別紙資料2 施設コンセプトに関する地元提案


京都御池中学校の施設建設の基本的な考え方について(提案書)
一人一人の子供が輝き,地域の心がふれ合う,都心の安らぎと華やぎのシンボル
伝統と先進性のまち・京都から,地域が生み育てる二十一世紀型・複合施設の創造と発信


一.『地域が誇る,都市型シンボル』−子どもと大人と世界を魅了し続け,伝統を生かし未来を創造する場
一.『学力を磨き,生きる力を育む』−子どもの学ぶ意欲や自発性・向上心を高め,確かな学力を育む空間
一.『憩い語らい,豊かな心を養う』−多くの子どもや大人が集い,心豊かな人間関係を培うゆとりの空間
一.『健康と体力,たくましさを培う』−各世代のスポーツ活動や健康づくりなど地域に開かれた空間
一.『人と環境の共生,安らぎを結ぶ』−人と環境に優しい,自然豊かでバリアフリーな地域の防災拠点
一.『交流と体験,華やぎの創出』−多世代の心温まる触れ合いや賑わいをつくり,地域や社会に貢献する場


一.地域でつくる学校
 日頃から地域の子どもたちの教育の充実や各世代の生涯学習の推進にご理解とご尽力を賜り,厚く御礼を申し上げます。さて,京都御池中学校は十四学区の元学区にわたる地域と親と子どもたちの願いと未来を託して,本年四月開校いたします。その後,平成十八年度までに完成する新しい校舎施設は,明治二年に地域の先人たちが教育への情熱と汗を傾けて創設された,日本で最初の学校である柳池校跡地に建設されることとなりました。
 私たちは,わが地域の城巽・柳池・滋野の三中学校を統合するという断腸の思いの決断を経て,京都御池中学校を自分たち住民の智恵と熱意を生かして設立するために結集し,先人たちに学びつつ,その偉業を超えようとするほどの熱い思いに駆られ,今日まで論議・検討してまいりました。

二.学校はまちづくりの拠点
 時代はまさに第三の教育改革期を迎え,新しい学びが生まれ,学校も従来では考えられなかったスタイルに変わろうとさえしております。現に私たちが取り組んだ他都市の視察や資料調査等の中でも,驚くような学校のあり方を目の当たりにしてきたばかりであります。例えば,子どもと子ども,子どもと教師との豊かなコミュニケーションが生まれる開放的な校舎,始業・終業ベルの鳴らない教室,お年寄りや幼児をいつも身近に感じられる学校,自然採光があふれ環境に優しい学校,などなど枚挙に暇がありません。
 いずれにしましても,学校はその都市とその地域のシンボルとして,堂々たる威風を飾り,住民にも子どもにも安らぎと誇りを与えている様子が歴然としておりました。
 まさにこの姿は明治期以来のわが京都の学校そのものであります。明治期から今日まで,学校はひとづくりとまちづくりの拠点であり,防災や祭事をはじめ地域の集う多機能な施設でありました。
 この伝統に息づく学校の姿からも,新しい京都御池中学校は私たち地域が生み育てる学校であると同時に,私たちの地域を育て将来の社会を築いていく拠点として極めて大切な役割を担うものであります。また,これらは時代を超えた古き良き伝統であると共に,少子化や高齢化,職住分離や都心部の過疎化などの進展する今日の時代ならではの新たなニーズに的確に応えるものでもあります。

三.新しい中学校施設のために
 幸いにして京都御池中学校には,私たちの強い要望に応えられた結果,こうした地域のシンボル施設にふさわしい用地が確保され,旧来の二倍近い広さで,新しい感覚の複合施設が建設されることとなりました。これによって,懸念されておりましたマンションなどの民間ビル建設による教育環境の悪化を免れ,中学校はもとよりお年寄りから幼児まで幅広い世代に親しまれ活用される,利便性と貢献度の極めて高い施設が誕生することとなったわけであります。複合化することで初めて,夢のようでありました広く充実した中学校施設の建設がいよいよ現実となったものであります。まさしく感慨ひとしおであり,改めましてご努力いただいた関係の皆様方に心から感謝申し上げる次第であります。
 こうして確保されました新しい用地には,中学校のほかに,保育園と老人デイサービスセンター,在宅介護支援センターといった福祉施設に,将来の予期せぬ人口激増や少人数教育などの際に中学校教室に転用できる市役所のオフィススペース,更に御池通シンボルロードの活性化に役立つ民間店舗などの賑わい施設が,ゆとりを持って併設されます。

四.学びを追及する「都市型シンボル」
 さて,このような全く新しいタイプの中学校施設に対して,私たちが心から期待し強く念願するものは,子どもたちの最良の教育環境とは何かを,私たちと共に常に時代の最先端で追及し続けていかれることに尽きます。
 京都の伝統を生かしながら時代を先取りし,子どもたちが日々学ぶ創意ある優れた教育環境がそのまま,地域やまちをより良く変貌させて行く創造と発信の場であってほしいと願うものであります。世界文化自由都市・京都,わが国の誇る歴史と伝統の都市・京都の都心部にふさわしく,子どもも大人も地域全体が誇りに思い,京都を訪れる世界中の人々を魅了し続け,二十一世紀の新しい時代を創造していく「都市型シンボル」と呼べるような施設を待望するものであります。
 もとより,教育の先進都市・京都ならではの二十一世紀の新しい教育を採り入れ,一人一人の子どもたちの学力や自発性・向上心を高め,たくましく生きる力と豊かな心を育み,多くの友人と切磋琢磨し合い,またリラックスして心和ませたり,部活動を始めスポーツや文化活動などに打ち込んだりと,京都御池中学校に通うどの子も皆が充実した学校生活が満喫できるような教育施設でなければなりません。

五.安らぎと華やぎを創出する心のふれあう地域
 さらにこうした教育の営みがいつも地域に開かれ,地域の伝統産業や最先端技術の体験や,幼児やお年寄りとの交流プログラムが展開されるなど,新しい時代に対応した多様な子どもたちの学びが花開き,自然に心と心のふれあいが生まれ,全ての世代が生き生きと輝いて見える華やぎのある施設へと発展してほしいものであります。
 こうした様々な取組に,御池通シンボルロードに相応しい魅力的な民間施設などの賑わいが相俟って,交通至便な立地にあるという都市の内外に大きく開かれた地域の利点が発揮され,ひいては地域全体の活性化が図れることが大きく期待されるところであります。
 さらに自然や環境に優しく,全ての利用者にも優しいバリアフリーの施設構造と共に,都市部であり限られた条件下ではありますが,緑や木材の活用や自然光の採用など,環境を学びつつ子どもたちが寛げるゆとりや憩いのある空間づくりにも,工夫や配慮を願いたいものであります。

六.京都御池中学校の施設建設についての提案
 私たち京都御池中学校設立推進委員会では,以上の観点をふまえ,新しい中学校の施設建設についての基本的な考え方について以下のとおりまとめて提案するものであります。
 この内容は,私たち地域の住民や親の京都御池中学校に対する様々な夢や希望を集め,現在考えることのできる最高の施設像を描き合い,六つの柱に整理してみたものであります。今後,京都市において研究・精査されます,現実の技術的な或いは財政的な制約などとの関係もあり,具体化の可否も含めて十分な検討が必要かとは存じますが,私たちの熱い願いが少しでも多く生かされるように心から期待するものであります。

(一)「地域が誇る,都市型シンボル」−子どもと大人と世界を魅了し続け,伝統を生かし未来を創造する場
 新しい京都御池中学校の施設は,子どもや親の心を惹きつけ,かつ幼児からお年寄りまでの各世代が集う複合施設として地域に開かれ,地域と共にある施設として,多くの市民が親しみ誇りに思い,伝統と歴史ある京都の新しい文化的財産として,永く国内外にもその魅力を発信できる「都市型シンボル」というべき場所としていただきたい。

(一)「学力を磨き,生きる力を育む」−子どもの学ぶ意欲や自発性・向上心を高め,確かな学力を育む空間
 優れた学習環境の下で,子どもたちが集中して各教科を学び,また自らの知的探求心を養い,自学・自習に励み,さらにIT学習や読書活動をはじめとした多様な幅広い学習に自由に活用できる知的資源や最先端の設備などの充実した施設としていただきたい。

(一)「憩い語らい,豊かな心を養う」−多くの子どもや大人が集い,心豊かな人間関係を培うゆとりの空間
 ゆとりと開放感のあるエントランスや多目的な空間と複合施設としての利点を生かし,子どもと子ども,子どもと教師,また地域の各世代の人々が語り合い,子どもの声や笑顔,学校や地域の文化や伝統,賑わいに触れ,豊かな人間関係が自然と培われ,さらに将来の人口変動や少人数教育にも柔軟に対応できる余裕ある施設としていただきたい。

(一)「健康と体力,たくましさを培う」−各世代のスポーツ活動や健康づくりなど地域に開かれた空間
 子どもたちの屋内外の体育授業や部活動をはじめスポーツ活動や健康づくりはもとより,地域に開かれ,幅広い世代が地域の体育活動や交流行事などの多様なコミュニティ活動などにも多目的に活用できる充実した運動施設を配置していただきたい。

(一)「人と環境の共生,安らぎを結ぶ」−人と環境に優しい,自然豊かでバリアフリーな地域の防災拠点
 都心部の限られた条件の中で,できるだけ明るい採光や緑,木材など自然を採り入れつつ,環境に優しく環境を学べる施設とし,また育成学級の子どもたちも落ち着いて学び,全ての利用者に優しいバリアフリーの施設としていただきたい。
 さらに,災害時に備えた備蓄倉庫を有し,耐震・耐火,防犯機能などの災害時に強い構造,避難のための場所や動線などが整備され,地域の安全を守る安らぎの拠点,地域の信頼を集める防災拠点としていただきたい。

(一)「交流と体験,華やぎの創出」−多世代の心温まるふれ合いや賑わいを創り,地域や社会に貢献する場
 子どもたちの最良の教育環境を維持しつつ,複合施設として各世代の自然な心のふれ合いが生まれる出入り口や動線などを配し,またふれあい交流や地域への奉仕活動をはじめとする様々なボランティア活動,また伝統産業などの体験学習など,子どもたちの多様な学習活動に円滑かつ柔軟に生かせる施設としていただきたい。
 さらに,御池通シンボルロードの賑わいを創出する民間商業施設などとの連携と活用によって,華やぎのある都心部の活性化に貢献し,将来の地域やまち全体の発展に向けた起爆剤として大きく貢献できる場所づくりとしていただきたい。

 以上,何卒宜しくお願い申し上げます。

平成十五年一月十七日

 京都市長 桝本 頼兼 様
 京都市教育委員会様

京都市御池中学校設立推進委員会


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