そうなの?どうなの?門川市長!京都のこれから発信局

京都市

料理人 髙橋拓児さん×女優 原日出子さん×京都市長 門川大作

#2 -“おせち”で堪能、京の食文化-

  • 髙橋拓児さん
    髙橋 拓児たくじさん
    「京料理・木乃婦」の三代目主人。フランス料理や理論的な料理技法を取り入れた新たな日本料理が国内外で高い評価を受ける。シニアソムリエの資格も持つ。
  • 原日出子さん
    原 日出子さん
    現在、NHK大河ドラマ「青天を衝け」をはじめ、KBS京都「キモイリ! 原日出子の京さんぽ」にも出演中。
  • 門川大作門川大作
    門川 大作
    京都市教育長を経て、2008年2月に第26代京都市長に就任。現在4期目。

ふるさと納税で愉しむ
京の食文化

コロナ禍で「出汁」が
4つから7つに増えたワケ
門川
本日のゲストは女優の原日出子さん、料亭「木乃婦」三代目主人・髙橋拓児さんです。
京のまちなかをお散歩する番組で年に7~8回訪れるので、私にとって京都は特別な場所。前は観光地しか知らなかったのが、今は人との出会いが楽しみです。お住まいの奥まで入れていただいて意外な歴史に出会ったり、京都で老舗を継ぐ大変さを伺ったり。皆さんの奮闘されている姿に感激しています。
髙橋
当店は86年前、祖父の仕出し屋が始まり。魚の行商をしつつお弁当を近隣に届けていました。近年は店での会席が主でしたが、コロナ禍で来店はほぼゼロ。でも仕出しの注文をいただき、祖父の教えが再び役立っています。出汁も4つから7つに増やしたんですよ。
門川
日本料理の出汁が3種類程度とはよく聞きますが、7つ?
髙橋
昆布と鰹節は大別すると各々2つ、真昆布(まこんぶ)と利尻昆布(りしりこんぶ)、本枯節(ほんかれぶし)と荒節(あらぶし)があります。味が変成しやすい・しにくい、腐りやすい・腐りにくいと特徴は様々。真昆布は味が変わりにくく腐りにくい。利尻昆布は腐りやすいが会席向き。本枯節は香りは良いがすぐに味が落ちる。荒節は酸っぱくならず炊けば、24時間はもつ。色々使い分けてきましたが、出張先で作る機会が増え、出汁の幅がさらに広がりました。例えば、昆布出汁だけ持参し、鰹節をガーゼで包んだ「鰹玉」をさっと入れ、香りだけ移したり。
門川
出張先でも狙い通りの味を出す。すごいですね。
髙橋
祖父が愛用していた昆布をよく使うように。味が強く甘いので私は使っていませんでしたが、一番腐りにくいとわかったんです。
糖分が防腐材になるんですね。本当に「料理は科学」。
髙橋
「夏場の仕出しに一番」と言っていた理由がわかりました。亡き祖父と、父、僕が一緒に仕事するかのようで、面白いです。
門川
経験則を科学的に分析するのは、京大大学院で学ばれた髙橋さんならでは。多くの京の料理人さんが大学等で学んでおられますね。ちなみに京都では、国の特区制度を活用し、外国人の日本料理店での就労を全国で唯一実現しています。
髙橋
当店にもこれまで、イタリアとデンマークの方が来られました。
門川
いずれ世界に「京都の“木乃婦育ち”です」という京料理店が!
髙橋
そうなれば嬉しいですね。
対談風景
旬味の輪郭をくっきり
京都・仕出しの極意
私も家族のために、日々「母ちゃん飯」をつくっています。原点は母。子どもの頃、「走りだよ」「露地物だよ」と旬を教わりました。季節ものを食べるのは理にかなっていて、旬に従えば体が調う。日本の四季の文化って、すごいと思います。
門川
旬を大切にされるのは、食育にもつながりますね。
でも忙しいときは無理しないし、出前も取ります(笑)。
門川
コロナ禍で話題のフードデリバリーの源は仕出し屋さんという説も。「仕出し」の極意とは?
髙橋
最大の特徴は常温でもおいしいこと。店で出すときは熱さ、冷たさ、香りに重点をおきますが、仕出しは味が一番。やや重厚な出汁の旨味で、味の輪郭をくっと立たせる。そして傷ませない工夫が大事。お酒と糖分をたくさん入れて、保湿・防腐性を高めます。ところでバランはなぜ切るか、知ってます?
どうしてですか?
髙橋
そもそも「ハラン」という植物の葉っぱで、刻むと殺菌成分が出る。山を緩く切ると出が悪いので夏場は細かく。
なるほど。
髙橋
ちなみに京都の幕の内弁当は、仕切りなしでびっしり詰めます。一番良いお弁当は、スタートとゴールが決まっていないもの。甘いのを食べたら次に辛いの、続いてご飯、さらに酸っぱいのが欲しくなる。どこから食べても、飽きずに味わえるお弁当です。
全国津々浦々食べ歩きましたがやっぱり、京都にはおいしいものが詰まってる。どのジャンルも「京料理の美学」を感じますね。口の中に残る味や香りは、五感に迫るような繊細さがあります。
門川
京都の食文化の深さを、体感してくださっていますね。
料理人の皆さんが大切になさっていることが伝わってきます。
門川
素材にこだわり、手間暇をかけ、伝統を大切にしつつ創意工夫を。何より食べる人の心を大事にするのが、京都の料理ですね。
対談風景
ふるさと納税を通じて、
京の食文化を未来へ
門川
京の食文化を支える日本初の京都市中央市場は開設90年を迎え、今や世界中から食材が集まります。市の食肉市場の歴史も古く、京の世帯当たりの牛肉消費額は全国一。京都肉の欧米・アジアへの輸出量も増えているんですよ。
すき焼きの名店も多いですね。
門川
ふるさと納税でも京都肉をはじめ、京の食文化を代表する返礼品が大人気。昨年、ふるさと納税で京都市から他自治体へ約41億円が流出。そこで食文化や伝統産業、京への旅等に焦点を当て、返礼品を充実しました。昨年の寄付受け入れ額の4割がおせちで、今年も木乃婦さんや老舗のこだわりの品を100種類以上揃えています。
髙橋
当店は今、京都近郊のみのお届けですが、来年厨房を改装、全国発送のシステムを準備中です。
私も是非、おせちをいただきたいです!毎年頑張って作っていますので。
門川
おせちと同様に、今、返礼品で注目を集めているのが、きものや美術工芸品。京都の老舗、匠、また芸術家の価値の高いものを直接お届けできるのも、ふるさと納税制度の特徴です。また、コロナ禍もあり、京の伝統産業は一層厳しい状況にあります。未来への継承のためにも、ふるさと納税を多くの方にご利用いただきたいですね。
私もまちを歩いていて、肌で感じています。看板はあるけれど閉じているところも多い。
門川
伝統産業はあらゆる宗教行事・文化を支え、同時に京セラ、任天堂といった先端企業のルーツでもあります。そんな「伝統と革新のまち」の料理人は料理するだけにとどまらない。挑戦を重ねる髙橋さんも茶道や能を学び、その心を日々活かしておられますね。
髙橋
今日もお能の稽古へ。
正に、五感を磨いて作品をつくるアーティストですね。
門川
コロナで厳しい中、髙橋さんら京都の料亭が中心となり、感染症対策を徹底したお店にお墨付きを与える「Chef's Criteria of New Normal(飲食店の最高安全基準)」もできました。豊かな食文化を次の世代に伝える契機になれば。この京都を“ふるさと納税”を通して感じ、その文化が持続可能なものとなるよう、全国の皆さんに応援いただけたらと願っています。
対談風景
  • 京都市のふるさと納税
  • デジタルブック『KYOTO 〜京都市ふるさと納税のご案内〜』

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