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 平成23年第2回定例会 【意見書】

公共交通機関のバリアフリー化の更なる推進を求める意見書

(23年3月15日提出)

 本格的な高齢社会を迎えたことで,高齢者が安心して生活を送りながら,社会・経済活動にも積極的に参加できる社会の構築がますます求められている。また,障害者が必要なサービスを享受しながら,自立し,安心して暮らすためにも公共施設等のバリアフリー化が喫緊の課題である。
 政府は,これまで平成18年制定の「バリアフリー新法」に基づき,1日の平均利用者数が5,000人以上の鉄道駅やバスターミナル等について,平成22年までに全てバリアフリー化することを目標に取組を進めてきた。しかしながら,例えば鉄道駅のバリアフリー化の進捗率は,段差の解消では約77パーセント(平成22年3月末現在)にとどまっている。平成23年度以降,3,000人以上へと基準が引き下げられ,新たな地域鉄道駅も対象に加わることが見込まれる。
 よって国におかれては,地方公共団体,事業者の連携強化を図りつつ,地域のニーズに対応した公共交通機関のバリアフリー化を更に推進するよう,以下の項目の実施を強く求める。
 未整備のいわゆる整備困難駅に対し,より実効性のあるきめ細かい財政支援を行うこと。
 地方公共団体の財政状況及び地域鉄道の経営状況に配慮し,補助等の支援措置を充実すること。
 特に,鉄道駅のホームにおける転落防止効果が期待されるホームドア(可動式ホーム柵)設置に関する補助を充実すること。
 身体障害者や要介護者など移動制約者の福祉輸送ニーズに対応した福祉タクシーやノンステップバスの普及に努めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,国土交通大臣


若者の雇用対策の更なる充実を求める意見書

(23年3月15日提出)

 今春卒業見込みの大学生の就職内定率は,昨年12月1日時点で68.8パーセントにとどまり,調査を開始した1996年以降で最悪となった。日本の将来を担うべき若者の人生にとって厳しい問題であり,経済・社会の活力低下という点から見ても,大変憂慮すべき事態である。
 景気低迷が長引く中,大企業が採用を絞り込んでいるにもかかわらず,学生は大企業志向が高く,一方,採用意欲が高い中小企業には人材が集まらないといった,いわゆる雇用のミスマッチ(不適合)が就職内定率低下の要因の一つと考えられる。政府は,こうした事態を深刻に受け止め,今こそ若者の雇用対策を更に充実させるべきである。
 特に,都市部で暮らす学生が地方の企業情報を求めても,地方に所在する多くの中小企業は資金的余裕がないなどの理由で事業内容や採用情報などを提供できておらず,都市と地方の雇用情報の格差が指摘されている。若者の雇用確保と地元企業の活性化のためにも,自治体が行う,中小企業と学生をつなぐ「マッチング事業」に積極的な支援が必要と考える。
 よって国におかれては,雇用ミスマッチの解消をはじめとする若者の雇用対策を充実させるため,以下の項目を早急に決定・実施するよう強く求める。
 人材を求める地方の中小企業と学生をつなぐための「マッチング事業」を,自治体が積極的に取り組めるよう,支援すること。
 都市と地方の就職活動費用の格差を是正するとともに,どこでも情報を収集できるよう,就活ナビサイトの整備等を通じて,地域雇用の情報格差を解消すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣,経済産業大臣


国民健康保険制度の抜本的改革と国民健康保険に対する財政措置の拡充を求める意見書

(23年3月15日提出)

 国民健康保険制度は,低所得者や高齢者の加入割合が高く,財政基盤がぜい弱であるという構造的問題を抱えており,本市の国民健康保険事業は,平成21年度末で80億円もの巨額の累積赤字を抱える危機的な状況にある。その中で,本市の非常に厳しい財政状況の下,平成23年度は,一般会計から,77億円もの巨額の財政支援を行い,総額148億円を繰り入れることとしているが,景気の悪化により市民生活は大変厳しい状況にあり,被保険者の負担は限界に達しつつあるところである。
 京都市という一地方自治体の努力には限界があり,現行制度のままでは,市民の医療を守るセーフティネットとしての国民健康保険制度を将来にわたって安定的に運営することは困難であるため,国において制度の抜本的改革を行うよう,強く要望してきたが,これまで実現せず,もはや一刻の猶予もならない。
 現在,国において,高齢者医療制度の見直しについて検討が行われており,その最終とりまとめが示されたが,国民健康保険制度の抜本的改革については具体的なものとはなっておらず,国民健康保険の構造的問題を解決する道筋は付いていない。
 国民の医療を保障する国の責務として,被保険者や地方自治体にこれ以上の負担を課さない医療保険制度を速やかに構築すべきである。特に,市町村の国民健康保険は,他の制度と比べて被保険者の負担が大きく,被保険者間の負担の公平化を図るため,全ての国民が加入する医療保険制度への一本化を実現しなければならない。
 よって国におかれては,医療保険制度の抜本的改革,とりわけ,全ての国民が加入する医療保険制度への一本化の早期実現と財政措置の大幅な拡充を強く求める。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


我が国の農業振興に関する意見書

(23年3月15日提出)

 政府は,昨年11月9日に「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し,環太平洋パートナーシップ(TPP)協定について,その情報収集を進めながら,国内の環境整備を早急に進めるとともに,関係国との協議を開始することとした。
 TPPは,原則として全品目の関税を撤廃し,また,サービス貿易,政府調達,知的財産,人の移動等を包括的に協定するものであり,締結すると経済・産業に極めて大きな影響が生じるものと想定されている。
 とりわけ農業分野においては,農林水産省の試算によれば,米の生産量が90パーセント減少し,食料自給率が14パーセントまで低下するとされている。
 京都市の農業は,野菜を中心とした生産構造であることから,どの程度の影響があるのか不明なところはあるが,経営規模が全国平均を大きく下回ることから,稲作が主体の中山間地域では深刻な影響を受けることが懸念される。このことで,国土保全などの多面的な公益機能を有する農地が荒廃し,地域社会が崩壊することは,深刻な事態である。
 よって国におかれては,拙速にTPPに参加することなく慎重に対応するとともに,食料自給率向上と,地域ごとの農業の特性及び農村地域の維持の観点から,実効ある具体策を早急に講じられるよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣



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