本尊美君碑 碑文の大意
 英国法学博士本尊美利茶道(Richard Ponsonby)氏はロンドンの生まれで名族の出身である。体が弱いので若い時から海外に学び,香港にいた時には総督秘書を勤めるとともに香港大学講師に就任した。今上天皇(昭和天皇)が皇太子の時にヨーロッパ旅行をされ,香港に立ち寄られた際,通訳を勤めた。この功績で勲四等を贈られた。氏は以前から何度も来日し,うるわしき我が日本を慕っていた。大正8年に始めて東京へ行き,続いて京都に居を移した。
 ポンソンビー氏は日本語・日本の歴史に通暁し,その足跡はいたる所にシルされている。皇室の制度・御陵のこと・神社や神道のことを研究し力を尽くした。その論文や著書は博覧卓識に満ちあふれ,学者の推奨するところである。
 氏は無欲に徹したひとがらで,鶴のように痩せていた。ふだんの生活はその隅々まで日本の俗に従った。門弟を自分の子のように愛し,一生独身を通した。昭和12年12月10日,上賀茂の自宅で病没した。享年六十である。