書院造の空間構成 表の空間と奥の空間
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二条城二の丸御殿平面図 |
書院造は大きく分けて「表向き」と「奥向き」から構成されていましたが,特にそれらの中心となったのが,対面や接客のために使用された書院(広間・対面所とも)です。
表には公的な対面・接客のための書院をはじめ,出入り口には寝殿造邸宅の中門・中門廊にあたる玄関,武士の出入りや詰め所となった遠侍(とおざむらい)や控えの間,また来客に送迎の挨拶をするための式台(しきだい,色代)などが設けられました。
一方,奥には日常的な政務・対面の場となった御座の間(ぎょざのま)や居間・寝室となった御寝の間(ぎょしんのま)などに使用された書院のほか,台所など勝手回りの場も奥にありました。
このように用途や場所の異なる複数の書院を備えた邸宅や寺院では,それぞれの書院を,大書院・小書院,黒書院・白書院,また表書院などと区別して呼ぶこともありました。
近世初期の書院造の典型とされる二条城二の丸御殿の場合,建物は雁行形に配置されて,表向きには遠侍や式台,公的な対面所の大広間があり,奥向きには私的な対面所の黒書院や御座の間となった白書院が設けられています。
書院造では,書院に限らず,以上のような部屋や建物は,それぞれ特定の使用目的を持っていました。寝殿造では寝殿・対が居住と儀式の空間を兼ねたことを考えれば,このことは書院造の大きな特徴の一つといえます。
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