平成13年6月25日

 株式会社髙島屋
  代表取締役 増倉 一郎  様
 阪急不動産株式会社
  代表取締役 清水 裕之  様

                              
                             京都市長 桝本 賴兼




     大規模小売店舗立地法による届出に対する市の意見について



 平成12年10月30日付けで届出のあった大規模小売店舗について,大規模小売店舗
立地法(以下「法」という。)の規定により,下記のとおり市の意見を通知しますので,
当該意見について検討の上,変更の届出又は変更しない旨の通知を行って下さい。
 なお,当該意見が適正に反映されず,当該大規模小売店舗の周辺の地域の生活環境に著
しい悪影響を及ぼす事態の発生を回避することが困難であると認めるときは,法第9条第
1項により勧告することがあります。

                    記


1 大規模小売店舗の名称及び所在地
  株式会社髙島屋京都店
  京都市下京区四条通河原町西入真町52番地


2 法第8条第4項の規定による市の意見について
  現在の状況及び意見書の提出状況等に配意するとともに,大規模小売店舗を設置する
 者が配慮すべき事項に関する指針(平成11年通商産業省告示第375号)(以下「指
 針」という。)を勘案し,届出書類を総合的に検討したところ,本変更計画の実施によ
 り河原町通における来客による駐車待ち車両が更に増加するなど,交通に及ぼす影響が
 大きいと考えられるので,届出者は,都心の交通問題の解消に向けて京都市大規模小売
 店舗立地審議会(以下「審議会」という。)において表明された,公共交通機関の利用
 促進などの総合的な対策の具体化に向けた取組を示す必要があると判断する。



                  意見理由


1 現在の状況(立地状況・既存の問題点等)
  当該商業施設は,東側が午前7時から午後7時までの自動車類の交通量が平日20,
 538台,休日17,083台(平成11年度道路交通センサス,観測地点番号402
 2,下京区河原町高辻上ル富永町)である下鴨京都停車場線(河原町通)に,北側が同
 交通量が平日14,927台,休日14,686台(平成11年度道路交通センサス,
 観測地点番号5023,下京区四条通堺町西入ル立売中之町)である嵐山祇園線(四条
 通)に面しており,都市計画上の商業地域に立地している。
  また,当該地域は,本市を代表する商業拠点である四条河原町であり,周辺は北側及
 び東側に道路を挟み商業施設が,南側及び西側に駐車場,民家,寺院などが立地してい
 る地域である。
  当該商業施設は自営駐車場484台,契約駐車場482台,合計966台の駐車場を
 確保しているが,来客による駐車待ち車両が長年,特に日・祝日に多数,河原町通に縦
 列し,河原町通だけでなく周辺道路においても深刻な交通渋滞を引き起こしている。

2 説明会の状況
  法第7条第1項の規定に基づき開催された2回の説明会のうち,第1回目の説明会終
 了後,参加者2名から仕入先派遣店員による違法駐輪に対する指導及び河原町通の駐車
 待ち車両についての抜本的対策に関して意見が出された。

3 意見書
  法第8条第2項の規定により出された意見はなかった。

4 市の見解
  指針を踏まえ,今回の変更計画を検討したところ,店舗面積の増加により,一日当た
 りの総来客数が増加し,河原町通における来客による駐車待ち車両が更に増加すること,
 駐輪場の利用者が増加すること,廃棄物等の排出量が増加することが予想される。
  来客による駐車待ち車両については,届出者も従来から,要員の配備や敷地内駐車待
 ちスペースの確保,駐車場案内システムへの参加等の対策を行ってきたが,今後,公共
 交通機関での来店促進の取組や,日・祝日における配備要員の強化,さらには例えば御
 池駐車場等の新たな契約駐車場の確保に努めるとの対策案が出された。
  しかし,審議会委員からは,当該店舗だけが市内の公道上に駐車待ち車両を長く発生
 させているのは問題である,隔地駐車場への案内が不足している,幹線道路沿いの隔地
 駐車場をもっと確保すべき,より積極的な公共交通機関優先の対策が必要である,との
 意見などが出された。
  審議会委員からの上記意見に対し,届出者からは以下の更なる対策が表明された。
  ・ 自営駐車場における待機車両については,店舗内の引き込みスペースだけに留め,
   公道へはみ出す部分については今後,他の駐車場への案内等を行うなど,公道での
   滞留をさせないことを基本とする。
  ・ その上で,公共交通機関の利用促進,駐車場の分散化の実施,契約駐車場への誘
   導強化を行う。
  ・ 公共交通機関の利用促進として,電車・バスの来店者に対するメリットを与える
   取組を行うとともに,電車・バスの各企業と連携したイベント・キャンペーンの展
   開による利用促進を検討する。
  ・ 駐車場の分散化のため,平成13年5月1日から御池駐車場と契約を行うととも
   に,分散化の成果が出た場合には,次の段階として 100円循環バスの経路に当たる
   四条烏丸の大型駐車場等についても新たな契約を検討する。
  ・ 御池駐車場の利用促進のため,無料の利用時間を他の契約駐車場よりも1時間長
   い3時間に設定するとともに, 100円循環バスについて地元商店街及び他の百貨店
   とも連携した取組を検討する。
  ・ 契約駐車場への誘導強化として,駐車場マップの作成と配付を行うとともに,契
   約駐車場の空車情報の提供を行う。
  検討の結果,審議会において届出者から表明された対策は,まちづくりへの取組も含
 めた内容であり,都心の交通問題に対する総合的な対策として高く評価できるため,今
 後はその対策の具体化に向けた取組を示す必要があると判断される。
  駐輪場については,変更計画の実施により総来客数が増えると考えられるが,駐輪場
 台数が増加され,京都市自転車等放置防止条例上の付置義務台数が確保されることから,
 駐輪場の不足は生じないと判断される。なお,店舗周辺の違法駐輪については,来客及
 び店舗関係者によるものとは断言できないが,来客に対しては駐輪施設への適切な誘導
 を,店舗関係者には公道への違法駐輪を行わないよう指導するとともに,今後,従業員
 等,店舗関係者を対象とした駐輪場の設置についても検討が望まれる。
  廃棄物等の排出量については,来客数は増えるものの,飲食店舗等が減少するので,
 廃棄物等の排出量予測から,現在の容量で対応可能であると判断される。
 
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