■ 平成21年第4回定例会 【意見書・決議】 |
100年に一度といわれる未曾有の経済危機により,京都経済の状況は依然として厳しく,市民生活への影響も甚大なものがある。昨年の秋以降,国における数次にわたる補正予算の財源を活用して,本市においても,市民生活の支援策や中小企業の振興策を展開してきたところであり,ようやく,我が国全体としては,景気の持ち直しの動きがかい間見えるようになってきたところである。 その一方で,現在,国において,本年5月に成立した緊急経済対策の補正予算の一部の執行を停止する措置について検討が進められているが,地方公共団体が実施する地域に根差した経済対策は,地域経済の下支えと住民生活の安心・安全の確保のために欠くことのできない内容のものばかりである。仮に,一部の予算が執行停止となった場合,地方公共団体において独自の財源で経済対策を実施する財政余力はなく,大きな混乱が生じることは必定である。また,地域経済の回復のためには,迅速に施策を展開する必要があり,国における方針決定が遅れることとなれば,地方公共団体の事業執行も滞ることが危ぐされる。 前政権の政策を見直し,予算配分の力点を変える場合でも,各自治体が執行してきた経済対策の財源に支障が生じないように配慮することは,国会及び政府が果たすべき最低限の責任である。 よって国におかれては,地域経済の反転回復と市民生活の安心・安全の確保のため,地方公共団体に関連する緊急経済対策予算のすべてを確保され,補助金等の交付手続を速やかに実施されるよう強く求めるものである。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
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(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣
新型インフルエンザに関しては,これまで多くの患者が軽症で回復してきた一方で,滋賀県の7歳の男児が死亡するなど,子供や妊婦,高齢者のほか,基礎疾患を有する方などを中心に重症患者が増加する可能性があり,対策の強化が急がれている。 今後,秋から冬に向けて新型インフルエンザの大流行が強く懸念される中,ウイルスの性状変化による毒性の増大や薬剤耐性の獲得が生じた場合などに備えて,これまでの対策について不断の検証を行い,新たな対策を講じていく必要がある。 よって国におかれては,新型インフルエンザ対策を強化するため,下記の施策の推進を図られることを強く求める。 |
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記 | |
1 | 院内感染対策の徹底など,医療従事者や重症化のおそれのある基礎疾患を有する方などの感染防止対策を強化すること。 |
2 | 重症患者に対する適切な医療提供体制を確保すること。 |
3 | 感染拡大及びウイルス性状変化を早期に探知するサーベイランス(調査・監視)を実施すること。 |
4 | 国産ワクチンの製造体制強化に努め,速やかな接種を可能とすること。 |
5 | 地方自治体の負担軽減に向けた国の助成制度や経済的負担に耐えられない人に配慮した接種体制を整備すること。 |
6 | 地方自治体,医療機関及び国民に対して迅速かつ適切に情報を提供すること。 |
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
核超大国・米国のオバマ大統領は,4月,プラハにおいて,核兵器を唯一使用した国の道義的責任を表明し,核兵器廃絶の演説を行った。また,9月には,国連安全保障理事会で,「核兵器のない世界」を目指す決議が全会一致で採択された。このことは,米国の核廃絶構想への確かな一歩になると期待され,核軍縮から核廃絶に向けての大きな潮流を作ったといえる。 今後は,この核廃絶,核兵器なき世界に向けての決議の内容をいかに実施するかが重要であり,この機を逸することなく,日本は,唯一の被爆国として,核廃絶に向けて国際的な流れを推進していかなければならない。 よって国におかれては,以下の取組を強化することを強く求めるものである。 |
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記 | |
1 | 非核三原則を堅持するとともに,平和市長会議が提唱する,2020年までに核兵器の廃絶を目指す「2020ビジョン」を支持し,その実現に向けて取り組むこと。 |
2 | 2010年の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議の成功に向けて,国際社会との連携を強め,核軍縮,核不拡散体制の基礎となるNPT体制の強化を積極的に図ること。 |
3 | 包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を目指すとともに,兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約)の成立へ向けて,各国との交渉の早期実現を図ること。 |
4 | NGO,自治体,企業など世界の市民社会と連携し,「核兵器は,開発・保有・使用ともに違法」との規範意識を国際社会の中で確立するよう努めること。 |
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
教育機関に対する我が国の公財政支出の対国内総生産(対GDP)比は3.3パーセント(平成18年)で,経済協力開発機構(OECD)加盟諸国平均の4.9パーセントと比べると,いまだ低いと言わざるを得ない。 所得格差の拡大や雇用情勢の悪化が不安視される中で,家庭の経済状況の格差が進学機会や学力の格差につながることのないよう,家庭における教育に要する費用の軽減について,中心的課題として取り組んでいくことが必要である。 よって国におかれては,安心して教育が受けられる社会を実現するため,高校生,大学生向けの就学援助制度や新たな給付型奨学金を創設するとともに,低所得者に配慮した施策を行うことを強く求める。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
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(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣
政府は,新年度予算の財源確保策として,突然かつ一方的に「子育て応援特別手当」の執行停止を決定した。 「子育て応援特別手当」は,経済危機対策の一環として,現下の厳しい経済情勢を踏まえ,幼児教育期の負担に配慮する観点から制度化されたものであり,早期の支給を心待ちにしていた子育て世帯の期待を踏みにじるものである。 既に本市では,6月市会臨時会において事業費予算を全会一致で可決し,支給に必要な事務費の執行を含め,事業実施に向けて着実に準備を進めていたところである。 こうした地方の実情や意見を聞くことなく,一方的に執行を停止したことは,住民や自治体の現場に大きな混乱を与え,国と地方の信頼関係を大きく損なうものである。 よって国におかれては,こうした地方の実情を十分考慮して取り組まれるよう,強く要請する。 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
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(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
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