菅原道真神製碑

KA161

すがわらのみちざねしんせいのひ
石碑(0029136)石碑周辺(0029137)

 もと加賀藩主前田斉泰が北野天満宮に奉納した,菅原道真作五言律詩を刻した碑。天満天神すなわち菅原道真の作なので「神製」と題額に記す。記された詩は「菅家文草」巻一から「九日侍宴同賦喜晴応製」,巻三から「賦得春之徳風」の五言律詩二首である。この二首を前田斉泰とその子慶寧が揮毫し,斉泰の七男利鬯(もと加賀大聖寺藩主)が梅の絵を描いている。
 斉泰の孫利嗣が記した碑記によれば,前摂政二条斉敬が斉泰に北野天満宮への建碑を勧めたという。斉敬の子(養子)基弘夫人は前田斉泰の娘。前田家は道真の末裔といい,領内に多数の天神社を勧請している。また前田家五代綱紀(松雲公)は古典籍研究・蒐集事業のひとつとして「菅家文草」「菅家後集」の善写本を全国にもとめ,現在も研究に資するところが大きい。

所在地上京区馬喰町(北野天満宮内)
位置座標北緯35度01分45.2秒/東経135度44分06.5秒(世界測地系)
建立年明治2年
建立者前田斉泰
寸 法高210×幅140×奥行30cm
碑 文
[西]
神製【題額】
和風期五日徳化在三春遠近吹無
頗高低至有隣開花驚老樹解凍放
潜鱗号令今如此応知養長仁
   正三位菅原朝臣斉泰敬書
重陽資飲宴四望喜秋晴不是金飆
払応縁玉燭明無為玄聖化有慶兆
民情献寿黄華酒争呼万歳声
   従三位菅原朝臣慶寧謹書
 前摂政二条藤公嘗以斉泰為 菅神裔勧建碑祠前乃選菅家文草
 中五律二篇父子各書一首又命第七子従四位菅原朝臣利鬯画梅
 花扁題則有栖川中務卿一品親王所書併勒以建焉明治二年歳次
 己巳秋七月斉泰拝識
         孫 従四位菅原朝臣利嗣謹書
                  東京
                  廣羣鵬刻
碑文の大意ここをクリック
調 査2012年6月28日
備 考掲載時には解説に「なお,この碑を刻した広群鶴は江戸(東京)の伝説的な石工であるが,京都で同人が刻した碑を見ることはまれである。」という一節を附したが,彫られている石工名はあきらかに「廣羣鵬」であり誤り/この修正は「京都クルーズ・ブログ」(office34.exblog.jp/)の2013年5月12日付記事に示唆されたものである

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