■ 平成25年第1回定例会 【意見書】 |
国民皆保険制度は,全ての国民が平等な医療を受けることができる極めて優れた制度であり,国民は,「いつでも・どこでも・誰でも」安心して医療を受けることができる。 現在,TPPの交渉参加に関する議論の中でも,アメリカ型の保険制度等の影響が心配されているところであり,制度,また,最終的には医療の崩壊を危惧するところである。 よって国におかれては,国民皆保険制度の恒久的堅持はもとより,所得差によって内容が変わるような,医療の営利産業化を招くことがないよう強く求めるものである。 |
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
脳脊髄液減少症とは,交通事故などにより,頭頸(けい)部や全身を強打することで脳脊髄液が漏れ続け,頭痛,けん怠感といった様々な症状が複合的に発症する疾病と言われている。
医療現場においては,このような症状の原因が特定されない場合が多く,患者は,「怠け病」あるいは「精神的なもの」と判断されてきた。また,この疾病に対する治療法として,ブラッドパッチ療法の有用性が認められつつも,保険適用外であり,診断・治療基準も定まっていないため,患者本人の肉体的・精神的苦痛はもとより,患者家族の苦労も計り知れないものがある。 平成23年度の厚生労働省研究班による「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」の報告書に,「交通事故を含め外傷による脳脊髄液の漏れは決して稀ではない」と明記され,このことにより,外傷による髄液漏れは有り得ないとの医学界の常識を覆す結果となった。 さらに,脳脊髄液減少症の一部である「脳脊髄液漏出症」の画像診断基準が定められ,昨年5月に,治療法である硬膜外自家血注入療法(いわゆるブラッドパッチ療法)が「先進医療」として承認され,7月からブラッドパッチ療法の治療基準作りが開始された。 また,研究班により,世界初と言われる脳脊髄液減少症の周辺病態の研究も並行して行われることになっているが,脳脊髄液減少症患者の約8割は,「脳脊髄液漏出症」の診断基準には該当しないため,脳脊髄液減少症の周辺病態の解明に大きな期待が寄せられている。 よって国におかれては,下記の事項について,適切な措置を講じられるよう強く要望する。 |
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記 | |
1 | ブラッドパッチ療法の治療基準を速やかに定め,早期に保険適用とすること。 |
2 | 「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」を平成25年度以降も継続し,「診療ガイドライン」の早期作成と共に,子どもに特化した研究及び周辺病態の解明を行うこと。 |
3 | 脳脊髄液減少症の実態調査を実施し,患者・家族に対する相談及び支援体制を確立すること。 |
4 | ブラッドパッチ療法に関する「先進医療」認定施設の増設に努めること。 |
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
記 | |
1 | 患者数が特に少ない希少疾病用医薬品(ウルトラ・オーファンドラッグ)の開発を促進・支援するための法整備を行うこと。 |
2 | 希少疾病に関する研究事業の更なる充実強化と継続的な支援を行うこと。 |
3 | 希少疾病用医薬品の早期承認と医療費補助を含む患者負担軽減のための措置を講じること。 |
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
政府は,生活保護の基準を見直し,3年間で生活保護費740億円の減額を決めた。 生活保護世帯以外の低所得者世帯では,住民税,保育料,保険料の自己負担分や就学援助費や生活福祉資金貸付などへの影響が懸念され,その対応策が検討されている。 また,生活保護世帯では,特に,高齢者や疾病・障害をお持ちの方々の健康に対する影響や,世帯の教育に関わる費用の減額による子どもの学力の低下等も懸念される。 よって国におかれては,一部で見られる低所得者と生活保護世帯の逆転現象の解消は必要であるが,真に援助が必要な受給者への給付の削減だけではなく,低所得者全体への影響が大きい生活保護基準の引下げは,現時点における物価や社会経済情勢などを総合的に勘案し,見直しによる影響を慎重に検討し,実行するべきである。 |
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
東日本大震災発災から2年が経過した。被災地においては,国,自治体,民間団体等による懸命の努力により,復旧,復興に向けた着実な取組が進められているものの,復興住宅の建設や被災者の生活再建には,まだまだ多くの時間を要することが見込まれる中,3月11日時点において,京都市には101世帯,260名の方が市営住宅と民間住宅に入居されている。 市営住宅等における無償供与については,当初2年間であった供与期間が1年間延長されたことは,避難をされている方々の思いに沿ったものであるが,本格的な生活再建には住宅の安定的な確保が必要であり,単年ごとの更新ではなく,複数年にわたっての住宅の確保が求められている。 さらに,本市に避難されている101世帯のうち17世帯は,東京電力福島第一原子力発電所の事故に起因し,自主的に避難をされている方々である。 国会においては,昨年6月21日,「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「原発事故子ども・被災者支援法」という。)が全会一致で可決・成立し,「福島復興再生特別措置法」及び「被災市街地復興特別措置法」による特例措置の適用対象とならない方々に対する支援も打ち出されたが,地域における放射線量が一定の基準である支援対象地域が明確になっておらず,避難先での住宅の確保,子どもの学習等の支援,就業の支援などに必要な施策がいまだに講じられていない。 よって国におかれては,東日本大震災で被災された方々の住宅支援等に関する以下の点について,早急に実現するよう強く求める。 |
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記 | |
1 | 現在3年とされている応急仮設住宅の供与期間について,被災地における復興住宅の整備には,なお数年を要するという状況に鑑み,被災者の精神的苦痛や経済的負担を軽減するために,複数年にわたる供与期間の延長を行うこと。 |
2 | 東京電力福島第一原子力発電所事故に起因し,避難している被災者を支援するため,速やかに支援対象地域を明確にするとともに,「原発事故子ども・被災者支援法」第9条に規定する移動先(避難先)における住宅の確保に関する施策を早急に講じると同時に,住民票を移動先に移されている方々にも,国が当該自治体と連携をし,必要な情報,サービスを提供すること。 |
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣,復興大臣
中小企業を取り巻く環境は,長引くデフレをはじめ,欧州や中国向け需要の低下による輸出減などの影響を受け,依然として厳しい状況が続いている。2012年10−12月期の中小企業景況調査によると,「製造業は前期比で横ばい」とし,製造業を中心に業況は,足踏み状態と言える。
こうした状況下での中小企業に対する支援策は,金融支援だけでは不十分で,再生・活性化策が極めて重要となっている。 例えば,地元の各金融機関がコンサルティング能力を発揮して,中小企業の主体的な取組と経営再建意欲を促すようにするなど,経営改善につながる支援施策なども必要である。 京都市においては,京都府と共に,中小企業の経営改善・事業再生の取組を促進するため,「京都金融支援連携協議会」を創設し,支援体制の充実を図っている。 そのうえで,政府が目指している「強い経済」を取り戻すには,更なる地域経済の活性化が不可欠であり,そのためにも中小企業の再生・活性化策は急務である。 昨年8月に施行された「中小企業経営力強化支援法」では,金融機関をはじめ,商工会や公認会計士,税理士,中小企業診断士などを認定支援機関として位置付け,経営支援体制を構築するとしており,これが十分に機能すれば,中小企業の経営改善が期待できる。とりわけ,地域の金融機関による地元の中小企業に対する支援体制を強化することが重要である。 よって国におかれては,以下の事項について早急な対策を講じるよう求める。 |
記 | |||||
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
世界銀行が昨年10月に発表した世界開発報告によると,欧州危機などによる世界の失業者約2億人のうち4割弱は,25歳未満の若者である。 一方,国内においても,完全失業率を年齢階級別に見ると,2011年では15〜24歳が8.2パーセント(総務省統計局:労働力調査)と最も高く,20年前と比べると2倍近い結果となっており,若者にとっては依然として厳しい雇用環境が続いている。 若者世代が安定した職を得られなければ,家庭を築くこともできず,未婚化による更なる少子化から,将来的に社会保障制度を支える人が少なくなることも懸念される。若者世代が経済的に自立できるかどうかは,将来の国の発展に直結する課題である。 国内の労働市場は,高齢化による縮小が予想され,主に大企業では,新規採用を抑える一方で,グローバル化の対応から人材を海外に求める傾向を鮮明にしている。もはや若者の雇用不安は,個人の努力で乗り越えるというより,就業における構造的問題に陥っている。また,非正規雇用の拡大で,若者世代の経済基盤が弱くなっていることから,まずは「非正規」でも一定の生活ができるよう,正規・非正規の処遇格差の解消を図ることや,成長産業を中心とする雇用創出策が急務である。 次代を担う若者世代が社会で活躍できる人材となっていくかどうかは,厳しい雇用環境の改善のみならず,ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の実現に向けた抜本的改革に懸かっていると言っても過言ではない。 よって国におかれては,以下の事項について早期に取り組むことを強く求める。 |
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衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣 |
安倍晋三首相は,3月15日,TPP協定交渉への参加を表明した。TPP交渉は,関税以外に,サービス,投資,食の安全等の広範な分野を対象にしている。そもそも,加盟国及び交渉国に日本を加えた12箇国のGDPを比較すると,域内のGDPの約8割程度を日本とアメリカの2箇国が占めるため,実質日米のFTAだとする見方もあり,農業問題だけでなく,食の安全,医療・保険の安心など,国の形を変える内容を含むものとして,反対ないし慎重な対応を求める意見書等が採択されている。 よって国におかれては,ISD条項,ラチェット規定などに留意し,情報開示,国民的議論及び国益に関するコンセンサスという3条件を満たすこと。 また,国民に対し,説明責任を果たすよう強く求めるとともに,交渉はくれぐれも慎重に進めること。 |
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以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 |
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(提出先) 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,外務大臣 |
[目次][会期日程][議案・審議結果][付帯決議等][意見書・決議][採択請願] |
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