羅城門に関する逸話
宇多天皇の『寛平御遺誡』(かんぴょうのごゆいかい)や『宇治大納言物語』(うじだいなごんものがたり)『世継物語』(よつぎものがたり)には,羅城門創建時の話が伝えられています。
巡行中の桓武天皇(かんむてんのう)が,工匠(たくみ)に羅城門の高さを五寸減ずべきことを命じ,再度の巡行で工匠に聞いたところ,すでに減じたと答えました。それを聞いた天皇が後悔しているのを見た工匠は失神しました。そこで理由を問いただすと,実は天皇の命に従っていなかったと告白したため,天皇はその罪を許したというものです。
工匠の腕と天皇の目の確かさを示す逸話として伝えられたものですが,危惧するほどに羅城門が高かったことから生まれた話と考えられます。
また,羅城門には鬼が住むといわれ,大江山の酒顛童子(しゅてんどうじ)を退治したことで知られる源頼光(みなもとのよりみつ)の四天王のひとり渡辺綱(わたなべつな)が羅城門の下を通ったとき,楼門の上から大きな鬼の手がのびてきたので,綱はその手をつかんで切り落としたといいます。
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