[監査]

○告示


京都市監査委員告示第2号

 地方自治法第252条の32第2項の規定に基づき,包括外部監査の事務を補助する者の氏名及び住所並びに当該監査の事務を補助する者が包括外部監査人の監査の事務を補助できる期間を次のとおり告示します。

  平成15年9月9日
京都市監査委員 井上 與一郎
同    安孫子 和子
同    下薗 俊喜
同    奥谷 晟


 氏名及び住所
氏名住所
河田 佳代子京都市左京区下鴨西本町14番地

 事務を補助できる期間
 平成15年9月9日から平成16年3月31日まで

(監査事務局第一課)

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○公表


監査公表第487号


京都市職員措置請求及び監査結果公表
 地方自治法第242条第4項の規定により,標記の請求に係る監査を行ったので,請求文及び請求人に対する監査結果の通知文を次のとおり公表します。
  平成15年9月9日

京都市監査委員 井上 與一郎
同    安孫子 和子
同    下薗 俊喜
同    奥谷 晟

 京都市職員措置請求書

京都市職員措置請求書
請求の趣旨
 別紙事実証明書のとおり,公正取引委員会は,建設会社12社に対し,京都市が指名競争入札の方法により発注する5000万円以上の舗装工事について,共同して,受注予定者を決定して,受注できるようにしていたとして,2003年5月22日,同法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反するものとして勧告を行った。
 また,同委員会は,建設会社17社に対し,京都市が指名競争入札の方法により発注する5000万円未満の舗装工事について,共同して,順番等により,受注予定者を決定して,受注できるようにしていた疑いがあるとして,前記同日,同法3条の規定に違反するおそれがあるものとして警告を行った。
 京都市は,これら談合により実際の供給価格と談合が無い場合の適正価格との差額につき損害を被った。
 よって,別紙事実証明書別表1,2及び3記載の各建設会社及び関係職員に対し,前記各事実関係を調査した上,競争を前提とする適正価格と談合後の価格の差額の返還請求をするなどして,京都市の被った損害を補填するために必要な措置を取られるよう,地方自治法第242条第1項の規定により,別紙事実証明書を添えて必要な措置の請求をする。
京都市監査委員 御中
2003年7月8日 
 請求人

住所 京都市北区
氏名 井上 吉郎
住所 京都市西京区
氏名 鈴村 堯
住所 京都市伏見区
氏名 高橋 瞬作
注 事実証明書の記載を省略した。


請求人に対する監査結果通知文

監第80号

平成15年9月4日
 請求人各位
京都市監査委員 井上 與一郎
同    安孫子 和子
同    下薗 俊喜
同    奥谷 晟


京都市職員措置請求に係る監査の結果について(通知)
 平成15年7月8日付けで提出された地方自治法(以下「法」という。)第242条第1項の規定に基づく京都市職員措置請求について,監査した結果を同条第4項の規定により通知します。
第1 請求の受理
 1 請求の要旨
(1) 公正取引委員会(以下「公取委」という。)は,建設会社12社に対し,京都市(以下「市」という。)が指名競争入札の方法により発注する5,000万円以上の舗装工事(以下「5,000万円以上の舗装工事」という。)について,共同して,受注予定者を決定し,受注できるようにしていたとして,平成15年5月22日,私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反するものとして勧告を行った。
 また,公取委は,建設会社17社に対し,市が指名競争入札の方法により発注する5,000万円未満の舗装工事ついて,共同して,順番等により,受注予定者を決定し,受注できるようにしていた疑いがあるとして,前記同日,独占禁止法第3条の規定に違反するおそれがあるものとして警告を行った。
(2) 市は,これら談合により実際の供給価格と談合がない場合の適正価格との差額につき損害を被った。
(3) よって,別表第1,別表第2及び別表第3記載の各建設会社及び関係職員に対し,前記各事実関係を調査したうえ,競争を前提とする適正価格と談合後の価格の差額を返還請求するなどして,市の被った損害を補填するために必要な措置を取られるよう,法第242条第1項の規定により,事実証明書を添えて必要な措置の請求をする。
 2 要件審査
 本件請求の対象事項の中には,財務会計行為があった日から1年以上経過しているものが含まれているが,請求の趣旨から,市が入札に参加した業者に対して有する損害賠償請求権を行使をしていないこと,すなわち,財産の管理を怠る事実についての請求であると解されるので,法第242条第2項本文の規定は適用されないと判断し,請求のあったすべての事項について監査を実施することとした。
第2 監査の実施
 1 法第242条第6項の規定に基づき,請求人に対し平成15年7月28日に証拠の提出及び陳述の機会を与えたが,請求人は,新たな証拠の提出及び陳述を行わなかった。
 2 理財局及び建設局関係職員に対し,関係書類の提出を求めるとともに,平成15年8月20日に陳述の聴取を行った。
 3 公取委及び市が指名競争入札の方法により発注する舗装工事に関し公取委から勧告又は警告を受けた舗装工事入札参加業者に対し,法第199条第8項の規定に基づく関係人調査を書面により行った。
第3 監査の結果
 1 事実関係
(1) 公取委の勧告
 公取委は,平成15年5月22日,5,000万円以上の舗装工事の入札参加業者13社(別表第1記載。以下「13社」という。)のうち,平成13年6月13日に京都地方裁判所から破産宣告を受けている1社を除く12社(以下「12社」という。)に対し,独占禁止法第48条第2項の規定に基づく勧告(以下「本件勧告」という。)を行った。
 本件勧告の概要は以下のとおりである。
 違反行為の概要
 13社は,平成12年4月1日以降,5,000万円以上の舗装工事について,受注価格の低落防止を図るため,
(ア) 受注を希望する者(以下「受注希望者」という。)が1社のときは,その者を受注予定者とし,受注希望者が複数のときは,受注希望者間の話合いにより受注予定者を決定する
(イ) 受注すべき価格は,受注予定者が定め,受注予定者以外の者は,受注予定者がその定めた価格で受注できるように協力する
旨の合意に基づき,工事場所等の事情を勘案するなどして受注予定者を決定し,受注予定者が受注予定者以外の者にその者の入札価格の積算の内訳を記載した文書を配付するなどして,受注予定者が受注できるようにしていた。
 (ア)及び(イ)により,13社は,5,000万円以上の舗装工事のほとんどすべてを受注していた。
 平成14年8月27日,本件について公取委が独占禁止法の規定に基づき審査を開始したところ,12社は,同日以降,(ア)及び(イ)の合意に基づき受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめている。
 勧告の概要
(ア) 12社は,遅くとも平成12年4月1日以降行っていた,5,000万円以上の舗装工事について,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにする行為を取りやめていることを確認すること。
(イ) 12社は,(ア)に基づいて採った措置及び今後,共同して,5,000万円以上の舗装工事について,受注予定者を決定せず,各社がそれぞれ自主的に受注活動を行う旨を市に通知すること。この通知の方法については,あらかじめ,公取委の承認を受けること。
(ウ) 12社は,今後,それぞれ,相互に又は他の事業者と共同して,5,000万円以上の舗装工事について,受注予定者を決定しないこと。
(エ) 12社は,以上に基づいて採った措置を速やかに公取委に報告すること。
 法令の適用の概要
 13社は,共同して,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにすることにより,公共の利益に反して,5,000万円以上の舗装工事の取引分野における競争を実質的に制限していたものであって,これは,独占禁止法第2条第6項に規定する不当な取引制限に該当し,独占禁止法第3条の規定に違反するものである。
(2) 公取委の審決
 12社のうち,1社が本件勧告を応諾したため,公取委は平成15年6月18日,同社に対し,独占禁止法第48条第4項の規定に基づき,本件勧告と同趣旨の審決(以下「勧告審決」という。)を行った。
(3) 公取委の審判開始決定
 12社のうち,11社は本件勧告を応諾しなかったため,公取委は平成15年6月20日,独占禁止法第49条第1項の規定に基づき,審判開始決定を行った。
(4) 公取委の警告
 公取委は平成15年5月22日,市が指名競争入札の方法により発注する予定価格が2,500万円以上5,000万円未満の舗装工事(以下「2,500万円以上の舗装工事」という。)の入札参加業者9社(別表第2記載。以下「別表第2記載の9社」という。)及び市が指名競争入札の方法により発注する予定価格が1,000万円以上2,500万円未満の舗装工事(以下「1,000万円以上の舗装工事」という。)の入札参加業者9社(別表第3記載。以下「別表第3記載の9社」という。)のうち,平成14年5月31日に京都地方裁判所から破産宣告を受けている1社を除く8社(以下「別表第3記載の8社」という。)に対し,警告(以下「本件警告」という。)を行った。
 本件警告の概要は,以下のとおりである。
 違反被疑行為の概要
 平成12年度及び平成13年度において,別表第2記載の9社は2,500万円以上の舗装工事について,別表第3記載の9社は1,000万円以上の舗装工事について,それぞれ共同して,順番等により,受注予定者を決定し,受注予定者が受注できるようにしていた疑いのある行為が認められた。
 警告の概要
 別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社は,今後上記アの行為と同様の行為を行わないこと。
(5) 市が講じた措置
 損害賠償請求
 建設局は,本件勧告を受けた12社のうち1社が本件勧告を応諾したことから,13社間において独占禁止法違反行為があったことが明らかになったとして,当該行為により市が被った損害額を562,044,967円と算定し,平成15年7月30日,13社に対して当該損害額及び遅延損害金を連帯して支払うよう,請求を行った。
 競争入札参加停止措置等
 理財局は,12社に対し,平成15年5月22日から同年11月21日までの6月間の競争入札参加停止の措置を講じるとともに,本件警告を受けた別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社に対し,文書による警告を行うとともに,今後,独占禁止法違反を疑われるような行為を行わない旨の誓約書を提出させた。
 2 関係職員の説明
(1) 建設局関係職員の説明
 基本認識
 関係業者間で独占禁止法第3条の規定に違反する行為があれば,当該行為により,不正につり上げられた価格相当分の損害が市に生じていることになり,関係業者に対して損害賠償を請求する必要がある。
 本件勧告に対する対応
 平成15年5月22日に本件勧告が行われた以降,損害賠償の請求について検討を行ってきたが,12社のうち1社が本件勧告を応諾したため,本件勧告の対象となった工事について業者間で談合が行われたと認定できると判断した。そこで平成15年7月30日,13社に対して民法第709条の規定に基づき,納入期限を平成15年8月11日とする損害賠償の請求を行った。
 損害賠償請求額について
 市が回収する必要があるのは,損害額562,044,967円及び遅延損害金である。その対象は,平成12年4月1日から平成14年8月27日までの間の5,000万円以上の舗装工事74件のうち,契約解除分(平成13年6月13日に京都地方裁判所から破産宣告を受けている1社との契約)1件を除く73件分とした。
 損害額は,個別の契約ごとに,予定価格に当該年度の工事契約全体の平均落札率(平成12年度91.48パーセント,平成13年度90.48パーセント,平成14年度89.54パーセント)を乗じて算定した適正価格(談合が行われず適正に競争が行われた場合の落札価格をいう。以下「適正価格」という。)と実際の契約金額との差額の合計額とした。
 また,平成14年1月以降に工事請負契約を締結したものについては,工事請負契約書に公取委の審決確定を要件とする損害賠償予約条項(損害賠償の額は契約金額の10パーセント相当額)を付記しており,公取委の審決確定後,落札者に対してのみ契約金額の10パーセント相当額から今回請求した金額を控除した額を追加して請求することとしている。
 なお,既に勧告審決が確定している1社に対しては,損害賠償予約条項に基づく損害賠償の請求も合わせて行った。
 本件警告を受けた業者に対する対応
 本件警告を受けた別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社については,独占禁止法に基づく調査権限を持つ公取委が,慎重に審査を行った結果,独占禁止法第3条に違反する行為の事実を認定することができなかったものである。
 公取委に与えられているような調査権限を有しない市が,入札の結果からのみ独占禁止法違反があったと判断することはできない。独占禁止法違反行為があったと認定できない以上,損害があったと認定することもできないため,本件警告を受けた別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社に対しては,損害賠償を請求しないこととした。
(2) 理財局関係職員の説明
 談合に対する市の取組
 市においては,平成6年4月から公共工事の入札及び契約に関する制度の改善を重ねてきたところであるが,談合の防止策としては,談合が行われにくい仕組みづくりと談合に対し厳正に対処するための制度づくりを行ってきた。
 談合が行われにくい仕組みづくりについては,指名業者数を増やして競争性を高めること,入札及び契約結果等を積極的に公表することといった措置を講じ,談合に対し厳正に対処する制度づくりについては,談合情報対応マニュアルの策定,競争入札参加停止期間の延長,談合が明らかになった場合の損害賠償予約条項の契約書への付記といった対策を講じてきた。
 舗装工事の発注方法
 舗装工事については,一般競争入札方式を採用すべき工事はなく,入札を行う場合は指名競争入札方式を採用している。
 指名業者の選定に当たっては,発注する工事の予定価格に対応する等級ごとにあらかじめ業者を格付けしており,当該格付け業者の中から指名している。この場合,発注する工事の予定価格に応じて,指名する業者数の下限を定めている。
 なお,市においては,市内中小企業の振興のため,本市の区域内に本店を有する中小企業を優先して指名することを原則としており,舗装工事の場合は,そのほとんどすべてについて,本市の区域内に本店を有する中小企業者のみを指名している。
 本件勧告等について
 市には公取委のような法令に基づく調査権限は認められておらず,これまで,入札結果や積算内訳書等からは談合があったと疑うに足りる理由を見出すことはできなかった。
 本件勧告を受けた12社に対しては,平成15年5月22日から6月間の競争入札参加停止の措置を講じている。また,本件警告を受けた別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社に対しても,文書による警告を行った。
 談合に対する今後の取組等について
 平成14年8月に公取委が立入検査を行ったことを受けて,同年10月から,舗装工事の入札に当たっては,予定価格にかかわらず入札参加の意向を示した業者をすべて指名する方式(意向反映型指名競争入札方式)を実施し,より競争性を高める改善措置を講じている。
 公共工事については,「透明性の確保」,「公正な競争の促進」,「不正行為の排除の徹底」及び「適正な施工の確保」の基本原則に基づき,電子入札の導入(平成17年度一部試行,平成19年度本格実施の予定)を機に,入札・契約制度を抜本的に改善することとしている。
 3 関係人調査の結果
(1) 公取委に対する調査結果
 公取委からは,1に記載した事実関係について,同趣旨の回答があったほか,次のような回答があった。
 12社,別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社に対する独占禁止法第46条第4項の規定に基づく立入検査は,平成14年8月27日及び同月28日に行った。
 今後は,本件勧告を応諾した1社に対して独占禁止法第7条の2に規定する課徴金(以下「課徴金」という。)の金額算定業務を行うこととなるが,現時点では課徴金の金額は確定しておらず,個別契約における談合行為については回答できない。
 本件警告の対象となった別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社については,勧告を行うに足る独占禁止法違反事実は認められなかったが,独占禁止法に違反する行為を行っていた疑いが認められたため,警告とした。
(2) 本件勧告又は本件警告を受けた業者に対する調査結果
 本件勧告を受けた業者に対する調査結果
 12社に対し調査を行ったところ,10社から回答があった。
(ア) 10社とも平成14年8月27日に公取委の立入検査を受けたとしている。
(イ) 10社中9社は,本件勧告を応諾せず,審判で争っており談合の事実を否定している。
(ウ) 本件勧告を応諾した1社は,既に勧告審決を受けているが,現時点では課徴金納付命令は受けておらず,具体的な独占禁止法違反行為については明らかではないとしている。
 本件警告を受けた業者に対する調査結果
 別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社の合計17社に対し調査を行ったところ,14社から回答があった。
(ア) 14社中13社は平成14年8月27日から同月30日までの間において公取委の立入検査を受けたとしているが,1社は立入検査を受けていないとしている。
(イ) 14社とも警告を受けたことについては,遺憾或いは不満であるとし,14社中12社は,本件警告の対象となった違反被疑行為(1(4)ア参照)は無かったとしている(2社は違反被疑行為の有無について未回答)。
 4 監査委員の判断及び結論
(1) 談合という不法行為によって,工事の請負金額が不正につり上げられたことが確認された場合は,談合がなく適正に競争が行われていれば形成されていたであろう価格との差額につき損害が発生していると捉え,当該損害を回復するための措置を講じることが必要である。
(2) 市は,平成15年7月30日付けで13社に対し,民法第709条の規定に基づく損害賠償の請求を行っている。
 損害賠償の請求に当たっては,市は本件勧告の対象となった平成12年4月1日から平成14年8月27日までの間に発注した舗装工事74件のうち,契約解除分1件を除く73件について,個別の契約ごとに算定した適正価格と実際の契約価格との差額を算出し,これらの合計額を損害額として遅延損害金と合わせて,13社に対し連帯して賠償するよう請求している。
 したがって,13社に対しては,請求人が求めている市が被った損害を補填するために必要な措置は,既に講じられていると認められる。
(3) 請求人は,別表第2記載の9社及び別表第3記載の9社に対しても,損害賠償の請求を行うなど,市が被った損害を回復するために必要な措置を講じることを求めている。
 談合という不法行為により損害を被ったとして民法第709条の規定に基づき損害賠償の請求を行うためには,市は,談合の存在とそれにより損害が生じていることを立証する必要がある。また独占禁止法第25条の規定による損害賠償請求権を裁判上主張するためには,同法第48条第4項,第53条の3又は第54条の規定による審決(以下これらを「審決」という。)が確定している必要がある。
(4) しかし,別表第2記載の9社及び別表第3記載の9社については,独占禁止法を運用するために設置された公取委が慎重に審査を行った結果,独占禁止法に違反する行為を行っていた疑いがあるものの,独占禁止法第48条第1項又は第2項に基づく勧告を行うに足る独占禁止法違反事実は認められなかったとしている。
 また,本件警告を受けた別表第2記載の9社及び別表第3記載の8社に対して行った関係人調査の結果,回答があった14社はいずれも独占禁止法違反被疑行為の存在を否定している。
 これらのことから,平成12年度及び平成13年度に発注された2,500万円以上の舗装工事及び1,000万円以上の舗装工事について,談合が行われたことを確認することはできなかった。
(5) したがって,談合が行われたことが確認できていない以上,市に損害があったと認定することはできないので,別表第2記載の9社及び別表第3記載の9社に対して損害賠償の請求を行うことはできないという建設局関係職員の説明は妥当なものである。
 また,独占禁止法第25条の規定に基づく請求が行われていないことについても,同法第26条が審決の確定を訴訟提起の要件となる旨規定していることを考慮すると,別表第2記載の9社及び別表第3記載の9社に対する損害賠償の請求を違法又は不当に怠っているとは言えない。
(6) よって,請求人の主張には理由がないので,本件請求は棄却する。
 5 市長に対する要望
 本件請求についての監査委員の判断は以上のとおりである。
 これまで,談合の排除,防止のため様々な措置が講じられてきたにもかかわらず,本件請求の対象となった舗装工事について,公取委から勧告又は警告が行われたことは,遺憾である。
 今後,工事等担当局,契約担当局相互間の緊密な協力のもと,入札,契約に当たっては指名業者を増やすなど一層競争性を高める方法を導入すること,談合など独占禁止法違反が疑われる場合は関係機関と積極的に連携をとること,談合を行った業者に厳正に対処する措置について必要に応じて見直しを行うこと等,談合の排除,防止のための措置について,更に検討されるよう要望する。


別表第1
別表第2
別表第3


(監査事務局第一課)

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