[監査]

○公表


監査公表第489号


京都市職員措置請求及び監査結果公表
 地方自治法第242条第4項の規定により,標記の請求に係る監査を行ったので,請求文及び請求人に対する監査結果の通知文を次のとおり公表します。
  平成15年10月27日
京都市監査委員 井上 與一郎
同    安孫子 和子
同    下薗 俊喜
同    藤井 昭

 京都市職員措置請求書
   京都市職員措置請求書
2003年8月28日
京都市監査委員 様
請求人
(住所)京都市上京区
(氏名)井関 佳法
(住所)京都市北区
(氏名)井上 吉郎
(住所)京都市西京区
(氏名)鈴村 堯
(住所)京都市伏見区
(氏名)高橋 瞬作
地方自治法第242条第1項の規定にもとづき,以下のことを求める。
〔請求の趣旨〕
(1) 京都市都市計画局作成資料によると,2002年9月現在,京都市内の改良住宅に入居している京都市職員で,3か月以上家賃滞納をしているものが99人おり,そのうち1年以上の滞納者が77人,10年以上が11人という異常な状況にある(添付資料1)。
(2) 市職員に限らず改良住宅入居者の家賃滞納は,市会等でもたびたび問題になっており,是正を求める決議もされてきたが(添付資料2,3),いまだ見るべき改善策がとられていない。とりわけ,月1万円余りもの住居手当てを受けているはずの大量の市職員の家賃滞納は二重の意味で悪質であるが,京都市担当部署は代々,かれら市職員の家賃徴収を怠り,長期にわたる滞納を黙認してきたと断定できる。
(3) 以上の実態は,地方自治法2条第14及び16号,京都市市営住宅条例第18条 ,及び京都市職員給与条例第9条の3 に反する違法なものである。よって,監査委員において京都市職員の改良住宅家賃滞納の実態について厳正な監査を実施され,京都市の被った損害を一刻も早く回復するため,京都市長にたいし,滞納している市職員を相手取って滞納家賃の支払いと部屋の明け渡しを求める訴訟を起こさせるとともに,関係職員に対して賠償命令あるいは損害賠償請求を行なうなど,必要な措置をとることを求める。
 添付資料
 平成13年度改良住宅等家賃滞納者のうち市職員の納入状況について
 同和行政に関する決議
 議第232号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について
 議第233号〜議第279号 訴えの提起(裁判上の和解を含む。)について
 注 事実証明書の記載を省略した。



請求人に対する監査結果通知文
監第88号
  平成15年10月23日
請求人各位
京都市監査委員 井上 與一郎
同    安孫子 和子
同    下薗 俊喜
同    藤井 昭

京都市職員措置請求に係る監査の結果について(通知)
 平成15年8月28日付けで提出された地方自治法(以下「法」という。)第242条第1項の規定に基づく京都市職員措置請求について,監査した結果を同条第4項の規定により通知します。
第1 請求の受理
 1 請求の要旨
(1) 都市計画局作成資料によると,平成14年9月現在,京都市内の改良住宅等に入居している京都市職員(以下「市職員入居者」という。)で,3箇月以上家賃滞納をしている者が99人おり,そのうち1年以上の滞納者が77人,10年以上が11人という異常な状況にある。
(2) 市職員入居者に限らず改良住宅等入居者の家賃滞納は,市会等でも度々問題になっており,是正を求める決議もされてきたが,いまだ見るべき改善策が採られていない。とりわけ,月1万円余りもの住居手当を受けているはずの大量の市職員入居者の家賃滞納は二重の意味で悪質であるが,京都市担当部署は代々,市職員入居者の家賃徴収を怠り,長期にわたる滞納を黙認してきたと断定できる。
(3) 以上の実態は,法第2条第14項及び第16項 ,京都市市営住宅条例(以下「市営住宅条例」という。)第18条 並びに京都市職員給与条例(以下「給与条例」という。)第9条の3 に反する違法なものである。よって,監査委員において市職員入居者の改良住宅等の家賃滞納の実態について厳正な監査を実施され,京都市(以下「市」という。)の被った損害を一刻も早く回復するため,市長に対し,滞納している市職員入居者を相手取って滞納家賃の支払と部屋の明渡しを求める訴訟を起こさせるとともに,関係職員に対して賠償命令或いは損害賠償請求を行うなど,必要な措置を採ることを求める。
 2 要件審査
 本件請求は,請求の趣旨から,市は市職員入居者のうち家賃を3箇月以上滞納している者(以下「市職員滞納者」という。)について,家賃の徴収を怠り,長期にわたり滞納を黙認してきたこと,すなわち,公金の徴収を怠る事実についての請求であると解されるので,法第242条第2項本文の規定は適用されないと判断し,請求のあった事項について監査を実施することとした。
第2 監査の実施
 1 法第242条第6項の規定に基づき,平成15年9月17日に請求人鈴村堯から陳述を受けた。
 なお,新たな証拠の提出はなかった。
 2 都市計画局関係職員に対し,関係書類の提出を求めるとともに,平成15年10月8日に陳述の聴取を行った。また,住居手当の支給事務を所管している総務局関係職員に当該事務について説明を求めた。
第3 監査の結果
 1 事実関係
(1) 請求人が京都市職員措置請求書に事実を証する書面として添付している都市計画局が平成14年10月に作成した資料「平成13年度改良住宅等家賃滞納者のうち市職員の納入状況について」(以下「市職員の納入状況について」という。)に掲げられている市職員入居者が入居している住宅の種類は次のとおりであり,住宅の種類ごとの平成15年3月31日現在の管理戸数は( )内に掲げるとおりである。
 改良住宅
 国土交通大臣(建設大臣)が住宅地区改良法(昭和35年5月施行。以下「改良法」という。)第4条第1項の規定に基づき指定した改良地区における住宅地区改良事業の施行に伴い,従前の住宅を失った居住者のための代替住宅として建設された住宅(3,737戸)
 旧地域改善向け公営住宅
 旧公営住宅法(公営住宅法の一部を改正する法律(平成8年5月31日法律第55号)による改正前の公営住宅法をいう。)に基づき,危険住宅対策等として建設された住宅(448戸)
 コミュニティ住宅
 密集住宅市街地整備促進事業制度要綱(平成6年6月23日付け建設省住市発第46号)に基づくコミュニティ住環境整備事業の施行に伴い建設された住宅(50戸)
(2) 1(1)のアからウに掲げる住宅(以下「改良住宅等」という。)の管理に関する事項については,市営住宅条例において定められている。
(3) 改良住宅等への入居については,改良住宅等の種類ごとに次に掲げる法等の規定に基づいて行われている。
 改良住宅
 改良住宅への入居については,市営住宅条例第8条に「改良法第18条に定めるところによる」と規定されており,改良法第18条は住宅地区改良事業の施行者は,その施行に伴って住宅を失った者に対しては,一定の条件の下で改良住宅に入居させなければならないことを定めている。
 旧地域改善向け公営住宅
 公営住宅への入居については,公営住宅法第22条第1項において「事業主体は,災害,不良住宅の撤去,(中略),公営住宅建替事業による公営住宅の除却(中略)において特定の者を公営住宅に入居させる場合を除くほか,公営住宅の入居者を公募しなければならない」とされており,旧地域改善向け公営住宅への入居については,公募の例外について定めた市営住宅条例第5条(第2号に規定する不良住宅の撤去)の適用による入居の承認が行われている。
 コミュニティ住宅
 コミュニティ住宅への入居については,市営住宅条例第8条の2の規定に基づき東九条地区コミュニティ住環境整備事業の施行に伴い住宅を失った者で一定の条件に該当する者等については,公募によらず入居を承認することができるとされている。
(4) 改良住宅等の家賃は,法第225条に規定する公の施設を利用させた場合に徴収する使用料に該当する。
(5) 市営住宅(改良住宅等を含む。)の家賃を含む地方公共団体の歳入を納期限までに納付しない者がある場合について,法は第231条の3第1項に納期限までに納付しない者があるときは,普通地方公共団体の長は,期限を指定してこれを督促しなければならない旨規定している。
 そして,更に,督促を行ってもなお履行されない場合は,特別な事情があると認める場合を除き,地方自治法施行令第171条の2に強制執行等の措置を講じなければならない旨規定されている。
 なお,延滞金の徴収について,法第231条の3第2項は「普通地方公共団体の長は,前項の歳入について同項の規定による督促をした場合においては,条例の定めるところにより,手数料及び延滞金を徴収することができる」と定めているが,市営住宅の家賃に係る延滞金については,市の条例には規定が置かれていない。
(6) 改良住宅等の過去3箇年度の現年度分の収入率は,次に掲げる表のとおり,平成12年度が85.5パーセント,平成13年度が87.8パーセント,平成14年度が90.1パーセントとなっている。


(7) 平成13年度決算時点及び平成14年度決算時点(決算時点とは,各年度の出納閉鎖期日(5月31日)をいう。以下同じ。)並びに平成15年8月末の各時点における市職員滞納者の状況は次表に掲げるとおりであり,市職員滞納者の人数及びその滞納金額は平成13年度決算時点の102人,43,252,042円から,平成14年度決算時点においては71人,30,691,442円に,更に平成15年8月末時点においては62人,30,505,222円になっている。平成13年度決算時点と平成15年8月末時点とを比較すると,人数で39.2パーセント,滞納金額で29.5パーセントそれぞれ減少している。


(8) 平成13年度決算時点における市職員滞納者102人(市職員の納入状況についての合計欄に掲げられている102人)の平成14年9月末時点及び平成15年8月末時点での納入状況等は次表に示すとおりである。
 なお,102人の中には平成13年度決算時点から平成15年8月末までの間に市職員でなくなった者がある。



 表のとおり,平成13年度決算時点の市職員滞納者数は,102人であったが,同年9月末時点では,3人が完納し,分納中の者が51人,納入指導中の者が48人となっている。更に平成15年8月末時点では,平成14年9月末時点で分納中であった51人のうちの15人及び納入指導中であった48人のうち15人の合計30人が完納し,納入指導中であった48人のうち26人が分納に応じている。そして,なお納入指導中の者は9人となっている。
(9) 市が,改良住宅等の明渡し及び滞納家賃の支払を求めて平成13年度から平成15年8月末日までの間に行った法的措置は下表のとおり42件(市職員滞納者を対象としたもの4件を含む。)である。このうち34件(うち4件は市職員滞納者を対象としたもの)は民事訴訟法第275条の規定に基づき和解(以下「即決和解」という。)しており,現在分納に応じている。また,平成15年度に法的措置を行った11件のうち10件については即決和解が成立しており,残り1件も相手方の住所地を管轄する簡易裁判所において即決和解に向け,和解内容の確認中である。
 一方,この間,7件の訴訟を提起し,このうち裁判が確定したものが4件(いずれも市が勝訴)で,うち1件については既に強制執行(住居の明渡し)済みであり,3件については自主的な明渡しを促している段階である。

 2 関係職員の説明
(1) 都市計画局関係職員の説明
 改良住宅等の管理の基本方針
 市における住環境整備事業については,地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和62年3月31日法律第22号)が平成13年度末をもって期限が切れ,特別施策から一般施策への移行という大きな転換期にある。こうした中,改良住宅等全般の管理運営のあり方についても,市民の共感的理解と支持が得られる取組を強力に推進する必要があると考えている。
 滞納整理の取組経緯
 昭和53年7月に改良住宅等の家賃の額の全面的な改定を実施した。しかし,この改定を行ったことにより,昭和53年度の現年度分の収入率は約18パーセントと,前年度のそれの約88パーセントから大幅に低下するとともに,多数の滞納者が発生する一因となった。
 当初,このような滞納者に対しては,隣保館(現コミュニティセンター。以下同じ。)に常駐していた管理担当職員が,日常の入居者との接触の中で滞納が生じた理由の把握に努め,口頭による納入指導を行い,滞納の解消を図ってきた。
 平成5年4月には,住宅局改良事業室企画管理課に滞納対策専任担当係を発足させ,文書による納入指導と計画的な滞納整理の推進に取り組んだ。
 更に,平成6年4月には,住宅局住環境整備室管理指導課担当職員の臨宅訪問による納入指導を行う体制を整備するとともに,長期滞納者に対しては,文書指導と臨宅訪問を粘り強く行い,これに応じない場合には,民事上の手続に基づく支払命令(平成10年1月1日以降は支払督促)の申立てと財産,給与の差押えといった強制執行を行うことを基本に滞納整理に取り組んできた。
 また,平成12年度には,これまでの取組を更に発展させるため,新たな滞納整理方針として,京都市改良住宅等家賃滞納整理要綱(以下「整理要綱」という。)を策定した。この整理要綱に基づき,短期滞納者に対しては,よりきめ細かな文書指導並びに納入意識の高揚,口座振替納入の勧奨,分納計画の策定等を目的とした臨宅訪問及び電話による接触指導を基本に取り組むことし,一方,長期滞納者に対しては,滞納月数,滞納金額,生活状況等を総合的に勘案し,文書催告及び滞納者への十分な接触指導を踏まえたうえで,度重なる納入指導にもかかわらず納入意思が見られない者に対しては,一般の公営住宅と同様,住宅の明渡しを求める法的措置を含めた取組を実施することとし,平成15年10月8日までに47件(うち平成15年度は16件)の法的措置を講じた。
 滞納整理の取組結果と今後の課題
 滞納整理に取り組んだ結果,いったん急落した現年度分の収入率は,平成14年度決算では90パーセントを超え,滞納件数も大幅に減少するなど,一定の回復を見ている。
 しかし,過年度分の滞納額に対する滞納整理については,その時々の組織的処理能力に応じて合理的に取り組んできたが,その滞納者数の多さ等から長期滞納を含め,その一掃にはなお時間を要しているところである。
 市職員滞納者に対する取組経緯
 市職員滞納者に対しては,従来,個別に指導を行ってきたが,平成12年度の応能応益家賃制度の導入を前にした収入申告等を通じて,滞納者の中に,多くの市職員がいることが判明した。
 市職員入居者の滞納については,公務員倫理の観点から,直ちに厳しい姿勢で臨んでいくこととし,また,任命権者(地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者をいう。以下同じ。)に対しても,平成12年度以降納入指導について協力を依頼しているところであり,これまで4件の法的措置の実施を含め,毅然とした姿勢で取組を進めているところである。
 また,現在は,明渡しを求める法的措置に加え,支払督促の申立てによる給与の差押えを前提とした納入指導にも着手しており,夜間も含めた臨宅訪問及び電話による指導を積み重ね,納入に応じるよう粘り強く取り組んでいる。
 市職員滞納者に対する取組の結果
 エに掲げた取組の結果,市職員滞納者の人数は平成11年度決算時点では154人であったが,平成12年度決算時点では124人,平成13年度決算時点では102人,平成14年度決算時点では71人,平成15年8月末時点では62人と,この間,着実に減少し続けている。
 また,市職員滞納者の納入状況等についても,平成14年9月末時点で納入指導に応じない者は48人であったが,平成15年8月末時点では8人となった。その後も,この8人に対し,住宅の明渡しや給与の差押えを前提として引き続き納入指導を行った結果,平成15年10月8日時点では7人が分納に応じており,残り1人について引き続き納入指導を行っている。
 市職員滞納者に対する滞納整理の今後の取組方針
 平成14年11月市会定例会において,市長が「平成15年度中には家賃の納入に応じないものがいなくなるよう取り組む」と強く決意したところであり,この方針の下,取り組んできたところである。特に,現在,分納している者が滞ることなく履行していくよう管理し,新たな滞納や不履行が発生した場合には,明渡しを求める法的措置や給与の差押え等に引き続き取り組むとともに,平成15年9月市会定例会での付帯決議を踏まえ,滞納者に対する延滞金の徴収を検討するなど,今後もこれまで以上に取り組み,滞納者の一掃を図る考えである。
(2) 総務局関係職員の説明
 住居手当については,給与条例第9条の3第1項に「主としてその収入によりその属する世帯の生計を維持している職員(中略)で,その居住する住居に係る費用を負担していると認められるもの(後略)」に対して支給する旨,規定されており,この規定に基づき自ら居住する住居を所有している職員,自ら居住する住居を借り受けて家賃を支払っている職員及びこれに準じる職員に対して支給している。
 なお,賃借人である職員と賃貸人である市との間で住居の賃貸借契約が締結されている場合,賃借人である職員は賃貸人である市に対して家賃を支払う義務を負っており,住居に係る費用を負担しているものと認められる。住居手当の支給の認定に当たっては,家屋の登記簿謄(抄)本又は賃貸借契約書の写しの提出を求めている。
 3 監査委員の判断及び結論
(1) 改良住宅等に入居している者の中に家賃を滞納しているものが多数あること及びその中に市職員が含まれていることは,これまでの市会の決議(付帯決議を含む。),市会本会議における質疑の内容からも明らかになっている。
 また,監査委員としても,改良住宅等を含む市営住宅の家賃滞納については,これまでも一般会計等決算審査意見において,迅速,公平,厳正に対処し,未収金の徴収を強力に進めるよう繰り返し求めてきたところである。
(2) しかしながら,少なくとも改良住宅等については,なお相当の滞納があること,そして,その中に市職員入居者に係るものがあることは事実である。したがって,平成15年9月市会定例会における議第199号から議第230号までに対する付帯決議も真摯に受け止め,今後,より一層迅速かつ厳正な措置を講じ,滞納の解消を図ることが強く求められるところである。
(3) 一方で,市も昭和53年度に現年度の家賃の収入率が大幅に低下して以来,隣保館に常駐していた管理担当職員が日常の入居者との接触の中で納入指導を行い,平成5年度からは当時の住宅局に滞納整理担当職員を配置し,平成6年度にはその体制を充実して,長期滞納者に対しては文書指導と臨宅訪問を行い,これに応じない場合は民事上の手続に基づく支払命令や強制執行を行うことを基本に取組を行ってきた。
 また,平成12年度には,新たな滞納整理方針として整理要綱を策定し,この整理要綱に基づき納入指導を行い,度重なる納入指導にもかかわらず納入の意思が見られない者に対しては,一般の公営住宅と同様に住宅の明渡しを求める法的措置を含めた取組を実施している。
 更に,市職員滞納者に対する納入指導に当たっては,任命権者への協力依頼を行うほか,給与の差押えを前提とした取組にも着手している。
(4) これらの取組の結果,市職員滞納者は平成13年度決算時点では102人であったが,平成14年度決算時点では71人,平成15年8月末時点では62人と毎年減少しており,平成15年8月末時点の62人の中で納入指導に応じていなかった8人についても平成15年10月8日現在では1人となっている。
 法的措置も平成12年度以降平成15年10月8日までに47件講じられており,このうち4件は市職員滞納者を対象とした措置である。
 また,市職員の納入状況についての合計欄に掲げられている102人の市職員滞納者のその後の納入状況等を見ても,1(8)の表に示すとおり,法的措置を前提とした納入指導により,33人が完納したほか,60人が分納中である。
(5) 以上のことから,改良住宅等の家賃の徴収及び滞納の整理に向けた取組については,なお不十分な点が見受けられることは否定できないものの,請求人が主張するような,市職員の改良住宅等に係る家賃の徴収を怠り,長期にわたる滞納を黙認しているという事実は認められない。
 また,給与条例第9条の3は,居住する住居を所有し又は借受けていることが確認できれば,住居に係る費用を負担している立場にある者と認め,住居手当を支給する旨を規定しているのであって,市職員入居者が家賃を滞納していることが直ちに当該規定に違反するということはできない。
(6) よって,請求人の主張には理由がないので,本件請求は棄却する。


(監査事務局第一課)

このページのトップへ戻る