[監査]

○公表


監査公表第471号
 平成13年9月26日監査公表第455号において公表した平成12年度行政監査の結果に基づき講じた措置について,地方自治法第199条第12項の規定により,京都市長から通知があったので,次のとおり公表します。
  平成14年11月5日
京都市監査委員 高橋 泰一朗
同      宮本 徹
同     下薗 俊喜
同      奥谷 晟


平成12年度行政監査結果に対する措置状況

(消防局) 
監査の結果
 広域避難場所標示板及び広域避難場所避難誘導標識について
 監査の結果,設置位置,見やすさ,表示内容等については,おおむね適正であると認めたが,改善を必要とするものは,次のとおりである。

 主要な入口の近傍に広域避難場所標示板が設置されていないもの(1箇所)
 広域避難場所誘導標識に記載された方向を示す矢印が適正でないもの(1箇所)
 広域避難場所誘導標識に記載された広域避難場所の名称が誤っているもの(2箇所)
 広域避難場所誘導標識が街路樹に隠れており,視認することが困難なもの(5箇所)
があった。
 適正な設置又は表示となるよう改められたい。

講じた措置

 広域避難場所標示板が設置されていなかった広域避難場所の主要な入口の近傍に,平成14年3月18日,標示板を設置した。

 平成13年9月28日,指摘を受けた広域避難場所誘導標識に記載されている誘導方向を示す矢印について,適正な表示に改めた。

 平成13年10月12日,指摘を受けた2箇所の広域避難場所誘導標識については,当該標識に記載されている広域避難場所の名称を適正な名称に改めた。

 平成13年9月中に,指摘を受けた5箇所の広域避難場所誘導標識について,周囲の街路樹をせん定し,当該標識の視認性を確保できるようにした。

(監査事務局第一課)

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監査公表第472号
 平成14年3月8日監査公表第463号において公表した平成13年度包括外部監査の結果に基づき講じた措置について,地方自治法第252条の38第6項の規定により,京都市長から通知があったので,次のとおり公表します。
  平成14年11月5日
京都市監査委員 高橋 泰一朗
同      宮本 徹
同     下薗 俊喜
同      奥谷 晟


平成13年度包括外部監査結果に対する措置状況
 京都市下水道局の事務
1 第8次下水道整備5カ年計画について
(下水道局―1)
監査の結果
<監査意見>
 第8次計画とその実績を検討したところ下水道整備が過去から現在まで着実に整備が行われ,その普及率が100%近くになったことは,下水道事業が転換期になったことを表わしている。今後,「機能向上計画としての7つの個別施策」を各5カ年計画において具体化していくに当たっては,市民のニーズを汲み取るとともに,財源の確保やプライオリティー(優先順位)についても明らかにする必要がある。
 


講じた措置

 公共下水道事業の事業執行については,市民ニーズの把握が必要と考え,従来から鳥羽処理場一般公開でアンケートを実施し,平成14年度の開催で6,011名の回答を得る等公聴に努めてきた。平成14年度は新たに「下水道の日」に関するクイズを含む広告を新聞に掲載し,704名のクイズ応募者からクイズ回答とともに「下水道に望むこと」についての意見を収受した。
 また,管渠,ポンプ場,処理場等の工事区分別に予算表示を行っていたが,平成13年度からの第9次5箇年計画では雨水対策,合流式下水道改善,高度処理等の工事目的別予算表示に改め,事業の優先順位や財源の状況がより明確になるように改めた。
 今後の下水道整備においても,市民ニーズ,社会的要請の把握に努め,事業施行の優先順位に反映していく。また,国の政策,制度を効果的に活用し,マスタープランに示す事業展開の方向や中長期の財政収支との整合を図りながら,5箇年計画の中で効率的に事業を具体化する。
 



2 財務の状況について
(下水道局―2)
監査の結果
<監査意見>
 企業債を主たる財源とする第9次5ヵ年計画が策定され1,150億円の事業費見通しとなっている。
 公営企業として独立採算を維持していくためには,事業計画の策定に際し,企業債の未償還残高の見通しを踏まえた資金的な裏付けを持つことが必要である。

 


講じた措置

 事業計画の策定に当たっては,企業債の発行,元利償還と企業債未償還残高の見通しを算定することは重要と考え,精度が高い計画を策定することを目的として,事業計画期間の財政の見通し資料を作成していたが,平成14年度からは10年先を見据えた財政見通し資料を作成している。
 



(下水道局―3)
監査の結果
<監査意見>
 水道局に対する下水道局の負担金の算定については,毎期同じ方法で計算されていることから一貫性,合理性が認められるのであるが,その負担金の配分については,事業費用と建設費とで折半するという方法は,精緻さを欠くように見受けられる。これらの負担金の配分については,当期損益に直接的な影響を及ぼすことになるので,たとえば,事業費用と建設費の人件費の割合で配分するなど,合理的な配分基準を定めることが望ましい。
 


講じた措置

 水道局に対する負担金の算定については,従来,一部の経費について事業費用と建設費から2分の1ずつ充用していたが,平成14年度予算から,(1)庁舎経費は占有面積比に基づき配分する,(2)職員研修経費は職員の人数比で配分する等,合理的な配分基準に変更した。
 



3 収入について
(下水道局−4)
監査の結果
<改善を要する事項>
 汚水を公共下水道に流そうとする者は,管理者に届出なければならないことになっており,当該届出をした者は,下水道使用料の納付義務を負うこととされているが,届出をした者と実際の使用者が異なっている場合があるので,届出を受け付けるときに,届出をした者が使用者であることの確認を徹底されたい。
 汚水を排除する場合に提出を求める「給水申込書・汚水排除届」又は「汚水排除(開始,廃止,変更)届」の様式については,「当該届出を行った者が使用者であり,下水道使用料の納付義務があること」を届出者本人が確認したことが明らかにできるよう変更されたい。
 


講じた措置

 平成14年6月から汚水排除届(給水申込書兼用様式を含む)の様式を二枚複写に変更し,届出者に手渡す副本には,届出者が後日上記義務を書面で確認できるよう,使用者による汚水排除の届出義務と下水道使用料の納付義務を明記した。
 また,届出時には,届出内容を確認し,副本を必ず手渡すよう取扱いを変更した。
 



(下水道局−5)
監査の結果
<改善を要する事項>
 不納欠損処分について,同じ使用者でありながら,水道料は,不納欠損処分されており,下水道一般使用料及び下水道特別使用料は未収金になっている例があるが,同一人に対する取扱いとしては,下水道一般使用料及び下水道特別使用料に先取特権があるとしても,均衡を失するので水道局と連携・協議のうえ取扱いの統一を図られたい。
 


講じた措置

 不納欠損処分において,同一人に対する取扱いが水道料金,下水道使用料で異なることのないよう,平成13年度の不納欠損処理から取扱いを統一した。
 



(下水道局−6)
監査の結果
<改善を要する事項>
 将来における不納欠損処分をできる限り防止するため,過去の一定期間に係る使用料の滞納がある者に対する具体的な収納対策を策定し,収納に努める必要がある。
 


講じた措置

 滞納の初期段階で未納分の早期解消に努めるとともに,長期滞納対策を講じるため,平成14年度から水道,下水道両局の職員によるプロジェクトチームを編成するとともに,業務課に長期滞納対策担当課長を配置し,未収金の収納に努めている。
 



(下水道局−7)
監査の結果
<監査意見>
 市の財政は大変厳しく,地方公営企業への繰出金についても,再検討すべき時期にきている。
 国の繰出金の基準にないもので,京都市が一般会計から任意に繰り出している「汚水資本費補助金」は,次に示すとおり漸減の傾向にあるが,当補助金への依存度の低減に向け,例えば各経費の節減や水道局営業所との統合を検討するなど,さらに経営の合理化を進められたい。
 


講じた措置

  汚水資本費補助金は,地方公営企業に係る繰出基準に挙げられていない一般会計繰入金であるが,市民を中心とする使用者の下水道使用料に係る負担を軽減することを目的として一般会計から公共下水道事業会計に繰り入れてきた。
 汚水資本費補助金の繰入率は,下水道の面整備が完了に近づくにつれて縮小し,徐々に操出基準に基づく負担原則に近づいている。なお,平成14年度については同補助金の繰入れを休止している。
 また,経営の合理化を推進するため,平成14年度予算においては,物件費について平成13年度予算比較で7億9,700万円,財政計画との比較で8億7,900万円の削減を行った。
 今後も更なる経営の効率化,経費の節減に努めていく。
 



4 支出・財産管理等について
(下水道局―8)
監査の結果
<監査意見>
 行政財産の目的外使用は,使用許可の有償,無償を判断する場合に,公共性や公益性についての具体的な理由を明確にするとともに,長期にわたる無償貸付については,契約の見直しの必要が生じたときに有償とすることも含めて検討することを要望する。
 


講じた措置

 行政財産の目的外使用について,新規使用許可及び使用許可の更新の際には,具体的理由を付して決裁するとともに,今後は貸付台帳に記載することとした。
 長期にわたる行政財産の無償貸付については,平成14年度当初に無償とする要件を満たしているか精査し,有償が妥当と思われるものについては,貸付相手に対して協議を開始した。
 



(下水道局―9)
監査の結果
<監査意見>
 カードは,裏面も活用し,その内容が見てすぐに分かるように記入するとともに,許可書・覚書・図面等関連資料は,別にファイルするなど,整理の仕方について工夫されたい。また,欠番となるカードについては,その経緯を明らかにする必要がある。
 なお,有償・無償の理由欄を設けることも必要であると考える。

 


講じた措置

 市有地貸付台帳カード(貸付台帳)の裏面に,位置図及び貸付内容欄を設け,整理するよう取扱いを改めた。また,同じく裏面に有償,無償の理由欄を設けた。
 許可書,覚書,図面等の関連資料については,別にファイルを作成して管理するよう改めた。
 複数の行政財産を1件として管理するよう変更した際に発生するカードの欠番については,その経緯等がわかるようにして保存することとした。
 



(下水道局―10)
監査の結果
<改善を要する事項>

 会計処理は期末に集中するのが一般的であるが,処理の方法が確定次第その都度会計処理をすべきである。次の事項について改善されたい。
 土地は,購入契約を締結しその契約に基づき登記が完了すれば,その時点で土地勘定に計上すること
 


講じた措置

 土地の取得に係る会計処理については,所有権移転登記の完了後速やかに土地勘定に振替計上するよう,平成14年度から事務処理を改めた。
 



(下水道局−11)
監査の結果
<監査意見>
 土地の取得には多額の資金が必要であり,その上に建設する設備の事業供用まで長い年月を要する。また,最近の土地価格の激しい変動を考えると,土地を事業の供用開始まで建設仮勘定に計上することは,会計の明瞭性からも問題がある。
 


講じた措置

 土地については,平成14年度から所有権移転登記完了後,速やかに建設仮勘定から土地勘定に振替計上するよう,会計処理を改めた。
 



(下水道局―12)
監査の結果
<改善を要する事項>
 薬品の購入に当たっては,購入契約が締結されても,実際に納入されていない薬品については支払い義務は生じていない。年度末の時点で納入されていない薬品の代金を未払金に計上することは,期間損益計算の原則に沿った処理とは言えない。したがって,年度末時点で納入されていない薬品が生じたときは,年度末時点ではなく,当該薬品が現に納入された時点で経理上の処理をするよう改める必要がある。
 


講じた措置

 平成13年度から,当該年度最終分の購入契約について年度末までの納入量により契約変更を行うこととし,期間損益計算の原則に沿った会計処理となるよう改善した。
 



(下水道局−13)
監査の結果
<監査意見>
 工事の変更契約のかなりの部分が2月あるいは3月に締結されている。契約の変更が必要となった工事については,工法の種類,数量の変更の都度,決定がとられているが,工事の実態に合わせ,資料を整備して,契約に反映させることを徹底されたい。
 


講じた措置

 工事の施工内容の変更が生じた場合は,従来から,変更が発生するつど資料を整え,設計変更伺(決定書)により施工内容の変更に係る意思決定を行っているが,平成14年度当初に開催した局内建設事業打合せ会議で改めて工事施工各課に周知徹底した。
 



(下水道局−14)
監査の結果
<監査意見>
 ボーリング等の土質調査後でなければ,管渠実施設計できない場合において,土質調査の納期と実施設計の納期が同時期に設定されているとすれば,契約上の不備があると考えざるをえない。
 管渠実施設計に伴う債務を適正に計上するためには,上記の確認を十分に行うことが望まれる。

 


講じた措置

 平成14年度当初に開催した局内建設事業打合せ会議で,工事に係る調査と実施設計の業務委託について,設計業務に支障が生じないような納期を設定して発注することを周知徹底した。
 



(下水道局−15)
監査の結果
<監査意見>
 別途,年度単位で契約している大口契約電力料については,費用の計上が,現金支払時となっている例があり,必ずしも発生主義の会計基準により費用計上されていない。ガス代,電灯料と同じ例外的な会計処理をされているのであるが,適正な期間損益計算のためには,その支出項目が持つ内容の重要度及び金額の大きさなどを考慮した会計処理の判断が望まれる。
 


講じた措置

 大口電力供給契約に基づく電力料金については,従来請求月に費用発生するものとして処理してきたが,平成13年度決算から会計処理を改め,当年度に発生する電力料金を計上して,期間損益計算を損なわないよう改善した。
 



5 給与について
(下水道局−16)
監査の結果
<改善を要する事項>
 給与費の費用配賦の修正が必要であったとしても,地方公営企業法施行令第9条第3項において,資本取引と収益取引と明確に区分することが定められている。予算制度の根幹に関わる問題であるので,予算における費目別の配分は,職員数に応じた,正しい積算に基づき配分を行われたい。
 


講じた措置

 従来,対前年度予算比ベースによる給与費予算費目配賦を行っていたが,平成14年度予算では,平成12年度決算及び平成13年度決算見込における費目ごとの額と人数を考慮して配分する予算費目配賦方法に変更し,より実態に見合った予算配分を行った。
 



(下水道局−17)
監査の結果
<改善を要する事項>
 性質の異なる手当を区分せず,一括して経理処理を行うことは正確な処理ではないので,手当の種類を明確に区分して行うとともに,給与所得に対する所得税源泉徴収簿における名称の記載の仕方など,事務処理上用いる手当の名称は給与基準条例又は給与規程に規定されている名称を用い,正確を期されたい。
 


講じた措置

 平成13年度から,手当の種類について出金伝票等に内訳を記載することにより明確に区分するよう改めた。また,源泉徴収簿等における手当の名称の表記を給与規程に規定されている名称に改めた。
 



(下水道局−18)
監査の結果
<監査意見>
 給与所得に対する所得税源泉徴収簿については,水道局と下水道局とでは,公営企業体として別であるので,保存する場合は,明確に区分することを検討されたい。
 


講じた措置

 所得税源泉徴収簿については,平成13年度から水道局,下水道局を区分して保存するよう変更した。
 



(下水道局−19)
監査の結果
<改善を要する事項>
 法定福利費が,人件費に係るものと,物件費に係るものとが,決算書において一括して「法定福利費」で表示されているので,振替伝票,支出予算差引簿においても明確に区分すべきである。又は,嘱託員の報酬賃金を「人件費」とするという方法も考えられるが,他の統計等の整合性を考慮しつつ改善されたい。
 


講じた措置

 物件費扱いとなる嘱託員の法定福利費については,振替伝票の記入方法の変更及び支出予算差引簿の記載ページを区分することで明確にした。
 なお,決算書等については,同一の節に一括計上することとなるため,備考欄に記載すること等により明確にした。
 



6 契約について
(下水道局−20)
監査の結果
<監査意見>
 平成8年度から平成11年度までの契約の変更率をみると,いずれも60%を超えており,また,契約金額では率にして平成8年度から平成10年度までは4%を上回り,額にして平成9年度は7億円,平成10年度は6億円の大幅な支出増となっている。
 工事設計変更による工事請負金額の増額変更が恒常化すると業者に入札当初から増額変更の可能性を期待させることにも繋るおそれがあるので増額変更を抑えるために当初の設計段階での十分な事前調査,関係機関との事前協議等をさらに充実にして行うようされたい。
 やむなく施工方法等の変更が必要となったとしても,経済性を考慮した十分な検討を行ったうえで工法等を決定し,設計変更率をできるだけ小さくし,また,経費の変更額が小さくなるよう不断の努力が望まれる。
 


講じた措置

 下水道工事においては,掘削工事等が多く,事前調査で土質等完全に把握できないものが多くあるが,円滑な施工や工事費の計画的な執行を行う観点から,設計,契約の変更は極力防止するよう努めなければならないと考えている。
 そこで,当初の設計段階における十分な事前調査等を効果的に行うとともに,施工中の工事の工法変更等についても十分な検討を行うよう,平成14年度当初に開催された局内建設事業打合せ会議において改めて周知を図った。
 また,平成14年4月に,工事施工各課担当者を構成員とし,工事設計変更による増額変更の抑制や設計変更率の減少を図ることを目的とする「設計変更のルール化関係者会議」を発足させた。
 



(下水道局−21)
監査の結果
<改善を要する事項>
 第1回目の入札について予定価格以内で入札する者の数が,3社以上あった件数は,8社指名入札参加の例でみると入札件数9件のうち2件にすぎなかったが,12社指名入札参加の例では27件の内12件もあった。このことから入札参加者が多くなるとそれだけ他業者を意識した業者間の競争度合いが高まるものと見られるが,現状では行政が期待する予定価格以内での厳しい競争が行われているとはいえない状況がある。
 平成13年11月の入札及び契約の制度改正に伴い,予定価格の事前公表の対象が本実施分を除き3,000万円以上のすべての工事について平成14年1月より試行として実施されているので今後,この対象工事の入札参加者全員は,予定価格以内で入札することになるが,現状からみて予定価格以内での厳しい競争を行わせるには,入札1件についての被指名者数を増やすなど入札制度の基準を改善する必要がある。
 


講じた措置


 指名競争入札の競争性を高めるため,次のとおり入札制度を改正し,平成14年度から実施した。

(1) 指名競争入札に係る入札参加者数の拡大
 次のとおり指名競争入札における入札参加者数の基準を改正し,入札参加者数を拡大した。
予定価格の区分入札参加者数の基準
改正前改正後
1億円以上10者 15者 
5,000万円以上1億円未満8者 12者 
1,000万円以上5,000万円未満7者 9者 
1,000万円未満5者 6者 
(2) 公募型指名競争入札の対象範囲の拡大等
 公共工事について,公募型指名競争入札の適用基準額を1億円(改正前3億円)に引き下げ,対象範囲を拡大した。
 併せて,予定価格3,000万円以上の土木工事を対象にして,地元の中小建設業者の振興に配慮した公募型指名競争入札を試行実施した。

 



(下水道局−22)
監査の結果
<監査意見>
 特命随意契約について,そのケースを個別に検討すると,施設又は主要機器の製造をした業者であり,機能・構造すべてにわたり熟知しており,専門的技術に精通していることなどその理由としているところについては,それなりに一定理解できるものもあるが,特定の業者と随意契約を行うときには,業務を適切に履行することの可能な者が1者しか存在しないことを明らかにしておく必要がある。
 長期継続委託契約については,慣例に流されることなく他の者と競争をさせることが適当とする部分がないか,常に業務内容を点検・検討することが特に望まれる。
 なお,業務内容に応じた委託化の基準を明確にし,また特命随意契約による委託の妥当性を個別に審査するための審査機関を設置し,審査機能の充実を図るなど客観性と透明度を高めるための方策の検討が望まれる。
 


講じた措置

 業務委託に係る特命随意契約については,公正な競争の促進を図るため,平成13年度から,特命随意契約の理由の適否を点検する取組を強化したが,その後部長会において各所属職員に周知徹底を図って,一層取組を推進することを申し合わせ,特命随意契約の適切な執行に努めることとした。
 また,業務委託に係る特命随意契約について,審査機関の設置により審査機能の充実を図る必要があるとの監査意見の趣旨を踏まえ,庁内に上下水道事業管理者を委員長とする「京都市水道局及び下水道局契約審議委員会」を設置し,平成14年度から予定価格が一定額以上のものを対象にして,事前にその適否を審査することにした。
 



7 事務の執行にかかる水道局等との関連について
(下水道局−23)
監査の結果
<監査意見>
 サービス協会は,事業の殆どが水道局からの受託事業で占められており,また出資者の構成や役員の構成からも水道局と極めて密接な関係にある。このようなサービス協会の特徴を考慮すると,水道局は,同協会に対し,京都市が25%以上出資する財団法人に準じて財務諸表を公表するよう指導されたい。
 


講じた措置

 財団法人京都市水道サービス協会に対し,法人の運営内容を,本市が資本金等の4分の1以上を出資している法人の取扱いに準じて公表を進めるよう指導するとともに,平成14年8月に「京都市水道サービス協会の概要」を水道局ホームページに掲載した。
 



8 財団法人京都市下水道協会との関連について
(下水道局−24)
監査の結果
<改善を要する事項>
 平成13年度から協会は鳥羽処理場の汚泥処理運転管理業務を委託され,新たに市職員17名が派遣されており今後は,順次,下水道局の退職者と切り替える計画が進められているが,下水道局の構造改革のために協会の積極的な活用を図るとされるならば,今後は協会の経営について,一層の自主性・自立性が要請される。
 協会は,「京都市外郭団体再整備計画」によると指導監督等の度合いに応じて「第三種外郭団体(原則として出資等の率が50%未満25%以上の法人)」と位置づけされているが,現在,協会の理事長,専務理事等主要役職員を下水道局の主要職員が非常勤として就任している。協会発足当初は経営基盤が固まるまでの間ということは考えられたと思われるが,設立後20年も経過している今日,下水道業務を特命の随意契約で委託しながら,下水道局のトップ以下主要な職員が協会を代表する理事長及び常務を処理する専務理事を兼ねている状態が長く続いていることは望ましくはない。協会に対する人的支援の目的は達成されていると考えられるので,主要職員の役員への就任や事務局への派遣については,引き上げの方向で見直しを行われたい。
 


講じた措置

 下水道局としては,財団法人京都市下水道事業協会が安定した法人運営を行うよう見守る一方,自主性,自立性が発揮されるよう,関与について配慮が必要である。
 そこで,平成14年3月29日付理事会において,従来下水道局総務部長が事務を行っていた専務理事職及び休職派遣を行っていた事務局長について,下水道局職員の兼務,休職派遣を取りやめ,事業協会の常勤職員がその職に就くことに改め,事業協会内の意思決定行為の自主性が生かせるように執行体制を整えた。
 



(下水道局−25)
監査の結果
<監査意見>
 委託業務の多くは協会にしか委託できない業務や協会に委託することが最も適当な業務であるとしても,平成13年度から一部委託業務を改善されたとはいえ,植樹管理業務など専門業者に委託したほうが望ましいものがないかどうか。又,協会以外に外部委託が可能な業務がないかどうかなど再検討して,協会以外の民間に外部委託が可能なものについては,競争の原理を導入し,経済性,有効性を追求するようにされたい。
 


講じた措置

 従来から財団法人京都市下水道事業協会に委託していた事業について,それぞれ再検討した。
 これにより,平成14年度からポンプ場植樹管理委託について,指名競争入札で業者を決定することに改めた。
 



(下水道局−26)
監査の結果
<監査意見>
 委託先を選定するに当たっては,随意契約をする場合でも,通常複数の業者から見積書を徴取し,価格など比較検討した上で選定するものである。委託料積算の基礎数値などについては,三省単価の数値や建設局土木工事標準積算基準書を使用するなど適正なものであっても,下水道局が積算したそのままの設計金額をベースにして予算額を予定価格と位置づけて協会からは見積書を徴取せず,交渉のうえ契約されているという。「委託側と受託側が同一という一人二役で仕事が行われているのではないか」という疑念をもたれることのないように契約手続きをより厳正に行うよう努力されたい。
(注)三省単価とは,公共工事の予定価格の積算に用いるため,農林水産省及び国土交通省(旧運輸省及び建設省)が協議,作成した設計単価で,公表されている。
 
 


講じた措置

 財団法人京都市下水道事業協会への随意契約については,下水道事業協会が現場の実情を熟知した下水道局退職者の経験,知識を活用すること等により,その他の民間業者と比較しても安価で信頼性の高い請負契約となっているところではあるが,平成14年度から下水道事業協会への業務委託の際に見積書を徴取して価格決定することに改め,契約手続をより厳正に行うこととした。
 



9 下水の高度処理について
(下水道局−27)
監査の結果
<改善を要する事項>
 汚水の高度処理について,毎年度相当額のコストをかけて取組まれていることは重要なことであるので,費用対効果について市民の理解を深めてもらうためにも,流入水の水質と高級処理後の水質との比較,高度処理している処理水量の流入下水量に対する割合及び年度ごとに高度処理している処理水量の進ちょく状況を,市民に分かりやすい一覧表として積極的にPRすべきである。
 


講じた措置

 高度処理に係る取組については,従来から下水道局広報パンフレット「京都の下水道」,インターネットホームページ等にその内容を掲載することにより,市民に対する情報提供に努めてきた。
 また,平成13年9月に策定した「京都市下水道マスタープラン」の中で,高度処理の計画目標,施策展開方針,段階的整備方針を掲げており,これらを広報するため,同プランのパンフレットを発行するとともに,インターネットのホームページでも紹介してきた。
 高度処理にかかる水量や水質については,従来から年1回発行している「公共下水道統計年報」と「水質年報」に平成14年度版(平成13年度分)から新たに掲載することとした。
 



(下水道局−28)
監査の結果
<監査意見>
 平成9年度から高度処理が行われているが,高度処理の比率が年々向上しているとはいえ,平成12年度において14.25%でしかなく,まだまだ低いので,今後とも高度処理の比率を上げる努力が必要である。ただし,設備投資をした場合に,その効果を表す数値目標を示すなど,引続き原価計算を徹底し,効率的に事業展開をされることを要望する。
 


講じた措置

 高度処理は,良好な水環境と健全な水循環の創造のため,従来から処理場施設の改築更新に合わせて取り組んできたが,今後とも「京都市下水道マスタープラン」,第9次公共下水道整備5箇年計画(平成13年度から平成17年度まで)に基づき,鋭意取組を進めていく。
 第9次公共下水道整備5箇年計画においては,高度処理を表す指標として「高度処理対応率」を示すこととし,平成13年度から主要な事業説明資料に掲載している。
 



10 環境会計への取組みについて
(下水道局−29)
監査の結果
<改善を要する事項>
 環境会計の果たす内部機能としては,事業者自らの環境保全への取組みを効率的で効果的なものにしていくための経営管理上の分析手段となるものであり,高度処理を例にとって簡単な環境会計の計算書を作成したので,これを参考として,今後において公共下水道事業全体に環境会計を導入することを検討し,環境会計を導入できる体制を構築すべきである。
 


講じた措置

 環境会計については,一定の基準が環境省からガイドラインとして公表されているものの,経済効果の算定方法の一部に重要な情報としつつもその手法が示されていないなど,特に下水道については全国的にも未だ試行段階という現状である。
 したがって,環境会計に関する検討を進めるため,平成14年6月局内に,環境会計導入とISO14001認証取得に向けての調査研究を目的としたワーキンググループを設置し,調査研究を開始した。
 



(下水道局−30)
監査の結果
<監査意見>
 ISO14001の導入について
 財務に関する事項から離れているが,広く経営の管理の視点から今後の経営において環境の問題が重要な地位を占めることとなるので,高度処理を中心に,環境会計を考えてみた。これをより形のあるものにするためのツール(道具)としてISO14001導入を視野に入れるべきである。

 


講じた措置

 ISO14001の導入については,環境保全事業に取り組む事業者として視野に入れるべきであると考えている。
 そのため,平成14年6月に下水道局内にISO14001認証取得と環境会計導入に向けての調査研究を目的としたワーキンググループを設置し,導入に向けた調査研究を行っている。
 

(監査事務局第一課)

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