■ 定例会・臨時会の結果 − 平成16年第 3回定例会 【意見書・決議】 |
民間保育所運営費国庫負担金・補助金制度の継続及び総合施設の在り方についての意見書
(16年10月8日提出)
次世代育成支援対策推進法制定,児童福祉法改正,待機児童ゼロ作戦など,国を挙げて少子化対策に取り組んでいる中で,保育施策の充実はこれらの施策の根幹となるものであり,児童福祉法の理念に基づき「国の児童に対する責務」を果たす必要性が高いことから,保育所運営費の財源については,国が責任を持って関与すべきと考える。
また,「総合施設」の在り方については,これまで保育所保育が培ってきた支援内容や技術を基本としつつ,あらゆる子育て需要に対応することが大切である。更に子育て支援の観点から,国におけるエンゼルプランや自治体の次世代育成支援行動計画の全体的な子育て支援施策との調和及び連携を図り,従来から総合的に子育て支援を進めている自治体窓口が引き続き責任を持って担っていくことが必要である。
何より,すべての子どもの福祉及び幸福の観点を基本に考えるべきであり,この観点に立った質の高い保育を提供することが大切である。
よって国におかれては,下記の点に特に留意するよう要望する。
記
1 | 21世紀を担う子どもたちの健やかな成長を願い,少子化に歯止めを掛けるために,民間保育所運営費の国庫負担金及び補助金制度を継続すること。 |
2 | 0歳児からの子育て家庭の多様な需要にこたえる施設・サービスとして「総合施設」を位置付け,今日までの保育所の取組である心と身体を総合的にはぐくむ「人間教育」を保育の基本とすること。 |
3 | 職員配置,各施設の設備及び運営については,子どもたちが1日のうち多くの時間を過ごす場としてふさわしい処遇が行えるような基準が必要であり,国や自治体の財政状況や施設の効率的運営の観点からでなく,次代を担う子どもたちの健やかな育ちを中心に規定すること。 |
4 | 「総合施設」の新たな運営や費用の仕組みは,次代を担う子どもたちに対する支援として国が責任を持って行うべきものであり,現行の保育所制度に準じ,自治体の関与に基づく責任体制を確立すること。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,文部科学大臣,厚生労働大臣
(16年10月8日提出)
京都市昼間里親事業は,昭和25年11月の制度発足以来,産休明けから3歳児未満までの児童を家庭的な雰囲気の中で保育する制度として,児童福祉法第24条ただし書に基づき,認可保育所に準じた制度として実施されてきた。
現在,国を挙げて待機児童解消を推し進めている中,新定義では,地方自治体の単独施策によって対応している場合は待機児童数からは除くこととなっており,昼間里親制度は京都市独自の事業として待機児童解消に有効に機能している。
しかし,今般の消費税法の改正により,昼間里親の多くが消費税課税事業者となり,新たな税負担によって運営に支障が生じることになりかねない。
よって国におかれては,京都市昼間里親事業のように地方自治体から委託を受け,自治体が入所を決定し保育料を徴収するという認可保育所に準じた事業については,社会福祉法上の社会福祉事業と位置付けるなどの方法により,消費税非課税事業とするよう要望する。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣
(16年10月8日提出)
我が国では,年々犯罪件数が増加し,その内容も凶悪化,低年齢化の一途をたどっている。こうした中で,犯罪被害者とその家族は,大きな痛手を受けながら偏見と好奇にさらされ,正当な援助を受けることもなく,精神的,経済的苦痛を強いられてきた。
「犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は,国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって,犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではなく」という平成2年の最高裁判決が示すとおり,犯罪被害者の権利は軽視されている一方,加害者の権利だけが保護される不公正な扱いがなされている。
国においては,「犯罪被害者保護関連法」が制定され,「犯罪被害者等給付金支給法」が改正されるなど,被害者の権利にかかわり一定の前進は図られたところであるが,被害者とその家族に対する権利擁護と救済措置は,いまだ不十分なまま現在に至っている。犯罪被害者の権利を認め,医療と生活の補償や精神的支援など,被害回復のための支援制度を確立することは,国の責務である。
よって国におかれては,犯罪被害者の権利と被害回復に向け,速やかに法整備及び制度の確立を図られるよう要望する。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣
(16年10月8日提出)
生活保護費国庫負担金は,日本国憲法第25条に規定する理念に基づき,生活困窮者など弱い立場にある住民に対する救済措置であり,国の福祉政策の根幹をなすものである。よって,生活保護費国庫負担金については,格差なく国による統一的な措置が講じられることが必要であり,地方六団体は三位一体の改革においても,廃止・縮減すべき国庫負担金とはしていない。にもかかわらず,「高率補助率の見直し」を理由に生活保護費国庫負担金の負担率を4分の3から3分の2に引き下げることが検討されている。
また,生活保護費国庫負担金の負担率の引下げは,地方の自主性の拡大につながらず,逆に地方財政を圧迫するものであり,財政が危機的状況にある本市をはじめ地方自治体に痛みを押し付けることにもつながるおそれがある。
よって国におかれては,地方自治体の意見を十分に聴き,生活保護費国庫負担金の負担率を維持するよう強く求める。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,厚生労働大臣
(16年10月8日提出)
安全・安心な食料の確保は,我々の生命と健康の維持に不可欠である。昨年12月に米国でBSE感染牛が発生したことに伴う米国産牛肉の輸入禁止は,国民の食生活に大きな影響を与えた。そういう中,本年9月9日の食品安全委員会で「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について―中間とりまとめ―」が了承され,厚生労働省及び農林水産省に対して通知し,それを受けて今後両省において,管理措置の改善が検討されると考えられる。また,「中間とりまとめ」の中で,20ヶ月齢以下の牛に由来するリスクについて検討を進めるとのことであるが,まだまだ国民の不安は払しょくされていない。
本年9月には熊本県,奈良県と相次ぎBSE感染牛が確認されており,いまだにBSEに関しての清浄化がされたと言える状態ではない。
よって国におかれては,牛肉に対する消費者の安心を確保するため,下記の実施を要望する。
記
1 | BSEの全頭検査実施を継続すること。 |
2 | 米国産牛肉の輸入再開に際しては,あくまで国民の安全を優先し,科学的な根拠に立って実施を考えること。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,農林水産大臣
(16年10月8日提出)
先の通常国会(第159回国会)において,消費者基本法が改正された。
この法律は,成立以来36年ぶりの大改正となるもので,消費者問題が多様化,複雑化する中で,消費者が真の主役となり,適切な意思決定を行えるような環境を整備する必要がある。その意味で,「消費者の権利」の確立を柱とした消費者基本法が成立し,施行される意義は極めて大きいと言わざるを得ない。
また,国民生活審議会の消費者政策部会は,制度の具体像に関する有識者による検討委員会を本年5月24日に立ち上げ,年内の報告書取りまとめを目指して論議が進められている。
特に,欠陥商品や悪徳商法等の被害などについて,不特定多数の消費者に代わって一定の消費者団体が損害賠償等を求める消費者団体訴訟制度は,消費者の権利を守る重要な手段として,ドイツで制度化・普及し,EU(欧州連合)加盟国や,タイ,インドなどアジア諸国へも広まっている。規制緩和の進む我が国においても,明確なルールの下での自由な経済活動を保障しつつ,各種の係争の司法的解決を目指す「事後チェック型社会」へと移行していく中で,消費者団体訴訟制度の必要性が指摘されている。
よって国におかれては,消費者の視点に立ち,下記の消費者保護法制等の整備の早期実現を強く要望するものである。
記
1 | 改正消費者基本法を踏まえ,消費者団体訴訟制度の早期導入を図ること。 |
2 | 国民生活センター等における相談機能の強化を図るとともに,関連する制度及び施策の確立を急ぐこと。 |
3 | 近年の架空請求及び不当請求によるトラブルが社会問題化している現状から,携帯電話及び預金口座の不正利用防止策をはじめ,その対応に関係省庁が一体となって早急に取り組むこと。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣
(16年10月8日提出)
暴力団などの犯罪組織によって海外から日本に送り込まれ,性産業で強制的に働かされている外国人女性が増えている。売春や強制労働等による搾取の目的で外国人女性や子どもを勧誘・送出し・受入れを行う行為「人身売買(人身取引)」に対する日本の対策の遅れに国際的な批判が高まっている。
米国務省が今年6月に発表した「人身売買に関する年次報告書」では,日本を今後1年間に必要な措置を採るかどうか見極める必要がある「第2分類監視対象国」に指定した。主要8箇国の中で監視対象国とされたのは日本とロシアだけで,少なからず国内に波紋を広げたが,昨年7月には国連女性差別撤廃委員会から「人身売買に対する包括的戦略の必要性・加害者の処罰強化」が勧告されるなど,日本は人身売買の主要受入国として国際社会から見られている。 政府は,2000年に採択された国連の「人身売買禁止議定書」の批准に向けて国内法の整備に取り組んでいるが,日本には人身売買という行為を規定し,禁止する法律がない。
よって国におかれては,アジア,東欧,中南米から来日した女性たちが,人身売買ブローカーや暴力団の暴利の犠牲になっている現状を打破するため,下記のとおり加害者に対する罰則強化を明記し,人身売買の禁止,被害者の人権救済・保護・支援を実施するための法制化等を早急に求める。
記
1 | 人身売買は被害者の生命尊厳と人権を著しく侵害する行為であり,人身売買が犯罪であることを法に明記すること。 |
2 | 被害者の人権救済・保護・支援については,必要な法整備をすること。 |
3 | 人身売買の実態についての調査研究,学校教育,社会教育及びメディア等を通じての人権教育・啓発・情報提供等を積極的に行い,被害の予防を図ること。 |
4 | 諸外国と連携を強化し,人身売買防止を推進すること。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣,外務大臣,厚生労働大臣
(16年10月8日提出)
身体障害者福祉法及び児童福祉法に基づき交付される補装具には,一般的に長期にわたって使用が可能である車いすや補聴器などの補装具の他に,消耗品的な性格が強いストーマ用装具のようなものもある。
車いすや補聴器などの補装具は,一度購入すると故障等が発生しない限り新たな購入は必要ないが,ぼうこう又は直腸機能障害により人工こう門や人工ぼうこうを造設したオストメイト(人工こう門・人工ぼうこう保有者)が使用するストーマ用装具については,定期的に購入して常時取り替えなくてはならず,消耗品的な性格が大変強いものである。
現在,国におかれては消耗品的な性格が強いストーマ用装具に関して,1回の申請について補装具交付券を3枚まで一括交付し,6箇月分のストーマ用装具の給付を受けることを可能としている。本市においては,財政非常事態宣言を発している状況ではあるが,現行の制度では自己負担が余りに多いことから,一部使用者に対する負担軽減措置を市独自に行っている状況にある。
また,この交付券には前年所得税額による階層区分に応じた自己負担としての徴収基準月額が設定され,当該身体障害者が世帯主又はその世帯における最多収入者である場合,徴収基準月額の2分の1に減額される措置が講じられているが,扶養家族である場合には,軽減措置がなく,最多収入者等と比較した場合,結果として2倍の自己負担となっている。
よって国におかれては,全国一律でオストメイトの抱える経済的な負担を軽減するために,下記の事項について特段の措置を講じるよう強く要望するものである。
記
1 | ストーマ用装具の交付に当たっては,補装具交付券1枚で6箇月分まで一括交付することを可能とし,自治体及び自己負担の軽減を図ること。 |
2 | 消耗品的な性格の強いストーマ用装具の交付に当たっては,扶養家族の収入が高額所得者である場合を除き,オストメイト本人のみの前年の所得税額等により決定すること。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣
(16年10月8日提出)
容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)では,容器包装廃棄物を地方自治体が収集・選別・保管し,製造者等の事業者がそれを引き取り再商品化することを義務付けており,各々の役割に応じた費用を負担する仕組みとなっている。
しかしながら,地方自治体が負担している収集・選別・保管等の費用は,事業者が負担している再商品化費用の約3倍にもなっており,分別収集に積極的に取り組む地方自治体の財政を圧迫しているのが現状である。しかも,この制度では,事業者が真剣にごみ減量に取り組むインセンティブが働かず,法の目的とする発生の抑制及び減量の効果は不十分であり,逆に環境への負荷が低いことが明らかなリターナブル容器の激減に拍車を掛けているのが実態である。これらのことは,収集・選別・保管等の費用が製品価格に適正に内部化されない現行制度に起因するものである。
よって国におかれては,循環型社会形成推進基本法で規定しているリデュース,リユース,リサイクルの優先順位,及び拡大生産者責任の原則を徹底するため,下記のとおり容器包装リサイクル法の早急な見直しを実施されるよう強く要望するものである。
記
1 | 循環型社会形成推進基本法において確立された拡大生産者責任の原則を明確にすること。 |
2 | リデュース,リユース,リサイクルの優先順位で推進する様々な経済的手法や規制的手法を盛り込むこと。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,経済産業大臣,環境大臣
(16年10月8日提出)
昨今,ユニバーサルデザインを基本とし,すべての人々に優しいノーマライゼーションによるバリアフリー対策が大きく広がりを見せているが,今や国際的な公共交通機関である航空機の利用に際し,障害者に対する優先席が定められていないことは,極めて遺憾である。
よって国におかれては,各航空会社に対し障害者の優先席を定めることを早急に指導されるよう要望する。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣,国土交通大臣
(16年10月8日提出)
現在,政府において郵政事業の改革に関する議論が行われているが,経済財政諮問会議では2007年に民営化を実施することとし,持株会社の下に窓口ネットワーク会社,郵便事業会社,郵便貯金会社及び郵便保険会社として独立させるなどの基本方針が検討されている。
郵政三事業の在り方については,今日まで歴史的に様々な議論がなされてきており,その結果,郵政公社法が制定され,2003年4月から日本郵政公社の下に三事業が運営されることとなった。
全国24,700の郵便局を通じて,ユニバーサルサービスとして三事業を全国公平に提供するとともに,各自治体との連携により住民票や納税証明等の交付事務を行うなど国民生活の安定向上と福祉の増進に大きく寄与し,地域の過疎化,少子・高齢化が進行する中で,郵便局のネットワークの役割,重要性は更に大きくなるものと考えられる。
したがって,国民生活及び利用者の立場からの改革を積極的に推進し,「民間でできることは民間に」を基本とするべきである。
よって国におかれては,下記の事項に十分留意し,国民的合意の下に郵政事業の改革を進めるよう強く要望する。
記
1 | 郵政事業の今後の改革に当たっては,スタートした日本郵政公社の経営の効率化やサービスの改善等の成果を十分検証し,拙速な分割・民営化議論を進めないこと。 |
2 | 今後の改革に当たっては,何のための改革であるのか,国民生活や経済にどのようなメリット・デメリットがあるのか国民に分かりやすく示すこと。 |
3 | 地方とりわけ過疎地の郵便局を市場原理にゆだねることなく,今後とも維持していくことも含め,ユニバーサルサービスを堅持すること。 |
4 | 貴重な国民的資産である郵便局ネットワークを地方の活性化等に活用すること。 |
5 | 5原則(経済活性化,構造改革全体との整合性,国民生活の利便性,ネットワーク資源活用,雇用への配慮)を踏まえ,職員が希望を持って働ける環境を作るため雇用には十分配慮すること。 |
6 | 改革の移行期においては,国民生活及び国民経済への影響を考慮し,郵便事業の債務超過の解消や各事業の経営基盤の強化,国債マーケットへの配慮などに留意すること。 |
(提出先)
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,郵政民営化担当大臣,総務大臣
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