平成28年定例会(5月市会)

最終更新日:平成28年6月3日

意見書・決議

次期介護保険制度改正における福祉用具,住宅改修の見直しに関する意見書

(平成28年6月3日提出)

  

平成27年6月30日に閣議決定された「骨太の方針」の中で,次期介護保険制度改正に向けて,軽度者に対する福祉用具貸与等の給付の見直しを検討することが盛り込まれた。現行の介護保険制度による福祉用具,住宅改修のサービスは,高齢者自身の自立意欲を高め,介護者の負担軽減を図るという,極めて重要な役割を果たしている。

手すりや歩行器などの軽度者向け福祉用具は,転倒,骨折予防や自立した生活の継続を実現し,重度化を防ぎ遅らせることに役立っており,安全な外出機会を保障することによって,特に一人暮らしの高齢者の閉じこもりを防ぎ,社会生活の維持につながっている。

また,軽度者に対する福祉用具,住宅改修の利用が原則自己負担になれば,特に低所得世帯等弱者への負担増大になりかねず,福祉用具,住宅改修の利用が抑制され重度化が進展し,結果として介護保険給付の適正化という目的に反して高齢者の自立的な生活を阻害し,給付費が増大するおそれがあり,介護人材の不足に拍車をかけることになりかねない。

よって国におかれては,次期介護保険制度改正における福祉用具,住宅改修の見直しにおいては,高齢者の自立を支援し,介護の重度化を防ぐといった介護保険の理念に沿って介護が必要な方の生活を支える観点から,検討を進めることを強く要請する。

 

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


骨髄移植ドナーに対する支援の充実に関する意見書
(平成28年6月3日提出)


骨髄移植及び末梢血幹細胞移植は,白血病等の難治性血液疾患に対する有効な治療法である。広く一般の方々に対して善意による骨髄等の提供を呼び掛ける骨髄バンク事業は,公益財団法人日本骨髄バンクが主体となり,移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律に基づいて実施されている。

骨髄バンク事業において,平成28年2月現在のドナー登録者数が45万人を超え,患者とのHLA適合率が9割を超えている一方で,そのうち移植に至るのは6割未満にとどまっている。これは,ドナーの健康上の問題のほか,提供に伴う通院や入院等のための休暇取得における事業主ごとの差異など,様々な要因による。

骨髄バンク事業では,骨髄等の提供に際しての検査や入院等に必要な交通費,医療費等のドナー側の費用負担はなく,また,万一,骨髄等の提供に伴う健康障害が生じた場合でも,日本骨髄バンクによる損害補償保険が適用されるなど,ドナーの負担軽減に関して様々な取組が行われている。

しかし,ドナーが,検査や入院等で病院に出向くなどして仕事を休業した場合の補償は,京都市では1日当たり2万円,上限14万円の交付があるものの,官公庁や民間企業での取組は限定的であり,骨髄移植等を必要とする多くの患者にドナーが安心して提供できるような仕組みづくりが早急に求められている。

よって国におかれては,骨髄移植等の一層の推進を図るため,ドナーに対する支援の充実に関し,以下の事項を早期に実現するよう強く要請する。



1
事業主向けに策定した労働時間等見直しガイドラインの中で,ドナー休暇制度を明示するなど,企業等の取組を促進するための方策を積極的に講じること。
2 ドナーが,骨髄等の提供に伴う入院,通院,打合せ等のために休業することができるドナー休暇の制度化を実現すること。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣



民泊に対する地域の現状に応じて運用できる法制化を早期に求める意見書
(平成28年6月3日提出)

昨今の国内外からの観光客増に伴い,いわゆる民泊についての課題が取り沙汰されている。

京都市において,平成26年には,約5,564万人の観光客が訪れ,また,宿泊客も増加し,平成27年には,平均客室稼働率が,ホテルは88.9パーセント,旅館は70.1パーセントであり,宿泊施設不足は深刻な問題となっている。それに伴い,多様な宿泊ニーズに対応するため,民泊が増加し,許可を得て地域と良好な関係で営業するものがある一方,無許可あるいは地域とトラブルを起こす業者が後を絶たず,市民から騒音やゴミの苦情,火災の不安等が多く寄せられるようになった。

民泊については,これまでに,政府の規制改革会議で,規制の見直しや緩和策が検討されてきた。この中で,現行法では営業が認められていない住居専用地域でも可能にする方向で検討が進められている。また,この新たな枠組で提供されるものは,住宅を活用した宿泊サービスであり,ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法とは別の法制度にするとされている。

よって国におかれては,法制化に当たり,下記のとおり取り組まれるよう強く要望する。




1 民泊について,ホテル・旅館に準じたルールを設け,例えば,所在地の経営者が特定できる状況としたうえで,公衆衛生,防火・防災や防犯など管理責任の点で明確なルールを設けるとともに,その厳守を徹底させる策を盛り込むこと。
2 地域住民の安心安全な生活環境を守り,社会不安が生じないよう,地域の現状に応じて運用できる法制化を早期に進めること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,国土交通大臣,内閣府特命担当大臣(規制改革)

食品ロス削減に向けての取組を進める意見書
(平成28年6月3日提出)


食は世界中の人々にとって大事な限りある資源である。世界では,全人類が生きるのに十分な量の食べ物が生産されているにもかかわらず,その3分の1は無駄に捨てられている。中でも,もったいないのは,まだ食べられる状態であるのに捨てられてしまう食品ロスである。農林水産省によると,日本では年間2,801万トンの食品廃棄物が発生しており,このうちの642万トンが食品ロスと推計されている。

食品ロスの半分は事業者の流通・販売の過程の中で起き,もう半分は家庭での食べ残しや賞味期限前の廃棄などで発生している。食品ロスの削減には,事業者による取組とともに,国民の食品ロスに対する意識啓発も問われてくる。

京都市は,平成27年3月に「しまつのこころ条例」を制定するとともに「新・京都市ごみ半減プラン」を策定して,全国で唯一,食品ロス排出量削減の数値目標を明確に定めて,「生ごみ3キリ運動」など具体的に取り組んでいるところであるが,発生抑制などの課題があり,国に対策を求めているところである。

よって国におかれては,国と地方公共団体,国民,事業者が一体となって食品ロス削減に向けた取組を進めるため,下記の事項について早急に取り組むことを強く求める。

 



1 食品ロス削減に向けて,削減目標や基本計画を策定するとともに,食品ロス削減推進本部の設置や担当大臣を明確化すること。
2 加工食品等の食品ロスを削減するため,需要予測の精度向上により過剰生産の改善を図るとともに,商慣習の見直しに取り組む事業者の拡大を推進すること。
3 飲食店での食品ロス削減に向けて,食べ切ることができる分量のメニューや,量より質を重視したメニューの充実を推進するとともに,「飲食店で残さず食べる運動」など好事例を全国的に展開すること。
 4 家庭における食品在庫の適切な管理や食材の有効活用などの普及啓発を強化すること。また,学校等における食育・環境教育など,食品ロス削減に効果が見られた好事例を全国的に展開すること。 
 5  フードバンクや子ども食堂などの取組を全国的に拡大し,未利用食品を必要とする人に届ける仕組みを確立すること。さらに,災害時にフードバンク等の活用を進めるため,被災地とのマッチングなどの必要な支援を行うこと。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣,農林水産大臣,経済産業大臣,環境大臣,内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全),内閣府特命担当大臣(防災)

焼却灰溶融施設プラント設備工事に係る損害賠償等請求訴訟の判決に関する決議
(平成28年6月3日提出)


平成28年5月27日に示された焼却灰溶融施設プラント設備工事に係る損害賠償等請求訴訟の地裁判決は,京都市会として極めて残念であり,到底受け入れることができるものではない。過去度重なるプラントのトラブルに対し,議会も再三抗議をし,2回にわたる厳しい決議をしてきた。
  今後,控訴するに当たり,一審の判決結果を徹底的に検証・分析し,二審においては,全庁挙げて全面勝訴に向け全力で取り組むこと。

 以上,決議する。