対会派はありましたが,議会を通じて議論されてきたことは共通する部分があるのかなと思います。
観光客の皆さんが増えている中で,歓迎したい気持ちがありながら,困惑されている市民の方もおられます。そのような背景の中で,何か手を打たなければならない状況の中で,京都市民の皆さんから頂いている税金を,そちらの方にウエイトを高くしていくということは,厳しい財政状況の中で,御理解いただくのもしんどいだろうという中で,本来であれば,観光客の皆さん,日帰りの方を含めて,お世話になりたいところですけども,やはりなかなか難しい状況の中で,宿泊される方に一定の御負担をいただくことによって,より京都のまちが魅力的になり,そして観光される皆さん方と市民の皆さん方の絆がより深まっていくような方向性になればいいなと,議会の中でも色々と議論されてきたことかと思います。色々な判断の中で,賛成,反対はあったかもしれませんが,今おっしゃられたことついては議会の中で議論されてきました。
記者
新たな税財政対策について,観光客でいえば,日帰りの方やそれ以外の方から税徴収することも考えられないこともないがいかがか。
議長
今のところ,まずは宿泊される方からという議論の中で,各会派とも慎重審議した結果,態度表明を最終的にされました。そういった審議がされた中で,即,何か他のことに,というわけではないと思います。
今日の議論にもありましたが,まずは,宿泊税が実際どういう形になるのかということを,これからしっかり一定御理解を頂かなければならないと思います。また,想定してなかったことが起きるかもしれませんので,そういったことも含めて,まずは,今新しく決めたルールをきちっと皆さんに御納得いただくような形でやっていくことが大切ではないかと思います。
記者
町家条例について,非常に大事な条例かと思うが,事前届け出制を導入することによって一定の歯止めをかけるということかと思うが,この評価と課題についてはどう考えるか。
議長
実際,京町家と呼ばれるものが減少の一途を辿っている中で,地域の大切な資産として残していきたいという思いがある一方で,所有者の思いというか,事情もあろうかと思います。
そういった意味で,例えば相続の時期であったり,あるいは住んでいる方が引っ越しされたり,お亡くなりになられたり,色々なタイミングの中で,その家が空き家に,あるいは新しく財産活用される中で,建て替えなど色々な話があろうかと思います。もちろん個人の財産ですから,行政としても強制的にというわけにはいきませんが,まずは,行政と連携しませんかというきっかけがこの条例で生まれるのではないかと思います。
その中で,こういう活用がありますよ,マッチングを紹介しますという中で,「なるほどそれならば,その方法で町家を残そうか。」という方が,私は出てくるんじゃないかと思いますし,そういう意味では効果があると思います。
一方で,急に町家を何とかしなくてはいけないというときに,1年間,町家を触れないというのはどういうことかという不安の声がありました。それにつきましても,しっかりと町家を所有されている方に説明して,今現在,町家として使うつもりでも,「今私はこうしてやっていますが,ちょっと相談したい。」と相談していただければ,相談いただいた時から起算されますので,必ずしも,町家を無くそうと決断した日からではありません。今町家をお持ちの方と多くコミュニケーションを取るのがまずは大切かと思います。
記者
町家の所有者に対する財政的な支援についてはいかがか。
議長
私は町家の所有者でもありますので,個人的な意見を言うと怒られるかもしれませんが,やはり,気持ちは分かります。色々な町家がありますが,私のところの町家は,瓦の葺き替えだけでも,それこそ1千万円近いお金がかかる場合等があります。色々な維持管理を考えると,気持ちは分かりますが,一方で,個人の資産でもありますので,個人の資産に公的なお金を入れるということについて,位置付けをはっきりしておかないと,例え町家といえども他の方から理解を得られない場合もあります。そういった意味では,町家の中でもどうしても残さなくてはいけないランキングといいますか,公的なお金を投入する中での,そういった仕分けが必要であるのではと思っています。
記者
検討しても良いということか。
議長
行政のお金に限らず,町家を維持管理するために,市民の方から広く募集するやり方もあるでしょうし,様々な支援もあると思います。
ただ,お金のプラスの支援も必要である一方で,相続の話もしましたが,色々な町家がある中で,一定の規模の町家になりますと相続税が相当かかる場合があります。そういったときに,手放したり,解体されたりするケースがあります。例えば,町家として,今後も維持するのであれば,相続税を場合によっては減免するとか,それを町家で無くすのであれば,遡って相続税がかかるとか,色々あると思います。
しかし,それは国の施策であると思いますし,そういった意味では,粘り強く京都市としても国の方にお願いしていると聞いてますが,議会としても応援したいなと思います。
記者
働き方改革について,今回初めて導入されて,運用上の課題や問題等はあったか。
議長
今,聞いている範囲では,好意的というか,職員さんも遅い時間まで残っていたけれども,比較的ですが,今までよりは早く帰れたという話は一定聞いています。当然,それは,今言ったように,幹部の職員さんからセクションの職員さん全てに影響してくることかと思いますので,そういった意味では一定プラスの効果があったかと思います。
質疑時間につきましては,心配の声もありましたが,私の聞いている範囲では特段,質疑時間が短くなったから質問ができなかったという話ではなく,むしろ,そういった一定の時間をやりくりして充実した質疑が今まで通りできたのではないかと思っています。
副議長
具体的には,交通局と上下水道局の質疑時間が400分から370分になりましたが,そこを含めて,議長が言ったように,その時間の中でしっかりと議論・質疑するということで効果があったと思っています。
<発表案件以外に関する質疑>
記者
森川議員が政務活動費を返還する事案があったが,議長としてどのように受け止めているか。
議長
まず,政務活動費については,以前から話させてもらっているとおり,説明をするということが大切であると考えています。制度そのものもそうですし,色々な議会改革の中であったように,何か言われたから止める,縮小するということではなく,しっかり説明するということを京都市会としてはやっていきたいというスタンスでおります。
森川議員もそういった指摘があればしっかり説明することが求められますし,そうするべきであると考えています。
ただ,今回,森川議員は説明しつくせないということで,返還されたということでありましたので,私としては,議長名で,改めて注意喚起といいますか,今現在の制度できちんと資料を保管してやっておれば,市民の皆さんに十分しっかり説明できますから,ルールに則って,しっかりやっていただきたいということを全議員に出させていただきました。
記者
住民監査請求を受けて,今回,返還したということかと思うが,議会の中でチェックを厳しくすることは考えていないか。
議長
今回のケースを私が確認した限りでは,そこでチェックといいますと,それこそ本当に一件一件これやりましたかという話になり,全ての議員を疑うということになります。
当然,我々としましては,きちっと,ルールに則ってやっていくというのは当たり前のことですから,それを全議員がやるという形ですし,当然,森川議員もやっていただかなくてはならなかったわけです。今回,実際問題として,森川議員が車を借りていたか借りていなかったかまでは,そこまで行って車を見に行くとか,そういうことは我々としては当然求めていませんし,当然,それは借りられていたという形かと思いますが,それが説明できないということが問題であるので,私はしっかりと説明しなければいけませんよと注意喚起をしたところであります。