[監査]

○公表


監査公表第478号
 地方自治法第199条第2項の規定による監査を実施し,同条第9項の規定により監査の結果に関する報告を決定しましたので,同項の規定により,次のとおり公表します。
  平成15年5月15日
京都市監査委員職務執行者 高橋 泰一朗
同        宮本 徹
京都市監査委員  下薗 俊喜
同      奥谷 晟




平成14年度行政監査結果公表
 監査の種類 行政監査
 監査テーマ 保育所の運営等について
 監査の対象 保健福祉局,北福祉事務所,上京福祉事務所,西京福祉事務所及び深草福祉事務所
 監査の対象期間 平成13年度
 監査の実施期間 平成14年8月から平成15年4月
 監査の内容
第1 監査の目的,範囲等
 1 監査の目的
 平成13年1月に策定された京都市基本計画の「第1章 安らぎのあるくらし」において,「子どもを安心して産み育てる」ことができる環境をつくっていくことが政策の一つとして掲げられ,「全国的に少子化が進むなか,子どもたちにとって最も大切な役割を担う家庭を基本として,それを補完するかたちで,社会全体で子育てを支援し,子どもを安心して産み育てられるしくみづくり,子どもたちがのびのびと健やかに成長できるしくみづくり」を進めるという基本的方向が示されている。
 そして,それを具体化する施策として,安心して子育てができる保育サービス等の提供が掲げられている。保育サービスの提供に当たって,保育所は重要な役割を果たすものであるが,保育所入所待機児童があることから,市はその解消を図ることを重要な課題と位置付けている。
 また,保育所運営の重要な財源である保育料の徴収率については,「京都新世紀市政改革大綱」(以下「市政改革大綱」という。)において,「平成17年度に98パーセントに引き上げる」という数値目標が掲げられ,取組が行われている。
 そこで,保育所入所待機児童の解消に向けた取組の状況及び保育料徴収率向上に向けた取組の状況等について検証するため,監査を実施することとした。
 2 監査の範囲
 保育所入所待機児童の解消に向けた取組や多様な保育ニーズに応えていくための取組,保育料徴収率の向上を目指すための取組,保育所入所児童の決定事務の状況を主な対象とした。
 3 監査の着眼点
 次に掲げる事項を着眼点とした。
(1) 保育所入所待機児童の解消に向けて適切な措置が講じられているか。
(2) 保育所入所児童の決定事務が適切に行われているか。
(3) 保育料の徴収率の向上に向けた取組は効果を挙げているか。
(4) 子育て家庭のニーズに応じた保育サービスを充実させるための施策にどのように取り組んでいるか。
(5) 市営保育所の運営の効率化についてどのように取り組んでいるか。
 4 監査の方法
 書類審査及び質問調査を行った。
第2 保育事業の概要
 1 保育を実施するに当たっての基本的な考え方
 市においては,京都市基本計画の中で「子どもを安心して産み育てる」ことができる環境をつくっていくことを政策の一つとして掲げ,それを具体化する施策として,安心して子育てができる保育サービス等を提供していくことを掲げている。また,子育て家庭のニーズに応じた保育サービスの充実については,低年齢児保育,時間延長保育及び休日保育の充実を掲げている。
 2 保育の実施
 児童福祉施設である保育所における保育は,保護者が昼間に居宅外で労働することを常態としている,保護者が疾病に罹患している等の理由により,家庭において児童を保育することができない場合で,かつ同居の親族その他の者が当該児童を保育することができないと認められる場合,すなわち「保育に欠ける」と認められる場合に,保護者の申請に基づき,保護者に代わって,市が自ら保育所を設置し又は社会福祉法人等が経営する認可保育所に委託して実施するもので,入所した児童が心身ともにすこやかに,社会に適応するように育成されることを保障しようとするものである。
 市町村は,児童に保育に欠けるところがある場合において,保護者から申込みがあったときはその児童を保育所において保育しなければならない(児童福祉法(以下「法」という。)第24条第1項)とされているように,保育の実施責任は市町村にあるが,本市においては,保育の実施に関しては,福祉事務所長に委任されており(法第32条第2項及び京都市児童福祉法施行細則(以下「施行細則」という。)第2条第2項第3号),保護者からの申込みの受付,選考及び保育所への入所の決定については,福祉事務所で行われている。
 3 施設数
 本市における平成13年4月1日現在の法第24条第1項に規定する保育所は,次表のとおりで,施設数は市営保育所が31箇所,民営保育所(法第35条第4項の規定による認可を得たものをいう。以下同じ。)が220箇所(うち7箇所は夜間保育所)の計251箇所である。
<施設数,定員数及び入所者数等>
 4 保育時間
(1) 通常保育
 保育所(夜間保育所を除く。) 8時間30分(8時30分から17時まで。日曜日,国民の祝日に関する法律に規定する休日(以下「祝日」という。)及び年末年始を除く。)
 夜間保育所 11時間(11時から22時まで。日曜日,祝日及び年末年始を除く。なお,保育料については,13時30分から22時までは通常保育,11時から13時30分までは特例保育として取り扱われている。)
(2) 特例保育
 保育所(夜間保育所を除く。) 通常開所時間の前後1時間
(3) 延長保育
 保育所(夜間保育所を除く。) 11時間の開所時間を基本に更に15分以上の開所
 平成13年度は,市営保育所12箇所,民営保育所85箇所の合計97箇所で実施されている。
 夜間保育所 9時から11時まで
 平成13年度は7箇所すべてで実施されている。
(4) 休日保育(モデル実施)
 7時30分から18時まで(日曜日,祝日(ただし,1月1日を除く。),12月29日及び同月30日)
 平成13年度は2箇所(市営保育所,民営保育所各1箇所,うち民営保育所1箇所は10月から)で実施されている。
(5) 一時保育
 保護者の就労形態の多様化,保護者の傷病,保護者の心理的,肉体的負担など一時的な保育需要に対応するために実施されており,次の3つの類型がある。
 非定型的保育サービス事業 保護者の就労形態等により,家庭における保育が断続的に困難となる児童を対象(週3日以内,利用期間6月以内)
 緊急保育サービス事業 保護者の傷病,入院等の事由により,緊急,一時的に保育を必要とする児童を対象(利用期間は原則14日以内)
 私的理由による保育サービス事業 保護者の育児に伴う心理的,肉体的負担を解消するため,一時的に保育を必要とする児童を対象
第3 保育所の現況
 1 定員数及び入所者数等
(1) 全市的状況
 第2 3に掲げた表(施設数,定員数及び入所者数等)のとおり,定員数は平成13年4月1日現在,全市で23,790人(251箇所)であり,23,505人の児童が入所し,定員充足率は98.8パーセントとなっている。この定員充足率は定員数と入所者数とでほぼ均衡がとれた状態に見受けられるが,運営主体別で見た場合,民営保育所(220箇所)は定員21,305人に対して入所者数は21,757人で,定員充足率は102.1パーセントと,いわゆる定員の弾力化(保育の実施は,定員の範囲内で行うとされているが,受入体制のある保育所において,定員を超えて保育を実施し,入所の円滑化を図っている。)によって,定員以上の児童を受け入れている。
 一方,市営保育所(31箇所)は定員2,485人に対して入所者数は1,748人で,定員充足率は70.3パーセントと,民営保育所とは31.8ポイントの差があり,運営主体別で大きな差が生じている。
 市営保育所については,31箇所のうち,19箇所は同和保育所であったため,入所対象者が限られていたということやこれらの保育所が設置されている地域における入所対象児童の減少もあり,これらの事情が定員充足率にも影響していたものと考えられる。同和保育所については,平成9年度以降,周辺地域からの入所が段階的に実施されてきた。更に,平成13年度末をもって特別施策としての同和対策事業が終結したことに伴い,平成14年度からは周辺入所に係る要件が廃止され,入所を希望するものはだれでも入所できるようになった。こうした状況の変化もあり,市営保育所の定員充足率も年々高くなってきている(平成14年4月1日現在の市営保育所の定員充足率は,入所者の増加と定員数の減少(2,485人から2,365人へ120人減)により,77.3パーセントに上昇している。)。
 入所者数が定員数に満たない場合でも,保育士の配置や国庫負担金の計算は入所者数を基礎に行われるので,これらの面での影響は少ないと考えられるが,施設の有効活用と効率的な管理運営という面での影響は否定できない。
 なお,参考までに公営,民営別の定員充足率の全国的状況を見た場合(「保育所の状況(平成13年4月1日)等について」厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課による),定員充足率は公営保育所が87.9パーセントであるのに対して,民営保育所は102.7パーセントとなっている。
(2) 行政区別の状況
 行政区別の施設数,定員数及び待機児童数等をまとめたのが次表である。定員充足率については,全市平均は前述のとおり98.8パーセントであるが,行政区別に見てみると最も低いのは東山区で88.1パーセント,最も高いのは右京区で103.7パーセントとなっており,この両区の差は15.6ポイントである。また,定員数以上の入所者数がある行政区は7区1支所に上っている。

<行政区別施設数,定員数,待機児童数等>      (平成13年4月1日現在)


 2 保育士配置基準と配置状況
(1) 保育士の配置基準
 保育士一人当たりの年齢児ごとの保育児童数は,次表に掲げるとおり児童福祉施設最低基準(昭和23年12月29日付厚令63。以下「最低基準」という。)第33条で定められているもの(以下「国基準」という。)と本市保育所運営費の予算編成上で用いられているもの(以下「市基準」という。)とがある。
<保育士一人当たりの年齢児ごとの保育児童数>
(2) 保育士の配置
 配置する保育士の人数を算定するときは,(1)に掲げた市基準を用いて,各保育所の年齢ごとの児童数を基準に行われているが,年度途中に入所してくる児童に対応できるよう,年度途中の年齢ごとの入所児童数の実績(過去3年間の平均)を考慮して算定されている。
 このようにして算定された基準となる人数に,特例保育の実施の有無,一時保育の実施の有無,障害を持つ児童の受入状況に応じた加配と保育士の休暇取得や休憩取得を保障するための加配(なお,平成13年度までは,市営保育所のうち同和保育所(平成13年度は19箇所)に対して,これらとは別に加配をしていた。)とが行われ,配置する保育士の人数が決められている。
 このような方法により決められた平成13年度の保育士の配置人数(以下「配置人数」という。)は,市営保育所394人,民営保育所3,304人(下表 特例保育等実施のために必要な加配保育士等を加えた配置人数欄参照),合計3,698人である。

(平成13年4月1日現在,単位 人) 


 各保育所(市営31箇所,民営220箇所)ごと年齢児ごとの入所児童数を基に算出した保育士数を運営形態別に集計したもの。



 参考までに,平成13年4月1日現在の保育所別年齢別児童数に,市基準を単純に適用して試算した保育士の数(年度途中入所への対応分(以下「途中入所対応分」という。)及び加配を考慮しない人数)は,市営保育所203人,民営保育所2,345人(入所児童数に基づく市基準を適用して計算した配置人数欄参照),合計2,548人となる。
 途中入所対応分と各種の加配により,3,698人と2,548人との差(1,150人)が生じている。年度途中に入所する児童(以下「途中入所児童」という。)の人数は,4月1日現在の入所児童数の約10パーセント程度であるが,途中入所児童は保護者の育児休業明け,出産休暇明けによるものであることが多く,0歳児等低年齢の児童が占める割合が高いという傾向が見られる。
 したがって,途中入所対応分は保育士一人当たりの児童数(全市平均は6.67人。)を少なく見積もる必要があるので,これにより増える保育士の割合は,途中入所児童の増加割合よりも多くなる。また,本市においては,障害を持つ児童の受入状況に応じての加配も,国の加配基準に上乗せして手厚く行っていることもあり,配置人数は,参考までに試算した保育士の数に比べて,かなり多いものとなっている。
 次に実際に配置されている保育士数(以下「実配置保育士数」という。)を見ると,市営保育所は配置人数どおりであるが,民営保育所は配置人数よりも200人弱下回っている。これは民営保育所の実配置保育士数が正職員のみカウントされていることによるものである。つまり,民営保育所においては,加配されている保育士の一部が非常勤や臨時的雇用の保育士で対応されているということである。
 このように,保育士の配置は,基本的に市営保育所,民営保育所とも同じ基準に基づき行われているため,実際の配置人数に大きな差が生じることはない。しかし,民営保育所は非常勤や臨時的雇用の保育士も配置しているのに対し,市営保育所は,途中入所児童が見込みを超える場合等に対応するときを除き,基本的には正職員を配置している。
第4 待機児童の状況と保育所の整備
 1 待機児童の状況
(1) 待機児童の定義
 待機児童とは,保育所入所申込書が提出され,かつ,入所要件に該当している児童であって,現に保育所に入所していない児童(付近に入所可能な保育所があっても第1希望の保育所に入所するために待機している児童を含む。)をいい,平成13年4月1日現在の本市の待機児童は532人である。
 なお,厚生労働省は,平成13年7月6日付け閣議決定「仕事と子育ての両立支援策の方針について」を踏まえ,平成14年度から待機児童の定義を変更し(「保育所入所待機児童数調査の依頼について」平成14年1月31日付け厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知参照),付近に入所可能な保育所があっても第1希望の保育所に入所するために待機している児童は,待機児童に含まないこととした。これにより保健福祉局福祉部保育課(以下「保育課」という。)が国に提出する待機児童解消計画に掲げる待機児童数も変更後の定義に基づく数値となったが,厚生労働省の指導も踏まえ,保育所の入所手続きに当たり,保護者の保育所選択への対応が損なわれないように配慮することとしている。
(2) 待機児童の状況
 平成11年度から平成13年度までの行政区(支所管内を含む。)別の0歳から5歳までの人口,保育所定員及び待機児童数の推移をまとめたのが別表である。
 保育所の入所対象となる0歳から5歳までの人口は,全市的には若干の減少傾向を示している。行政区別で見ると北区,右京区及び伏見区で一貫した減少傾向を示しているが,左京区,中京区及び下京区で微増傾向,他の区ではおおむね横ばい傾向である。
 待機児童数(各年度4月1日現在)は,市全体では平成11年度が597人,平成12年度が533人,平成13年度が既出のとおり532人となっており,平成11年度と比べると減少している(なお,平成14年度については平成14年1月31日付け厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知による改正前の定義に基づく人数は436人,改正後の定義に基づく人数は241である。)。行政区別で見るとほとんどの区で増減があるが,西京区は増加傾向にある。
 監査対象年度である平成13年度を見てみると,最も少ないのは東山区の5人,最も多いのは伏見区の129人(内訳:伏見福祉事務所管内61人,深草福祉事務所管内31人,醍醐福祉事務所管内37人),次いで西京区の118人(内訳:西京福祉事務所管内103人,洛西福祉事務所管内15人),右京区の64人となっており,行政区間で差が生じているのが現状である。
 なお,福祉事務所の所管区域ごとに見た場合,最も多いのは西京福祉事務所管内の103人である。
 2 保育所の整備
(1) 対象年齢人口に対する定員
 保育所の入所対象となる0歳から5歳までの人口に対する保育所の定員の割合を見てみると,全市平均では,32パーセント弱である(別表参照)。行政区別で見た場合に,平均を下回っているのは下京区,右京区及び西京区で,特に右京区及び西京区(洛西支所管内を含む。)の2区は,25パーセントを下回っている。
 しかし,対象年齢人口に対する定員の割合が高ければ待機児童数が少ないとは一概には言えない。すなわち北区,伏見区では,対象年齢人口に対する定員の割合も高いが待機児童も多く,下京区は対象年齢人口に対する定員の割合は低いが待機児童は少ないという状況がある。
 これは,子どもを保育所に入所させる必要がある保護者が多いか否かかといった事情も影響しているものと推測される。
(2) 保育所の整備
 平成11年度以降の保育所の整備(新設,定員増)の状況は,次のとおりであり,待機児童が多い,山科区,右京区,西京区及び伏見区(本所管内)を中心に整備が行われている。 一方,地域における保育需要を勘案し,定員の調整(減員)も合わせて行っている。


第5 多様な保育サービス
 1 夜間保育実施保育所数と入所者数
 夜間保育は,保護者の就労形態の多様化に伴う夜間保育需要の増加及びベビーホテル問題に対処するため,夜間,保護者の就労等のため保育に欠ける状態にある児童で保育所での受入れが真にやむを得ない児童を対象として,市内7箇所の保育所(いずれも民営保育所)で実施されている。
 平成11年度以降の入所者数は次表のとおりである。

 <夜間保育所の定員と入所者数>           (各年度4月1日現在)


 定員及び入所者数は,第3 保育所の現況の中で述べている定員及び入所者数にも含まれている。
 2 延長保育の実施状況と利用実績
(1) 延長保育の実施状況
 延長保育は,特例保育時間を超えて保育を行うもので,延長保育を実施する保育所は,入所児童のニーズ,周辺の延長保育実施状況を踏まえて市が指定している。平成13年度においては市営保育所12箇所,民営保育所92箇所(うち7箇所は夜間保育所)の計104箇所で実施されており,延長保育を実施している保育所の割合は,夜間保育所以外の保育所は39.8パーセント,夜間保育所は100パーセントである。
 また,夜間保育所を除くと,延長保育実施保育所おける市営保育所と民営保育所の割合は,おおむね本市における市営保育所と民営保育所とのを割合に応じたものとなっている。
(2) 利用実績
 平成11年度以降の利用実績(利用児童数は,1保育所1開所日当たりの平均利用児童数)をまとめたものが次表である。(各年度とも4月又は5月の利用実績に基づく。)
 保育所(夜間保育所を除く。)における利用実績



 上表からも分かるように年度当初の実績で見る限り,1保育所1開所日当たりの利用児童数は市営保育所ではおおむね横ばい,民営保育所では微減傾向にあるが,延長保育を実施する保育所は,民営保育所で大幅に増加(平成11年度の45箇所から平成13年度の85箇所に40箇所増加)しており,その結果,民営保育所では利用児童が分散したものの,利用する児童の総数は増加している。
 また,行政区別に延長保育を実施している保育所の比率(平成13年度)を見ると,右京,洛西及び深草の各福祉事務所管内では30パーセント未満となっており,全市平均の39.8パーセントをかなり下回っている。
 夜間保育所における利用実績




 夜間保育所における延長保育(9時から11時まで)の利用状況は,年度当初の実績で見ると,中京区の1箇所を除き,1保育所1開所日当たりの利用児童数は入所者数(第5 1に掲げた表を参照)にきわめて近く,需要は高いことを示している。これも保護者の就労形態の多様化が反映されたものと推測される。
 3 休日保育の利用実績
 休日保育は,就労形態の多様化に伴い,日曜日,祝日等における保護者の就労等により児童の保育が困難な場合の休日保育の需要に対応するための条件整備を図ることにより,乳幼児の福祉の向上を図ることを目的としており,平成12年10月からモデル的に実施されている。利用実績は以下のとおりである。

 4 一時保育の利用実績
 一時保育は保護者の就労形態の多様化に伴う一時的な保育,保護者の傷病等による緊急時の保育や保護者の心理的,肉体的負担を解消するための一時的な保育需要に対応することを目指したもので,平成9年度から実施されている。平成13年度は15保育所(市営保育所6箇所,民営保育所9箇所)で実施されている。一時保育は,入所児童以外の児童を対象としている事業であるため,個々の保育所の受入能力と地域的なバランスを見ながら,実施保育所が指定されている。
 一時保育の利用実績は次の表に掲げるとおりである。

 非定型的保育及び保護者の負担解消のための一時保育の利用は一貫して増加傾向にある。特に非定型的保育の利用が増加傾向にあるのは,週2,3日就労するというような保護者が増えてきていることによるものと考えられる。
 5 保育ニーズの把握
 近年,保護者の就労形態も多様化してきており,それに応じて保育ニーズも多様化してきている。
 厳しい財政状況のもと,こうした多様化する市民の保育ニーズに的確に応え,市民満足度を高めるためには,市民の保育ニーズを常に意識し,それを把握し,理解することが重要になってくる。
 市民の保育ニーズの把握をどのようにして行っているかについては,本市の保育行政の統括課である保育課は毎年福祉事務所の指導職員(係長級以上の職員)に対してヒアリングを実施するとともに,運営指導監査を実施する際に,日ごろ保育所や保護者からの要望や苦情についての情報を得ることにより把握に努めているとのことであった。
 また,今回監査の対象としたいずれの福祉事務所においても,保育所の園長会や保護者の申し出等からニーズを把握していた。
第6 市営保育所の運営の効率化
 1 市営保育所の統合
(1) 統合についての基本的な考え方
 市政改革大綱においては,新しい行財政運営システムの構築を目指すための取組が掲げられており,その一つとして「事業所,施設について,利用者の視点に立ったより柔軟な運用や有効・多角的活用などを行い,利用者数と利用者の満足度の向上に努める。また,より効率的な運営を図るとともに,社会情勢や市民ニーズの変化等により,その設置意義が変移,希薄化したものについては,統廃合や業務の見直しなどを行う」ことが挙げられている(市政改革大綱取組項目19)。
 市営保育所の統合も,これに基づく事務事業の見直し等の具体的取組の一つで,「地域の保育ニーズ等に対応するとともに,乳児・幼児の一貫した保育を実施していくため,乳児保育所と幼児保育所との統合を検討する」とされている。
(2) 統合の実績
 平成13年度に中京区の壬生保育所と壬生乳児保育所とを統合し,現在の壬生保育所としたのが市政改革大綱策定以降の最初のケースである。
 統合した結果,次表のとおり平成13年度の定員充足率は高くなっているが,平成12年度の入所者数と平成13年度の入所者数に変化はないので,この定員充足率の上昇は定員が減少したことによるものである。職員数は平成12年度において,壬生保育所長を壬生乳児保育所長兼職とし,また調理師の人数を減員する等,平成13年度の統合を見据えた配置がなされた。統合後の平成13年度の職員数は平成11年度と比べた場合,8人の減員となっている。


(各年度4月1日現在) 




 また,統合に伴う運営費の増減については,各保育所ごとの運営費(決算)が把握されていないため,検証できなかった。
 2 給食調理業務
 保育所の給食調理業務の見直しについても,市政改革大綱に基づく事務事業の見直し等の具体的取組として掲げられている取組の一つである。
 このことについては,保護者代表,施設代表,学識経験者及び行政(保育課長)によって構成された「今後の公営保育所給食のあり方を考える会」において,平成12年11月から平成13年1月にかけて検討が行われた結果,「京都市の公営保育所が調理業務の委託化に踏み出すことは,現時点では時期尚早であると判断する」との結論が出された。これは,保育の一環としての給食の質の確保や食物アレルギー児,障害児等へのきめ細かな配慮等の面で,早期の委託化は困難であるとの理由によるものである。
 なお,今後とも民間委託の可否の検討や業務の効率化及び質の向上等引き続き取組を行うこととされている。
第7 保育所の入所決定事務について
 1 保育所に関する情報の提供について
 保育所への入所については,平成10年4月の法の改正により,保護者と市町村との関係は,「措置」という行政処分の主体である行政庁とその対象者という関係から,保育所を選択して入所の申込みを行い,これに対して市町村が保育サービスを提供し,保護者が市町村に保育料を支払うという契約関係に変更された。
 したがって,保護者は,就労や介護或いは疾病等の理由で「保育に欠ける」児童を保育所に入所させようとするときは,市内251箇所(平成13年4月1日現在)の保育所の中から,入所させたい保育所を選んで入所の申込みをすることになっている。
 入所の申込みをするに際し,保護者が保育所に関する信頼性の高い,多様な情報を得られることが望ましいことから,法第24条第5項においては,「市町村は,第1項に規定する児童の保護者の保育所の選択及び保育所の適正な運営の確保に資するため,厚生労働省令の定めるところにより,その区域内における保育所の設置者,設備及び運営の状況その他の厚生労働省令の定める事項に関し情報の提供を行わなければならない。」と規定している。そして,その提供すべき情報の具体的な項目と提供の方法については,児童福祉法施行規則第25条において,保育所の名称,位置及び設置者に関する事項,保育所の施設及び設備の状況に関する事項,保育所の運営の状況に関する事項(保育所の入所定員,入所状況,職員の状況及び開所している時間,保育所の保育の方針,その他保育所の行う事業に関する事項),保育料に関する事項,保育所への入所手続に関する事項並びに市町村の行う保育の実施の概況(入所希望児童数,入所児童数,待機児童数など)を地域住民が当該情報を自由に利用できるような方法で行うように定めている。
 また,平成9年9月25日付け厚生省児童家庭局長通知においても,保育所に関する情報の提供に当たっては,広報誌,パンフレット,インターネットなど様々な媒体を用いるように努めることを要請している。
 そこで,保育所に関する情報提供がどのように行われているかについて確認した。
(1) 保育課
 インターネットによる情報提供
 保育課のホームページから子育て支援総合センターこどもみらい館(以下「こどもみらい館」という。)のホームページ「子育て支援情報」にリンクできるようにしてあり,同ホームページにおいて,子育てに関する他の情報と合わせて,京都市内の保育所の入所状況,特例保育,延長保育の概要,入所の基準や手続き,保育料等に関する情報が提供されているほか,受入年齢や行政区などの条件を設定して,その条件に合う保育所を検索できるようにしてあり,検索結果から更に詳しい個別の保育所に関する情報を見ることができるようにしている。
 その他の方法による情報提供
 保育課の窓口には,市内の各保育所の概要(財団法人こどもみらい財団が運営する「i-子育てネット」に掲載されているもの)を綴ったファイル(以下「情報ファイル」という。)を常備し,来庁者が閲覧できるようにしている。
 また,毎年入所申込者の一斉面接の日時を市民しんぶん1月1日号に掲載しているほか,平成12年度には,保健福祉局福祉部児童家庭課が作成した「子育て支援パンフレット」に保育所一覧を掲載している。
 更に,平成9年度から,施設の活動状況や保育に関する知識を深めてもらうことを目的として,社団法人京都市保育園連盟と共催で毎年1回「保育フェスタ」を開催し,情報提供を行っている。
(2) 各福祉事務所
 インターネットによる情報提供
 今回,監査の対象とした4箇所の福祉事務所(以下「監査対象福祉事務所」という。)のうち,独自のホームページを開設している区の福祉事務所は,上京福祉事務所及び深草福祉事務所であったが,ホームページを利用して,所管区域内の保育所に関する情報を提供したり,保育課若しくはこどもみらい館のホームページ又は「i-子育てネット」にリンクできるようにしているところはなかった。
 なお,平成15年1月15日から新たに開設された北区のホームページにおいては,「暮らしの情報」の中に「みんなで「子育て」〜ひとりで悩まないで〜」という項目があり,この中で,子ども,子育てについての相談先や子育て関係機関一覧(保育所,昼間里親,児童館,学童保育所,幼稚園等の所在地,電話番号を掲載)を紹介しているほか,「i- 子育てネット」にリンクできるようにして,更に詳細な情報を得たい人に対して配慮している。
 その他の方法による情報提供
 毎年,市民しんぶん区民版10月15日号に保育所入所申込書の配布を開始する旨の記事を掲載している。
 監査対象福祉事務所においては,情報ファイルを窓口に常備して,来所者の閲覧に供していた。このうち二つの福祉事務所においては,当該区の保育所に係るものとそれ以外の区の保育所に係るものとに分冊して,閲覧の便宜を図っていた。担当職員によれば,当該区の保育所に係るもののみならず,近隣区など他区の保育所に係るものについても閲覧の希望があるとのことである。
 また,監査対象福祉事務所では所管区域内の保育所の一覧表及び保育所をはじめとする子育て支援施設の場所を示した地図を作成し,当該福祉事務所等で配布して情報の提供に努めている。
 「i-子育てネット」については,情報ファイルの目につきやすいところにURL(インターネット上にある情報が保存されている場所を指定する表記)を記載したり,URLを記載したメモを作成して希望者に渡せるようにして,インターネットを利用できる環境にある保護者の便宜を図っていた。
 2 入所決定事務
 入所決定事務の概略はつぎのとおりである。
 保護者から「児童福祉施設入所申込書」が福祉事務所長あてに提出されると,福祉事務所においては入所者を決定するための手続きに入る。
 入所者の決定に関して,法は「市町村は,一の保育所について,当該保育所への入所を希望する旨を記載した前項の申込書に係る児童のすべてが入所する場合には当該保育所における適切な保育の実施が困難となることその他のやむを得ない事由がある場合においては,当該保育所に入所する児童を公正な方法で選考することができる。」と規定し,入所させる児童を選考することができる旨を定めている。
 市は,京都市保育の実施に関する要綱の中で,具体的な選考基準(以下「選考基準」という。)を定めている。
 福祉事務所では,保護者から提出された「児童福祉施設入所申込書」及び所得証明,就労証明,医師の診断書等の添付書類並びに毎年1月に行われる保護者に対する一斉面接の記録に基づき,入所者選考名簿(以下「選考名簿」という。)を作成したうえで,入所者選考会議を1保育所について2回から3回程度開催し,選考基準に即して所管区域内の保育所への入所者を決定している。
 選考名簿は保育所別に,年齢ごとに作成することとされており,選考名簿には,保護者の氏名,住所,電話番号,児童の氏名,児童の生年月日,父母の職業,父母の勤務等の状況,京都市保育の実施に関する条例第2条に定める保育の実施基準(番号記入),希望保育時間,希望順位及び他の希望保育所(第3希望まで)といった項目を記入することになっている。
 入所者選考会議は,福祉課長及び保護課長又は福祉保護課長,支援係長,保護係長及び支援係,保護係の担当者(年度当初の保育所入所事務は事務処理量が多いうえ,短期間に処理する必要があるが,福祉課又は福祉保護課において児童福祉を担当する職員が少数であるため,生活保護に関する事務を担当する職員が入所事務に携わっている。)で構成されている。
 このように,入所者の選考については,その公正を期すため,客観的な資料に基づき,複数の職員によって構成される会議で,選考基準に即して行われる仕組みが整えられている。
 入所者選考会議を経て保育所ごとの入所者が決まると入所内定の決定を行い,その旨を保護者に連絡するとともに,内定者の名簿が作成され,当該保育所に通知される。
 この後,通知を受けた保育所は保護者を対象に入所説明会を開催している。
 入所の決定(すなわち保育の実施の決定)又は却下については,いずれの場合においても福祉事務所長が文書で保護者に対して通知することとされている(施行細則第7条第3項)。この入所決定の文書による通知は,具体的には福祉事務所長名による「保育所入所承諾書兼納入通知書」によって,決定した保育料の通知と合わせて行われるが,当該通知書は電子計算機処理の関係上,保育が開始された月の翌月の初め(4月入所の場合は5月初め)に送付されている。
 入所を不承諾とした場合は,入所申込書受理後1月以内に福祉事務所長名による「保育所入所に関する通知書」を送付している。保育所への入所についての市町村と保護者との関係は「契約関係」であるが,入所の決定或いは入所不承諾の決定には処分性があることから,行政不服審査法に基づく不服申立て(審査請求)の対象とされており,「保育所入所に関する通知書」には,同法に基づく審査請求ができる旨の記載がされている。
 なお,入所決定に当たっての家庭訪問等の実態調査は,年度途中の入所申請で緊急を要するか否かを判断しなければならない場合等に実施されていた。
第8 保育料の徴収について
 1 保育料の決定について
(1) 保育料の性格
 保育料については,法第56条第3項に「(前略)保育費用を支弁した市町村の長は,本人又はその保護者から,当該保育費用をこれらの者から徴収した場合における家計に与える影響を考慮して保育の実施に係る児童の年齢等に応じて定める額を徴収することができる」と規定されており,これを受けて,本市の保育料は京都市児童福祉施設措置費等徴収規則(以下「徴収規則」という。)において具体的に定められている。
 この保育料(すなわち保育費用に係る徴収金)の性格は,法第56条に直接根拠を持つ「負担金」ということができる(「保育料の徴収方法について」(昭和44年3月13日 自治行第30号)及び「児童福祉法第56条の規定による措置費の徴収金の収入科目について」(昭和32年8月3日 児発第491号)参照)。
(2) 保育料の決定方法
 京都市の保育料は,(1)で述べたとおり具体的には,徴収規則第2条,別表第1及び別表第2に規定されているとおりであり,保護者の市民税及び所得税の課税状況(以下「課税状況」という。)に係る階層区分(以下「階層区分」という。),入所児童の年齢及び保育を実施する時間に応じ,区分して定められている。
 個々の児童に係る保育料を決める要素となる階層区分及び保育を実施する時間は,福祉事務所長が決定することとされている(施行細則第2条第2項及び徴収規則第2条第2項及び同条第4項。なお,平成13年度の保護者が負担する保育料は,児童1人1月当たり平均17,080円である)。
 課税状況については,前年分の所得に係る源泉徴収票,確定申告書,市民税課税証明又は納税通知書により把握を行っている。
(3) 保育料の通知と徴収
 決定された保育料の通知
 個々の児童について,階層区分,入所児童の年齢及び保育を実施する時間に応じて決められた保育料は,保護者に対して通知されるが,4月入所の場合,保育所が入所内定者の保護者を対象に開催する入所説明会において,保育所を通じて伝えられており,それ以外の場合は,福祉事務所から電話等により保護者に対して連絡されている。保育料の決定権限を有する福祉事務所長名による通知は,「保育所入所承諾書兼納入通知書」により行われているが,電子計算機による処理の都合上,保育を実施した月の翌月(4月入所の場合は5月初め)に行われている。
 徴収の方法
 原則として口座振替により納付してもらうこととし,口座振替の利用を推奨しているが,納付書を用いて納付されているケースもある。
(4) 保育料の軽減
 福祉事務所長は,次に掲げる場合に該当するときは,申請に基づき,保育料の徴収額を軽減することができるとされている(徴収規則第4条)。
 世帯収入額から徴収規則に基づく徴収額(以下この号において「徴収額」という。)を差し引いた額が生活保護法による最低生活費の基準額以下である場合
 疾病,罹災その他やむを得ない事情により,徴収額の全部又は一部を負担することができないと福祉事務所長が認める場合
 軽減を認めるか否かについての具体的な基準については,京都市児童福祉施設措置費等徴収金の減免実施要綱(以下「減免実施要綱」という。)に定められており,同一の世帯に属する者が疾病に罹患又は資産に災害を受け,(臨時的な)支出が見込まれる場合は当該支出額が収入認定額の4割を超える場合に,主たる生計維持者の失業又は破産により収入が減少した場合は減少した額が収入認定額の4割を超える場合に軽減を認めることとしている。
 また,傷病により就労が困難である等の理由により,収入を得ることに支障が生じた場合にあっては,生活保護法に基づく収入認定額が同法に基づく最低生活費の基準額以下である場合又は生活保護法に基づく収入認定額から徴収額を差し引いた額が同法に基づく最低生活費の基準額未満である場合にも軽減又は免除を認めることとしている(減免実施要綱第2条第1項第3号,第4号)。
 軽減は,軽減の申請を受理した日の属する月の翌月分から,3月を限度に行うこととされており(減免実施要綱第5条及び第6条),福祉事務所長は,軽減を決定したときは,その旨を文書で申請者に通知しなければならないこととされている(減免実施要綱第4条)。
(5) 保育料の軽減の実績
 平成11年度から平成13年度までの保育料の軽減の実績は次表のとおりである。

(保育課の資料による。単位 人,千円(千円未満切捨て)) 

 2 保育料徴収について
(1) 市政改革大綱における目標設定
 平成13年2月に策定された市政改革大綱は,「21世紀にふさわしい自治体運営と財政の健全化」を基本テーマとし,新しい行財政運営システムの構築と財政健全化(健全な財政基盤の確立,公営企業の経営健全化)を改革の目標としている。
 健全な財政基盤の確立については,「歳入面では,国・地方を通じる税源配分の是正,市税徴収率の向上,受益者負担の適正化などによる歳入確保策を講じるとともに,歳出面では事務事業の見直し等を徹底し,財政基盤の健全化を図る」と述べられている。保育料については,「主な数値目標」の中の「市税等徴収率の向上」において,平成17年度に98パーセントに引き上げることが掲げられている。
 具体的には,「平成11年度決算で96.2パーセントであった保育料徴収率を平成17年度決算において,98パーセントに引き上げることを目標に取り組む」こととされている。
(2) 保育課における取組
 保育課においては,厳しい財政状況の中で施策を充実させるための貴重な財源を確保するとともに,保育料の納入世帯と滞納世帯との間の不公平感を是正する必要があることから,次の方針を策定し,取組を行っている。
 この取組方針は,福祉事務所長に対し周知を図るとともに,各福祉事務所の支援係長を招集した会議においても説明を行って取組の促進を依頼している。
 保育所保育料の納入状況を適宜把握し,督促状,催告書を発送するとともに,電話,面談等による効果的な納入指導を早期に行い,保育料の納付を促すこと。特に高額滞納者に対しては,滞納整理嘱託員と連携し,重点的に取り組むこと。
 過年度分保育料滞納者に対して,滞納整理嘱託員と十分に連携し,効果的かつ的確な指導を継続的に行うこと。
 保育所保育料口座振替の利用促進について,年度途中入所者を含め早期に利用勧奨を行い,口座振替利用率の向上に努めること。
 (平成13年4月12日,保健福祉局長決定「平成13年度各法各事務事業別重点指針,運営方針」から抜すい)
 そして具体的には,福祉事務所と連携して,次のアからオに掲げる取組を行っている。
 督促状の送付 納付期限までに納入のない場合に送付
 催告書の送付 7月上旬,12月中旬及び5月に送付
 口座振替利用率の向上に向けた取組
 夏期,冬期における徴収対策の強化
 卒園する児童の保護者に対する卒園月(3月)の保育料の納入時期の周知(3月分の保育料の口座引き落としが4月15日であるため,児童の卒園に合わせて口座振替の解約がされると未納が生じるため)
 更に,平成10年度から徴収嘱託員(保育課所属,週32時間勤務)を2名配属し,平成12年度からは3名に増員して,福祉事務所と連携を取りながら,保育料を滞納している保護者を対象に,訪問(平成13年度訪問件数6,432件)や福祉事務所での面接によって,過年度分はもちろんのこと,現年度分についても滞納額が少額であるうちに納入指導を行うこととして取組を進めている。
 取組の状況については,福祉事務所運営方針ヒアリング(毎年6月から8月にかけてすべての福祉事務所を対象に保健福祉局関係各課が合同で実施)や運営指導監査(毎年8月から9月にかけてすべての福祉事務所を対象に保健福祉局関係各課が実施)において把握し,必要な指導を行っている。
(3) 監査対象福祉事務所における取組
 監査対象福祉事務所における取組状況は次のとおりであった。
 口座振替利用率の向上に向けた取組については,入所申請に当たっての一斉面接の際に,口座振替の依頼書を手渡し,入所が決まったときは利用するよう周知の徹底が行われていた。
 また,滞納者に対しては,保育課が年3回(7月,12月及び5月)作成している催告書を送付しているほか,徴収嘱託員と連携しながら納入指導を行っている。
 更に,一部の監査対象福祉事務所においては,年1回夜間に電話で督促したり,調定兼収納簿により納入状況を把握して,納入を促す文書を送付するといった独自の取組が行われていたが,当該年度の徴収率の目標を設定するなど,1年間の方針を立てて徴収率の向上を目指す取組が行われているところはなかった。また,担当職員の説明によれば,嘱託員の家庭訪問による納入指導は,実際の納入についてはもとより,保護者に対する納入意識を徹底する上でも効果があるということであった。
 なお,保育課の説明によれば,財産の差押えについては,いずれの福祉事務所においても,平成13年度までは実績はないとのことであった。
(4) 近年の徴収実績と保育料徴収に要する経費の把握
 近年の徴収実績

(単位 千円(千円未満切捨て))




 近年の徴収実績を見ると,平成13年度の現年度分は,調定額は平成11年度より多いにもかかわらず徴収率は0.5ポイント上昇しており,現年度分に係る滞納も視野に入れた取組の成果と見ることができる。
 過年度分は,まず徴収対策を強化して,徴収率向上を目指すという考え方のもとに取り組んできた経過もあり,従来,不納欠損処理を行っていないことから,調定額は毎年度増加している。一方,徴収額は平成12年度は増えたものの調定額ほどの伸びではなく,また平成13年度は徴収額そのものが減少しており,徴収率は低下傾向にある。
 
 保育料徴収に要する経費の把握
 保育料は児童の属する世帯の所得を勘案して決められていることから,負担の公平性の観点からも滞納を放置することはできない。しかし,増員により徴収体制を強化すると,その分経費は増えるが,増えた経費に見合うだけの効果があがるとは限らない。それゆえ,徴収に要する費用(人件費を含む。)を把握し,費用対効果を数値的に押さえておくことは,徴収率向上に向けての体制強化をどこまで行うかを効率性の観点から見極める意味でも,徴収対策の効果を検証する意味でも重要である。
 保育料の徴収事務に係る効率を見る方法の一つとして,単位経費当たりの徴収額(以下「徴収効率」という。)を見る方法があり,これを算定するためには,保育料の徴収に携わる職員数(嘱託員を含む。),人件費(嘱託員報酬を含む。),納付書,督促状,催告書などの発送に要した郵送料,各種印刷物の作成などに充てた費用が必要となる。
 また,徴収効率を算定するに当たっては,職員数及びその人件費が重要な要素となってくる。一人当たりの人件費については,職階ごとの平均値を用いることも可能であるが,職員数については,一人の職員が複数の業務に従事している場合,徴収事務に従事する割合を勘案したものが必要となる。現状では,保育課及び福祉事務所の職員(嘱託員を除く。)について,徴収事務に従事する割合を勘案して算定するのは困難であるとの理由により,職員数(嘱託員数を除く。)の提出がされなかったほか,印刷物の作成などに充てた費用についても区分することができなかったので,徴収効率の算定は行わなかった。
第9 監査の結果
 改善を要する事項及び検討を要する事項は次に掲げるとおりである。
 1 市営保育所の統合等について
 幼児保育所と乳児保育所との統合を進めていくに当たっては,統合の効果を数値で検証できるようにして,今後の統合に生かせるように改善する必要がある。そのため,保育所ごとの運営に係る経費(人件費を含む。以下同じ。)を把握したうえで,比較する方法についても検討する必要がある。
 また,保育所の統合に限らず,効率的,効果的な事務事業を進めていくうえでの基礎的なデータとして,当該事務事業に要している経費を把握しておくことが重要であるので,今後,保育所の運営や保育料の徴収等保育事業の各般について,経費を把握することができるよう,その方法について検討を行う必要がある。
 2 市営保育所の給食調理業務の委託について
 市営保育所の給食調理業務の委託については,「今後の公営保育所給食のあり方を考える会」において「時期尚早」との結論が出たことを踏まえ,引き続き検討を行うこととされているが,今後は,相対的に少ない経費で質が確保された給食を提供していくため,給食調理業務に要する経費を把握したうえで,実施主体の妥当性や提供の方法について様々な観点から検討を行われたい。
 3 入所決定事務について
 監査対象福祉事務所では,おおむね適正に事務処理が行われていた。
 しかし,次に掲げるような事務処理が見受けられた。
(1) 選考名簿に記載されている内容が,同じ福祉事務所,同じ項目であっても記載した担当者によって異なっていた。
(2) 入所者の選考を行うに際し,直接必要ではないと思われる事項を記入している選考名簿があった。
(3) 選考名簿の記載項目の一部が記載されていないものがあった。
 選考名簿に記載する項目,内容については,入所者選考を行うに当たっての真の必要性という観点から見直しを行い,その内容については福祉事務所に対して周知徹底されたい。
 また,福祉事務所においては,保育所の入所事務をはじめとして,日々の事務処理の過程において様々な個人情報を取扱っており,その取扱いに当たっては慎重を期す必要があるので,福祉事務所職員を対象に個人情報の取扱いについての研修を実施することについて,検討する必要がある。
 4 保育料の決定及び軽減に関する事務処理について
(1) 保育料の決定について
 保育料は,課税状況に基づく階層区分,入所する児童の年齢及び保育を実施する時間によって決まる仕組みとなっている。監査対象福祉事務所においては,保護者の課税状況を確認する書類(源泉徴収票,税務署に提出した確定申告書の写し等)及び就労状況を明らかにする書類(勤務先の長による就労証明書)については徴され,児童福祉施設入所台帳に綴られており,適切に処理されていた。
 「児童福祉施設入所申込書」及び徴した書類に基づく階層区分の決定や保育を実施する時間の決定については,「児童福祉決定調書」という専用の書式を用いて,おおむね適正に処理されていた。しかし,決定の取り方を見たところ,京都市事業所の長等専決規程の定めや保育課が作成した「保育所関係事務指針」(以下「事務指針」という。)に具体的な指示があるにもかかわらず,福祉事務所によっては,決定者(京都市公文書取扱規程別表に掲げる決定者をいう。)が不適切なものなど,一部改善が必要な事務処理が見受けられたほか,「保育所入所に関する通知書」に未決定の事項を記入していたものがあったので,改善されたい。
 また,福祉事務所長名による入所の承諾及び保育料の文書による通知は,電子計算機による処理の都合上,児童が保育所に入所した後の5月初めに行われている。入所に係る事務は行政不服審査法に基づく不服申立て(審査請求)の対象となることに鑑みても処分性があるので,入所の承諾の通知であっても当該通知は入所までに保護者に届くようにすることが望ましいことから,今後検討を行う必要がある。
(2) 保育料の軽減に関する事務について
 監査対象福祉事務所における平成13年度の事務処理について見たところ,合計21件(却下3件を含む。)の軽減に係る事務処理が行われていた。
 いずれのケースについても,保護者から提出された書類に基づき,おおむね適切に軽減の決定が行われていた。
 しかし,軽減の決定後,保育時間が変更になった際に,これに伴う保育料変更の事務処理が遅れていたケースや減少後の収入に基づき推計した税額によって階層区分内の税額による区分を決める際の過程が明らかでないケースが見受けられたほか,軽減の決定を行う場合の事務処理の方法も事務指針において指示がされているにもかかわらず,軽減の決定を行った実績のある監査対象福祉事務所ごとに異なっていたので,事務処理について効率化と適正化の観点から改善を行い,福祉事務所に周知徹底されたい。
 保育料の軽減については,減免実施要綱第4条において,軽減を決定したときはその旨を文書で申請者に通知しなければならないこととされており,当該文書による通知は,「保育所入所承諾書兼納入通知書」を用いて行われているが,電子計算機による処理の都合上,原則として軽減を決定した月の翌月に行われている。保護者からの申請に対しての決定であるので,決定後速やかに文書による通知を行うことができるよう,改善に向け,早急に検討する必要がある。
 5 保育料の徴収に関する取組について
 保育料の徴収に関しては,保育課から取組に関する方針が福祉事務所に周知され,一定指導も行われているが,当該方針は具体的な数値目標等を掲げたものではなく,また福祉事務所に対し,福祉事務所ごとの目標や取組等を明確にするような指導が徹底されていないこともあって,監査対象福祉事務所における取組にも差が見られたところである。
 市政改革大綱に掲げた徴収率の目標の達成に向けては,保育課の指導のもと,福祉事務所と一体となった取組,更には保育所の協力を得た取組が一層求められる。
 したがって,福祉事務所の担当者に至るまで平成17年度に達成すべき徴収率が設定されていることを十分周知するとともに,福祉事務所ごとに地域の実情を踏まえた方針や目標徴収率等を策定して取組を行い,結果を検証し,必要に応じて取組内容の見直しを行いながら取組を継続するよう指導していく必要がある。
 また,保育料の徴収について,保育所長の協力を得ることができるよう,検討を行われたい。
 6 保育所に関する情報の提供について
 児童の保育所への入所は,保護者と市町村との契約に基づくものとなっていることから,主として保護者を対象とした保育所に関する情報提供の必要性はますます高まっている。
 保育課,福祉事務所においては,これまでも保育所に関する情報をはじめ,子育てに必要な情報の提供に努めてきている。
 今後,保育課は本市における保育行政を統括する立場から,また福祉事務所は地域における窓口という立場から,インターネットなど様々な媒体を利用して,保護者が必要とする情報を一層わかりやすく提供するように努めるとともに,子育て支援の一環として,様々な機会を利用して取り組まれている子育て情報の提供についても一層充実を図っていくことを検討されたい。
第10 結び
 保育所の整備を行い,保育所入所待機児童の解消を目指すとともに多様な保育ニーズに対応していくための保育サービスを提供していくことは,京都市基本計画に掲げる「子どもを安心して生み育てる」ことができるしくみを作っていくうえで,大変重要な役割を果たすものである。
 一方,本市の財政は非常に厳しい状況にあることから,こうした施策を進めていくに際しても,行政が本来果たすべき役割や保育サービスの提供に要する経費について,常に意識を持って臨む必要がある。
 今後は,一層効果的,効率的な方法により重要な課題である保育所入所待機児童の早期解消を目指すとともに,多様な保育サービスの提供や情報提供に積極的に取り組むことにより,「子育て支援」を一層充実させ,「子どもを安心して生み育てる」しくみづくりを推進されることを期待する。


別表


(監査事務局第一課)

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監査公表第479号

 地方自治法第199条第4項の規定による監査を実施し,同条第9項の規定により監査の結果に関する報告を決定したので,同項の規定により,次のとおり公表します。
  平成15年5月15日

京都市監査委員職務執行者 高橋 泰一朗
同        宮本 徹
京都市監査委員  下薗 俊喜
同      奥谷 晟




平成14年度定期監査結果公表
 監査の種類 定期監査
 監査の対象 理財局,環境局,産業観光局,保健福祉局,会計室,消防局及び教育委員会
 なお,監査対象の組織名は,平成14年度のものである。
 監査の対象期間 成14年4月から同年9月まで
 監査の実施期間 平成14年11月から平成15年5月まで
 監査の方法 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理について,関係帳簿,証書類等を審査し,文書及び口頭による質問調査を行い,必要なものについて実地調査を行った。
 監査の範囲及び結果
第1 理財局
 1 監査の範囲
 財務部財産監理課,税務部法人税務課,上京区役所区民部市民税課,中京区役所区民部市民税課,右京区役所区民部市民税課及び西京区役所区民部市民税課
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 財産の貸付事務について
 普通財産及び都市計画事業基金に属する財産(以下「河岸地」という。)の貸付けについては,京都市公有財産規則(以下「公有財産規則」という。)に基づき,事務処理を行うこととされている。
 この貸付事務については,
 貸付料が納入期限までに納入されないときは,納入期限後20日以内に督促状により督促することと定められているが,これを行っていなかったもの
 貸付料の未納者について,長期間納入がなかったものや,未納額と比べて著しく少額の分割納入を認めていたもの
 普通財産の貸付けについて,所定の手続を行っていなかったもの
があった。
 貸付けの手続を適正に行うとともに,収入未済の解消に積極的に取り組まれたい。
(2) 公有財産の管理事務について
 公有財産の管理については,京都市公有財産及び物品条例(以下「公有財産及び物品条例」という。)及び公有財産規則に基づき,公有財産台帳,公有財産異動整理簿,行政財産管理台帳,普通財産管理台帳等の帳簿を備え整備することとされている。
 この管理事務については,
 公有財産異動整理簿を作成していなかった。
 河岸地の貸付台帳を平成13年度以降整備していなかった。
 公有財産の管理のための帳簿の整備を適正に行われたい。
 また,各局の公有財産管理事務について,公有財産異動整理簿や行政財産貸付台帳を作成していない等,不適切な事例が見られたことから,適正な事務処理が行われるよう指導されたい。
(3) 個人の市民税の課税事務について
 個人の市民税は,給与支払報告書,公的年金等支払報告書,所得税の確定申告書等の課税資料について,納税義務者の住所区の区役所又は支所(以下「区役所等」という。)で戸順調査票等により照合,調査等の審査を行い,所得の合算や配偶者控除,扶養控除等の所得控除を行ったうえで,普通徴収分は区役所等で,特別徴収分は法人税務課で課税している。
 税額の算定については,
(ア) 給与支払金額を誤って課税していたもの
(イ) 社会保険料控除及び生命保険料控除が漏れていたもの
があった。
 課税に当たっては,課税資料を正確に把握して税額を算定されたい。
 戸順調査票の整理については,
(ア) 所得税の確定申告書に記入された被扶養者について,戸順調査票に記入がないまま扶養控除の対象としていたものや,戸順調査票に記入された被扶養者と一致していなかったもの
(イ) 地方税法第315条の規定に基づく調査の実施状況等について,戸順調査票の記入が不十分なもの
があった。
 戸順調査票の作成及びこれに基づく課税資料の照合,調査等の審査を適正に行われたい。
 減免の承認等に伴う決裁については,
 減免の申請に係る承認の決定や所得控除の変更等に伴う税額の決定に関して,決裁を行っていなかったものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
(4) 市税の過誤納金の還付及び還付加算金の支出事務について
 納付済みの市税について,税額の減額や重複納付等により過誤納金が生じた場合は,地方税法に基づき,過誤納金に係る還付加算金と合わせて還付することとされている。
 還付金等の支払いは,口座振替,資金前渡等により行っている。
 この還付及び支出事務については,
 市民税額の減額に伴う過納金に係る還付加算金の日数計算を誤っていたもの
 還付金の精算書に債権者の領収書を添付していなかったもの
 還付金の資金前渡出納簿に精算の記帳をしていなかったもの
があった。
 還付加算金の計算は正確に行うとともに,還付金の精算に関する事務処理を適正に行われたい。
(5) 手数料等の収納事務について
 区役所の区民部市民税課等では,証明及び閲覧に係る手数料,自動車の臨時運行の許可の申請に係る手数料並びに軽自動車の鑑札の再交付に係る弁償金について,金銭登録機により収納している。
 この収納事務については,
 金銭登録機を使用せずに手数料を収納する場合に,領収調書を使用していなかったもの
 金銭登録機の記録シートを保管していなかったもの
 金銭登録機の操作を誤った場合に,書損した領収証を保管していなかったもの
があった。
 金銭登録機の記録シート及び書損した領収証の保管を確実に行うなど,適正な事務処理をされたい。

第2 環境局
 1 監査の範囲
 環境企画部環境総務課,同部地球環境政策課,事業部まち美化推進課,市民美化センター,生活環境事務所,施設部管理課及び東北部クリーンセンター
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 収入事務について
 歳入を徴収するときは,所属年度,歳入科目,納入すべき金額,納入義務者等の内容を調査して明確にするための内部意思決定行為(以下「調定」という。)を,通知や収納に先立って行うこととされている。
 ふん尿処理手数料については,
(ア) 当初調定及び変更した場合の調定を決定していなかった。
(イ) 過年度分の調定を決定していなかった。
(ウ) 口座振替分の調定簿を作成していなかった。
 適正な事務処理をされたい。
 京都市会計規則(以下「会計規則」という。)によれば,出納員は,収納金を領収したときは領収調書,収納金出納簿及び収納金日計報告書を精査することとされている。
 ごみ処理手数料については,
(ア) 出納員でない者が出納員確認印を押していたもの
(イ) 収納金を現金で受領したときに記帳する「調定簿・収納金出納簿兼収納金日計報告書」に納付書での受領分を記帳していたもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。
(2) 一般廃棄物処理手数料事務について
 京都市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例に規定する本市が収集する粗大ごみの収集,運搬及び処分に係る手数料(以下「粗大ごみ手数料」という。)については,粗大ごみ処理手数料券(以下「手数料券」という。)により徴収することとされている。
 粗大ごみ手数料の減免については,申請の後,市民美化センターから手数料券を郵送することを原則としているが,特別な事情がある場合は,区役所等の地域振興課及びコミュニティセンターで手数料券を直接受け取ることとしている。
 このため,区役所等の地域振興課及びコミュニティセンターへ減免に係る手数料券を事前に配付しているが,この手数料券に関する事務処理の定めがないため,在庫状況等の把握ができていなかった。
 在庫状況等の把握ができるよう事務手続を検討されたい。
 粗大ごみ手数料については,徴収事務の委託契約を締結しているが,委託契約の解除に際して決定者を誤っていた。
 適正な事務処理をされたい。
 不法投棄等のごみについては,土木事務所等が回収した後,クリーンセンターに搬入することとしている。その搬入に当たって,ごみ処理依頼書に基づき磁気カードを発行しているが,発行に際して決定をしていなかった。
 適正な事務処理をされたい。
(3) 契約事務について
 物件等の調達の契約については,京都市契約事務規則(以下「契約事務規則」という。),京都市局長等専決規程等に基づき,事務処理を行うこととされている。
 物件等調達契約決定書については,
 1件の競争入札による契約とするべきものを専決により分割して契約していたもの
 継続して賃借している会議室の賃料及び共益費を,会場借上げとして契約していたもの
 賃借している会議室の清掃費について,算定根拠となる証書類の添付がなかったもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。
(4) 公有財産の管理事務について
 行政財産管理台帳及び普通財産管理台帳は,公有財産の主管局長が作成する土地及び建物の決算年度末現在高を局別・財産種別ごとに集計した公有財産調書と,照合することとされている。
 行政財産管理台帳及び普通財産管理台帳については,公有財産調書と一致していないものがあった。
 公有財産を適正に管理されたい。
 公有財産異動整理簿を作成していなかった。
 適正な事務処理をされたい。
(5) 物品の管理事務について
 物品の管理については,京都市物品会計規則に基づき,事務処理を行うこととされている。
 備品台帳については,
(ア) 備品の現物を確認することができなかったもの
(イ) 所管換えの決定をしていなかったもの
(ウ) 貸出しの決定をしていなかったもの
(エ) 備品整理票のちょう付を行っていなかったもの
(オ) 市有外物品の記帳が漏れていたもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。
 備品配置表,備品使用管理簿及び物品所管換書を作成していなかったものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
 配分通知書は,他の課に配分する目的で購入した物品を,納入業者から直接配分を受ける課に納品させる場合に,当該課の課長に対して発するものである。
 この配分通知書の配分通知日が,購入契約決定日より前のものがあった。
 適正な事務処理をされたい。

第3 産業観光局
 1 監査の範囲
 商工部経済企画課,同部産業振興課,同部商業振興課,染織試験場,中央卸売市場第一市場,計量検査所,東部農業指導所及びスーパーテクノシティ推進室
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 使用料の徴収事務について
 中央卸売市場第一市場の施設の使用に係る使用料の額は,京都市中央卸売市場業務条例及び京都市中央卸売市場業務条例施行規則(以下「業務条例等」という。)により定められているが,店舗の位置その他特別の事情がある市場施設の使用料の額は,市長が別に定めることとされている。
 この使用料の徴収事務については,定められた手続を行っていなかったものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
(2) 保証金の徴収事務について
 業務条例等によれば,中央卸売市場の関連事業者及び市場施設の使用許可を受けた者は,事業又は施設の使用の許可の通知を受けた日から起算して1月以内に保証金を市長に預託しなければならず,保証金を預託した後でなければ関連事業又は施設の使用を開始してはならないとされている。
 また,関連事業者は,保証金に不足を生じたときは,市長が指定する期間内に,不足金額に相当する金額を追加して預託しなければならないとされている。
 この保証金の徴収事務については,
 許可の通知から1月以上経過した後に,納入通知書を発行していた。
 年1回一斉に預託金の過不足の状況を調査していたため,追加預託事由が生じた日から,請求までに相当期間を経過していたものがあった。
 決定書で納期限を指定していなかった。
 適正な事務処理をされたい。
(3) 公有財産の管理事務について
 不要建物の除却について,所定の手続を行っていなかったものがあった。
 市所有の建物について,公有財産として管理台帳に記帳せず,主管局長に報告していなかったものがあった。
 公有財産の分類を誤っていたものがあった。
 行政財産の目的外使用許可又は普通財産の貸付けについて,所定の手続を行っていなかったものがあった。
 行政財産の目的外使用許可に際し,申請者が立てた保証人が,公有財産規則に定める資格要件を満たしていなかったものがあった。
 公有財産異動整理簿及び行政財産貸付台帳を作成していなかった。
 行政財産管理台帳,普通財産管理台帳,行政財産使用許可台帳,普通財産貸付台帳又は不動産借受台帳に記帳していなかったものがあった。
 行政財産管理台帳及び普通財産管理台帳の補正を行っていなかったものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
(4) 物品の管理事務について
 備品使用管理簿又は備品配置表を作成していなかったもの
 備品使用管理簿又は備品配置表が現状と一致していなかったもの
 市有外物品について,備品台帳等を作成していなかったもの
 備品の現物を確認することができなかったもの
 所管換えの手続が遅延していたもの
 収入役への合議を行わずに,備品を貸し付けていたもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。

第4 保健福祉局
 1 監査の範囲
 福祉部児童家庭課,同部障害福祉課,児童福祉センター,身体障害者リハビリテーションセンター,醍醐和光寮及び若杉学園
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 児童福祉施設等負担金の徴収事務について
 児童福祉センターにおいては,京都市児童福祉法等施行細則第2条第7号に定める児童福祉施設等負担金の徴収事務を行っているが,平成10年度以降の徴収状況を見たところ,現年度分の徴収率は減少傾向にあり,また,過年度分の徴収率も低率で推移している。
 滞納者の実態を的確に把握するとともに,特別の事情もなく負担金を滞納する者に対しては,迅速な納入指導を図るなど徴収率の向上に努められたい。
(2) 京都市心身障害者扶養共済掛金の徴収事務について
 京都市心身障害者扶養共済制度は,心身障害者を扶養する者の相互扶助の精神に基づいた制度であり,心身障害者を扶養する者が一定の掛金を納付することにより,扶養者が死亡又は重度の障害になった場合において,当該心身障害者に終身一定額の年金を支給することで,将来に対して保護者の抱く不安の軽減を図ることを目的としている。
 この制度を規定する京都市心身障害者扶養共済事業条例(以下「条例」という。)によると,加入者は,一定額の掛金を納付することとなっているが,未払者が多数見受けられた。
 掛金未払者の取扱いについては,条例に基づいた適正な事務処理をされたい。
(3) 京都市母子及び寡婦福祉資金貸付元利金の徴収事務について
 母子及び寡婦家庭の経済的自立の支援と扶養している児童の福祉を増進するため,福祉資金の貸付事業を実施しているが,それら貸付金元利収入の償還状況を見たところ,平成11年度以降3箇年における平均の償還率は,現年度分が76パーセントとなっている。
 貸付時における償還能力の審査を厳格に行うとともに,平成12年度に決定している「京都市母子寡婦福祉資金貸付金の未償還金にかかる不納欠損処分について」に基づき,償還率の向上に努められたい。
(4) 公金収納受託者の収納事務について
 児童福祉センター及び身体障害者リハビリテーションセンターにおける使用料等収納業務については,民間の法人に公金収納事務を委託し,委託を受けた当該法人は,会計規則の定めるところにより,一部を除いて,出納員と同様の手続により収納事務を行うこととされている。
 この収納事務については,公金の収納業務点検のため,出納責任者として当該法人の京都支店長等が領収調書,領収調書受払簿,収納金出納簿等を決裁することとしているが,実際の事務においては,当該法人の担当者が事務処理をしていた。
 当該法人に対して適切な事務処理を行うよう指導されたい。
(5) 契約事務について
 随意契約については,
 見積書を徴していなかったもの
 理由が不適切なもの
 請書に不備があったもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。
(6) 公有財産の管理事務について
 公有財産は,地方自治法により,その用途又は目的を妨げない限度において,その使用を許可できると規定され,その許可手続などについては,公有財産及び物品条例並びに公有財産規則に基づき,使用を許可することとされている。
 このうち,行政財産の目的外使用許可等については,
 所管する施設において,所定の手続を行わずに貸し付けていたもの
 使用許可の決定に当たり,決定権限者を誤っていたもの
 使用許可の決定に当たり,主管局長への合議がなかったもの
 使用承認の手続を経ず,他局に施設の使用を認めていたもの
があった。
 行政財産の目的外使用許可等に当たっては,関係法令等を順守し,適正な事務処理をされたい。
(7) 物品の管理事務について
 備品使用管理簿及び備品配置表を作成していなかったもの
 市有外物品について,備品台帳等を作成していなかったもの
 貸付備品について,使用貸借契約書と備品台帳の備品の数が一致しなかったもの
 貸付備品について,使用貸借契約書がなかったもの
 課長等の異動に際し,管理物品の引継ぎがなかったもの
 月々の使用枚数に比して,郵券の保管枚数が多いもの
 郵券及びガソリンチケットの管理を消耗品台帳で行っていなかったもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。

第5 会計室
 1 監査の範囲
 物品会計課
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
 振替用品は,京都市振替用品購入基金条例及び京都市振替用品購入基金条例施行規則に基づき,物品会計課が一括購入し,各所属の要求により払出し又は配達しているが,パソコン,事務用スチール製品等は,業者が直接各所属に納品している。
 この振替用品の購入事務については,
(1) 振替用品の購入に当たって,基金の現金の残額を確認していなかった。
(2) 業者が直接各所属に納品した振替用品について,それぞれの納品の確認前に代金の支払手続を行っていた。
 適正な事務処理をされたい。

第6 消防局
 1 監査の範囲
 総務部庶務課,同部企画課,同部施設課,同部人事課,警防部警防計画課,同部消防救助課,同部装備課,北消防署,山科消防署及び西京消防署
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 契約事務について
 随意契約の相手方は,特別の理由がない限り,競争入札有資格者名簿に登載されているものでなければならないこととされているが,特別の理由がないにもかかわらず,競争入札有資格者名簿に登載されていない者と契約していたもの
 100万円以上の物件の調達契約(単価契約済みの場合を除く。)の場合は契約書を作成することとされているが,契約書を作成していなかったもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。
(2) 物品の管理事務について
 備品台帳については,
(ア) 年度末現在高一覧表の記帳を誤っていたもの
(イ) 異動事由の記帳を誤っていたもの
(ウ) 分割の記帳方法を誤っていたもの
(エ) 同一品名のものを複数の台帳に記帳していたもの
(オ) 整理票番号の付け方を誤っていたもの
(カ) 市有外物品の記帳方法を誤っていたもの
があった。
 備品台帳の記帳は正確にし,適正な事務処理をされたい。
 配分通知書については,
(ア) 単価の記入を誤っていたもの
(イ) 品名の記入を誤っていたもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。
 備品異動報告書及び市有外物品異動報告書については,13年度中増加高,13年度中減少高及び13年度末現在高の記帳を誤っていたものがあった。
 適正な事務処理をされたい。

第7 教育委員会
 1 監査の範囲
 総務部調査課,指導部情報教育センター,体育健康教育室,新町小学校,竹田小学校,上京中学校,尚徳中学校,堀川高等学校及び中京もえぎ幼稚園
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 学校等の物件調達事務について
 契約事務規則によれば,随意契約の相手方は,特別の理由がない限り,競争入札有資格者名簿に登載されているものでなければならないこととされている。
 また,教育委員会においては,平成10年度の教育長通知「調達事務等の適正な執行について」で,学校及び幼稚園においては,教育活動の円滑な実施の必要上,特別の理由を列挙して,該当する場合は,当分の間,競争入札参加有資格業者以外の者との契約を認めている。
 学校等の物件調達事務については,競争入札有資格者名簿に登載されているもの以外との契約が多数あり,その購入理由を「競争入札有資格者より安価で契約できるため」としていたが,購入決定書には「より安価である」ということを証する資料の添付がなかった。
 適正な事務処理をされたい。
(2) 学校施設の管理事務について
 学校施設の使用については,京都市立学校施設使用規則において許可の申請手続等の規定を設けている。「学校事務の手びき」によれば,学校施設を長期間使用する場合は,教育財産使用許可申請をさせるとなっており,また,「校内売店の取扱い」として,校内売店の設置は,教育活動の一環であり,学校長と業者の間で販売の委託契約を結ぶこととされているが,これらの手続をしていなかったものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
(3) 物品の管理事務について
 備品の現物を確認することができなかったもの
 物品所管換書がなかったもの
 物品所管換書により受け入れた備品が台帳に記帳されていなかったもの
 備品使用管理簿を作成していなかったもの
 物品公借書を徴せずに他課に貸出しを行っていたもの
 備品整理票のちょう付を行っていなったもの
 備品台帳に記帳されている備品整理票番号が異なっていたもの
 備品配置表に記載が漏れていたもの
 備品配置表が現状と一致していなかったもの
 消耗品(郵便切手)台帳の記帳が漏れていたもの
があった。
 適正な事務処理をされたい。

(監査事務局第一課)

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監査公表第480号

 地方自治法第199条第4項の規定による監査を実施し,同条第9項の規定により監査の結果に関する報告を決定したので,同項の規定により,次のとおり公表します。
  平成15年5月15日
京都市監査委員職務執行者 高橋 泰一朗
同        宮本 徹
京都市監査委員  下薗 俊喜
同      奥谷 晟




平成14年度定期監査(工事)結果公表
 監査の種類 定期監査(工事)
 監査の対象 水道局及び下水道局
 監査の対象工事 平成14年度及び平成13年度以前から繰越又は継続施行している別表第1に掲げる工事及び別表第2に掲げる工事に関連する設計業務委託,工事監理業務委託並びに平成13年度の別表第3に掲げる維持管理業務委託
 監査の実施期間 平成14年11月から平成15年5月まで
 監査の方法 設計事務,施工管理等について関係図書を審査し,文書及び口頭による質問調査を行い,必要なものについて実地調査を行った。
 監査の範囲及び結果
第1 水道局
 1 監査の範囲
 総務部庶務課,給水部給水課,同部配水課,同部工務課及び浄水部浄水課
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 設計計上数量の端数処理については,積算基準及び標準歩掛表(以下「積算基準」という。)における数値基準に基づいて四捨五入することとされているが,これに従った端数処理をしていなかったものがあった。
 適正な積算を行うよう改められたい。
(配水管布設替工事H13 6225ほか)
(2) 積算基準では,一般管理費の積算に当たって,前払金の支出割合が40%の場合は補正しないこととされているが,前払金30%として割増補正をしていたものがあった。
 経済的な積算を行うよう検討されたい。
(上水道安全対策事業新山科系向島
幹線配水管布設(その4)工事ほか)
(3) 積算基準では,一般管理費の積算に当たって,契約の保証に必要な費用の取扱いとして,契約保証に係る一般管理費等率の補正をすることとされているが,その補正をしていなかったものがあった。
 適正な積算を行うよう改められたい。
(浄水施設等整備事業新山科浄水場ロード
センタ盤及び特高トランス取換工事ほか)
(4) 工事に係る労務単価は年々変化するため,国において公共工事設計労務単価を毎年改定しているが,平成14年1月の設計書では,平成12年度の局代価表で積算していたものがあった。
 適正な工事価格を算出するために,局として設計労務単価を毎年改定するよう改められたい。
(浄水施設等整備事業新山科浄水場ロード
センタ盤及び特高トランス取換工事ほか)
(5) 建築基準法では,確認済証の交付を受けた後でなければ建築物の工事はできないこととされているが,確認済証の交付を受けずに工事に着手していた。
 確認済証の交付を受けた後,工事に着手するよう改められたい。
(浄水施設等整備事業蹴上浄水場表洗ポンプ棟築造(建築)工事)
(6) 検査員と監督員を兼務しているものがあった。
 検査は制度的に十分なチェック機能を果たせるように検査員体制を確立するよう検討されたい。
(設計委託共通)

第2 下水道局
 1 監査の範囲
 管路部管理課,同部管路設計課,施設部施設課及び同部施設設計課
 2 監査の結果
 監査の結果はおおむね適正であると認めたが,一部に次のような事項があった。
(1) 設計計上数量の端数処理については,土木工事標準積算基準書(以下「積算基準」という。)における数値基準に基づいて四捨五入することとされているが,局の数値基準で端数処理をしていたものがあった。
 適正に端数処理を行うよう検討されたい。
(西堀川4号分流幹線(その1)公共下水道管布設工事ほか)
(2) 積算基準では,仮設材の計上に当たって,供用日数が長期間で賃料扱いの費用が購入扱いの費用を上回る場合は,購入扱いとすることとされているが,中間杭損料の積算で賃料単価が購入単価を上回って計上されていた。
 適正な積算を行うよう改められたい。
(伏見処理場拡張工事オゾン反応槽築造工事)
(3) 積算基準では,一般管理費の積算に当たって,工期が短いため,前払金を0%としたにもかかわらず,通常どおり割増補正をしていた。
 経済的な積算を行うよう検討されたい。
(伏見処理場拡張工事場内整備(その4)工事)
(4) 積算基準では,一般管理費の積算に当たって,契約の保証に必要な費用の取扱いとして,契約保証に係る一般管理費等率の補正をすることとされているが,その補正をしていなかったものがあった。
 適正な積算を行うよう改められたい。
(第2課次亜塩タンク改良工事ほか)
(5) 特記仕様書では,職種及び作業の種別により,品質及び性能を確保するため,請負者は技能士によりその作業を行うこととされているが,技能士を作業に従事させていなかった。
 特記仕様書どおり履行させるよう改められたい。
(住吉ポンプ場改築工事ポンプ設備電気棟新築工事)
(6) 労働者災害補償保険法の規定では,請負者は,雇用形態に応じ,雇用者等を被保険者とする保険に加入することが義務付けられているが,請負者からの提出書類でその確認をしていないものがあった。
 労働者災害補償保険関係成立届出書類で加入を確認するよう改められたい。
(第2課次亜塩タンク改良工事ほか)
(7) 設計委託業務が完了していないにも係わらず,委託業務完了検査報告書を作成し,委託料を支払っていたものがあった。
 適正な事務処理を行うよう改められたい。
(住吉ポンプ場電気棟新築実施設計委託ほか)

第3 水道局及び下水道局共通事項
 1 工事請負契約約款では,工期及び請負代金の変更を行う場合,甲乙協議して定めることとされているが,その協議内容について書面を作成していなかった。
 設計変更の協議に当たり,書面を作成するよう改められたい。
 2 工事請負契約約款では,発注者は,監督員を置いたときは,その氏名を請負者に通知しなければならないこととされているが,その通知書を作成していなかった。
 監督員を置いたときは,通知書を作成するよう改められたい。
 3 工事請負契約約款では,請負者は,部分払いを請求しようとする場合,当該請求に係る出来形部分等の確認を発注者に請求し,発注者は,確認をするための検査を行い,当該確認の結果を請負者に通知しなければならないこととされているが,その通知書を作成していなかった。
 検査完了後,通知書を作成するよう改められたい。
 4 工事請負契約約款では,請負者は工事の完成前に部分払いを請求することができ,この部分払い金額は,発注者と請負者が協議して定めることとされている。
 部分払いに際して,局独自に試算し,それを基に請負者と協議しなければならないが,その試算をしていなかった。
 部分払いに際しては,局独自で試算した額を持ち,請負者と協議したうえで金額を決定するよう改められたい。
 
 5 工事請負契約約款では,工事の完了を検査し,当該検査の結果を請負者に通知しなければならないこととされているが,その通知書を作成していなかった。
 検査完了後,通知書を作成するよう改められたい。


別表第1
別表第2
別表第3


(監査事務局第一課)

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監査公表第481号

 地方自治法第199条第5項及び第7項の規定による監査を実施し,同条第9項の規定により監査の結果に関する報告を決定したので,同項の規定により,次のとおり公表します。
  平成15年5月15日
京都市監査委員職務執行者 高橋 泰一朗
同        宮本 徹
京都市監査委員  下薗 俊喜
同      奥谷 晟



平成14年度財政援助団体監査結果公表
 監査の種類 財政援助団体監査
 監査の対象 京都魚アラリサイクル推進協議会,サマーナイトコンサート京都実行委員会,花と緑の市民フェア実行委員会,社会福祉法人京都ライトハウス,社会福祉法人平安養育院,京都府医師会看護専門学校,社団法人京都市シルバー人材センター,社会福祉法人フラットビュー福祉会,あけぼの会共同作業所,精神障害者共同作業所京都希望の家,財団法人京都市学校給食協会及び財団法人京都府私学退職金財団並びに当該団体に対する補助金に関する事務に係る本市所管課等
 なお,本市所管課等は,平成14年度のものである。
 監査の対象期間 平成13年4月から平成14年3月まで
 監査の実施期間 平成14年12月から平成15年5月まで
 監査の方法 各団体の補助金に係る出納その他の事務及び本市所管課等の当該団体に対する補助金に関する事務について,関係帳簿,証書類等を審査し,文書及び口頭による質問調査を行い,必要なものについて実地調査を行った。

 京都魚アラリサイクル推進協議会
(1) 団体の概要
 京都魚アラリサイクル推進協議会(以下「推進協議会」という。)は,平成8年3月に設立され,京都市域における魚腸骨の適正な処理と再資源化を図り,もって環境の保全に資することを目的として,次の業務を行っている。
 魚腸骨の適正処理事業の計画及び実施に関すること。
 魚腸骨の処理対策に係る調査研究に関すること。
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 魚腸骨の再生処理ルートを確保することにより資源の有効利用と公害防止等の環境保全を図るため,推進協議会に対して交付する京都魚アラリサイクルセンター(以下「魚アラセンター」という。)の運営補助としての化製場経営改善補助金及び化製場人件費補助金
 金額 3,909万6,262円
 本市所管課 環境局環境企画部循環型社会推進課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 推進協議会は魚アラセンターを設置している。
 推進協議会は,京都魚アラリサイクル推進協議会規約及び京都魚アラリサイクル推進協議会会計処理規則を定めており,会計処理は公益法人会計基準(以下「会計基準」という。)に準拠している。
 また,魚アラセンターは,京都魚アラリサイクルセンター定款及び京都魚アラリサイクルセンター経理規定を定めており,会計処理は企業会計原則に基づいて処理を行っている。
 この会計処理については,
(ア) 推進協議会と魚アラセンターはそれぞれ異なる会計処理を行っているにもかかわらず,収支予算書は推進協議会と魚アラセンターを合算していた。
(イ) 魚アラセンターにおいて支出しているものに,推進協議会の名義で処理していたものがあった。
 推進協議会と魚アラセンターの会計については,各々の団体において規定しているにもかかわらず,一部で混在していたので,2つの会計が明確になるよう検討されたい。
 経理事務については,
(ア) 決定書及び支出命令書に勘定科目の記載がなかったものがあった。
(イ) 費用については未払金を計上しているが,未払金を執行した伝票等の作成がなかった。
 適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務はおおむね適正に処理されていると認めた。

 サマーナイトコンサート京都実行委員会
(1) 団体の概要
 サマーナイトコンサート京都実行委員会(以下「コンサート実行委員会」という。)は,毎年,年度当初に設立され,明日の京都の文化を担う青少年の吹奏楽を中心に,市民の音楽活動の振興を図るとともに,文化活動に取り組む人達の相互交流を深める場として,また,野外で開催し,夏の夕暮れから夜に移る風景の変化と合わせて,集団演技のすばらしさを多数の市民に楽しんでもらうことを開催目的としている。
 なお,コンサート実行委員会は,事業完了後解散することとなっている。
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 京都市の芸術文化の振興を図るうえで有効と認められる「第13回サマーナイトコンサート京都」の開催に伴う補助金
 金額 1,700万円
 本市所管課 文化市民局文化部文化課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 予算及び決算については,
(ア) 当初予算及び予算変更について,コンサート実行委員会の承認を受けていなかった。
(イ) 決算についてコンサート実行委員会の承認を受けていなかった。
 適正な予算及び決算手続をされたい。
 また,コンサート実行委員会は事業完了後解散することとしているが,決算において収支差引残額を翌年度に繰り越していた。事業残額の処置については,規程整備等を検討されたい。
 支出事務については,
(ア) 金融機関への払込手数料の支出決定がなかった。
(イ) 出演委託料の算定根拠の記載がなかった。
(ウ) 契約事務について,サマーナイトコンサート京都実行委員会事務局規程に則した取扱いとなっていなかったものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務は適正に処理されていると認めた。

 花と緑の市民フェア実行委員会
(1) 団体の概要
 花と緑の市民フェア実行委員会(以下「フェア実行委員会」という。)は,昭和56年4月に設立され,花と緑の市民フェアを開催することにより,市民参加の都市緑化推進の一環として,緑豊かな市民生活を推進し,花き園芸の振興を図っている。
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 本市産業の振興のために必要と認めたフェア実行委員会が行う花と緑の市民フェア開催のための補助金
 金額 1,000万円
 本市所管課 産業観光局農林部農業振興整備課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 フェア実行委員会には,経理事務の基準に関する取り決めがなかった。
 経理の明りょう性を確保するため,繰越金の取扱いを含め,規程の整備をされたい。
 収支決算書によると,事業負担金を収入し,展示装飾費として同額を支出したこととなっているが,預金通帳及び会計出納簿には,それらの記帳がなかった。
 収支決算書には,実際の収支のみを記入されたい。
 現金の出納事務については,
(ア) 収入金の一部を預金に預け入れずに,直接支出に充てていた。
(イ) 現金出納簿を作成していなかった。
 適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の補助金に関する事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 京都市産業振興事業補助金交付要綱によると,補助金の額は,市長が必要と認める当該事業費に2分の1を乗じて得た額以内の額とし,市長が特に必要と認めたときは,この限りでないとされている。
 フェア実行委員会に対する補助金の交付額は,当該事業の実質事業費の2分の1を超える額となっていたが,交付決定書には,市長が特に必要と認めた理由が記入されていなかった。
 適正な事務処理をされたい。

 社会福祉法人京都ライトハウス
(1) 団体の概要
 社会福祉法人京都ライトハウス(以下「ライトハウス」という。)は,昭和36年4月に設立され,視覚障害者が,個人の尊厳を保持しつつ心身共に健やかに育成され,又はその有する能力に応じ自立した日常生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的として,次の社会福祉事業を行っている。
 第一種社会福祉事業
(ア) 養護老人ホーム(盲老人ホーム)「船岡寮」の設置経営
(イ) 視覚障害者更生施設「鳥居寮」の設置経営
 第二種社会福祉事業
(ア) 視聴覚障害者情報提供施設点字図書館及び点字出版所の設置経営
(イ) 身体障害者の更生相談に応じる事業(在宅視覚障害者巡回歩行訓練事業,視覚障害乳幼児母子通園療育施設あいあい教室の受託経営及び視覚障害者生活相談事業)
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 日本でも数少ない視覚障害者のための総合福祉施設を運営しているライトハウスの行う事業で,本市の障害者福祉施策に資すると認めた,点字図書館事業,点字出版事業及び生活訓練事業に対する補助金
 金額 1億4,057万4,201万円
 本市所管課 保健福祉局福祉部障害福祉課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 補助金交付決定書によると,補助金の交付を受けた者は,補助対象事業終了後,直ちに収支決算書を提出することとされている。
 ライトハウスが,この収支決算書を提出したのは,事業終了後5箇月を経過した平成14年9月であった。
 また,補助金交付申請の際に提出した収支予算書においては,事業全体の共通経費を各事業費にあん分していたが,提出した収支決算書においては,共通経費を管理費として一括計上していた。
 提出書類の記載方法を検討されるとともに,適正な事務処理をされたい。
 社会福祉法人京都ライトハウス会計規則によると,資金の借入れ及び返済は,すべて本部会計において行うこととされている。
 京都ライトハウス施設会計の郵便貯金口座における資金の借入れ及び返済については,所定の処理が行われていなかった。
 適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 補助金の支出に関する事務については,事業の完了確認が遅延していた。また,事業完了前に補助金の額が確定しているときは,前金払により補助金を支出することができるとされているが,補助金の額が確定していない時期に,補助金を前金払で支出していた。
 適正な事務処理をされたい。

 社会福祉法人平安養育院
(1) 団体の概要
 社会福祉法人平安養育院は,昭和39年11月に設立され,多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるよう創意工夫することにより,利用者が個人の尊厳を保持しつつ,心身ともに健やかに育成されるよう支援することを目的として,次の社会福祉事業を行っている。
 第一種社会福祉事業
(ア) 児童養護施設「平安養育院」の設置経営
(イ) 知的障害児通園施設「京都市むくの木学園」の受託経営
 第二種社会福祉事業
 青少年自立相談援助ホーム「東樹」の設置経営
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 義務教育を終了して,就労生活が安定しない児童に対し,生活の場を提供しつつ,社会的自立を援助する事業を行っている「東樹」に対する運営費補助金
 金額 1,740万676万円
 本市所管課 保健福祉局福祉部児童家庭課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 収入金及び手もと金の管理については,
(ア) 収入金を銀行預金口座に払い込まずに,手もと金と混同して支払いに充てていた。
(イ) 社会福祉法人平安養育院経理規程では手もと金の額は10万円以内と定められているが,この限度額を超えていた。
 収入金は手もと金と混同することなく速やかに銀行預金口座に入金するとともに,手もと金に関する規定を実情に即したものに整備し,適正な事務処理をされたい。
 予算に計上されていない科目から支出していたものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務はおおむね適正に処理されていると認めた。

 京都府医師会看護専門学校
(1) 団体の概要
 京都府医師会看護専門学校は,昭和22年11月に設立され,看護師及び准看護師として必要な知識と技術を習得させるとともに,教養の向上と人格の形成を図り,広く社会の医療及び公衆衛生活動に貢献できる人材を養成している。
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 看護師等の安定的な供給を図るための看護師等養成所に対する運営費補助金
 金額 3,060万円
 本市所管課 保健福祉局保健衛生推進室地域医療課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 決算書の財産目録については,
(ア) 会計基準では財産目録は貸借対照表の区分に準じて作成することとされているが,この区分が貸借対照表と異なっていた。
(イ) 会計基準では財産目録は正味財産の額を示すこととされているが,土地及び建物について面積で記載していた。
(ウ) 構築物の額を誤っていた。
 決算書は正確に作成されたい。
 収入金及び手もと現金の管理については,
(ア) 収入金を速やかに銀行預金口座に払い込まずに,一部を手もと現金と混同して支払いに充て,残りを毎月3回まとめて銀行預金口座に払い込んでいた。
(イ) 収入金を収入のつど記帳せずに,毎月月末にまとめて記帳していた。
(ウ) 京都府医師会経理規定細則では看護専門学校特別会計の手もと現金の最高額は20万円と定められているが,この限度額を超えて手もと現金として支出していた。
 収入金は適正に仕訳伝票を作成し,速やかに銀行預金口座に入金するとともに,適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務は適正に処理されていると認めた。

 社団法人京都市シルバー人材センター
(1) 団体の概要
 社団法人京都市シルバー人材センターは,昭和61年10月に設立され,定年退職後等において,臨時的かつ短期的なもの又はその他の軽易な業務を通じて,自己の労働能力を活用し,自らの生きがいの充実と社会参加を希望する高年齢者の就業機会の増大と福祉の増進を図るとともに,高年齢者の能力を生かした,活力ある地域社会づくりに寄与することを目的として,主に次の事業を行っている。
 高年齢者の就業に関する情報の収集及び提供
 高年齢者の就業に関する調査研究
 高年齢者の就業に関する相談
 臨時的かつ短期的な就業(雇用によるものを除く。)又はその他の軽易な業務に係る就業(雇用によるものを除く。)を希望する高年齢者のために,これらの機会を確保し,及び組織的に提供すること。
 高年齢者に対する簡易な仕事に関する知識及び技能の付与を目的とした講習等の実施
 臨時的かつ短期的な雇用による就業又はその他の軽易な業務に係る就業(雇用によるものに限る。)を希望する高年齢者のための無料職業紹介事業
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 自らの生きがいの充実や長年培ってきた知識や経験,能力を生かす高齢者の就業機会の拡大と社会参加の促進を図り,活力ある地域社会づくりに寄与するための運営費補助金
 金額 6,143万311万円
 本市所管課 保健福祉局長寿社会部長寿福祉課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 会計に関する事項は社団法人京都市シルバー人材センター定款に定めのある場合のほか社団法人京都市シルバー人材センター財務規約に基づき事務処理を行うこととされているが,
(ア) 京都市からの補助金を返還する場合は,収入した科目から支出することとされているが,他の科目から支出していた。
(イ) 予定価格が100万円以上の請負契約や50万円以上の売買契約を締結する場合は,指名競争入札をしなければならないこととされているが,指名競争入札をしていなかった。
(ウ) 随意契約したものについて,二人以上から見積書を徴していなかった。
 適正な事務処理をされたい。
 社団法人京都市シルバー人材センター事務処理規約によると,予定価格が50万円以上の物件の調達又は工事,修繕,工作等に関することは理事長が決定することとされているが,事務局長が決定していた。
 適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 団体から提出された事業実績報告書の収支決算書において,京都市からの補助金収入額が誤っているにもかかわらず受領していた。
 適正な事務処理をされたい。

 社会福祉法人フラットビュー福祉会
(1) 団体の概要
 社会福祉法人フラットビュー福祉会は,平成8年9月に設立され,多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるよう創意工夫することにより,利用者が,個人の尊厳を保持しつつ,自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的として,次の社会福祉事業を行っている。
 第一種社会福祉事業
 軽費老人ホーム(ケアハウス)「キョートケアハウス」の設置経営
 第二種社会福祉事業
 老人デイサービス事業(「キョート老人デイサービスセンター」の運営)
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 軽費老人ホームの運営に要する費用に対する補助金
 金額 4,053万8,700万円
 本市所管課 保健福祉局長寿社会部長寿福祉課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 施設整備借入金利子に係る補助金の収入科目を誤っていた。
 適正な事務処理をされたい。
 経理区分間繰入金収入の科目において,繰入金収入と繰入金支出を差引きし,その差額を計上していた。
 収入科目と支出科目は明確に区分し,適正な事務処理をされたい。
 社会福祉法人フラットビュー福祉会経理規程によると,すべての会計処理は会計伝票で処理することとされているが,振替伝票の金額の記入を誤っていたものがあった。
 適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務は適正に処理されていると認めた。

 あけぼの会共同作業所
(1) 団体の概要
 あけぼの会共同作業所は,昭和45年4月に設立され,障害者の自立と社会復帰,人権の確立をめざし,明るく,楽しい共同作業所づくりや,みんなの力で支えられ,運営される共同作業所にすることを運営の基本としている。
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 精神障害者の自立更生と社会復帰の促進を図ることを目的として通所訓練,作業指導,生活指導及び社会適応訓練等を行う共同作業所の運営に必要な経費に対する補助金
 金額 1,673万9,400万円
 本市所管課 保健福祉局保健衛生推進室地域医療課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 京都市精神障害者通所訓練事業補助金交付要綱(以下「交付要綱」という。)では,補助金の交付を受けた者は,精神障害者通所訓練事業実績報告書(以下「実績報告書」という。)等を提出することとなっているが,実績報告書の記入方法を誤っていた。
 交付要綱に基づく適正な事務処理をされたい。
 あけぼの会共同作業所運営規則(以下「運営規則」という。)では会計監査委員を2名選任することとなっているが,1名しか選任されていなかった。
 運営規則に基づき,選任されたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 交付要綱によれば,補助金の精算は,実績報告書により行うとされているが,実績報告書の事業内容や事業経費内訳の確認が不十分であったことなど,実績報告書が精査されていなかった。
 補助金の精算に当たっては,実績報告書を裏付ける資料の提出を求め,内容を確認するなど適正な事務処理をされたい。

10 精神障害者共同作業所京都希望の家
(1) 団体の概要
 精神障害者共同作業所京都希望の家は,昭和58年10月に設立され,在宅障害者(以下「障害者」という。)で回復途上・社会復帰途上にある者に対し,集団的に「生活・作業・機能回復」「自律生活・社会復帰」の指導訓練及び相談活動の「場」を開設し,障害者の福祉の向上と差別と偏見をなくする運動を他の障害者と連携して展開し,障害者の「完全参加と平等」の具現を目的としている。
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 精神障害者の自立更生と社会復帰の促進を図ることを目的として通所訓練,作業指導,生活指導及び社会適応訓練等を行う共同作業所の運営に必要な経費に対する補助金
 金額 1,673万9,400万円
 本市所管課 保健福祉局保健衛生推進室地域医療課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 交付要綱では,補助金の交付を受けた者は,実績報告書等を提出することになっているが,実績報告書の記入方法を誤っていた。
 交付要綱に基づく適正な事務処理をされたい。
 共同作業所京都希望の家経理規程(以下「経理規程」という。)によると,すべての取引は,伝票等により行うと定めているが,伝票等のなかったものや記載に不備のあるものがあった。
 経理規程に基づく適正な事務処理をされたい。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 交付要綱によれば,補助金の精算は,実績報告書により行うとされているが,実績報告書の記入方法に誤りがあるなど,内容確認が不十分であった。
 実績報告書を裏付ける資料の提出を求め,内容を確認するなど適正な事務処理をされたい。

11 財団法人京都市学校給食協会
(1) 団体の概要
 財団法人京都市学校給食協会(以下「給食協会」という。)は,昭和38年11月に設立され,京都市立学校給食事業の運営の円滑をはかり,その発展に寄与することを目的として,学校給食用物資の調達,あっせんを主に行っている。
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 学校給食の安全,円滑な運営と保護者負担の軽減を図るための運営費補助金
 金額 4,136万3,455万円
 本市所管室 教育委員会事務局体育健康教育室
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めたが,一部に次のような事項があった。
 給食協会の会計処理は,京都府学校給食会から分離独立後も同会の会計処理を踏襲するということで,独自の会計処理規程を有していなかった。
 会計処理規程を整備されたい。
 BSE対策として廃棄した食材があったことから,追加の補助金を受けていたが,決算書類のうえでは事業収入として処理されていた。そのため京都市からの補助金支出額と協会の補助金収入額とが一致していなかった。
 適正な事務処理をされたい。
 退職給与引当預金等について,複数の金融機関に1,000万円を超える定期預金を有していた。
 ペイオフ対策を講じられたい。
 また,本市所管室の当該補助金に関する事務は適正に処理されていると認めた。

12 財団法人京都府私学退職金財団
(1) 団体の概要
 財団法人京都府私学退職金財団は,昭和42年4月に設立され,私立学校法第3条に定める学校法人その他学校を設置するもの又は私学興団体に対し,これらが京都府内に設置する学校等に勤務する教職員で常勤のものに支給する退職金に必要な資金の交付等を行い,もって教職員等の福祉の増進及び私学教育の振興に寄与することを目的として次の事業を行っている。
 学校法人等が教職員等に給付する退職金の資金の交付に関する事業
 学校法人等が行う私学教育の振興上必要と認められる事業の資金の貸付に関する事業
 その他,目的を達成するために必要な事業
(2) 監査の対象とした補助金
 内容 京都府内の私立学校等に勤務する教職員の人材確保と福利厚生の増進を図り,京都の私学教育に寄与するための退職金給付事業に対する補助金
 金額 1億9,194万9,000万円
 本市所管課 教育委員会事務局総務部企画課
(3) 監査の結果
 監査の結果,団体の経理事務はおおむね適正に処理されていると認めた。
 また,本市所管課の当該補助金に関する事務は適正に処理されていると認めた。

(監査事務局第一課)

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監査公表第482号

 平成14年11月20日監査公表第473号において公表した平成14年度定期監査(工事)の結果に基づき講じた措置について,地方自治法第199条第12項の規定により京都市長から通知があったので,次のとおり公表します。
  平成15年5月15日
京都市監査委員職務執行者 高橋 泰一朗
同        宮本 徹
京都市監査委員  下薗 俊喜
同      奥谷 晟



平成14年度定期監査(工事)結果に対する措置状況
(都市計画局−1)
監査の結果
 現場管理費の算定については,新営工事と改修工事を同一工事で発注する場合は,両工事の純工事費の合計額に対するそれぞれの現場管理費率によることとされているが,適正な現場管理費率で処理していなかった。また設計変更時の契約保証費について,元工事のままとすべきを改めて補正していた。
 適正な積算を行うよう改められたい。
(改進乳児保育所整備工事ただし,空調衛生設備工事)

講じた措置
 指摘の件については,共通積算基準の運用に誤りがないよう周知した。

(都市計画局−2)
監査の結果
 工事の施工により隠ぺいされる部分が,設計図書のとおり施工されていないものがあった。
 隠ぺいされる前に検査を行うよう改められたい。
(錦林浴場整備工事ほか)

講じた措置
 隠ぺい部分の施工については,今後,監督職員が時期を失せず検査を行うよう周知した。
 なお,指摘のあった隠ぺい部分については,設計図書と同等の品質であることを確認した。

(都市計画局−3)
監査の結果
 検査調書に記載された工事完成検査日が,実際に完成検査を行った日と相違していることが明らかなものがあった。
 適正な処理を行うよう改められたい。
(消防職員待機宿舎西ノ京寮整備工事ほか)

講じた措置
 指摘の工事完成検査日については,都市計画局で平成14年8月30日に「検査に関する日付記入について」の取扱いを定め,これに基づき適正な事務処理を行うよう改めた。

(都市計画局−4)
監査の結果
 建築請負工事監督・検査要綱では,中間出来高検査の検査員は局長が認めた工事担当課の課長により行うこととされているが,担当係長により検査をしていた。
 適正な検査を行うよう改められたい。
(北部クリーンセンター建設工事ただし,ごみ処理設備工事)

講じた措置
 検査要綱に定められた基準に従い,取り扱うよう徹底した。

(都市計画局−5)
監査の結果
 特記仕様書で本市が工場立会検査を行った機械部品及び工事材料を部分払いの対象と認めるとして,平成14年4月に部分払いしているが,工程表ではその機械部品及び工事材料は,平成15年11月からの焼却施設工事に使用する部品及び材料である。
 現場に搬入されていない機械部品及び工事材料の担保については不明であった。
 部分払いを行った機械部品等の担保について,早急に検討されたい。
(北部クリーンセンター建設工事ただし,ごみ処理設備工事)

講じた措置
 指摘の件については,より明確にするため請負者との間で,平成14年10月10日に所有権移転の覚書を締結した。

(都市計画局−6)
監査の結果
 工事監理業務委託契約約款では,業務の完了を確認するための検査を行うこととされているが,当該検査を完了した場合に作成する検査調書を作成していなかった。
 検査完了後,検査調書を作成するよう改められたい。
(工事監理業務委託共通)

講じた措置
 指摘の検査調書については,平成14年11月28日に様式を定め,同月現在に履行中の業務委託を含めて作成することとした。

(都市計画局−7)
監査の結果
 業務委託契約約款では,業務の完了を検査し,当該検査の結果を通知しなければならないこととされているが,その通知書を作成していなかった。
 検査完了後,通知書を作成するよう改められたい。
(産寧坂伝統的建造物群保存地区防災施設整備工事設計委託    
ただし,消火栓設置工事設計委託ほか)

講じた措置
 今後,検査完了後,通知書を作成するよう周知した。

(建設局−1)
監査の結果
 工事請負契約約款では,工期及び請負代金の変更を行う場合,甲乙協議して定めることとされているが,その協議内容について書面を作成していなかった。
 設計変更の協議に当たり,書面を作成するよう改められたい。
(洛北第二地区都市計画道路21・4号線街路造成工事ほか)

講じた措置
 今後は,設計変更の協議に当たり,「工事請負契約書」に基づく事務処理を行うよう関係職員に周知した。

(建設局−2)
監査の結果
 側溝工について,側溝本体は鉄筋構造物としてコンクリートの呼び強度18N/mm2を使用しているものがあったが,現在その使用基準は変更されている。
 鉄筋コンクリート構造物は,現在の基準に適応するよう検討されたい。
(伏見西部第四地区区画道路8号線他街路築造工事ほか)

講じた措置
 構造計算を必要とする不定形の鉄筋コンクリート構造物である側溝本体には,現在の基準に適応するよう,平成15年度からコンクリートの呼び強度24N/mm2を使用することとした。


(監査事務局第一課)

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