1 地区の範囲等
木屋町通から堀川通までの御池通(約1.7キロメートル)及び道路境界から30メートルの沿道区域を御池通沿道景観形成地区に指定する。ただし,木屋町通,烏丸通,堀川通の美観地区を除く地域で,面積は17.1ヘクタールである。区域は計画図に示す。 |
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2 町並みの形成の沿革
昭和20年まで,御池通は幅員8メートル程度の町通りであった。その年,第二次世界大戦の空襲が頻繁となり,その対策として防空空地を確保する疎開が実施された。御池通については,通り南側70メートルの幅で建造物が除去され,防空空地とされた。戦後,疎開跡地の利用が検討される中で,御池通については,幅員50メートルの都市計画道路として活用することが定められ,昭和28年に事業が完了した。
以降,京都の市内幹線道路として機能し,その沿道は,都市業務中枢地として,業務系の高層建築が立ち並び,烏丸通と連続して,新しいタイプのビジネス街の景観を形成してきた。
平成9年5月の御池地下駐車場の開業,同年10月の地下鉄東西線の開通,御池地下街の開業等により,御池通沿道は,新たなまちづくりの出発時期を迎え,市民に親しまれる都心の遊歩道としての整備が求められている。 |
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3 景観形成に関する基本計画
(1)景観形成の目的
| 御池通は,地下鉄の開通により,交通の利便性が格段に高まり,都心業務機能のみではなく,市民が憩い,楽しめる町としての役割が新たに求められている。こうした中,快適な都心の散策が楽しめる道空間として,新しい京都らしさが味わえる都心景観を御池通沿道に形成する。 |
(2)景観特色と景観形成方針
| ア | 景観の特色
沿道の建造物を概観すると,次の地区ごとに特徴が見られる。
なお,共通点としては,御池通の南側の家屋が除去されたため,南側は歴史的な建造物が少なく,ビル建築が連担しているのに対し,北側は,戦前の住宅や路地が残り,歴史的な雰囲気を継承し,近代景観のなかにも歴史を感じさせることがあげられる。
(ア | )東地区(本屋町通〜柳馬場通)
河原町通と機能を連携する地区で,サービス系の業務と店舗が混在し,賑わいのある地区である。建造物は中高層建築が多く,東山を背景に伸びやかな町並み景観を示すが,麩屋町と柳馬場通間は,戦前の低層の町並みを残している。 |
(イ | )中地区(柳馬場通〜新町通)
烏丸通と機能を連携する地区で,都心業務施設が集まり,オフィス街を形成している。
建築物も高層建築が多く,スカイラインも整い,烏丸通と連続して最も都心業務らしい町並み景観を形成している。 |
(ウ | )西地区(新町通〜堀川通)
堀川通と機能を連携する地区で,特に二条城近くに,観光サービス施設が集まっている。
中層と高層建築が混在するが,低層建築も多い。 |
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| イ | 景観形成の方針
鴨川,二条城の二つの自然・文化資産を起終点とするこの沿道地区は,本市の都心中枢業務地を形成し,最も近代的な景観を形成する地区である。背景には,東山と西山に山並みが屏風のように町並みを包み込む。また,祇園祭,時代祭等の祭事の舞台ともなり,賑わいと華やかさにふさわしい空間を演出することも求められていることから,21世紀の京都を代表する文化と歴史を創造する新しい街路空間を形成するため,次の方法で景観形成を図る。
(ア | )緑の連続
背景となる西山,東山の緑と街路の緑との連続性を保つ。 |
(イ | )シンプルな路上施設
路上施設は,できる限りシンプルで明快なデザインとする。 |
(ウ | )アート空間の創出
アート(造型芸術等)の導入により,通りを通行する人が楽しめ,文化の創造に資するしつらえを行う。 |
(エ | )祭の舞台
御池通は,伝統的又は新たな祭や行事の舞台となることから,これらの祭事の演出を図ることのできる空間とする。 |
(オ | )建築デザインの共鳴
隣接又は対面する建築デザインと強調・共鳴するよう形態・意匠に配慮する。 |
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4 公共施設の景観の維持及び向上に関する事項
(1)道路部の景観形成
| ア | 道路構造
緩速車線を廃止して,歩道幅員を広げ,標準12メートルとする。祭事を開催することから,原則として中央分離帯は設けない。 |
| イ | 街路樹
樹冠が連続するけやき並木とする。 |
| ウ | 路上施設
(ア | )電線類
電線類は地中化し,視線を遮る工作物を少なくする。 |
(イ | )地下鉄出入口の上屋
地下鉄出入口等の上屋は,背景となる山並みと調和し,視線を遮らない形態・意匠とする。 |
(ウ | )道路標識類
道路標識,案内標識,街灯,信号類は,できる限り統合しシンプルなデザインとする。 |
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| エ | 照明
都心の夜景を演出するしゃれた照明となるよう創意・工夫する。 |
(2)祭事等の景観演出
| ア | はれの空間演出の可能性
道路全体が祭事等の空間として利用できる機能,形態を備える。 |
| イ | 沿道建築との一体性
祭事等の空間利用を支援するため,歩道空間と沿道建築空間の一体的利用や工作物による景観演出ができる配慮を行う |
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5 建造物その他の工作物(以下「建築物等」という。)も景観の維持及び向上に関する事項
建築物等については,次の事項に留意するものとする。
(1)多くの人が集まり,散策し,町を楽しむ施設や備えのある町並みづくり
| ア | 1階は,店舗やショートウィンドー等を配置して散策者の目を楽しませるように配慮すること。 |
| イ | 雨の日でも快適に歩けるよう1階の壁面の後退等に配慮すること。 |
| ウ | 夜の散策を楽しめるよう道路照明と連携したライトアップやショーウィンドーの照明に配慮すること。 |
(2)祭の舞台としての通りの演出
祭事の景観演出ができるよう,のぼり,提灯,まん幕などを設ける装置を備えること。
(3)町通り(南北の通り)や周辺界わいとの回遊性の確保
町通りに接する建物は,町通りに面する1階の壁面を後退し,歩きやすい道づくりに配慮すること。
(4)山並みを背景とするスカイラインの形成
| ア | 建築物の連続性を確保するため,壁面の位置を揃えること。 |
| イ | 高さ31メートルを超える建築物の場合は,31メートルで軒線(水平ライン)を強調すること。 |
| ウ | 屋上に塔屋,建築設備,又は工作物を設ける場合は,御池通から見えないよう配慮すること。 |
| エ | 工作物の最高部分の高さは50メートル以下とすること。 |
(5)人に優しい形態・意匠
| ア | オフィス建築にあっては,1階部分にショーウィンドーや飾り窓を設けるなど,賑わいの演出を図ること。 |
| イ | その他の建築にあっては,市民が出入りできる施設を配慮し,通りから見えるデザインとすること。 |
| ウ | 低層部(おおむね地上3階以下の部分)の壁面は,できる限り石材等の自然素材感のある材料で仕上げること。 |
(6)色彩・装飾の配慮
派手な色彩や過度の装飾を控えること。 |
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6 植栽その他の方法による修景に関する事項
青空又は工作物による駐車場及び資材置き場などの空地で長期間維持する土地にあっては,次の事項に留意して、町並み景観の連続性及び快適性の保持に努める。
(1)道路に面する部分を可能な限り生け垣等で囲み空地が道路から見えない配慮をすること。
(2)可能な限り,街路広場の用に供する等,歩行者の便宜を図ること。 |
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7 新築等又は模様替え等で,市長に対する届出を要することとするものに関する事項
(1)道路部における新築等又は模様替え等
道路部において建築物等の新築等又は模様替え等を行う場合は,行為に着手する日の14日前までに市長に届出ること。
(2)道路部以外における新築等又は模様替え等
次の行為を行う場合,建築確認を要する行為にあっては,当該確認の申請をする前に,その他の行為にあっては,当該行為に着手する日の30日前までに市長に届出ること。
| ア | 建築物の新築等又は模様替え等 |
| イ | 第1種工作物又は第2種工作物の新築等又は模様替え等 |
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