(12.3.30提出)
近年,アトピー性皮膚炎,気管支ぜん息,アレルギー性結膜炎及び花粉症等アレルギー性疾患に悩む国民の数は増加の一途をたどり,今や「国民病」となりつつある。その要因は大気汚染,食生活や住環境の変化による人工化学物質の多用,細菌等(ダニ,カビ等)の繁殖及びストレスの増加等,様々な問題が複雑に絡み合っていると指摘されている。現在,これらの疾患の治療法は対症療法にとどまっているため,抜本的な治療法もなく,また患者は的確な情報もないまま深刻な苦痛,不快感に悩まされ,日常生活や社会生活にも大きな影響が出ている。こうした状況を打開するためには,大気汚染物質(硫黄酸化物,窒素酸化物,浮遊粒子状物質等)の削減対策の強化,人体に有害な化学物質や食品添加物の使用の抑制及び遺伝子組換え作物の使用の有無についての表示を徹底するなどの施策と共に,総合的なアレルギー性疾患対策の早期確立が求められている。
よって政府におかれては,下記の事項について早急に講じられるよう求めるものである。
1 | アレルギー性疾患の病態・原因の解明,効果的な治療法の開発推進のため,研究費の大幅増額を図ること。 |
2 | 治療研究拠点として国立アレルギー総合センターを設置するとともに,アレルギー専門医の養成を図り,主要医療機関への「アレルギー科」の増設を促進すること。 |
3 | 乳幼児健診において早期発見のためにもアレルギー検査を追加すること。 |
(提出先)
内閣総理大臣,厚生大臣,自治大臣
(12.3.30提出)
農産物の自給率の低い我が国においては,米以外の多くの農産物を輸入に頼らざるを得ず,既に大豆やコーンなどでは遺伝子組換え食品等の輸入も始まっている。
これらの遺伝子組換え農産物や加工食品のうち,表示については,農林水産省が発表した豆腐,湯葉などの30品目にすぎず,多くの食品は対象外とされ,国民の間には,遺伝子組換え食品等の安全性に対し心配する声も根強いものがある。
よって政府におかれては,国民の不安を解消するためにも,遺伝子組換え食品等について,全面表示を行うよう強く要望する。
地方自治法第99条第2項の規定により,この意見書を提出する。
(提出先)
内閣総理大臣,厚生大臣,農林水産大臣,自治大臣
(12.3.30提出)
現在,公共交通事業を取り巻く経営状況は,非常に厳しいものがある。
特にバス事業の経営は,都市部における自家用車をはじめとする自動車の増加により,深刻の度合いをより一層深めている。
また,自動車の増加は,交通渋滞の激化,大気汚染の発生,交通事故の増加をもたらし,ひいては都心部の空洞化,商店街の衰退を招くなど都市活動全体にも多大な影響を与えている。
先進諸国では,都心部への自動車流入の抑制,公共交通機関優先の諸施策を社会的規制として選択しており,この傾向は拡大の方向にある。
よって政府におかれては,この視点に立った検討を早急に行い,公共交通を中心とした都市交通政策を確立されるよう求めるものである。
地方自治法第99条第2項の規定により,この意見書を提出する。
(提出先)
内閣総理大臣,運輸大臣,建設大臣,自治大臣
(12.3.30提出)
国民病と言われた結核は,我が国における保健衛生水準の向上や医療の進歩,新薬の開発により,今日では大幅に減少し,入院日数についても大幅に減少している。
しかしながら,平成9年には新規登録患者が数十年ぶりに増加に転じ,各地で多剤耐性結核の発生や集団発生が見られるなど憂慮すべき状況となってきている。この背景には,結核に対する意識の低下や医療従事者の経験が減少してきたことが挙げられる。
このような中,多剤耐性結核への対応や,合併症を有する患者及び新規結核患者への対応は重要な課題である。しかしながら,国においては,平成11年3月,各都道府県の結核医療の拠点を一箇所に集約するとの方針を示しているが,集約化を図るだけではなく,国の設置する医療機関において,これらの患者等を含めた受入体制を確保すると同時に,今後も国の財政的援助を保障するなど結核医療を更に充実すべきであると考える。
よって政府におかれては,早急に次の措置を講じられることを強く要望するものである。
1 | 結核予防のため,普及啓発活動の一層の充実を図ること。 |
2 | 医学教育の充実等を通して,結核医療を担う医師等の養成を進めること。 |
3 | 結核医療の拠点として,国の設置する医療機関において,多剤耐性結核患者,合併症患者も含めて結核患者の受入体制の確保を行うこと。 |
(提出先)
内閣総理大臣,厚生大臣,自治大臣
[目次][会期日程][議案審議結果][付帯決議等][意見書・決議][採択請願] |