ア | 改良住宅等の管理の基本方針
市における住環境整備事業については,地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(昭和62年3月31日法律第22号)が平成13年度末をもって期限が切れ,特別施策から一般施策への移行という大きな転換期にある。こうした中,改良住宅等全般の管理運営のあり方についても,市民の共感的理解と支持が得られる取組を強力に推進する必要があると考えている。 |
イ | 滞納整理の取組経緯
昭和53年7月に改良住宅等の家賃の額の全面的な改定を実施した。しかし,この改定を行ったことにより,昭和53年度の現年度分の収入率は約18パーセントと,前年度のそれの約88パーセントから大幅に低下するとともに,多数の滞納者が発生する一因となった。
当初,このような滞納者に対しては,隣保館(現コミュニティセンター。以下同じ。)に常駐していた管理担当職員が,日常の入居者との接触の中で滞納が生じた理由の把握に努め,口頭による納入指導を行い,滞納の解消を図ってきた。
平成5年4月には,住宅局改良事業室企画管理課に滞納対策専任担当係を発足させ,文書による納入指導と計画的な滞納整理の推進に取り組んだ。
更に,平成6年4月には,住宅局住環境整備室管理指導課担当職員の臨宅訪問による納入指導を行う体制を整備するとともに,長期滞納者に対しては,文書指導と臨宅訪問を粘り強く行い,これに応じない場合には,民事上の手続に基づく支払命令(平成10年1月1日以降は支払督促)の申立てと財産,給与の差押えといった強制執行を行うことを基本に滞納整理に取り組んできた。
また,平成12年度には,これまでの取組を更に発展させるため,新たな滞納整理方針として,京都市改良住宅等家賃滞納整理要綱(以下「整理要綱」という。)を策定した。この整理要綱に基づき,短期滞納者に対しては,よりきめ細かな文書指導並びに納入意識の高揚,口座振替納入の勧奨,分納計画の策定等を目的とした臨宅訪問及び電話による接触指導を基本に取り組むことし,一方,長期滞納者に対しては,滞納月数,滞納金額,生活状況等を総合的に勘案し,文書催告及び滞納者への十分な接触指導を踏まえたうえで,度重なる納入指導にもかかわらず納入意思が見られない者に対しては,一般の公営住宅と同様,住宅の明渡しを求める法的措置を含めた取組を実施することとし,平成15年10月8日までに47件(うち平成15年度は16件)の法的措置を講じた。 |
ウ | 滞納整理の取組結果と今後の課題
滞納整理に取り組んだ結果,いったん急落した現年度分の収入率は,平成14年度決算では90パーセントを超え,滞納件数も大幅に減少するなど,一定の回復を見ている。
しかし,過年度分の滞納額に対する滞納整理については,その時々の組織的処理能力に応じて合理的に取り組んできたが,その滞納者数の多さ等から長期滞納を含め,その一掃にはなお時間を要しているところである。 |
エ | 市職員滞納者に対する取組経緯
市職員滞納者に対しては,従来,個別に指導を行ってきたが,平成12年度の応能応益家賃制度の導入を前にした収入申告等を通じて,滞納者の中に,多くの市職員がいることが判明した。
市職員入居者の滞納については,公務員倫理の観点から,直ちに厳しい姿勢で臨んでいくこととし,また,任命権者(地方公務員法第6条第1項に規定する任命権者をいう。以下同じ。)に対しても,平成12年度以降納入指導について協力を依頼しているところであり,これまで4件の法的措置の実施を含め,毅然とした姿勢で取組を進めているところである。
また,現在は,明渡しを求める法的措置に加え,支払督促の申立てによる給与の差押えを前提とした納入指導にも着手しており,夜間も含めた臨宅訪問及び電話による指導を積み重ね,納入に応じるよう粘り強く取り組んでいる。 |
オ | 市職員滞納者に対する取組の結果
エに掲げた取組の結果,市職員滞納者の人数は平成11年度決算時点では154人であったが,平成12年度決算時点では124人,平成13年度決算時点では102人,平成14年度決算時点では71人,平成15年8月末時点では62人と,この間,着実に減少し続けている。
また,市職員滞納者の納入状況等についても,平成14年9月末時点で納入指導に応じない者は48人であったが,平成15年8月末時点では8人となった。その後も,この8人に対し,住宅の明渡しや給与の差押えを前提として引き続き納入指導を行った結果,平成15年10月8日時点では7人が分納に応じており,残り1人について引き続き納入指導を行っている。 |
カ | 市職員滞納者に対する滞納整理の今後の取組方針
平成14年11月市会定例会において,市長が「平成15年度中には家賃の納入に応じないものがいなくなるよう取り組む」と強く決意したところであり,この方針の下,取り組んできたところである。特に,現在,分納している者が滞ることなく履行していくよう管理し,新たな滞納や不履行が発生した場合には,明渡しを求める法的措置や給与の差押え等に引き続き取り組むとともに,平成15年9月市会定例会での付帯決議を踏まえ,滞納者に対する延滞金の徴収を検討するなど,今後もこれまで以上に取り組み,滞納者の一掃を図る考えである。 |