送り火の点火方法
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空海を祀った弘法大師堂と金尾 |
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金尾の全景 |
大文字送り火 「大」の文字の筆者には空海,あるいは相国寺(現上京区)の僧横川景三(おうさんけいせん,1429〜93)の指導で足利義政家臣の芳賀掃部(はがかもん)が設計したなどの各説があり,『案内者』は近衛信尹(このえのぶただ,1565〜1614)説を主張しています。江戸初期では,杭を打って火床(ひどこ)をつくり,その杭に松明を結びつけていましたが,寛文・延宝(1661〜81)の頃より現行の積木法にかわりました。現在では,山の斜面に土盛りをし,大谷石(おおやいし)を設置,その上に薪を井桁に組んで積み重ね(約1.3メートル),その間に松葉を入れ,火床をつくっています。火床は75基,大の字の1画目の長さ80メートル,2画目160メートル,3画目120メートル,「大」の中心を金尾(かなわ)と称して,特別大きく割木を組んで点火します。
松ヶ崎妙法送り火 「妙・法」の字は,涌泉寺(ゆせんじ,松ヶ崎堀町)の寺伝によると,徳治2(1307)年松ヶ崎の村民が,日蓮(にちれん)の法孫である日像(にちぞう)に帰依し,法華宗に改宗,その時,日像が西山に「妙」の字を書き,下鴨大妙寺(だいみょうじ)の日良(にちりょう)が東山に「法」を書いたと伝えられています。江戸時代の中頃には,杭の上に松明を結んで点火したり,掘った穴に石を置いて火床がつくられていました。現在は,鉄製の受皿火床に割木を井桁状にして積み上げ点火されています。「妙」の火床は103基で縦横の最長は約100メートル,「法」の火床は63基で縦横の最長は約70メートルです。
船形万灯籠送り火 「船形」の舳先(へさき)は西方浄土を指していると言われ,精霊船の意もこめられていると伝えらえれています。かつては割木を大松明の形に束ねて燃やしていましたが,現在,火床は山の斜面に石組をし大谷石を設置,その上に薪を井桁に組むやり方に変わっています。火床は79基,横約200メートル,帆柱の高さ約90メートルです。
左大文字送り火 この山は,岩石が多くて火床が掘り難いところから,以前は篝火を燃やしていましたが,現在は山の斜面に栗石をコンクリートでかためた火床(30センチ〜3メートル)に松割木を井桁に約1メートル重ねます。火床53基,1画48メートル,2画68メートル,3画59メートルです。
鳥居形松明送り火 以前は,親火より松明に火を灯して,各火床である青竹に突き刺していましたが,現在では,鉄製受皿が各火床に設置され,その尖った芯に松明を突き刺して点火しています。火床108基,鳥居の笠貫が約70メートル,左右の脚は約80メートルです。
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