米国ハワイ沖における実習船と原子力潜水艦との衝突事故に関する意見書
(13.3.1提出)
去る2月9日(日本時間2月10日),米国ハワイ沖にて愛媛県立宇和島水産高校実習船「えひめ丸」が,急浮上した米国海軍の原子力潜水艦に衝突され,沈没した。同船に乗り組んでいた実習生4名,教官2名,乗組員3名の9名がいまだに行方不明となっており,その御家族や同校関係者の悲しみ,心痛を考えると断腸の思いである。
事故発生後の調査が進むにつれて,民間人が同潜水艦の操縦にかかわっていた事実や水中音波探知装置(ソナー)の探知状況を確認する画面が故障していたことなど様々な問題が明らかになってきた。
よって国は,米国政府に対して,関係者への謝罪と補償,行方不明者の捜索活動と一日も早い船体の引揚げ,査問会議の完全公開など情報の開示を求めるとともに,衝突原因の徹底的な究明を求めるよう強く要望する。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,外務大臣
(13.3.23提出)
特定家庭用機器再商品化法,いわゆる家電リサイクル法は,家庭や事業所から捨てられる家庭用のエアコン,テレビ,冷蔵庫,洗濯機を対象として,消費者,家電販売店,家電メーカーの役割分担により,リサイクルを行い,ごみの減量,資源の有効利用を推進するために定められたものである。その実施に当たっては,対象4品目に係る消費者,家電販売店,家電メーカー間のスムーズな回収システムが構築されなければならない。
しかし,家電リサイクル法による再商品化を円滑に進めるためには,消費者の協力が不可欠であるにもかかわらず,家電販売店への回収料金の支払いに加え,家電メーカーへの再商品化等料金の支払いを廃棄段階で求めることになり,消費者の理解と協力が得られるかどうか懸念されるところである。
更に,大型家電販売店の廉売攻勢はし烈を極め,回収料金の格差問題など中小家電販売店の置かれている状態はひっ迫したものとなっている。
また,本法律は3年前に制定されたにもかかわらず,国民に対し周知徹底を図ることなく今日に至ったことが,法の実施を目前にして大きな困惑を招いている要因となっている。
よって国におかれては,下記のことを実施されるよう強く要望する。
1 | 消費者,家電販売店,家電メーカーなどが役割を分担してリサイクルに取り組む制度の趣旨や仕組みが十分に理解され,不法投棄や回収料金の肩代わりが発生しないよう,積極的な広報活動を実施すること。 |
2 | 家電メーカーが拡大生産者責任を十分理解し,より再利用しやすい製品の開発に努めるとともに,リサイクルに掛かる経費の削減を図っていくよう,監督・指導していくこと。 |
3 | 引取り,リサイクルに掛かる費用を製品出荷時の価格に上乗せすることにより,購入時に省資源の観点から家電製品を選択することができることとなる仕組みづくりなど,消費者が理解しやすい制度への改正について,今後検討していくこと。 |
4 | 不法投棄物のリサイクルに掛かる費用については,家電メーカーをはじめ関係業界等に一定の負担を課すよう,制度を改めること。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣,環境大臣
(13.3.23提出)
我が国においては国民皆年金が確立され,20歳から60歳までの国内に居住している者は国民年金制度の加入対象者とされているが,現在高齢者や障害者でありながら,年金を受けることができず,困難な状況に置かれた数多くの人々が存在する。
国においては,高齢者や障害者をはじめとした無年金者の救済に向け,年金制度の改正が実施されており,また市町村においては適用の促進や広報活動の強化など,無年金者防止のため,様々な対策が講じられてきたが,依然多くの無年金者が存在しており,その存在は都市において大きな社会問題にもなりかねないものと予想される。
また,平成6年の年金制度改正の際,無年金障害者問題については,福祉的な措置を含めた速やかな検討を求める衆参両院の附帯決議が付されたところである。
よって国におかれては,現行の社会保険方式による年金制度を前提としつつも,国民皆年金の実現と,新たな無年金者の発生の防止をするため,年金制度の一層の改善措置を早急に講じるべきである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
(13.3.23提出)
長期にわたる景気低迷が続く中,我が国の雇用情勢は依然として厳しいものがある。
2000年12月の完全失業率は4.8パーセントであり,その中でも特に60〜64歳の高齢者の完全失業率は6.9パーセントという高水準にある。
一方,民間企業における心身障害者の実雇用率は,2000年6月1日現在で,前年と横ばいの1.49パーセントであり,法定障害者雇用率が1.8パーセントと設定されているにもかかわらず,単なる努力目標であるために,多くの企業において,目標を大きく下回っている。
よって国におかれては,21世紀の少子・高齢社会においては,我が国の労働人口の減少が確実に見込まれることからも,高齢者及び障害者の雇用促進のために,下記の対策を早急に打ち出すべきである。
1 | 高齢者の雇用における年齢制限の緩和を行い,定年の延長,継続雇用及び再雇用を促進するために,実効性ある対策を講じること。 |
2 | 高齢者が長年培った知識・技能を生かし,社会の貴重な人材として能力を発揮し,地域に密着した就労ができるよう高齢者対象の起業への積極的支援を行うこと。 |
3 | 法定障害者雇用率の達成のために,障害者の働く場となっている作業所に対する支援策を強化するとともに,IT講習やパソコン購入の補助及び障害者用ソフトの開発・助成などの実効性ある施策を講じること。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
(13.3.23提出)
去る1月26日にJR山手線新大久保駅で発生した転落事故は,線路やプラットホームなどの駅構内における安全対策の必要性を改めてクローズアップした。
これまでも視覚や身体に障害を持つ方々などが線路に落ちる事故が相次いでおり,「東京視力障害者の生活と権利を守る会」が行ったアンケート調査によれば,3人に2人が線路に落ちた経験があり,1994年12月以降,5年間に全国で11人の方々が亡くなっているとの報告がある。
近年,一部の駅舎等において,身体障害者や高齢者等のための安全対策が講じられつつあるものの,多くの駅舎等においては,まだまだ不十分である。特に今回の事故の現場となった線路内においては,転落検知マットや転落等の場合の避難場所が不備であるなど,転落そのものを防止する抜本的な対策が求められている。
交通バリアフリー法が制定され,今後,駅構内や駅周辺のバリアフリー対策が実施されていくが,併せて線路やプラットホームなどの駅構内の安全対策の強化を図る必要がある。
よって国におかれては,今後こうした事故の再発を防ぐために,ホーム柵の設置など鉄道事業者に提出を求めている安全対策の整備計画を確実に実施させるよう指導を徹底するとともに,そのための支援策を講じるよう強く求めるものである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣
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