[監査]

○公表


監査公表第488号
 平成14年3月8日監査公表第463号において公表した平成13年度包括外部監査の結果に基づき講じた措置について,地方自治法第252条の38第6項の規定により,京都市長から通知があったので,次のとおり公表します。

  平成15年9月24日

京都市監査委員 井上 與一郎
同    安孫子 和子
同    下薗 俊喜
同    奥谷 晟


平成13年度包括外部監査結果に対する措置状況

 京都市下水道局の事務

1 財務の状況について
(下水道局−1)
監査の結果
<監査意見>
 キャッシュ・フロー計算書においては,資本的収支における補てん財源や運転資金である減価償却などの内部留保資金のキャッシュ・フローの流れを把握することができるため,その作成の意義が大きいと思われる。
 したがって,下水道局においても,公営企業の特殊性を踏まえつつ,キャッシュ・フロー計算書を作成することが望ましい。
 


講じた措置

 平成14年度決算からキャッシュ・フロー計算書を作成した。
 



2 支出・財産管理等について
(下水道局−2)
監査の結果
<改善を要する事項>
 建設改良費は,すべて建設仮勘定に計上し,期末に一括振替を行うという処理を見直し,車両や備品等の完成品は,購入時に,その都度固定資産の勘定にそれぞれ計上すること。
 


講じた措置

 車両や備品等の固定資産物品は,従来期末に固定資産へ計上していたが,平成14年度から半期ごとに固定資産に計上するよう改めた。
 


(下水道局−3)
監査の結果
<改善を要する事項>
 池田ポンプ場関連用地は,昭和56年の取得以来,全く事業に利用されていないにもかかわらず,毎年数回の除草費用が約88万円(平成12年度実績)及び企業債利息約730万円(取得価格を平均利率で算出した額)が支出されているので,これらのことを考え合わせると早急に処分すべきものと考える。
 


講じた措置

 当該地を有効に利用するため,平成15年4月から近隣の池田小学校に対して,2,469平方メートルすべてをふれあい農園として貸し付けている。
 


(下水道局−4)
監査の結果
<監査意見>
 職員厚生会の補助金は,政府管掌の社会保険制度では,健康保険・厚生年金の保険料が,労使がそれぞれほぼ2分の1の負担となっている例もあるので,職員の福利,勤務の環境及び勤労意欲の増進のため必要であるが,できる限り抑制することが必要である。
 


講じた措置

 厚生会補助金の見直しについて,労使間の協議及び関係機関における協議の結果,平成15年度から職員負担による会費と事業主負担の割合を1対2から1対1.5に改めた。
 


(下水道局−5)
監査の結果
<改善を要する事項>
 2年も連続して執行率が低調であるということは,下水道使用料の収入状況により年度途中で執行抑制を行っていたことを考慮しても,必要以上に予算が高めに設定されていると考えざるを得ない。
 公営企業の予算は,実施計画を作成し,これにしたがって執行されるべきものである。今後は,決算時において執行率の低調であった項目について,なぜ計画にこのような乖離が生じたのか,今後どのようにすればそのような乖離が是正されるのかを検討し,次年度の予算に反映させる仕組みをつくることが望ましい。
 


講じた措置

 下水道事業は自然条件に左右されるため,汚水処理,汚泥処理及び雨水排除等は一刻であろうと停止できるものではない。そのため,気象・水質等の変動に対応でき得る予算規模にする必要があるが,企業経営上は予算額と決算額の差をできる限り小さくすることが望ましい。そこで,平成13年度決算における予算額と執行額の差が多額に上った動力費,薬品費等について計画値及び原単位の妥当性について再検討を行い,平成15年度予算編成に反映した。
 



3 給与について
(下水道局−6)
監査の結果
<監査意見>
 現在の4つの給料表は,実質1つの給料表であるから,これを1つの給料表に統合するとともに,統合に際しては,職務の級が1級から3級の職員に適用される部分については,給料月額を職務の級ごとに区分し,昇給の額および昇給期間も京都市の他の部局と同様に改めるべきである。
 


講じた措置

 給料等について職員労働組合との協議を重ねた結果,従来の4つの給料表を1つの給料表に統合し,職務の級が1級ないし3級の職員に適用する部分については給料月額を職務の級ごとに区分した。昇給の額及び昇給期間については,半年ごとに昇給としていた従来の制度を,市長部局と同様に1年ごとに昇給する制度に改めた。また,水道局及び下水道局のすべての職員について,1級から10級の各級別の号給・給料月額に基づく水道局及び下水道局企業職給料表に移行し,従来の通し号俸制は廃止した。以上の変更を平成15年4月から実施した。
 


(下水道局−7)
監査の結果
<改善を要する事項>
 「下水道業務手当支給要綱」の目的では,現業業務に従事する一般職員に支給する旨を定めているが,給与規程第29条に定める能率手当の趣旨,目的等にてらし支給する業務能率を高度に発揮させる業務や,複雑な業務に従事した場合には適合していない。
 特異性手当及び下水道業務手当は,支給の趣旨が同じであるので,両者を特異性手当として統合し,支給基準は,「当該業務に従事した1日当たり」として日額化されたい。
 支給人員も一般職員609名の内535名であり,支給対象職員の割合が高いので,職務の種類に応じた適切な処遇のために給料表を整備することを考慮しながら,支給対象業務の見直しを行う必要がある。
 


講じた措置

 特異性手当及び下水道業務手当について労使協議を重ね,平成15年4月から,下水道業務手当を特異性手当へ統合・廃止し,特異性手当は支給額の見直し,日額化するとともに支給対象を15職務減とした。この結果,職員数に対する支給対象率は約70パーセントとなり,他手当への影響分も含め前年度予算と比較すると,水道局・下水道局合わせて約8,000万円の経費節減となった。
 



4 契約について
(下水道局−8)
監査の結果
<監査意見>
 入札価格の上限価格をガラス張りにして業者間の公正な競争を促すとともに,不正な入札を防止し,そのことによって適正かつ公平な入札,契約事務の確保に役立てるという目的で予定価格の事前公表を一部試行にて実施されていたが,平成12年度の状況をみると,制度の効果が目に見えて現れている。
 京都市では,試行実施の大規模工事について,平成14年1月1日から本格実施に踏み切られたが,さらに対象範囲を拡大し,試行実施されている。
 試行実施の工事については,本格実施の必要性を検討するために,今後とも事前公表の効果を検証することが望まれる。
 


講じた措置

 平成14年1月1日から,予定価格1億円以上の工事請負契約で競争入札に付されるものの予定価格の事前公表を本格実施に移行するとともに,予定価格3,000万円以上の契約まで対象範囲を拡大することを試行実施した。さらに,入札及び契約手続の透明性,客観性を一層高めるため,平成15年1月1日から,競争入札に付するすべての工事について予定価格の事前公表を行った。
 また,予定価格の事前公表に当たっては,統計資料を踏まえ,その効果の検証を行いつつ対象範囲を拡大してきたところであるが,すべての工事に対象範囲を拡大したことに併せて,工事種目別及び入札方式別の落札率を公表した。
 なお,京都市契約公報第25号(平成15年1月16日発行)に平成13年度と平成14年度上半期の工事種目別及び入札方式別の落札率を,京都市契約公報第36号(平成15年5月22日発行)に平成14年度下半期及び通年の落札率を登載しているが,今後も定期的に落札率を公表していく予定である。
 


 (下水道局−9)
監査の結果
<監査意見>
 平成11年度では,公正取引委員会の摘発による大規模な談合事件が続き,京都市では競争入札参加停止の業者数はそれまで,年間88社以内であったものが,190社と著しく増加した。
 従来,改善に向けた種々の取組がなされていたが,業者間の一部にみられる談合体質は,なかなか改まらないようであり,入札,契約制度の抜本的な改善が全国的にも強く求められているところである。
 京都市ではこのような状況を踏まえて,平成13年11月に入札及び契約の制度を更に改正されたが,なお,国の適正化方針で示されている内容については,既に制度化するなど大部分は実施されているとはいえ,実施されていないものがある。出来る限り早期実施に向けて検討を進められたい。
 


講じた措置

 公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(以下「適正化指針」という。)により発注者に実施が求められている事項については,順次必要な調査研究を行い,入札及び契約制度の拡充を図っているところであるが,引き続き適正化指針の完全実施に向けて取組を推進していく。
 なお,包括外部監査後,適正化指針の趣旨を踏まえ,次のとおり入札及び契約制度の改正等を行った。
 公募型指名競争入札の適用基準額を予定価格3億円から1億円に引き下げることにより対象範囲を拡大するとともに,予定価格3,000万円以上の土木工事について等級(ランク)を活用した入札方式として,「希望型指名競争入札」を導入した(平成14年4月実施)。
 さらに,平成15年4月から,予定価格1,000万円以上の土木工事に対象を拡大した。
 競争参加者(土木格付業者)の等級及び当該格付業者に係る主観点数(登録年数,受注実績等を数値化)と客観点数(経営事項審査結果通知書における土木の総合評点(P点数)=完成工事高,自己資本額,建設業従事職員数,経営状況等を数値化して合計したもの)の合計並びに等級に関する基準の公表を行った(平成14年6月実施)。
 低入札価格調査制度※1(予定価格3,000万円以上の工事の競争入札)の基準価格及び最低制限価格制度※2の最低制限価格(予定価格3,000万円未満の工事の競争入札)を事前公表することとした。また,最低制限価格制度の適用を受ける競争入札の落札者については,入札価格に対応する積算内訳書を契約締結時に提出することを契約資格条件とした(以上平成15年1月実施)。
 さらに,平成15年4月から低入札価格調査制度の基準額を予定価格1,000万円以上の工事の競争入札に対象を拡大した。
※ 1 低入札価格調査制度とは,競争入札において,一定の基準額を下回る入札があった場合に,その入札価格で適正な工事の施行が可能であるか否かを審査し,落札者としての適否を判断する制度である。
※ 2 最低制限価格制度は,競争入札において,予定価格の範囲内であっても,あらかじめ設定した最低制限価格を下回る場合には,当該入札者を落札者としないとする制度である。
 公正かつ的確な評定の実施を図ることを目的として工事成績評定の作成等を定めた要領を策定し,公表した(平成15年4月実施)。
 請負工事の施行状況及び施工体制等の把握について,適切な時期に所定の点検を実施することにより適正な施工体制を確保することを目的として,監督員の点検事項等を定めた要領を策定し,公表した(平成15年4月実施)。
 



5 下水の高度処理について
(下水道局−10)
監査の結果
<改善を要する事項>
 汚水の高度処理について,毎年度相当額のコストをかけて取組まれていることは重要なことであるので,費用対効果について市民の理解を深めてもらうためにも,流入水の水質と高級処理後の水質との比較,高度処理している処理水量の流入下水量に対する割合及び年度ごとに高度処理している処理水量の進ちょく状況を,市民に分かりやすい一覧表として積極的にPRすべきである。
 


講じた措置

 高度処理に係る取組については,従来から下水道局広報パンフレット,インターネットの下水道局ホームページ等にその内容を掲載することにより,市民に対する情報提供に努めてきた。
 平成14年度には,年1回発行している「公共下水道統計年報」と「水質年報」に高度処理に係る水量や水質に関する内容を追加掲載した。また,下水道局ホームページに高度処理能力及び平均高度処理対応率のグラフを掲載し,本市における高度処理の状況について市民が容易に知ることができるようにした。
 


(下水道局−11)
監査の結果
<改善を要する事項>
 今後において公共下水道事業全体に環境会計を導入するため,まず,各下水処理場ごとに,また,各処理工程ごとに原価計算を徹底するためのフォーマット(方式)を整備し,高度処理等に要するコスト管理が効率よく行われているかを,「環境効率」等を計算して,その結果を検証することで,費用対効果の認識を深めることになるので,早急に取組まれたい。
 


講じた措置

 平成14年度において,高度処理を標準活性汚泥法と比較して効果を表すフォーマットを作成するとともに,高度処理に係る原価計算のフォーマットの整理・作成を行い,1立方メートル当たりの高度処理による処理単価と100円当たりの高度処理水量を示す環境効率を算出した。
 

(監査事務局第一課)

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