平成13年4月24日 ニック産業株式会社 代表取締役社長 千坂 和久 様 株式会社マツヤスーパー 代表取締役社長 中山 保彦 様 京都市長 桝本 ョ兼 大規模小売店舗立地法による届出に対する市の意見について 平成12年8月30日付けで届出のあった大規模小売店舗について,大規模小売店舗立 地法(以下「法」という。)の規定により,下記のとおり通知しますので,当該意見につ いて,検討の上,変更の届出又は変更しない旨の通知を行って下さい。 なお,当該意見が適正に反映されず,当該大規模小売店舗の周辺の地域の生活環境に著 しい悪影響を及ぼす事態の発生を回避することが困難であると認めるときは,同法第9条 第1項により勧告することがあります。 記 1 大規模小売店舗の名称及び所在地 山科三条ショッピングセンター 山科区竹鼻西ノ口町83番地外 2 法第8条第4項の規定による市の意見について 現在の状況及び意見書の提出状況等に配意するとともに指針を勘案し,届出書類を総 合的に検討したところ,本変更計画の実施により,騒音については,周辺の生活環境が 悪化しないとの判断ができないため,昼間の等価騒音レベルの予測を行うとともに,照 明については,住宅側から光源が直接見え,まぶしく感じることが有り得るため,照明 の配置や方向,強さ,点灯時間などに配慮した対応を図る必要があると判断する。 3 付帯意見 今回の変更計画の実施とは直接関係しないが,早朝の荷さばき作業や商品搬入車両に 関する騒音及び店舗から発生する食品加工に伴う臭いについて,必要な場合は対策を講 ずることが望まれる。 意見理由 1 現在の状況(立地状況・既存の問題点等) 当該商業施設は,紡績工場跡に立地しており,都市計画上の準工業地域及び第1種中 高層住居専用地域に立地している。 周辺の状況は,第1種中高層住居専用地域に挟まれ,低層又は中層の住宅が多い。 当該商業施設は,法の施行前に開店したものであるが,計画表明時点から,生活環境 の悪化が懸念され,山階学区自治会連合会など地域住民との話し合いが重ねられた。特 に西側道路の幅員の狭さが懸念され,西側道路の車道が拡幅されるとともに一般通行者 が利用できる歩道が設置されるなどの対策がとられた経緯がある。 また,閉店時刻及び来客が駐車場を利用することができる時間帯の終了時間について は,今回の届出と同じ内容で年間60日間営業している実績(以下「営業実績」とい う。)がある。 2 説明会の状況 法第7条第1項の規定に基づき開催された説明会において,早朝からの商品搬入車両 及び来客車両並びに荷さばきによる騒音,悪臭,照明,ごみ収集車の運転,警備員の常 駐,夜間の警備等について苦情や要望が出されたが,生活面での利便性の向上,地域の 活性化に役立っているとの意見も出された。 3 意見書 法第8条第2項の規定により出された意見は,騒音,悪臭,照明問題などを懸念する 反対15(うち2は同一人),賛成2の計17件であった。 意見の概要については,以下の通りである。 ・ 営業時間の延長は絶対容認できない。 ・ 早朝からの商品搬入車両や来店客車両の通行による騒音に苦しんでいるが,営業 時間延長により,一層悩まされることになる。 ・ 店舗からの鮮魚,食肉の臭いや揚げ物の油の臭い等の悪臭がひどい(洗濯物等に も付着して悩まされている)。 ・ 店内や外売場の照明がサーチライトのように住宅内部を照らす。営業時間延長に より現状よりさらに長時間光公害を受けることになる。 ・ 営業時間延長に賛成である。 ・ 夜間の周辺が明るくなり,安全面,防犯面において重要な役割を果たすとともに, 町の活性化に寄与する。 ・ 共働きの夫婦にとって,遅くまで営業しているメリットは大きい。 ・ 開店前に懸念していた交通問題や騒音など特に問題ないため,午後9時程度の営 業時間変更であれば問題にならない。 ・ 店舗の開店により,適当なにぎわいと明るさが出て町全体に活気が出た。 ・ 店舗の開店により,安祥寺道東側に歩道ができて良かった。 4 市の見解 今回の変更計画における,大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき事項に関する指 針(平成11年通商産業省告示第375号)(以下「指針」という。)に掲げる事項と の関連では,営業時間の拡大により,一日あたりの総来客数が増加し,駐車場及び駐輪 場の利用者が増加すること,廃棄物等の排出量が増加すること及び昼間の等価騒音レベ ルの値が高くなることが予想され,また,屋外売り場があることからも照明点灯時間の 延長による影響を検討する必要があると判断される。 駐車場及び駐輪場の利用者の増加については,営業実績からピーク時の来客数は増加 しないと予測されるため,交通渋滞,駐車場及び駐輪場の不足は生じないと判断される。 廃棄物等の排出量の増加については,営業実績から現在の容量で対応可能であると判 断される。 昼間の等価騒音レベルの値が高くなることについては,変更前の営業時間に対する増 加時間の割合が15%と多くはないが,当該商業施設が立地する場所及び周辺の昼間の 環境基準値が住居系の55dB以下の地域であること,荷さばき施設の位置,駐車場の構 造及び出入口付近の状況などから,予測データにもとづく検証が必要である。 夜間における照明については,施設設置者により開店当時に一定の対策が図られてい るが,現地調査の結果,現在でも安祥寺川沿いの住居側から見た場合,照明の光源が直 接見えることから,まぶしく感じることが有り得ると思われるため,さらに,照明の配 置や方向,強さ,点灯時間などに配慮した対応を図る必要があると判断される。なお, 歩道を含む西側道路においては過度なものとは認められず,逆に,通行者及び通行車両 に対して治安や交通安全上役立っていると思われる。 次に,今回の変更計画の実施とは直接関係しないが,荷さばきに関する周辺住民から の意見・苦情等について,届出者から,早朝の荷さばき作業や商品搬入車両に関する騒 音については,従業員への注意周知や業者指導を行っているとの説明がなされた。深夜 ・早朝における荷さばき作業については,大規模小売店舗にとって最も騒音上のトラブ ルが生じることの多い騒音発生源であることを認識し,さらに騒音を低減するため努力 することが望まれる。 また,食品加工に伴う臭いに関して,届出者からは,生ごみ・廃棄物の処理について, 毎日の清掃と消臭剤の散布を行い,翌日搬出分は冷蔵施設で保管するなどの対策をとっ ていること,説明会開催前後に食品加工に伴う臭いに関する意見・苦情等を申し出られ た方の住居付近において複数人で調査した結果,臭いは認められなかったとの説明がな された。しかし,臭いは季節や風向きなどの要因でも変わることから,引き続き調査を 行うとともに,必要な場合は対策を講ずることが望まれる。 |