ハートフルマーク
 平成19年第3回定例会 【意見書・決議】

原爆症認定と被爆者救済対策強化についての意見書

(19年10月5日提出)

 我々は,次世代に明るい未来を切り開いていくために,残された戦後の重要諸課題の解決に向け,真摯に取り組んでいかなければならない。そうした戦後諸課題の中に,広島と長崎への原爆投下の問題がある。原爆投下後62年経った現在でも,国内には約25万人強の被爆者(被爆者健康手帳所持者)の方々がおられ,原爆症の発病はじめ多くの苦難と向き合っている。しかしながら,被爆者約25万人強のうち,原爆症認定を受けているのは,約2200人と1パーセントにも満たない。これは,現在使用されている認定基準が古く,被爆の実態を反映しておらず,また,近時の科学的根拠に基づくものとなっていないためである。厚生労働省は,こうした方々の悲痛な叫びとも言える原爆症認定の申請を却下し,数多くの裁判でも認定すべきとの判決が下されたにもかかわらず,かかる原爆被爆患者の認定を拒み続けている。既に高齢化している被爆者の救済が人道的見地,社会的見地からも一刻の猶予も許されないことは,論をまたない。
 よって国におかれては,可及的速やかに原爆症認定基準の改正を行い,被爆者の事情にかんがみ,迅速かつ適正な対応を採るよう強く要望する。
 
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣 


割賦販売法の抜本的改正に関する意見書

(19年10月5日提出)

 クレジット契約は,代金後払いで商品が購入できる利便性により,消費者に広く普及している一方,強引で悪質な販売方法と結びつくと,高額かつ深刻な被害を引き起こす危険な道具にもなるものである。
 現在,クレジット会社の与信審査の甘さから,年金暮らしの高齢者に対して,支払能力を超える大量のリフォーム工事等の「次々販売」が繰り返されたり,年齢や性別を問わず,クレジット契約を悪用したマルチ商法,内職商法その他の詐欺的商法の被害が絶えないところである。このようなクレジット被害は,クレジット契約を利用するがゆえに悪質な販売行為を誘発しがちなクレジット契約の構造的危険性から生じる病理現象であると言える。
 経済産業省の産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会は,このように深刻なクレジット被害を防止するため,平成19年2月から,クレジット被害の防止と取引適正化に向けて割賦販売法の改正に関する審議を進めており,本年中にも法改正の方向性が示されようとしている。今回の改正においては,安心・安全なクレジット契約が消費者に提供されるよう,クレジット会社の責任においてクレジット被害の防止と取引適正化を図る法制度が必要である。
 よって国におかれては,割賦販売法改正に当たり,下記の事項を実現するよう強く要望する。
 過剰与信規制の具体化
 クレジット会社が,顧客の支払能力を超えるクレジット契約を提供しないように,具体的な与信基準を伴う実効性ある規制を行うこと。
 不適正与信防止義務及び既払金返還責任の導入
 クレジット会社には,悪質販売行為等にクレジット契約を提供しないように,加盟店を調査する義務だけでなく,販売契約が無効,取消又は解除となったときは,既払金の返還義務を含むクレジット会社の民事共同責任を規定すること。
 割賦払い要件及び政令指定商品制の廃止
 1,2回払いのクレジット契約も法の適用対象に含め,政令指定商品制を廃止することにより,原則としてすべてのクレジット契約を適用対象とすること。
 登録制の導入
 個品方式のクレジット事業者(契約書型クレジット)について,登録制を設け,契約書面交付義務及びクーリング・オフ制度を規定すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,内閣府特命担当大臣(金融),総務大臣,経済産業大臣


国民皆保険制度等に関する意見書

(19年10月5日提出)

 我が国の医療保険制度は,「誰もが,いつでも,どこでも」安心して適切な医療を受けることができる世界に冠たる国民皆保険制度として,国民の健康と福祉の向上に大きく寄与している。このことにより,世界トップレベルの長寿社会を達成し,維持することができ,他国に誇るべき制度として,高い評価を得ている。
 しかし,近年における著しい高齢化の進展や医療技術の進歩は,必然的な医療費の増加や医療関係者の疲弊を招来しつつあり,国を挙げての医療制度改革が求められている。
 このような中,平成20年4月からは,75歳以上の後期高齢者を対象とする独立した医療保険制度が創設されるなど,高齢者自身の保険料負担や自己負担率の見直しが行われようとしている。また,療養病床の再編,地方の医療機関や小児科,産婦人科等における医師不足の顕在化などにより,多くの国民は,将来において,安定的で質の高い医療を享受することに不安を抱いている状況にある。
 よって国におかれては,すべての国民が,安心して,安全で良質な医療を引き続き受けることができるようにするため,下記の措置を講じられるよう強く要望する。
 国民皆保険制度を堅持すること。
 平成20年度から施行する後期高齢者医療制度については,高齢者の誰もが安心して医療を受けられる制度となるよう財政措置を含め必要な措置を講じること。
 地域や特定の診療科の医師不足を解消し,地域間医療格差の是正のための実効ある措置を講じること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


自立更生促進センター設置計画に関する意見書

(19年10月5日提出)

 法務省は,上京区烏丸今出川上る岡松町255にある京都保護観察所敷地内に宿泊施設を整備し,身元引受先がない刑務所の仮出所者等を一定期間受け入れ,社会復帰を支える「自立更生促進センター」の設置を平成19年度に行い,平成20年度中に運営を開始する計画を発表した。
 罪の償いを終えた方が順調に社会復帰されることは,意義深いことであり,そのような施設が設置されることに反対するものではない。
 しかしながら,本施設の設置については,地元「説明会」が行われたが,参加した地元住民から,従来の保護観察所と地域との関係が過去50数年間にわたり何ら配慮されてこなかったことが初めて指摘される等,多くの不満が噴出し,「説明会」は不成立に終わっている。
 また,地元住民を中心に十分な説明がないため,様々な情報が錯綜し,新たな不安を生み出してもきている。
 よって国におかれては,「自立更生促進センター」の設置場所については,地元住民の不安を解消するために説明責任を十分果たす中で,協議を重ね,地元住民の意向を把握し,当該地区の状況を十分御理解のうえ,見直しも含め再検討されることを強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣


地上デジタル放送の難視聴解消のための施策を求める意見書

(19年10月5日提出)

 京都市では,広大な山間地域を有しており,これらの地域では,現在,共聴施設を設けてアナログ放送を受信し,テレビを視聴しているが,地上デジタル放送を受信するためには,共聴施設を移設する必要があることが判明している。この共聴施設の移転や改修には,多額の費用が掛かり,現行の国の財政支援措置を活用しても,住民は極めて過重な費用負担をしなければならない。
 また,アナログ放送を自宅のアンテナで直接受信している地域においても,デジタル放送の直接受信が困難となる地域があることが判明しており,当該地域においては,新たに共聴施設を設置する必要があるが,これに対する国の財政支援措置はなく,住民は,地上デジタル放送を受信するために多額の費用を負担しなければならない。
 さらに,京都市域では,都市受信障害共聴施設によりアナログ放送を視聴している世帯が多くあるが,地上デジタル放送を視聴するための共聴施設の改修に掛かる費用を誰が負担するのか等について,当事者間での協議が円滑に進まないことが懸念される。
 これらの対応によっては,地上デジタル放送配信の目的である高画質,高音質放送に加え,双方向番組など視聴者に更なる高度な情報を提供するどころか,テレビを視聴しない世帯を生み出すことにもなりかねない。
 よって国におかれては,上記のような京都市の状況を踏まえ,下記の措置を講じられるよう要望する。
 京都市の山間部において地上デジタル放送の電波の個別受信が可能となるように,デジタル中継局の整備を国及び放送事業者の責務として行うこと。
 地上デジタル放送を視聴するための共聴施設の改修に係る財政支援措置を拡大すること。
@ 過疎地域,辺地等に限定している有線共聴施設の改修に係る国の補助制度をすべての地域で活用できるようにすること。
A 無線施設に改修する場合,ギャップ・フィラー施設についても補助対象とすること。
B 大規模改修に伴う住民や自治体の費用負担を軽減する措置を講じること。
 新たに難視聴となった地域において,地上デジタル放送を視聴するための共聴施設の新設に対する財政支援措置を創設すること。
 都市受信障害共聴施設の改修等に伴う当事者間の紛争を解決するための機関を設置すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣


中小企業の事業承継円滑化のための税制改正を求める意見書

(19年10月5日提出)

 団塊の世代が引退時期に差し掛かる状況の下,特に小規模企業においては,事業承継がなかなか進んでいない。
 2007年版中小企業白書によると,昨年2006年の企業全体の社長交代率は,3.08パーセントと過去最低を記録した。従業員規模別では,規模が小さいほど社長交代率が低下する傾向にあり,小規模企業における事業承継の難しさを示している。
 また,年間廃業者29万社(2001年〜2004年平均)のうち約4分の1の企業は,後継者の不在が廃業の理由とされている。これに伴う雇用の喪失は,毎年20万人から35万人とも言われ,雇用情勢に与える影響も少なくない。
 こうした中小企業の廃業や事業承継をめぐる問題は,日本経済の発展を阻害する大きな要因となっている。中小企業の雇用や高度な技術を守り,事業承継を円滑に進めていくための総合的な対策を早急に講じる必要がある。
 事業承継に係る諸課題については,従来から多様な問題提起や議論が行われ,実際に様々な制度改正も行われてきたところである。しかしながら,残された課題のうち,とりわけ相続税を中心とする税制の問題は,承継当事者及び関係者にとって最大関心事の一つである。平成19年度の税制改正大綱においても,今後の検討課題として事業承継の円滑化を支援するための枠組みを検討する必要性が明記されたところである。
 よって国におかれては,下記のとおり中小企業の事業承継円滑化のために税制改正など必要な措置を講じるよう強く要望する。
 非上場株式等に係る相続税の減免措置について,抜本拡充を図ること。
 非上場株式の相続税法上の評価制度について,見直しも含め,合理的な評価制度の構築を図ること。
 相続税納税の円滑化を図るために必要な措置を講じること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,経済産業大臣,中小企業庁長官 


嫡出推定に関する民法改正と更なる運用見直しを求める意見書

(19年10月5日提出)


 昨年末からの報道等により,いわゆる「無戸籍児」の存在が明らかとなってきている。これは,適法な再婚を経て出産したものの,民法第772条における嫡出推定の規定により,事実と異なる前夫が戸籍上父親とされてしまうという現状を避けるために,出生届がなされないことが一因である。また,「親子関係不存在」等の家事調停又は裁判をした場合でも,父が確定するまでの間は無戸籍となるのが一般的であるが,法の規定によって恒常的に「無戸籍児」が生み出されることは問題である。法務省の調査によると,「無戸籍児」の数は全国で年間3,000人前後と推定されており,我が京都市においても,その存在は確認されている。
 これらの事実を受けて,政府では,法務省通達を出し,平成19年5月21日から,「離婚後妊娠」であることの医師の証明書を添付することで,事実上の父を父とした戸籍作成が可能となったが,法的離婚後の妊娠に限定したこの通達により救済されるケースは,対象者の約1割と言われ,「無戸籍児」の根本的解決にまでは至っていないのが現状である。その一方で,事実上の離婚の日を根拠として父を決定した裁判例があるなど,この通達と戸籍法や婚姻及び離婚に関する関連法との整合性についても問題がある。
 よって国におかれては,立法の精神に立ち戻り,子の福祉と早期の身分保障の実現のため,戸籍が事実と異なる記載とならないよう,民法第772条の嫡出推定の規定の見直しを行うこと,戸籍法や婚姻に関する法律など関連する法律との整合性を図ること等を含め,現実に即した法改正を行うことを強く求めるとともに,改正までの間,通達による救済の範囲を広げること,また,親子関係不存在,嫡出否認等の家事調停の手続の簡略化等運用面での更なる見直しを進めることを強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣,外務大臣 





目次][会期日程][議案・審議結果][付帯決議等][意見書・決議][採択請願

Copyright(c) Kyoto City Assembly.2001. All rights reserved