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 平成18年第3回定例会 【意見書・決議】

出資法及び貸金業規制法の改正に関する意見書

 (18年5月30日提出)

 貸金業者の消費者向け貸付残高が約20兆円にも上る中,個人の破産申立件数は,平成15年度に24万件を超え,その後若干の減少傾向にあるものの,極めて高い水準で推移している。また,過日は,大手の貸金業者が違法な取立てを繰り返したとして,営業停止処分を受けた。返済能力を超えた借入れにより,破産の危険にさらされ,違法取立てに苦しむ多重債務者は,家庭崩壊,ホームレス化,犯罪又は自殺に至ることさえあり,深刻な社会問題となっている。こうした背景には,貸金業者の異常な高金利がある。
 出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)は,刑事罰の対象を画する上限金利を定めているが,年29.2パーセントと,債務者保護を立法趣旨とする利息制限法の制限金利を超え,依然として高金利である。
 また,貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」という。)の「みなし弁済」規定は,一定の要件の下に,利息制限法の制限金利を超えた,出資法に基づく高金利の弁済の受領を認めるものであるが,貸金業者がこの要件を満たしていないにもかかわらず,高金利の貸付けと取立てを行う弊害を引き起こしている。こうした中,最近の最高裁判所の判決では,あらゆる貸金業者の貸付けに「みなし弁済」が成立せず,貸金業規制法第43条の存続意義は認められていない。
 更に,出資法は,日賦貸金業者について上限年54.75パーセントの特例金利を認めているが,特例の適用が許される要件を満たしていないにもかかわらず,特例金利を徴収している貸金業者が多く,違法,不当な取立ての温床にもなっている。同様の特例金利が認められている電話担保金融についても,実質的には電話加入権の財産的価値が失われた今日においては,特例を認める社会的需要は極めて低い。
 よって国におかれては,平成19年1月に出資法の上限金利を見直す時期を迎え,下記の事項を実現されるよう要望する。

    
 1  出資法第5条の上限金利を利息制限法第1条の制限金利まで引き下げること。
 2  貸金業規制法第43条の,いわゆる「みなし弁済」規定を廃止すること。
 3  出資法における日賦貸金業者及び電話担保金融に関する特例金利を廃止すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,金融・経済財政政策大臣,総務大臣,法務大臣


都市農業振興策の強化を求める意見書

 (18年5月30日提出)

 国においては,新しい食料・農業・農村基本計画に基づき,昨年10月に「経営所得安定対策等大綱」を策定し,農政の大転換を行おうとしている。特に,平成19年度から実施予定の「品目横断的経営安定対策」は,いわば価格政策から所得政策への転換であるとともに,米,麦,大豆等土地利用型作物を対象とした大規模農家に対象が限定されている。
 そうした中,本市の農業は,平均経営耕地面積も全国平均の30パーセント強と限られた面積の中で,都市農業が展開されており,本対策の対象となる農家数はわずかと予想されている。近年,後継者難の深刻化や,米価の下落が本市農業にも大きな打撃を与えており,対策強化が求められる。
 本市においては,京野菜を中心とした高度かつ集約的な農業が行われており,市民に新鮮で安全で安心な農産物を供給している。
 よって国におかれては,地方の大規模農家を対象とした施策だけでなく,食育の観点からも,地産地消の推進に非常に大きな役割を持つ,こうした都市農業に対する支援も充実,強化するよう強く求めるものである。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,農林水産大臣


「がん対策基本法」の早期制定を求める意見書

 (18年5月30日提出)

 近年,がんの罹患率や死亡率は,共に上昇を続けている。1981年以降,死亡原因の第1位はがんであり,今や死因の3割が,がんである。10年後には,2人に1人が,がんで死亡するとの予測もある。
 国は「対がん10カ年総合戦略」を実施し,現在は第3次(平成16年度〜25年度)となっているが,罹患率や死亡率の上昇に一向に歯止めが掛かっていないのが現状である。
 そのため,政府は昨年5月,厚生労働大臣を本部長とする,がん対策推進本部を設置したが,国を挙げて本格的に取り組む体制を作るためには,日本のがん対策に欠けている課題の解決に向けた具体的な施策を法制化する必要がある。
 よって国におかれては,「がん対策基本法」を早期に制定し,現在,欧米先進国に比べて遅れ,必要とされている,がん患者の痛みや苦しみを和らげる「緩和ケア」の充実や,治療に極めて有効でニーズも急増している「放射線治療」の専門医やスタッフの早急な育成,地域間,施設間格差の是正,早期発見,予防医療の推進など,がん患者の立場に立った総合的,一元的な国家戦略としてのがん対策を,大きく推進するよう要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


脳脊髄液減少症の研究・治療等の推進を求める意見書

 (18年5月30日提出)

 脳脊髄液減少症は,交通事故,スポーツ障害,落下事故,暴力などによる頭部や全身への強い衝撃によって脳脊髄液が慢性的に漏れ続け,頭痛,首や背中の痛み,腰痛,目まい,吐き気,視力低下,耳鳴り,思考力低下,うつ症状,睡眠障害,極端な全身倦怠感,疲労感等の様々な症状が複合的に発現する病気であり,難治性のいわゆる「むち打ち症」の原因として注目されている。
 しかし,この病気は,これまで原因が特定されない場合が多く,「怠け病」あるいは「精神的なもの」と判断されたため,患者の肉体的,精神的苦痛はもとより,患者の家族等の苦労も計り知れなかった。
 近年,この病気に対する認識が徐々に広がり,本症の研究に取り組んでいる医師らにより,新しい診断法,治療法(ブラッドパッチ療法など)の有用性が報告されている。そのような中,医学会においても脳脊髄液減少症に関して本格的な検討を行う機運が生まれつつある。長年苦しんできた患者にとって,このことは大きな光明となっている。
 しかしながら,この病気の一般の認知度はまだまだ低く,患者数など実態も明らかになっていない。また,全国的にもこの診断,治療を行う医療機関が少ないため,患者,家族等は大変な苦労を強いられている。
 よって国におかれては,以上の現状を踏まえ,下記の措置を講じられるよう強く要望する。

    
 1  交通事故等の外傷による脳脊髄液漏れ患者(脳脊髄液減少症患者)の実態調査を実施するとともに,患者,家族に対する相談及び支援の体制を確立すること。
 2  脳脊髄液減少症について更に研究を推進するとともに,診断法及びブラッドパッチ療法を含む治療法を早期に確立すること。
 3  脳脊髄液減少症の治療法の確立後,ブラッドパッチ療法等の新しい治療法に対して早期に保険を適用すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


医療制度改革に対する意見書

 (18年5月30日提出)

 今国会において審議されている「健康保険法等の一部を改正する法律案」(いわゆる「医療制度改革法案」)については,「医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため,医療費適正化の総合的な推進,新たな高齢者医療制度の創設,保険者の再編・統合等の措置を講ずること」を趣旨として提出されたものである。
 我が国の医療制度を取り巻く環境の変化として,一つには,少子高齢化が進行し人口減少社会へ突入したことを挙げることができる。これにより支え手は少なく,支えられる側が急速に増加する中で,人口増加を前提とした社会保障制度では世代間の不公平が更に拡大していくことになる。二つには,低成長経済が続く中,経済成長によって今後の社会保障の給付の増大を吸収できないことを挙げることができる。このように,社会状況は医療制度の安定化にとって大変厳しいものである。
 したがって,世界に冠たる国民皆保険制度を将来にわたって安定的に運営していくためには,制度の一本化など,医療保険制度については今後も抜本的改革が不可欠である。
 よって国におかれては,新たな医療費適正化対策や新たな高齢者医療制度の実施等について,早急に制度の詳細を明らかにし,必要な措置を講じるとともに,国民健康保険と他の保険制度との負担の公平化を図るため,医療保険制度の一本化などの抜本的改革を実施するよう求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 衆議院議長,参議院議長,内閣総理大臣,総務大臣,厚生労働大臣


2008年主要国首脳会議(サミット)の京都開催に関する決議

 (18年5月30日提出)

 京都には,1200年を超える悠久の歴史の中ではぐくまれた,日本文化の真髄と言える文化が息付いている。優れた伝統的建造物や文化財,一流の華道,茶道,能,狂言といった伝統芸能など,他の追随を許さない。
 また,京都は,大都市でありながら,自然と共生する日本の伝統を大切にし,山紫水明とたたえられる豊かな自然を守り,育ててきた。言うまでもなく,世界で唯一の法的拘束力を持つ「京都議定書」採択の地でもある。
 加えて,京都には,日本の伝統技術の粋を集めた,平成を代表する和風建築である「京都迎賓館」と,我が国初の国立の国際会議場であり,世界水フォーラムなど様々な国際会議の舞台となった「国立京都国際会館」という,至高の「もてなし」と「かたらい」を約束する国の施設が存在する。
 この京都ほど,主要国の首脳が一堂に会し,世界の平和と繁栄についてゆったりと語り合う,サミットの開催地としてふさわしい地はないものと自負するものである。
 そして,サミットという全世界が注目する会議が京都で開催されることにより,世界は,日本の象徴たる京都の,豊かな自然に感嘆し,悠久の歴史に感動し,洗練された文化に魅了されるに違いない。このことは,京都の国際的評価をより高めることにつながるものである。のみならず,激動する国際社会において,日本国が世界から尊敬され,確実なる地歩を築くうえで,大きく寄与するものであると確信する。
 よって,政府においては,サミットの京都開催を決定されるよう,強く望むものであり,京都市会は,関係機関と連携を図り,市民の賛同と協力を得て,サミットの京都開催に向けて取り組むことを決意する。

 以上,決議する。 



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