前田又吉銅像記碑 碑文の大意
 前田又吉の銅像が完成し,遺族がわたし(筆者伊藤博文)に「又吉は生前閣下の知遇を受け,閣下が京都大阪に来られた時にはかならず又吉宅に宿泊された。又吉の生前を閣下はよくご存じなので,銅像に添える文章を書いていただけないだろうか」と依頼した。わたしは「自分が又吉は30年来の知人である。又吉は市井の人だがとても世の大勢に通暁していた。そのため人のおもわぬ事業をおこした。一つは鉱泉の開発,一つは公園の噴水,一つは人が集まる会館,一つは義社の創設と,すべて福利厚生のために図ったことである。このことからもあらため顕彰する価値がある」と回答し依頼を引き受けた。(以下銘略)