摘録
最終更新日:平成29年6月6日
平成29年5月30日
報告案件
議長初記者会見ですので,どうぞよろしくお願いします。忌憚のない質疑をお願いします。
<5月市会について ⑴ 議案審議結果>
それでは,私からの報告の1点目は,本日終了しました平成29年定例会5月市会の審議結果についてであります。
5月市会につきましては,5月16日から5月30日までの15日間の会期で開催いたしました。
お手元の5月市会審議結果総括表を御覧ください。
市長から提出されました議案は,「平成29年度一般会計補正予算」など計37件ございました。
市会では,本会議で市長,副市長から提案説明を聞いた後,予算特別委員会や各常任委員会において十分な議論を行ったうえで,市長から提出された全ての議案,計37件全てを可決いたしました。
また,議員提案である市会議案といたしましては,後ほど御説明いたします京都市会基本条例の一部改正を可決したほか,意見書については2件を可決,1件を否決し,決議については,「違法民泊対策の一層の強化を求める決議」1件を可決し,その他2件を否決いたしました。
なお,5月19日には8名の議員が市政一般にわたり代表質問を行いました。
今市会では,新たに創設された子ども若者はぐくみ局の取組をはじめ,市政全般にわたり代表質問や委員会をとおして,市長らと活発に議論を交わしました。今後も引き続き,常任委員会をとおして,議論を深めてまいりたいと考えております。
5月市会における議案審議結果は以上でございます。
<5月市会について ⑵ 京都市会基本条例の一部改正>
次に,京都市会基本条例の一部改正についてであります。
京都市会基本条例の改正については,ネーミングライツ検討会議の検討結果に基づき提出され,本日可決されました。議決事件の追加は,平成17年に議決に付すべき事件を条例で定めて以来,初めてのことであります。
私たち京都市会は,これまでからも,市民の皆様の負託にこたえることができるよう,執行機関への監視機能を果たし,また,政策提案を積極的に行うなど,その役割を果たしてまいりました。
このような中,「ネーミングライツ」事業については,京都市美術館への導入を契機に,市民への説明責任や市会の関与という点で十分でないとの認識が高まり,昨年10月には,議会との十分な議論と,市民の信頼回復を求める市会の決議が,全会一致でなされました。
こういった議論の経過を踏まえ,京都市では「ネーミングライツ」事業に係る要綱が改正され,一定の制度の見直しが行われたところであります。
これに対し,京都市会としましても「ネーミングライツ」事業についての議会の関与の在り方について具体的な検討を行う必要があると考え,全会派の代表者から成る検討会議を市会内に設置し,検討を行ってまいりました。そこで,この度,議決事件の追加を行うに至ったものであります。
条例改正の内容は,「ネーミングライツ」事業の実施決定に当たり,「『ネーミングライツ』の付与の対象とする施設を定めること」でございます。これにより,市民の皆様の御意見を,的確に事業に反映させることができるものと考えております。
今回の議決事件の追加は,議会の権能の強化を図り,監視機能を十分に発揮するという市会の意思を明確に示したものであり,この間の取組は,「行動する議会」の真価を示したものとして,大変意義深いと考えております。
今後も,市民を代表する議事機関として,執行機関への監視機能を十分に果たしていくことはもとより,議会ならではの政策提言を行うなど,引き続き,しっかりとその役割を果たしてまいります。
<姉妹都市・ウクライナ キエフ市で開催される文化交流事業への出席>
最後に,姉妹都市・ウクライナ キエフ市で開催される文化交流事業への出席についてであります。
この度,京都・キエフ姉妹都市提携45周年を記念して整備が行われてきた「京都公園」のリニューアル記念式典をはじめとする,様々な文化交流事業に,6月2日から6日の日程で,京都市会を代表して参加いたします。
今回の訪問では,ただ今申し上げました「京都公園」のリニューアル記念式典に参加し,桜の樹の記念植樹を行うほか,チェルノブイリ,福島,京都の子どもたちが「夢」をテーマに描いた絵画展「世界平和のための子ども絵画展」の閉会式に出席をいたします。
また,キエフ国立バレエ学校を訪問し,京都出身で芸術監督として活躍されている京都国際観光大使の寺田宜弘氏の活動を見学する予定であります。
そのほか,キエフ市長主催の歓迎会に参加するとともに,歓迎会の前には,日本酒やお茶を振る舞い,京都の文化を広く紹介をいたします。
京都とキエフ市は長年にわたり,官民による様々な交流を重ねてきました。
今回の訪問を通じて,「京都」の魅力,素晴らしさを広く発信するとともに,今後の姉妹都市提携50年,60年に向けて,両市の絆を再確認し,より一層交流が深まるよう,また,キエフ市の魅力や京都とキエフ市との様々な交流について,多くの市民の皆さんに知っていただき,姉妹都市であることの意義や思いをしっかり共有できるよう,私も力を尽してまいりたいと考えております。
私からは以上でございます。
質疑応答
<発表案件に関する質疑>
記者
就任後初めての議会を終えたが,議長,副議長それぞれの所感は。また,今報告されたネーミングライツの件についての感想はいかがか。
議長
議員でございますので,議会で何を行うかということは十分に分かっておりますが,やはり目線が違います。議長席に座ってという形でございますから,しっかりと京都市会の代表として,今までは一人の議員としての発言,発信が多かったですけども,改めて議長の職責,京都市会の代表しての発言,発信の重要性を改めて重く受け止めまして,しっかりやっていきたいと思っております。
御存知のとおり,私は市会改革委員会に長年所属し,委員長も4年間務め,京都市会改革の真ん中で,全議員に御理解と御協力をいただきながらやってきましたが,行政の監視機能の強化ということがひとつの大きなポイントとなっております。今回,大きな枠組みの中のひとつとして,たまたまネーミングライツの要綱改正がありましたので,この機会にそういったものをしっかりと市会基本条例に位置付けたらどうだというタイミングだったのかと思います。
検討会議を設けて,全会派熱心に議論いただいて,市民の皆様により行政の事業を御理解いただけるように,議長就任の時にもお話ししましたが,批判という意味ではなく,建設的に議論を深めるという意味で,行政の執行されることが市民の皆様により浸透するように,議会としてはチェック機能を高めて,その役割を担っていきたいと思っておりますので,それが一つできたのかなと思っております。
副議長
5月18日に副議長に就任させていただきまして,12日でございます。議員を14年間させていただいておりますが,今,議長がお話しになられましたように,議会を代表するという職責の重大さに,自分の見方が大きく変わったなということを実感しております。
今回,京都市会基本条例の一部改正もございましたが,検討会議も作りまして,色々な意見もあったわけでございますが,議会として合意して条例を改正しました。そのことをしっかりと市民の皆様にお伝えし,チェック機能を高めていくように頑張ってまいりたいと思っております。
記者
ネーミングライツの対象施設について,どこまでが適当と考えるか。
議長
検討会議で議論されましたように,重要な公の施設を対象とするということで,基本的には網羅できていると思っています。ただ,その中には市庁舎などは入っていません。そういった施設については,対象となった時に,しっかりと議論していくということで,検討会議でも合意されていると聞いていますので,改めて市庁舎や区役所を実際にネーミングライツしようという動きがある場合については,議会としてもしっかりと議論してチェックしていくということで,報告を受けております。
副議長
今回,重要な公の施設を対象にするということで,市民の皆様にとって影響の大きいものに限っては,合意を得て改正したわけでございます。当然,議会と市長部局との役割分担をしっかりと行いながら力を発揮していくとこういうことだと思っております。
記者
ネーミングライツについて,美術館の議論にあったように,そぐわない,ふさわしくない施設はあるか。そぐわない施設とはどういうものか。
議長
そぐう,そぐわないにつきまして,具体的に,ひとつの例として美術館を挙げられたのかと思いますが,当然,重要な公の施設の中で,ネーミングライツをしたいということであれば,まず,議会として,そぐうかそぐわないかという話は出るのではないかと思います。ネーミングライツをするとしても,企業名を付けることによって,一般の方が行きにくいような形になるのはそぐわないと思います。
そういった意味では,施設がそぐう,そぐわないというような枠組を決めているのではなくて,重要な公の施設については,しっかりと議論をしましょうということで考えています。今,この施設がそぐう,そぐわないという形での線引きをするものではないとは思っております。
記者
財源を生み出す手段としてのネーミングライツに対して,基本的には前向きなスタンスということか。
議長
ケースバイケースと思いますが,施設名称ということですから,例えば,施設名称を付けることによって,元々の施設の良さや,位置付けのようなものが失われるようなことがあってはならないと思います。ただ,例えば,企業がそういった趣旨を支援してくれているというように前向きに捉えられるような形であれば,それは前向きに捉えて良いと思います。
ネーミングライツそのものが議会として良いとか悪いというよりも,やはりどんな施設が対象になるのかとか,どうやって市民の御理解が得られるのかにつきまして,多様な民意の集合体としてチェックしたいという思いで,今回,改正させてもらっています。
記者
議会としては,ネーミングライツの付与がふさわしくない施設を外してしまうという選択肢もあったのではないか。
議長
京都市の全ての施設をチェックして,この施設はやめよう,この施設は良いとするものではないと思っています。行政がこの施設についてネーミングライツしたいという意向を示した時に,議会としてはしっかりチェックしていくというのが大切なのかなという中で議論されたものです。
まずは,行政サイドでこういうことをしたいと意志を示してもらう。そこを民意の代表である議会が,多様な民意の集合ですから,中には,良しとする議員もいれば,ふさわしくないと考える議員もいると思います。そういったことをしっかりと議論して,議会として最終的に意見を集約して,行政に議会としてはこういう意見ですと出していくのが,市民にとって一番分かりやすく,透明化されるのではないかと思います。
記者
ネーミングライツについて,他の自治体を含めて,おそらく全国で初めて条例に規定されたということだが,京都市が実施する意義は。
議長
ベースにあるのは議会の活性化であり,京都市の議会の活性化というのは,色々なランキングというか第三者の指標でも,かなり進んでいるという評価をされています。議会のチェック機能を高めようだとか,議会の権能強化をしっかりとやっていこうという中で,どういう手段があるのかということです。
例えば今回は,ネーミングライツが議会の権能強化のひとつになっていますが,我々としては行政の方に,基本条例の改正という形で議会の権能強化をしっかりとできますよと示したのが,私は大きな意義があるのかなと思います。
今後も議会のチェック機能の強化を進めていきますが,行政の方が色々な提案をされる中で,議会に十分な説明がなされなかったり,あるいは,法の盲点といいますか,議会の承認を得ずしてできる場合があったりした時に,こういった基本条例の改正によって,議会としてはしっかりと関与できるということが大切なのかなと思います。
もちろん,今回実際改正したのはネーミングライツについてですが,むしろそれよりも,基本条例を改正したということ,チェック機能を高めたということが,非常にウエイトが大きいのかなというふうに思います。全国の中で,こういう動きが広まってくれたらな,ということがひとつの思いとしてはあります。
<発表案件以外に関する質疑>
記者
議長として,チェック機能の強化について,今後,さらに改正していくポイントはどこを注視しているか。
議長
当然,まずは行政がこういったことがしたい,ああいったことがしたいと提案されるわけですし,通常のルールの中で,議会はチェック機能を果たしてしっかりと市民の皆様にも見える形でやっていくのがベースであると思います。
ただ,今言いましたように,中には,議会の承認を得ずしてできるケース,あるいは議会の承認が法的には必要ないけれども,しっかりと議会の同意なりそういったものがあった方が良いというようなケースがあれば,今回は基本条例の改正という形になりましたが,これも手段の一つですから,これが全てではありませんが,こういったことも手段の一つとして視野に入れておくことは大事であると思います。
これを行政に対してしっかりと認識してもらうことももちろんですが,議員自らがそういった意識を共有していく。我々にはこうしたチェック機能,権能を強化する手法があるわけですから,ただ単に議会がチェックできないからとか,法律上難しいからやらないというのではなくて,議会として,何ができるのか,どういうこうができるのかということをしっかりと考えていくという姿勢を持つことには,大きな意義があるのではないかと思います。
記者
具体的な項目は。
議長
それは行政が実際に出してこられる中で,議会のチェックや同意が必要であるということがあれば,それは今回のネーミングライツの検討会議のように,やはり検討会議をしっかり立ち上げてやるのがふさわしいのではないかと思います。