平成27年定例会(2月市会)

最終更新日:平成28年3月25日

意見書・決議

府(県)費負担教職員給与費等の権限移譲に伴う財源の不足額について,国による適切な財政措置を求める意見書

(平成28年3月25日提出)

 

  府(県)費負担教職員給与費等の権限移譲については,財政措置として,道府県・指定都市の双方にとって財政運営への影響を最小限とすること,すなわち財政中立を基本として,国が地方財政措置を検討し,適切に講じることを前提として,道府県から指定都市に個人住民税所得割2パーセントの税源移譲が行われることについて,平成25年に合意したものである。

平成29年4月の権限移譲後も,現在子どもたちに提供されている教育水準を維持・継続するためには,指定都市の財政運営に支障が生じないよう,国による財政措置が必要不可欠である。

しかし,平成26年度決算に基づく本市の試算では,府が独自に措置している教職員の給与による影響等を含め,約36億円の不足額の発生が見込まれる。また,移譲に伴うシステム開発費や事務費等の財政負担も生じてきている。これは,本市財政に多大な影響をもたらすことが予測され,本市がこれまで先進的に取り組んできた教育行政の後退を招きかねない。

よって国におかれては,財政措置の具体化に向けた検討が進められていると考えられるが,府(県)費負担教職員制度に係る包括的な権限が指定都市に移譲されることに伴い必要となる財源については,移譲された権限に基づく事務が円滑に執行できるよう,下記の措置を講じるよう強く要望する。



1 権限移譲後も現行の教育水準を維持できるよう,適切かつ確実な財政措置を行うこと。
2 権限移譲に伴って発生する人事給与システム開発費や事務費等についても,適切な財政措置を行うこと。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,文部科学大臣


児童虐待防止対策の抜本強化を求める意見書
(平成28年3月25日提出)


児童虐待の背景には,家庭や地域における養育力の低下や子育ての孤立化,子育てに対する不安や負担感の増大等が起因しているといわれている。その中,児童虐待の相談対応件数は増加の一途をたどるとともに,複雑かつ困難なケースも増加している。

こうした現状に鑑み,国は昨年12月,すべての子どもの安心と希望の実現に向け,政府全体として関係省庁が連携して,効果的なひとり親家庭・多子世帯等の自立支援策及び児童虐待防止対策を講じるための「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」において,子育て世代包括支援センターの全国展開や母子保健事業の連携強化,児童相談所全国共通ダイヤル「189」の更なる周知,児童相談所体制強化プラン(仮称),里親委託等の家庭的養護の推進,退所児童等のアフターケアなどを内容とする「児童虐待防止対策強化プロジェクト」を策定した。

よって国におかれては,児童虐待防止対策強化プロジェクトで策定された施策の方向性を踏まえ,児童虐待発生予防から発生時の迅速かつ的確な対応,自立支援に至るまでの一連の対策強化のため,下記の事項について速やかに実施するよう強く要望する。



1 「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」を実現するために,早期に児童福祉法等改正案を国会に提出すること。
2 すべての自治体でホームスタート(家庭訪問型子育て支援)事業を実施できるように支援すること。
3 妊産婦や乳幼児等への健診・保健指導等を行う母子保健事業の実施が,児童虐待の発生予防や早期発見に資するものであることを,法律で明確化すること。。
4 通報に対し,緊急性の判断や関係機関との連携を的確に行える体制整備にも努めること。
5 児童相談所において,児童福祉司,児童心理司,保健師等をはじめとした職員配置の充実,子どもの権利を擁護する観点等から弁護士の活用等を積極的に図ること。
6 里親や養子縁組を推進し,家庭的養護のもとで子どもたちが安心して養育される環境を整えるとともに,施設退所後や里親委託解除後の児童等に対し,きめ細かなアフターケア事業を全国で実施すること。

  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(少子化対策)



地方公会計の整備促進に係る意見書
(平成28年3月25日提出)

地方公会計の整備促進に関しては,昨年1月の総務大臣通知により,全国の各自治体において,統一的な基準による財務書類を,原則として平成27年度から平成29年度までの3年間で作成するよう要請されているところである。

よって国におかれては,この通知に基づき,統一的な基準に基づく財務書類の作成及び活用を進めるに当たり,高齢化・人口減少という深刻かつ共通の課題を抱えている各地方自治体の厳しい財政事情に鑑み,可能な限り早期の整備ができるよう,下記の措置を講じられるよう強く要請する。




1 統一的な基準による財務書類を可能な限り早期に作成するため,その前提となる固定資産台帳の整備に取り組む必要があるが,同台帳の整備には相当な作業コストを要するため,団体の財政力に応じた適切な財政措置を講じること。
2 統一的な基準による財務書類を作成するに当たり,様々な相談内容に対応できるよう,公認会計士等の専門家を派遣するなど,実務面でのきめ細かな支援を実施すること。
3 統一的な基準による財務書類を作成し,活用するためには,複式簿記の知識等が必要となるため,自治大学校等における自治体職員向けの研修を更に充実するとともに,今後,財務書類を議会審議等で積極的に活用することができるよう,地方議員向けの研修も充実すること。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣

保育人材確保対策の推進及び保育の質の確保のための取組を求める意見書
(平成28年3月25日提出)


就業形態の多様化による社会の変化に伴い,子育てと就業の両立を支える保育園(所)の担う役割は年々大きくなっている。

国は,出産後・子育て中も就業が可能となる多様な保育のニーズに応えるために,保育園(所)の整備等により受け皿の拡大を図ることと併せ,保育の実施に不可欠な保育人材の確保のための取組を進めることとしている。

京都市は現時点において行わないとしているが,一方で首都圏等においては,保育士不足が極めて深刻な状況にあることを踏まえ,緊急的な保育の担い手確保対策として,平成28年4月から,保育士の配置要件を緩和し,保育士資格を有しない者を一定の条件の下,保育士とみなして保育に従事することを認めることとしている。

この措置は,あくまでも待機児童が解消し,保育の受け皿の拡大が一段落するまでの緊急的・時限的な対応とされているが,保育の質の確保及び保育園(所)での事故防止・安全対策の徹底の観点から,大きな懸念を抱かざるを得ない。

 また,平成25年に厚生労働省が行った「保育士資格を有しながら保育士としての就職を希望しない求職者に対する意識調査」では,保育士への就業を希望しない理由の第1位が「賃金が希望と合わない」であることから見て,保育園(所)で働く職員の処遇改善は人材確保のための重要な要素となっている。

 京都市では,これまでから市独自負担により,保育園(所)への運営補助金を確保し,国基準を上回る保育士配置を行うとともに,全国と比べて高い給与水準を確保してきた(全国の保育士の平均年収の約1.4倍)ものの,人口減少社会を打破するためには,全国的な規模で,より安定的な保育士の確保をはじめ,保育内容の質の向上が求められる。

よって国におかれては,保育人材確保対策の推進及び保育の質の確保のための取組として,下記の事項について適切な措置を講じられるよう要望する。

 



1 保育士等の質を確保するため,抜本的な処遇改善を行うよう,給付費等の改善措置を講じること。
2 保育士配置要件の緩和について,保育士不足が極めて著しい地域に限定するなど,保育内容の質を確保できる仕組みをつくること。
3 幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例制度について,特例教科目の受講機会を拡大するなど,保育士資格取得に係る環境整備を行うこと。


  以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣,内閣府特命担当大臣(少子化対策)