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 平成19年第4回定例会 【意見書・決議】

子どもたちの携帯電話利用に関する意見書

(19年12月14日提出)

 近年,携帯電話が市民生活の中に浸透し,とりわけ子どもたちにも急速に普及しており,本市の調査においても,中学生で約3分の2(特に3年生女子の79パーセント),高校生では95パーセントが自分自身の携帯電話を所有している一方で,利用に当たって親との約束事を取り決めている家庭は,学年と共に減少する実態が明らかになっている。
 携帯電話については,子どもたちの中では,電話としての機能よりも,むしろインターネット端末として活用され,保護者の目の届かない環境の中で,出会い系やアダルト系などの有害サイトへのアクセス,更に「ブログ」,「プロフ」,「学校裏サイト」への書き込みを使った「ネットいじめ」など,子どもたちの健やかなはぐくみを脅かす深刻な問題が生じている。
 京都市では,既に,これまでから,学校,PTA,人づくり21世紀委員会等において,様々な取組が展開されており,現在,携帯電話会社や警察も加わって,「子どもの『携帯』利用に関する連絡会議」が発足し,具体的な取組が検討されている。しかし,もはや,家庭や学校での指導だけでは対処し切れない事態の下,子どもに有害情報を受信も発信もさせず,被害者にも加害者にもさせないため,有害サイトへの接続を規制する「フィルタリング」の義務付けなど,法的規制を含む早急な対応が求められている。
 よって国におかれては,関係機関はもとより,社会のあらゆる場において,子どもたちを携帯電話の危険性から守り,携帯電話を安心して安全に利用できるよう,下記の事項について,法的規制を含むあらゆる対策を早急に講じるよう要望する。

 フィルタリングの義務付けや子どもに携帯電話を持たせる場合の機能制限を行うこと。
 有害情報の発信に対する規制を強化すること。
 「ネットいじめ」への抜本的解決のため,世論を喚起するキャンペーンを早急に実施し,社会全体の倫理意識の向上に努めること。また,学校及び家庭での情報モラル向上のための施策を検討すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,文部科学大臣


都市再生機構賃貸住宅居住者の居住安定に関する意見書

(19年12月14日提出)

 本年6月22日に閣議決定された「規制改革推進のための3か年計画」は,独立行政法人都市再生機構(以下「都市再生機構」という。)の賃貸住宅事業について,現在の管理戸数77万戸の規模は過大であるとし,公営住宅階層の居住者が大半を占める物件は,地方公共団体への譲渡などについて協議すること,77万戸の賃貸住宅について今後の削減目標数を明確にすることなど,6項目について平成20年度までに結論を出し,速やかに措置するよう求めている。
 しかし,政府及び都市再生機構も認めるとおり,都市再生機構賃貸住宅では,居住者の高齢化が進み,収入の上でも公営住宅階層が大半を占めており,また,多くの世帯が居住の継続を望んでいる。
 また,京都市には1万4千戸を超える同賃貸住宅があるが,市としてその譲渡を受け入れることは,財政的に大変厳しい状況にあり,また,民間への売却も政府の視野にあると察せられることから,現在の居住者は,大きな危ぐを抱いている。
 よって国におかれては,都市再生機構賃貸住宅居住者の居住の安定を図るため,都市再生機構に対して下記の事項の実現を強く求めるよう要望する。
 住宅セーフティネットとしての役割を果たすよう賃貸住宅事業の充実に努めること。
 居住者の高齢化や収入低下の実態に配慮して,現行の家賃制度及び改定ルールを再検討すること。
 住棟又は団地の売却及び建て替えに当たっては,居住者に対して十分配慮すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,国土交通大臣



「取調べ全過程の可視化」の実現を求める意見書

(19年12月14日提出)

 国民から無作為に選ばれた「裁判員」が,殺人や傷害致死などの重大事件の刑事裁判で,裁判官と共に犯罪を裁く裁判員制度が,2009年5月までに施行される予定である。同制度では,法律の専門家ではない国民が裁判に参加することにより,国民の感覚が裁判の内容に反映されるとともに,国民の司法に対する理解と支持が深まることが期待されている。
 しかし,実際の裁判では,供述調書の任意性や信用性などが争われ,裁判が長期化している例が多くあるなど課題も多いため,審理が裁判員に分かりやすいものとなるよう具体的な工夫が必要である。このため,裁判員制度の導入に当たり,検察庁では,現在,東京地検をはじめ各地の地検で「取調べの可視化」を試行しているところである。
 この「取調べの可視化」とは,捜査の結果,犯罪を行ったと疑われる被疑者に対して検察官が行う取調べの過程を録画,録音することである。しかし,現行の「取調べの可視化」は,警察の取調べが対象外であり,不十分と言える。全過程での可視化が実現されると,えん罪の原因となる密室での違法,不当な取調べによる自白の強要を防止できるとともに,供述調書に書かれた自白の任意性や信用性が争われた場合には,取調べの録画,録音テープが証拠とされる。このように,裁判員制度の導入にとって不可欠な取組ともなる「取調べの全過程の可視化」の制度化は,喫緊の課題となっている。
 よって国におかれては,裁判員制度の実効性を高める「取調べ全過程の可視化」を早期に実現するよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,法務大臣


障害者自立支援法の抜本的見直しの早期実現を求める意見書

(19年12月14日提出)

 国の与党・障害者自立支援に関するプロジェクトチームにおいて,障害者自立支援法の抜本的見直しに関する検討が行われ,法の精神にのっとった障害者の自立支援に向けた対策強化のための報告書がまとめられた。その報告書では,緊急に措置すべき事項として,障害者が福祉サービスを利用する際に掛かる原則定率1割の応益負担に関し,2008年度までの軽減措置を2009年度以降も実質的に継続することを決めた。また,障害児のいる世帯についても,子育て支援の観点から軽減対象となるよう要請し,さらに,障害者に支給されている障害基礎年金の引上げなども盛り込まれている。
 また,同法施行3年後の見直しに向けて検討すべき事項として,入院者及び入所者の地域移行の受け皿となるグループホームなど,住まいの確保に対する支援策の検討を要請し,利用者負担を支払った後に手元に残る金額については,施設と在宅のバランスに配慮して検討することなども決めた。
 障害者自立支援法の見直しについては,利用者負担の軽減と共に,そのサービスや支援体制に必要な財政的支援及び施設関係者からの条件整備を求める声が多く寄せられており,早急な対策が求められている。
 よって国におかれては,報告書にまとめられた内容の具体化を図り,障害者の自立支援に向けた様々な対策強化のため,これらを早急に実施するよう求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


後期高齢者医療制度の改善等を求める意見書

(19年12月14日提出)

 我が国の医療制度は,誰もが安心して医療を受けることができる国民皆保険の下,世界トップクラスの平均寿命や高い保健医療水準を支えてきた。しかしながら,急速な少子高齢化,経済低成長への移行,国民生活の多様化や意識の変化等,社会経済情勢が大きく変化する中で,将来にわたって国民皆保険を堅持し,持続的かつ安定的な運営を確保していくことが急務となっている。
 このような中から,平成18年6月に成立した健康保険法等の一部を改正する法律により,平成20年4月から,新たな独立した医療体制として,75歳以上の高齢者等を対象とした「後期高齢者医療制度」が創設される。現在,この制度の運営主体として,各都道府県において,全市町村が加入する「後期高齢者医療広域連合」が設立され,準備が進められているところである。
 しかしながら,この制度については,対象者全員が保険料を負担することとなるため,一定の激変緩和措置が設けられているものの,これまで健康保険等の被扶養者であった高齢者に新たな負担が生じること,また,市町村においては,運営費としての財政負担の増大が懸念されることなどが指摘されている。
 よって国におかれては,次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。
 高齢者が将来にわたって,適切な負担で,安心して医療を受けることができるよう,被保険者の負担軽減を図る観点から,保険料の在り方について検討を行い,検討の結果,必要となる財源は,国において確実に措置すること。
 低所得者の負担軽減を図るため,保険料の軽減判定の仕組みについて,保険料の賦課方法と整合が取れたものとなるよう,改善を行うこと。
 地域や特定の診療科の医師不足を解消し,地域間の医療格差を是正するために,財政措置を含めた必要な措置を講じること。
 後期高齢者を対象とした新たな診療報酬体系については,必要かつ十分な医療が確保できるものとなるよう配慮すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


道路整備財源の確保に関する意見書

(19年12月14日提出)

 道路は,市民生活や社会経済活動を支える最も基本的で重要な社会資本である。
 京都市においては,1200年の悠久の歴史にはぐくまれてきた豊かで潤いのある市民生活と多様な都市活動を支えるうえで不可欠な交通基盤として,道路整備に取り組んできた。
 しかしながら,港湾や空港施設を持たない本市においては,広域物流等の機能を道路と鉄道のみで担わざるを得ないが,いまだ市街地における都市計画道路の整備率は約69パーセント,一般国道及び府道の改良率は約62パーセントと,他の政令市に比べて交通基盤がぜい弱である。
 国際文化観光都市・京都として,更なる発展と豊かで活力に満ちたまちづくりを実現していくためには,高速道路をはじめとする広域的な幹線道路ネットワーク網の構築とその効率的な利活用を推進していく必要がある。また,京都の優れた歴史的環境の保全と整備をより一層図るため,無電柱化を推進し,魅力あふれる道路空間を形成するなど,50年後,100年後の将来を見据えた「国家戦略としての京都創生」にふさわしいまちづくりを推進する必要がある。
 一方で,高度経済成長期に大量に築造された橋りょうの架替え時期が迫るなど,老朽化する道路構造物の計画的な維持修繕費の急増が見込まれることから,市民生活の安全・安心のために欠かせない道路の維持管理の財源も,十分確保する必要がある。
 よって国におかれては,昨年12月に閣議決定された「道路特定財源の見直しに関する具体策」を受けて,今後の具体的な道路整備の姿を示した中期計画の作成や,道路特定財源を活用した高速道路料金の引下げなどの検討を行うに当たっては,制度の趣旨を踏まえつつ,地方の道路整備が効果的かつ計画的に推進されるよう,下記の事項について特段の措置を講じるよう強く要望する。
 広域的な道路ネットワークの効率的な利用促進につながる高速道路料金の引下げに向けた新たな措置を講じること。
 地方公共団体が行う道路整備の財源を確保し,充実するとともに,今後大幅に増大する維持管理費に対応できるようにすること。
 中期計画の策定に当たっては,地方の道路整備の実情に十分配慮し,地方が真に必要とする道路整備について計画的に盛り込むとともに,歴史的な街並み景観の保全と再生が望まれる地区等においては,重点的な無電柱化事業の推進及び景観に配慮した魅力ある道路整備を推進できるような措置を講じること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,財務大臣,国土交通大臣


米国の「北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除」の動きに関する意見書

(19年12月14日提出)


 北朝鮮は,我が国の国民をはじめとする複数の国の人々を拉致し,抑留し続けている。
 拉致は,国家主権及び国民の生命と安全にかかわる重大な問題であり,我が国は,すべての被害者の安全確保及び即時帰国,真相の究明並びに拉致実行犯の引渡しを強く要求している。
 一方,北朝鮮は,2002年,長年否定していた日本人の拉致を初めて認め,その後,5人の被害者が帰国を果たしたが,残る多くの被害者に関しては誠意ある説明をせず,「拉致問題は解決済み」と主張するばかりである。
 米国は,1988年に北朝鮮をテロ支援国家として指定し,2004年には,その指定理由の一つとして,新たに国務省国際テロ報告書に外国人拉致問題を書き込んだ。
 それは,拉致解決を北朝鮮に迫る強い圧力となり,我が国の国民を勇気付け,拉致問題に毅然たる態度で臨む我が国の外交を後押しするものとなっているが,米国は,一部の核施設の「無能力化」などの見返りとして,指定解除を行うのではないかと伝えられている。
 拉致はテロであり,拉致被害者が抑留され続けている以上,テロは今も続いている。本年4月の国務省国際テロ報告書も,引き続き拉致問題を明記した。
 抑留されている被害者が帰ってきていないにもかかわらず,指定が解除されることは,多くの日本国民を落胆させ,日米同盟に重大な影響を及ぼすことを懸念するものである。また,国会においても,衆議院に続き,参議院拉致問題特別委員会において,指定解除の動きに反対する決議が採択されたところである。
 よって国におかれては,拉致被害者全員を一刻も早く救出するために,特に,日米関係の重大さにかんがみ,米国が「北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除」をしないよう,最大限の外交努力を尽くすべきである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 
衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,外務大臣 





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