平成14年3月22日
 ケイアイ興産株式会社
  代表取締役社長 稲盛 豊実  様

                             京都市長 桝本 ョ兼


       大規模小売店舗立地法による届出に対する市の意見について


 平成13年7月30日付けで届出のあった大規模小売店舗について,大規模小売店舗立
地法(以下「法」という。)の規定により,下記のとおり通知しますので,当該意見につ
いて検討の上,変更の届出又は変更しない旨の通知を行って下さい。
 なお,当該意見が適正に反映されず,当該大規模小売店舗の周辺の地域の生活環境に著
しい悪影響を及ぼす事態の発生を回避することが困難であると認めるときは,法第9条第
1項により勧告することがあります。


                    記


1 大規模小売店舗の名称及び所在地
  (仮称)京都KIビル
  京都市下京区水銀屋町620番地,627番地,629番地,630番地2,童侍者
 町162番地3

2 法第8条第4項の規定による市の意見について
  現在の状況及び意見書の提出状況等に配意するとともに指針(平成11年通商産業省
 告示第375号)(以下「指針」という。)を勘案し,届出書類を総合的に検討したと
 ころ,従業員や小売店舗以外の施設利用者等が小売店舗専用駐輪場を利用する恐れがあ
 り,小売店舗利用客の駐輪に支障が生じることも予想されるため,その対策を講じる必
 要があると判断する。

3 付帯意見
  駐車場の安全で円滑な運営,交通整理員の配置等による来店客車両の円滑な入庫及び
 歩行者の安全確保並びに路上駐車の防止が望まれます。さらには京都市基本計画におけ
 る「歩くまち・京都」の実現に向けてより積極的な公共交通機関利用促進の対策が望ま
 れる。


                  意見理由


1 現在の状況(立地状況・既存の問題点等)
  当該商業施設の建設予定地は,東側が午前7時から午後7時までの12時間の自動車
 類の交通量が平日28,930台,休日22,470台,歩行者類の交通量が平日
 4,855人,休日2,654人(平成11年度道路交通センサス,観測地点番号10
 36,下京区烏丸通高辻上ル大政所町)である一般国道367号(烏丸通)に面してい
 る。
  また,北側には事務所ビルを一つ隔てて,午前7時から午後7時までの12時間交通
 量が平日14,927台,休日14,686台(平成11年度道路交通センサス,観測
 地点番号5023,下京区四条通堺町西入ル立売中之町)である嵐山祇園線(四条通)
 に面しており,都市計画上の商業地域に立地している。
  当該予定地は,本市の中心的な商業・業務機能が集積する四条烏丸交差点に隣接して
 おり,周辺は北側及び西側は事務所ビル,東側は道路(烏丸通)を隔てて駐車場,南側
 には銀行が立地しているが,直接住居には隣接していない。
  なお,建設予定地の前面歩道上には,現状でも放置自転車が見受けられる。

2 説明会の状況
  法第7条第1項の規定に基づき開催された説明会において,駐車場台数の内訳及び来
 店客車両予測に関する質問,小売店舗の営業時間の確認,さらには施設に対する期待な
 どの意見が出された。

3 意見書
  法第8条第2項の規定により出された意見はなかった。

4 市の見解
  指針を踏まえ,今回の出店計画を検討した。
  駐車場の設置(収容台数)については,指針に基づく台数以上を確保の上,来店客車
 両予測に基づく最大駐車台数を上回る台数は確保されている。しかし,当該駐車場はそ
 の収容台数の大部分が機械式駐車場の上,その操作は来店客自身が行う予定であるため,
 より一層の安全で円滑な施設運営が行われるよう配慮することが望まれる。
  また,現計画では,駐車場出入口に交通整理員を配置しない計画であるが,前面道路
 は交通量及び歩行者数が多い烏丸通である上,小売業者は未定である。出店する小売業
 者によっては来店客車両の増加も予想され,路上駐車及び入庫待ち車両の発生も予想さ
 れる。そのため,交通整理員を配置するなどして,来店客車両の円滑な入庫及び歩行者
 の安全の確保,並びに来店客車両による路上駐車防止が確実に行われることが望まれる。
  なお,当該施設の建設予定地は,四条烏丸という本市においても有数の公共交通機関
 の結節点に位置しているところから,京都市大規模小売店舗立地審議会(以下「審議会」
 という。)委員より公共交通機関利用促進の具体策について質問が出され,届出者から
 は審議会に対し以下の回答が提出された。
  ・ 来店手段の選択は来店者の判断であるとともに,当施設の利用者の大半は公共交
   通機関利用者や周辺商業施設利用の歩行者と考える。さらに当施設においては,地
   下鉄ホーム及び市バス停留所への地下通路や障害者用エレベーターを設置し,公共
   交通機関利用者の利便性の向上を図る予定である。
  ・ 公共交通機関利用者に対するサービスについては,出店者(テナント)の方が判
   断されることである。
  しかし,届出者におかれては,京都市基本計画における「歩くまち・京都」の実現に
 ついて理解を深められるとともに,都心の交通問題解消のためにも,より積極的な公共
 交通機関利用促進対策が望まれる。
  駐輪場の設置(収容台数)については,計画している小売業者の業種によれば,京都
 市自転車等放置防止条例に基づく付置義務台数は確保されているが,小売店舗の従業員
 駐輪場及び小売店舗以外の施設(飲食店舗,事務所)用の駐輪場は確保されていない。
 そのため,小売店舗を含む施設従業員及び小売店舗以外の施設利用者等が小売店舗専用
 駐輪場を利用する恐れがあり,小売店舗利用客の駐輪に支障が生じることも予想される
 ため,その対策を講じる必要があると判断される。
  荷さばき施設については,その施設配置,運営計画,車両経路等について適正な配慮
 がなされており,周辺の生活及び事業活動へ与える影響は少ないと判断される。
  騒音については,計画地及びその周辺は,商業地域であり,騒音についての環境基準
 の基準値はいずれも昼間60dB,夜間50dBである。等価騒音レベルの予測におい
 ては,昼間及び夜間とも基準値を下回っていた。また,夜間における騒音の発生源ごと
 の騒音レベルの最大値の予測においても,騒音規制法における夜間の規制基準値(商業
 地域50dB)を下回っていた。その他騒音対策についても検討した結果,周辺の生活
 環境保持のため,適正な配慮がなされていると判断される。
  廃棄物保管施設については,予測においても保管容量が確保されており,その他,施
 設配置,処理・運搬計画に関しても適正な配慮がなされており,周辺の生活環境への影
 響は少ないと判断される。
  なお,現在,小売業者及び附属施設の具体的内容が未定であり,開店後新たな問題が
 生じることも有り得るため,今後とも周辺の地域の生活環境の保持について適正な配慮
 を行い,当該大規模小売店舗を維持及び運営するよう留意することが望まれる。

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